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 第二次世界大戦死者数に今を想う   文科系

2013年10月10日 12時04分29秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など
 コメントを書く勉強もあって、第二次世界大戦の死者数を調べてみた。大変なものである。総力戦というものがどれほどの悲劇か、よく分かったつもりだ。初めに言っておくが、ヒトッラーにしても東條にしても、これほどの一大悲劇を最初から予期していたなどとは到底思えないのである。以下【】は、僕のコメントの一部だ。
【 日本史学では(吉田裕氏の前掲書による)、アジア太平洋戦争死者は、こうなる。合計は約2,210万人。内訳は、以下。日本人310万人と、日本人以外が1,900万人。これは多分、厚生省、日本政府も認めるところだろう。秦郁彦氏の説だが、日本人だけで370万人という説もある。
・日本人軍人軍属が230万人。うち広義の餓死者が140万人、主として南洋に取り残された人々である。海没398,500~429,400人。特攻4,000人というのもあるが、これはよく知られた航空特攻の他に、モーターボートによる水上特攻、回天など水中特攻もある。
・日本人外地死者30万人、空襲死者50万人。ただしこれは、外地とされた沖縄と、空襲・原爆死者が少なすぎるようだ。例えば、川崎、那覇市に空襲があったのに、死者0人となっているとのこと。この項の数字は厚生省のものでもある。
・アメリカ軍92,000~10万人。ソ連軍22,694人、英国軍29,968人、オランダ軍27,600人。アジア各国では、政府発表で以下。以上の数字は読売新聞『検証 戦争責任』よりとのこと。中国人1,000万人以上、朝鮮人20万人、フィリピン人111万人、台湾人3万人、マレー・シンガポール人10万人、他にベトナム、インドネシアなど。このアジア数字は、小田部雄次他『キーワード 日本戦争犯罪』からの数字とのこと。】

さて、ヨーロッパではどうだったか。僕が読んだ本によれば、2700万人から3900万人というところだ。
 2700万人とあったのは、フランス人歴史家の書いた「ヒトラー前夜」(新日本新書)。そのうちドイツ占領地ユダヤ人人口の72%が殺されており、その数5,978,000人。ドイツ人自身は550万人。
 もう一方の本ではこうなっている。ポーランドで600万人。ユダヤ人400~600万人。ドイツ人700万人。当時のソ連で1200万人から2000万人。合計2900~3900万人である。(草思社、セバスチャン・ハフナー著「ヒトラーとは何か」)
 ただ、このヨーロッパの数字には、気づいてみたらイタリア、フランスなどの軍民が入っていない。ノルマンディー上陸作戦など米英軍の戦死者も多いはずだ。総数は一体どれほどになるのだろうか。

 さて他方で、コメントのやりとりから、こんなことも書いてきた。
【 (歴史重要人物らの)「計画」とか「狙い」など自身は、人々の心の中のもの。長い歴史の場合は個人ではなく関わった何人もの人の心が関わるもの。それが政府などの文書になるとちょっと「心」を離れて「形」になったと言えるのだろう。が、そういう文書自身も歴史的現実の流れとは違っていることなどまー普通にあることだ。
 誰かの心や、一つの文書だけで歴史的事件の説明や反論などできはしない。人類の歴史的事件説明をそんなふうに反論するというやり方は、実に楽なことだけれど、そんなのは「事実経過を展開する論理」の前には必ず破れていくはずだ。(以下略)】
【 憲法には軍隊、戦力を持たないと書いてある。これは、「国家大方針の文書」。が、今は世界3位の軍隊を持っている。これは「現実」である。自衛隊と言おうと何と言おう戦力として「事実」である。ただ後世の無知な人がこれを観たらこう言うかも知れない。「(陸海空軍などの戦力を保持しないという)文書が事実だろう」と。これは、馬鹿だね。
 ところで今はさて、内閣が九条を「替えようとしている」段階だ。つまり上の言葉で言えば、内閣(の主要人物たち)が「狙っている」。そして、憲法が出来たときや左翼が強かったときと違って、また既成「事実」が存在するから、今は狙いやすいよね。】

 人類の悲劇って、ヒトラーとか東條とかの最重要人物にとってさえ「気づいてみたらこうなっていた」というようなものなのだろう。彼らから観ても無数の人々との相互作用を成しながら一歩一歩の決断事実を積み重ねて来て気づいたら「ここまで来てしまった」というような。1941年11月5日の御前会議がどれだけ大切なものであったとしても、その会議やそこにおける裕仁の決断で全てが決まってしまったというようなものではあるまい。こういう大事な決断、事件が一つ一つ積み重なって、思いもしなかったような悲劇は起こってしまったのだ。だからこそ歴史は恐いと思う。
 過剰生産をもととした世界大恐慌。大変な失業者・半失業者の群れ。金融だけは不死鳥のように蘇るが庶民には出口が見えぬお先真っ暗な世界経済。「なんとかしてくれ!」との悲鳴は世界に満ちあふれている。アフリカ、南欧などは特に深刻だ。こんな暗い世の敵を作るのにどの国も熱心に見える。これらすべてが、多くの人々が言うようにヒトラー、東條前夜と同じような情勢だと思う。
 あの時同様お先真っ暗なのは、悪循環からの脱出路が難しすぎるからだ。世界金融資本に対して、こういうことが世界一斉に成されねばならない。株主資本主義に抗してより多くの人々にワークシェアをすること。空売りやラバレッジの規制などである。こんな道が難しいからこそ、人々はまたとんでもない救世主を求めるかも知れない。ヒトラーは、最終的に彼を世に出すことを承認した大統領ヒンデンブルグにさえ、「ボヘミヤ(地方)の一兵長」と軽蔑されてきたのだそうである。暴力による「政治」、政治を暴力に替えることに最も通じ、腐心してきた人物だと思う。毛沢東、スターリンらの暴力革命という言葉を連想させもする人物である。粗暴さが共通項だと言えよう。
コメント (2)
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