のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

変わらず恩師

2009年06月21日 23時34分27秒 | 日常生活
急な思いつきで高校時代の恩師をお誘いして飲みました。
あまりに急なお誘いだったために、
「どうした?!何かあったのか?!」
と心配してくださった恩師。

心配かけてゴメンナサイ。
特に何がある、というわけではないのです。
ただ、なんとなく。なんとなく。
会って元気をもらいたかったのです。

とはいうものの、ワタクシの突然の思いつきで
先生をひとりじめするわけにはいきません。
大急ぎでかつての同級生たちに声をかけましたが、
突然だったため、いつもより人数は少なめ。
でも、その分、いつもよりしっとりじっくりと
語り合うことができたような。
元気もたくさんもらいました。

印象に残った先生の言葉。
・子育ては両親の責任だけではない。社会全体が影響する。
・今は「損する・得する」とか「時間か・お金か」といった
 二元的なモノの考え方が私たちを支配している傾向にある。
・いかにこの考え方から脱することができるか、が
 私たちの未来に大きく影響してくる。
・「目に見えない」から存在しないのではない、ということを
 子供たちに教えていく必要がある。
 「目に見えない」ものもこの世の中にはたくさんあるのだ
 ということをしっかりと伝えていきたい。

話をしながら
「社会ぜんたい幸福にならないうちは、ひとりの幸福はありえない」
という賢治の言葉や
「見えないものもあるんだよ。見えなくてもあるんだよ。」
というみすずの語りかけが思い出されました。

高校を卒業して13年。
恩師は私にとって、今も「先生」です。
多くの気付きと元気と勇気を与えてくれる大切な「先生」です。

3月の読書(後半)

2009年06月21日 23時33分33秒 | 読書歴
久々の読書感想文。
3月以来、読書感想文もすっかりとまっていましたが
読んだ本のメモはしっかりとっています。
なんせ記憶力がないもので。
というわけで、いつかの自分のためのメモ。

24.愛子の日めくり総まくり/佐藤愛子
   ☆☆☆
   大好きな佐藤愛子先生の辛口ユーモアエッセイ。
   1年間新聞に連載されていた日めくり形式のミニミニエッセイ。
   思わずくすりと笑ってしまう愛子節は健在です。
   ただ「毎日書く」ことは、それだけで大変なんだろうなぁと
   実感できます。他のエッセイよりもひとつひとつの記事の
   当たり外れは大きい気がします。

25.ゴールデン・スランバー/伊坂幸太郎
   ☆☆☆☆☆
   仙台での凱旋パレード中に起こったテロ事件。新首相は
   死亡し、元宅配ドライバーの青柳は、旧友に「大きな謀略に
   巻き込まれているから逃げろ」と促される。首相暗殺犯の
   濡れ衣を着せられようとする主人公。果たして、巨大な陰謀から、
   無事に逃げおおせられるのか?!
   という実にハラハラする作品です。ハラハラしながら読み進め
   ラスト近くで大きな感動を味わいました。友達っていいな。
   仲間っていいな。信じるっていいな。としみじみ思います。
   同時に個人の力の無力さもしみじみと実感できる小説。
   読後の爽快感は、ぜひ多くの人に味わってほしい。

26.一瞬でいい/唯川恵
   ☆☆☆
   1973年11月、浅間山での出来事が18歳の二人の少女と
   一人の少年の運命を変えた。事故の重みを胸に秘め、大人へと
   成長してゆく三人ほ18歳から49歳までの人生の軌跡を描いた
   31年間のラブ・ストーリー。
   女性好みの小説のようなきがします。
   波乱万丈なオトコとオンナとオンナの31年間。
   恋愛というものは、片思いも厄介だけれど
   両思いも同じぐらい厄介だなぁ、と思いました。

27.先生と僕/坂木司
   ☆☆☆
   ミステリ大好きな中学生と大学生のアルバイトが日常の小さな
   謎に挑む連作短編集。
   作中、ミステリ入門者の大学生のために、ミステリ大好きな
   中学生が入門編のミステリたちを紹介します。それらの
   本のタイトルがどれもこれも懐かしくて、少ししんみりしました。
   初めてミステリに足を踏み入れた小学生の頃。タイトルを見ている
   だけで、あの頃のワクワクが蘇りました。

28.切れない糸/坂木司
   ☆☆☆*
   父親の死を契機に、家業のクリーニング屋で働き始めた主人公。
   「たかがクリーニング」と思っていたけれど、奥が深い
   クリーニング業。お客様とのふれあいの仲から「働くこと」の
   難しさと爽快感、喜びを味わい始める主人公。
   読んでいるだけで、背筋が正されます。

