38.ディスコ水曜日探偵(上)(下)/舞城王太郎
☆☆☆☆
迷子捜し専門のアメリカ人探偵ディスコ・ウェンズデイの
目の前で6歳の梢に17歳の梢が侵入。真相の探究は全てを
破滅へと誘う。謎の渦巻く円い館と名探偵の連続死。
魂を奪われた少女たちと梢を苛む闇の男。
「新潮」掲載に1050枚!の書き下ろしを加えた渾身の長篇小説。
というわけで、この2冊を読み終えるのに、まるまる1ヶ月ほど
かかりました。軽々しくお勧めできる本ではありません。
読み終えたものの、筋をすべてを理解している自信もありません。
それでも、クライマックスでは感動。作品世界が追求する
大きな愛を確かに感じました。舞城さんは「人間が持つ悪意」を
否定しません、けれども、その悪意を捨てられない人間が持つ
「可能性」や「希望」や「善意」を強く信じているのだと
思うのです。
「俺は知っている。
子供の抱く未来への希望は、そのまま親の願いでもあるのだ。」
「でも人間てのは権利権利じゃない。大事なのは義務なのだ。
護るべきは自分に与えられた確かな使命感なのだ。」
「人間の希望があの前世界を創造したことを踏まえて考えるに
もしすべての創造の源が希望、より良い世界が欲しいという
気持ちならば、悪がどんなに生まれようとも
歴史の繰り返しがいくら物事を悪くしようとも
世界は必ず良く生まれ変わるし、その生まれ変わりの
繰り返し自体の磨耗する真実は乗り越えていけるはずだ。」
40.ちいろば先生物語(上)(下)/三浦綾子
☆☆☆
京都世光教会を創立し、今治教会を経て、アシュラム運動の
発展に尽くした榎本保郎の52年を描いた伝記物語。
「信仰に生きる」ことの難しさ、厳しさを思い知らされました。
そして、同時に「信仰に生きる」ことの清清しさ、美しさ、
喜びも教えてもらえました。最近、「祈る」ことを疎かに
していた自分の姿を反省させられた作品。
42.石の森/三浦綾子
☆☆☆
重く冷たい家庭で秘密を抱いている父母の姿から、
「人は決して本当のところを分かり合えない」と思う19歳の
ヒロインが真実の愛について模索する姿を描く。
やや説教くさく、時代を感じさせられる作品ですが
奥付を見ると、昭和54年発行でした。そりゃ、時代を
感じさせられるのも仕方がないはずだ。それにしても、
この真面目で「人間の原罪」や「生きる」ことについて
真っ向から取り上げている作品は昭和50年から51年にかけて
雑誌「セブンティーン」に連載されていたものだそうです。
この作品が「セブンティーン」に連載できたところに
時代を感じます。時代の移り変わりを、そして、私たちが
現在進行形で何かを失っていることを感じさせてくれました。
43.レイン・レイン・ボウ/加納朋子
☆☆☆*
高校ソフトボール部仲間の通夜で再会した7人の女性たちは
25歳を迎え、それぞれが悩みやトラブルを抱えていた。
過酷な仕事に疲れた看護師、厄介な職場で奮闘する栄養士、
過去のあやまちを引きずる主婦。彼女たちは、傷つき、
迷いながら自分だけの答えを見つけていく。
いわゆるライトミステリ。「日常の謎」カテゴリとして
気軽に読める作品です。そして、読み終えた後に爽やかな気持ちを
味わえる作品です。
個人的には、今回の再読でこの作品が「月曜日の水玉模様」の
姉妹作だと気付けて大収穫でした。読んでいる作品の中に
他の作品の登場人物を見つけると、なんでこんなに嬉しいんだろう。
44.ロードムービー/辻村深月
☆☆☆☆
「冷たい校舎に雪が降る」の姉妹作。この作品を読んでいたほうが
楽しめる仕掛けがたくさんあります。「冷たい校舎」で
気になっていたいくつかのカップルのその後がしっかりと
描かれていて幸せな気持ちになりました。
辻村さんは本当に自分の描く作品の登場人物が愛しくて
