礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

日本六十六か国とその唐名・その2(付・石原都知事の過激な発言)

2012-07-08 05:44:55 | 日記

◎日本六十六か国とその唐名・その2

 昨日の後半である。ロドリゲス『日本語小文典』(池上岑夫訳)より。

サンインドー(山陰道) 八か国
タンバ(丹波)      タンシュー(丹州)
タンゴ(丹後)      タンシュー(丹州)
タヂマ(但馬)      タンシュー(丹州)
イナバ(因幡)      インシュー(因州)
ホーキ(伯耆)      ハクシュー(伯州)
イズモ(出雲)      ウンシュー(雲州)
オキ(隠岐)       オンシュー(穏州)
センヨードー(山陽道) 八か国
ハリマ(播磨)      バンシュー(播州)
ミマサカ(美作)     サクシュー(作州)
ビゼン(備前)      ビシュー(備州)
ビッチュー(備中)    ビシュー(備州)
ビンゴ(備後)      ビシュー(備州)
アキ(安芸)       ゲイシュー(芸州)
スオー(周防)      シューシュー(周州)
ナガト(長門)      チョーシュー(長州)
ナンカイドー(南海道) 六か国
キイ(紀伊)       キシュー(紀州)
アワヂ(淡路)      タンシュー(淡州)
アワ(阿波)       アシュー(阿州)
サヌキ(讃岐)      サンシュー(讃州)
イヨ(伊予)       ヨシュー(予州)
トサ(土佐)       トシュー(土州)
サイカイドー(西海道) 九か国
チクゼン(筑前)     チクシュー(筑州)
チクゴ(筑後)      チクシュー(筑州)
ブゼン(豊前)      ホーシュー(豊州)
ブンゴ(豊後)      ホーシュー(豊州)
ヒゼン(肥前)      ヒシュー(肥州)
ヒゴ(肥後)       ヒシュー(肥州)
ヒューガ(日向)     ニッシュー(日州)
オースミ(大隅)     グーシュー(隅州)
サツマ(薩摩)      サッシュー(薩州)
ニトー(二島) 二か国
イキ(壱岐)       イシュー(壱州)
ツシマ(対馬)      タイシュー(対州)

 西海道九か国までで六十六か国となり、壱岐・対馬を加えると六十八か国となるが、一般に、「六十六か国」と呼ばれてきたようである。ロドリゲスは、この六十六か国は、中国の「六十六か府」に由来すると解説している。
 タヂマ(但馬)のラテン字表記はTagimaである。アワヂ(淡路)は、Auagiである。
 イズモ(出雲)のラテン字表記はYdzumoで、これはイヅモとすべきところかもしれない。なお、この「六十六か国」の一覧では、zu(ズ)という表記は、一度も使われていない。ズ、ヅ、いずれもdzuで表記している。
 センヨードー(山陽道)のラテン字表記はXenyodoである(長音記号は省略、以下同じ)。当時は、そう発音していたのか。
スオー(周防)のラテン字表記はSuuoである。昨日のコラムでは、シュンシュー(駿州)について、「Xunxuでスンシューと読ませようとした可能性も否定できないように思う」と書いたが、ロドリゲスがSu(ス)とXun(シュン)を書き分けているところを見ると、やはりその可能性は低いか。なお、この「六十六か国」の一覧では、Xu(シュ)という表記は、一度も使われていない。
 ヒューガ(日向)のラテン字表記はFiugaである。
 さて、昨日と同じ感想になるが、旧国名の唐名(からな)は、今でもよく使われているものと、今ではほとんど使われないものがあって、その差が激しい。この差が何ゆえに生じたのかというのは、分析・考察の対象になるのではないだろうか。
 ロドリゲスの『日本語小文典』(池上岑夫訳)については、近いうちにまた紹介させていただく予定である。

今日の名言 2012・7・8

◎あんなものは、尖閣って名前つけて返してやりゃーいいんだ

 東京都の石原慎太郎知事の言葉。昨日のテレビニュースより。今月5日に、上野動物園で、パンダの赤ちゃんが生まれたことに対するコメント。この過激な発言が何の問題にもならないということは、彼の政治家としての発信力がすでに落ちているということか。あるいは、ただ呆れられているということか。

コメント
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