29.ヴァン・ショーをあなたに/近藤史恵
   タルト・タタンの幸福  /近藤史恵
   ☆☆☆
   下町のフレンチレストラン、ビストロ・パ・マルのスタッフは四人。
   シェフの三舟さんと志村さん、ソムリエの金子さん、そして
   ギャルソンの「僕」。気取らない料理で客の舌と心をつかむ
   変わり者のシェフは、客たちの持ち込む不可解な謎をあざやかに
   解く名探偵でもあった。
   連絡短編集で一編につき、一皿の料理とひとつの謎が提供されます。
   ぶっきらぼうな名探偵、三舟シェフがいい味を出しています。
   軽く読み進められるので、疲れているときにお勧めのお話。
   うっかりヴァン・ショーから読んでしまいましたが、
   タルト・タタンのほうがシリーズ1作目です。

31.お茶席の冒険/有吉玉青
   ☆*
   実は借りるときに、有吉玉青さん(有吉佐和子さんの娘さん)と
   青木玉さん(幸田文さんの娘さん)をすっかり混在して借りて
   おりました。読みながら、「文章のトーンがいつもと随分、
   異なるなぁ。なんかいつものほうが好きだなぁ。」と首を
   ひねっておりましたが、全くの別人とは。
   文章には人柄、個性が色濃く出ることを改めて実感しました。
   有吉さんは非常に気さくな文章を書かれる方です。
   ただ、気さくな文章をもってしても、やはり「お茶席」に対する
   敷居の高さを打ち消すことはなかなか難しいようです。

32.秋の花/北村薫
   ☆☆☆☆☆*
   文化祭準備中の事故でひとりの女子高生が命を落とし、彼女の
   幼馴染は心をなくしてしまう。ふたりの先輩である「私」は、
   憔悴する後輩の姿を見て、事件の核心に迫ろうとする。
   円紫師匠シリーズ第3弾。そして、シリーズ初の長編です。
   読むたびに涙腺を刺激される一冊。帯に書かれていた
   「私たちってそんなにももろいものでしょうか。」と
   作中で円紫さんが「私」に向かって言う
   「許すことはできなくても、救うことはできます。」
   という言葉が読み手の私の心を貫きます。やりきれない思いに
   かられるお話。それでも「希望」を失わずに生きていきたい。
   そういうふうに思わせてくれる物語。

33.名前探しの放課後(上)(下)/辻村深月
   ☆☆☆☆☆☆
   「思い出してください、青春の切なさを」
   不可思議なタイムスリップで三ヵ月先から戻された依田いつか。
   彼は、これから起こる「誰か」の自殺を止めるため、同級生の
   坂崎あすならと「放課後の名前探し」をはじめる。
   おそらく好き嫌いがはっきりと別れる物語です。
   ミステリとしては、途中で話の展開が見えてしまうため、
   あまり驚きがありません。辻村さんの作品をこの本から
   読み始めた方にとっては、面白くもなんともない作品だと思います。
   ただ、他の作品を読んだことがある方
   (特に「ぼくのメジャースプーン」「凍りのくじら」を
    読んだことがある方!)は読み終えた後に必ず感動するはず。
   私は幸せ過ぎて、幸せすぎて泣き出しそうでした。
   辻村さんの作品に対する思い入れや作品ひとつひとつの登場人物に
   対する優しさが伝わってくる作品。

35.挑戦する勇気/羽生善治
   ☆☆☆☆
   羽生さんのすごさを改めて感じさせてくれる作品。おそらく
   エッセイではなく羽生さんの語りを文章にしたものではないかと。
   彼の凛とした生き方、飽くなき好奇心、将棋に対する愛情が
   非常に心地よいです。一芸を極めている人、極めようとしている人は
   言葉に説得力があるため、非常に気持ちがいいです。

36.こうふく みどりの
   こうふく あかの   /西加奈子
   ☆☆☆*
   「こうふく」シリーズ2部作。ふたつの作品の関わりは
   ごくごくわずか。けれども確かにつながっていて、同じテーマで
   描かれている作品だということが伝わってきます。
   どちらの作品も、視点が主人公に偏っておらず、色々なところに
   ちりばめられていた伏線が最後にすっきりとつながる手法。
   「そういうことだったのか!」という驚きと
   判明した人と人とのつながりに「あたたかさ」を感じます。
   アントニオ猪木に特別な思い入れはまったくありませんでしたが
   彼の言葉や生き様が多くの人に勇気を与えていることを
   実感できました。