◎岩波文庫版『古事記』の解題について
先日、一九二七年(昭和二)一一月発行の、幸田成友〈コウダ・シゲトモ〉校訂の岩波文庫『古事記』再版を入手した。幸田成友校訂の岩波文庫は、一九三七年(昭和一二)三月に、改訂がなされており、それ以前の版は、意外に入手しにくい。これが、安価で入手できたことを喜んだ。
改訂前の岩波文庫『古事記』に、何か意義があるのかというと、それがあるのである。民俗学者の中山太郎は、著作・論文で『古事記』を引くとき、改訂前の『古事記』を用いている。したがって、中山太郎の著作・論文を読む際には、改訂前の『古事記』を座右に置いておくべきなのである。
ところで、国会図書館のデジタルコレクションで、幸田成友校訂の岩波文庫『古事記』初版(一九二七年七月)を閲覧すると、再版と大きな違いがある。再版には、幸田成友による「解題」(末尾に「昭和二年九月」とある)が付いているが、初版には、それがない。
なお、国会図書館のデータによって、幸田成友校訂の岩波文庫『古事記』には、次のように、少なくとも、六つのバリエーションがあることを確認した。
1 岩波文庫『古事記』初版、一九二七年七月発行、「解題」なし。★
2 岩波文庫『古事記』再版、一九二七年一一月発行、「解題」あり。★
3 岩波文庫・教科書版『古事記』、一九三二年四月発行、「解題」あり。★
4 岩波文庫『古事記』改訂版、一九三七年(昭和一二)三月発行、「解題」あり。★
5 岩波文庫・教科書版『古事記』改訂版、一九三七年三月発行、「解題」あり。★
6 岩波文庫『古事記』改版、一九四三年三月発行、「解題」あり。★★
4・5・6の「解題」は、末尾に、「昭和十二年春」とあり、2・3の「解題」と若干の異同がある。【この話、続く】
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