幸い、自宅は海まで自転車で五分。
社内の同好の士と一緒に、夜な夜な出撃する。
たいてい、惨憺たる結果に終わるのだが、時々僥倖に出会う。
写真は、自慢の釣果である。一枚しかないのが淋しい。
ただ、私の釣りは、基本的にマジモードではない。行くだけで嬉しい。
仕掛けを工夫したり、ポイントを探したりする熱意は皆無。
だらだらニヤニヤ時を過ごし、ダチとまったく無意味な会話を楽しんでいる。
あれだけ車を乗り換えながら、まったくカーマニアではない点と似通う話だ。
カタログ上のスペックには詳しいが、実際はチェーンも装着できない私。
要するに、雰囲気で満足する人なのである。
しかし、齢を重ねると、面白いこともしばしばある。
先日、笑ったのは、タチウオ釣りでの一件。
ウキが沈み、食わせるだけ食わせて、「うりゃあ」と合わせた。
釣り上げられ、陸で跳ねるタチウオ君。
闇夜に銀色のボディーが怪しく光り、私はご満悦だった。
と、そこへ、稲妻のように躍りかかる黒い影。
「フンギャー」と唸り、私の獲物を引っ張る引っ張る。
そう、猫である。
サザエさんである。「お魚くわえた野良猫、追っかけてえ…」である。
一緒にいたダチは腹を抱えて大笑い。
私も爆笑しながら、野良猫とファイト。そして、一敗地にまみれた。
タチウオは猫と共に消えていった。
だから、釣りはやめられない。