愛しくてたまらない人なんだろうな。
☆☆☆☆
迷子捜し専門のアメリカ人探偵ディスコ・ウェンズデイの
目の前で6歳の梢に17歳の梢が侵入。真相の探究は全てを
破滅へと誘う。謎の渦巻く円い館と名探偵の連続死。
魂を奪われた少女たちと梢を苛む闇の男。
「新潮」掲載に1050枚!の書き下ろしを加えた渾身の長篇小説。
というわけで、この2冊を読み終えるのに、まるまる1ヶ月ほど
かかりました。軽々しくお勧めできる本ではありません。
読み終えたものの、筋をすべてを理解している自信もありません。
それでも、クライマックスでは感動。作品世界が追求する
大きな愛を確かに感じました。舞城さんは「人間が持つ悪意」を
否定しません、けれども、その悪意を捨てられない人間が持つ
「可能性」や「希望」や「善意」を強く信じているのだと
思うのです。
「俺は知っている。
子供の抱く未来への希望は、そのまま親の願いでもあるのだ。」
「でも人間てのは権利権利じゃない。大事なのは義務なのだ。
護るべきは自分に与えられた確かな使命感なのだ。」
「人間の希望があの前世界を創造したことを踏まえて考えるに
もしすべての創造の源が希望、より良い世界が欲しいという
気持ちならば、悪がどんなに生まれようとも
歴史の繰り返しがいくら物事を悪くしようとも
世界は必ず良く生まれ変わるし、その生まれ変わりの
繰り返し自体の磨耗する真実は乗り越えていけるはずだ。」
40.ちいろば先生物語(上)(下)/三浦綾子
☆☆☆
京都世光教会を創立し、今治教会を経て、アシュラム運動の
発展に尽くした榎本保郎の52年を描いた伝記物語。
「信仰に生きる」ことの難しさ、厳しさを思い知らされました。
そして、同時に「信仰に生きる」ことの清清しさ、美しさ、
喜びも教えてもらえました。最近、「祈る」ことを疎かに
していた自分の姿を反省させられた作品。
42.石の森/三浦綾子
☆☆☆
重く冷たい家庭で秘密を抱いている父母の姿から、
「人は決して本当のところを分かり合えない」と思う19歳の
ヒロインが真実の愛について模索する姿を描く。
やや説教くさく、時代を感じさせられる作品ですが
奥付を見ると、昭和54年発行でした。そりゃ、時代を
感じさせられるのも仕方がないはずだ。それにしても、
この真面目で「人間の原罪」や「生きる」ことについて
真っ向から取り上げている作品は昭和50年から51年にかけて
雑誌「セブンティーン」に連載されていたものだそうです。
この作品が「セブンティーン」に連載できたところに
時代を感じます。時代の移り変わりを、そして、私たちが
現在進行形で何かを失っていることを感じさせてくれました。
43.レイン・レイン・ボウ/加納朋子
☆☆☆*
高校ソフトボール部仲間の通夜で再会した7人の女性たちは
25歳を迎え、それぞれが悩みやトラブルを抱えていた。
過酷な仕事に疲れた看護師、厄介な職場で奮闘する栄養士、
過去のあやまちを引きずる主婦。彼女たちは、傷つき、
迷いながら自分だけの答えを見つけていく。
いわゆるライトミステリ。「日常の謎」カテゴリとして
気軽に読める作品です。そして、読み終えた後に爽やかな気持ちを
味わえる作品です。
個人的には、今回の再読でこの作品が「月曜日の水玉模様」の
姉妹作だと気付けて大収穫でした。読んでいる作品の中に
他の作品の登場人物を見つけると、なんでこんなに嬉しいんだろう。
44.ロードムービー/辻村深月
☆☆☆☆
「冷たい校舎に雪が降る」の姉妹作。この作品を読んでいたほうが
楽しめる仕掛けがたくさんあります。「冷たい校舎」で
気になっていたいくつかのカップルのその後がしっかりと
描かれていて幸せな気持ちになりました。
辻村さんは本当に自分の描く作品の登場人物が愛しくて
愛しくてたまらない人なんだろうな。