『英国の「テムズ・バリア」温暖化の海面上昇と高潮(逆流)に備え!』
『海面が仮に毎年 8mm上昇したとしても2030 年までは高潮に耐えられる設計』
テムズ川の河床勾配;0.03%(長さ346㎞、水源の標高110ⅿ)はかなり緩いが、潮汐差はテムズ川河口のデータはありませんが、ドーバー海峡の潮汐幅は大きく、小潮時は3-4ⅿ、大潮時は6-7ⅿと言われますので、テムズ川河口の潮汐差もほぼ同様又は、少し小さいと思われます。 この防潮堤は、高潮(逆流)・津波を、がっちりブロックするのではなく『テムズ・バリア』は越流堤又は越流ダムとして機能する。 日本の防潮堤や防波堤は、波の来る側が凹型にへ込んでおり、越流し難くなっているので、高潮や津波の圧力をもろに受けるように見えます。 『テムズ・バリア』は機械室タワーまでが越流し易い形状をしている。 何事も『処変われば品変わる』ようです。
Thames Barrier – Wikipediaより引用
デザインと建設
回転ゲートの構想は チャールズ・ドレイパー により考案された。 1950 年代に、ロンドンで 動作するモデルを建造した。 斬新な回転するシリンダーは家庭の小さな器具に基づくもので、バリアは、 油圧研究所でテストされた。 設置場所として ニュー・チャールトンの場所が選ばれたのは、 堤防が比較的まっすぐで、川の下にある石灰層が十分に強固でバリアを支えることができたからである。 工事は 1974 年に開始し、1982 年にはほぼ完成した。 バリアのゲートは ティーズ川にあるデンツ波止場のクリーブランド橋梁会社により製造された。
バリアに付け加え、 下流の 11 マイルの氾濫防御 (の堤防など) が高くされ、強化された。 バリアの公的な開通式は 1984 年の 5 月 8 日にエリザベス女王 2 世が挙行した。 全建設費はおよそ £5.34 億 (2001 年の価格では £13 億) で、 川の防御のために追加の £1 億が必要であった。
イギリスでは、2012 年から適応プログラムを始動し、洪水リスク管理、水資源、淡水生態系などを優先分野として適応策に取り組んでいます。 テムズ川河口の施設改良では、海面水位よりも低い土地を守るため、延長18㎞にも及ぶテムズ防潮堤を設置しました。 年10回程度の高潮に際しても、ゲートを閉じて浸水被害を防いでいます。 テムズ川流域にある水門「テムズ・バリア」は、海面が仮に毎年 8mmずつ上昇したとしても、2030 年までは高潮に耐えられる設計になっています。
以前に、日本でも『100ⅿ堤防(越水型堤防)』を『事業仕分け(行政刷新会議)』で取り上げられた記憶があるが、定量的な質問(堤防決壊減少の確率と、その投資対効果など)にと絶句している行政側に、驚きました記憶がありました。 この『事業仕分け(行政刷新会議)』を当時、『政治の文化大革命』と発言した方がいたようですが!
テムズ・バリアはロンドン中央部の下流にある。 1982 年以来操業され、 (バリアの) 目的としたことは例外的な高潮や、 北海から押し上げる嵐の高潮が氾濫することを防止するためであった。 但し、氾濫原のうち大ロンドンの最も東の特別区は除外された。 必要とあれば、(バリアは) 高潮の時に閉鎖され (持ち上がられ)、 潮が低くなれば、開放されて海への流れが回復する。 これはドッグズ島の東、およそ 3 km の地点に建設され、 北の堤防はロンドン特別区ニューハム のシルバータウンに属し、 南の堤防はグリニッジ王立区のニュー・チャールトン地域に属している。 テムズ川の河口の一部とロンドンの一部に影響を与えた 1953 年の北海氾濫に関しての、 サー・ハーマン・ボンダイ の報告書がバリア建設の助けになった。
今の日本、では多方面に、山積みの課題・懸案を将来に『負の遺産』を先送りしていますが、この『テムズ・バリア』のような見応えと、夢のある遺産にしてもらいたいものです。
(記事投稿日:2020/06/22、最終更新日:2022/07/19、#186)