昨日は一日爽やかな五月晴れでした。
畑仕事をしていると頭上の木から「ホーホケキョ」と、
美しい音色で大きな鳴き声が聞こえてきました。
普段でも林の中から鳴く声は家にいても聞こえるが、
鶯の姿は中々お目にかかれません。
しかし今回は10m近い木の上にいるでないか。
コンデジを向けても逃げません。

何と綺麗な音色だろうとふと頭に浮かんだのが、
昨日紹介した「入鹿史」に書かれていた「うすが鳥」です。
この伝記は入鹿池が築造された後、
前原新田へ移転した虫鹿神社の宮司であった小島傳蔵が、
入鹿池のほとりでとても美し音色で鳴く鶯を京に献上したと言う話です。
天皇はこれぞ日本一の鶯じゃと大そう喜ばれ、
うぐいすの羽風になびくうすが鳥
うの花月のかげのとぼそに
と和歌を詠まれたとある。
以来鶯の呼称を「うすが鳥」とされたとか。
公卿は美しい音色を発する鶯の住む入鹿池を訪ねて、
山高し谷は入江の海に似て
さざめきわたる峯の松風
と詠んだととある。
この功績によって小島は京都吉田郷の「吉」と、
前原の「原」を合わせた「吉原」姓の頂いたともあります。
そういえば虫鹿神社の近くに「吉原」姓が今も何軒かありますね。

400年前も同じ美しい音色で聞こえたであろう「うすが鳥」の独演会は、
30分ほど双方が堪能するまで続き森へ帰って行きました。
< 松風の海似たる池にうすが鳥 >