1.パン屋再襲撃/村上春樹
■ストーリ
結婚したばかりの「僕」と「彼女」は深夜に突然、耐え難い空腹を覚えた。
それは昔「僕」が親友と行ったパン屋襲撃の失敗が、「僕」たち夫婦に
呪いとして降りかかっているせいだと妻は説明する。
「僕」たちはかけられた呪いを解くために散弾銃で武装し、再び襲撃を
目論むが、夜更けの東京に開店してるパン屋はなかった。そこで妻は
マクドナルドを襲うことを提案し、「僕」は促されるまま実行に移す。
「パン屋再襲撃」他、微妙にくい違った人と人の心がふとしたことで
和んでいく様子を、深海のイメージによせて描いた6作品。
■感想 ☆☆☆
年が明けて、読書欲がすっかり鳴りをひそめている今日この頃。
通勤途中も本を読まなかったり、読んだり、読んでも文章が頭に入って
こなかったり、そういった日々を過ごしていて、物語の中に
入り込めないでいる。
そういったときは物語の起伏が激しいものに心がついていかないため、
エッセイや詩集など抑揚やクライマックスのない世界を手に取る。
今回は、昨年突如、苦手意識が消えた春樹さんの作品を手に取った。
文章の真意や比喩の意味を考えず、ただ文章のままに彼の作り出す
世界に身をゆだねたひととき。ゆっくりじっくり噛みしめるように
1ページ読んでは、その前の1ページを読み返すようなスピードで
文章を追いかけた。
「消失」や「変化」を通して、自分自身の世界の何かが
変わっていく話たち。行動したことによって、主人公が友人と、
友人以外にも「何か」を失ってしまい、その何かを取り戻そうとする
「パン屋再襲撃」。
「象の消滅」は、消えるはずのないものが、消失不可能な場所から
消滅したのに、自分の人生には何ら関わりがないことに
気付いてしまう主人公の話。
妹の結婚という変化にうまくなじめない兄と
そんな兄に苛立ちを覚えつつもやはり自分の変化に恐れを
感じている妹を描く「ファミリー・アフェア」。
「消失」も結局は「変化」の一部で、それが起こる前は
ちょっとした怖さを感じてしまうけれど、結局のところ、変化が
人間に与える影響は微々たるもので、影響が小さい、というよりは、
変化に左右させられるほどひとりの人間の人生は
たいしたものではないんじゃないか、と思わせられる。
ただ、その一方で、そうは言ってもやはり「変化」も「失うこと」も
すごくすごく怖いし、その怖さは「本質的なもの」で、
口で説明できるようなもの、割り切れるものではないんだ、とも感じた。
■ストーリ
結婚したばかりの「僕」と「彼女」は深夜に突然、耐え難い空腹を覚えた。
それは昔「僕」が親友と行ったパン屋襲撃の失敗が、「僕」たち夫婦に
呪いとして降りかかっているせいだと妻は説明する。
「僕」たちはかけられた呪いを解くために散弾銃で武装し、再び襲撃を
目論むが、夜更けの東京に開店してるパン屋はなかった。そこで妻は
マクドナルドを襲うことを提案し、「僕」は促されるまま実行に移す。
「パン屋再襲撃」他、微妙にくい違った人と人の心がふとしたことで
和んでいく様子を、深海のイメージによせて描いた6作品。
■感想 ☆☆☆
年が明けて、読書欲がすっかり鳴りをひそめている今日この頃。
通勤途中も本を読まなかったり、読んだり、読んでも文章が頭に入って
こなかったり、そういった日々を過ごしていて、物語の中に
入り込めないでいる。
そういったときは物語の起伏が激しいものに心がついていかないため、
エッセイや詩集など抑揚やクライマックスのない世界を手に取る。
今回は、昨年突如、苦手意識が消えた春樹さんの作品を手に取った。
文章の真意や比喩の意味を考えず、ただ文章のままに彼の作り出す
世界に身をゆだねたひととき。ゆっくりじっくり噛みしめるように
1ページ読んでは、その前の1ページを読み返すようなスピードで
文章を追いかけた。
「消失」や「変化」を通して、自分自身の世界の何かが
変わっていく話たち。行動したことによって、主人公が友人と、
友人以外にも「何か」を失ってしまい、その何かを取り戻そうとする
「パン屋再襲撃」。
「象の消滅」は、消えるはずのないものが、消失不可能な場所から
消滅したのに、自分の人生には何ら関わりがないことに
気付いてしまう主人公の話。
妹の結婚という変化にうまくなじめない兄と
そんな兄に苛立ちを覚えつつもやはり自分の変化に恐れを
感じている妹を描く「ファミリー・アフェア」。
「消失」も結局は「変化」の一部で、それが起こる前は
ちょっとした怖さを感じてしまうけれど、結局のところ、変化が
人間に与える影響は微々たるもので、影響が小さい、というよりは、
変化に左右させられるほどひとりの人間の人生は
たいしたものではないんじゃないか、と思わせられる。
ただ、その一方で、そうは言ってもやはり「変化」も「失うこと」も
すごくすごく怖いし、その怖さは「本質的なもの」で、
口で説明できるようなもの、割り切れるものではないんだ、とも感じた。