のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

ジャケ借り

2011年02月04日 01時17分29秒 | 日常生活
言葉の使い方がものすごく素敵で大好きな谷川さんですが、随筆を手に取ったのは初めて。
完全なるジャケ借りの一冊です。

この装丁に一目惚れ。
タイトルのフォント、サイズ、イラストの質感、色味、どれもがツボど真ん中。

随筆自体もそこから滲み出る人柄もやはり素敵でした。
言葉を味わいながらゆっくりゆっくり読み進めています。
これはできれば手元に欲しいなあ、と思った一冊。
備忘録として留めておきます。
この表紙、ポストカードにして部屋に飾りたいぐらい、
待ち受けにしたいぐらい好きだなー。


「憎めない悪人というのがいる、反対にどうにも好きになれない正義の人というのもいる。
 私たちは少なくとも建前の上では、善悪正不正を判断の基準としがちだけれども、
 心というこのわけの分からないものは、ひとつやふたつの基準ではかれるものではないということもまた、
 私たちは誰に教わらずとも知っているらしい。」

「際限もなく名付けることで人間は自然に、そして宇宙に秩序を発見し、
 ひいてはそれを支配しようとしてきたのですが、
 一方で名付けられぬもの、言語化できぬものに対する畏れも、
 常に私たちの心の底に隠れています。」

最も共感した文章。
「例えば一篇の小説を読むとき、私たちはその筋を追い、描写を楽しむ。
 だが同時に私たちは意識するしないにかかわらず
 その文体をも読み取っていて、それは筋や描写よりもずっと
 いわく言い難いものである。(中略)
 文体はひとつの形かもしれないが、それは目に見えにくい。
 だがそこに作家の生きる形が隠れている。(略)
 目に見えなくても私たちはそれを心で感じる。
 そこにその人の「生きる流儀」を見出す。」