◎坂上信夫『土地争奪史論』の自序
坂上信夫の『土地争奪史論』は、一九二二年(大正一一)、大同館書店刊。この本の巻頭には、三浦周行の「序」、本庄栄治郎の「序」、そして著者による「自序」が置かれている。
本日は、このうち、「自序」を紹介してみよう。世にも珍しい「詩」の形をとった自序である。
自序
土の歴史である。
土の上の争奪の歴史である。
過去といふ名に葬らるゝ生存の過程は、
果して我等が生活の残滓に過ぎないだらうか。
空しい脱殻に命はない。
しかし、其処にも亦われらの姿は残るであらう。
私は土の上に残されたその脱殻を拾つて見る。
それが決して徒爾ではないことを信ずるから。
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