◎雄山閣文庫『古事記』(1936)の「凡例」
本年五月二八日のコラムで、雄山閣文庫の『古事記』(一九三六年一〇月)について言及した。雄山閣文庫版の『古事記』が出たのは、岩波文庫版の『古事記』(一九二七年三月初版)に遅れること九年弱。しかし、岩波文庫『古事記』改訂版(一九三七年三月第一刷)よりは、五か月早かった。
雄山閣文庫版の『古事記』は、「原文旁訓」を特徴としている。これは、岩波文庫版の『古事記』が、「訓読」の方式を採用したのに対し、差別化を図ったものであろう。
雄山閣文庫版の『古事記』には、「解題」がない。そのかわりに、巻頭に「凡例」がついている。本日は、その「凡例」を紹介してみよう。
凡 例
一、本書は古訓古事記を原拠とし、真福寺本を始め各古刊本にては、国史大系本・次田潤氏著古事記新講等の異説を参照し改訂を加へたり。
一、校訂の箇所は、本文庫の主旨に基き、極めて妥当と認めたるものに限りたり、且つ繁を避け出典は一々の明示せず。
一、〔 〕を施したる語句は、本居宣長の加補による。
一、□を附したる文字は、衍字〈エンジ〉〔不必要な文字〕と思はるゝものなり。
一、本書の校訂は主として文学士石村吉甫〈イシムラ・ヨシホ〉氏之にあたる。
*このブログの人気記事 2014・7・13
2 岩波文庫教科書版『古事記』改訂版(1937年3月)...
5 狂言の発声法について(六代目野村万蔵「万蔵芸談」よ...
6 1946年元旦の詔書に対する詔勅講究所長・森清人の...
10 伝説のレスラー、ズビスコによる「史上最大級の騙し討...