九条バトル !! (憲法問題のみならず、人間的なテーマならなんでも大歓迎!!)

憲法論議はいよいよ本番に。自由な掲示板です。憲法問題以外でも、人間的な話題なら何でも大歓迎。是非ひと言 !!!

素面で見えて来るウ戦争  文科系

2023年09月29日 00時10分11秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 日本のマスコミは一体、ウクライナ戦争の何を報道しているのだろう。ちょっと長い目で俯瞰すれば、ウクライナ側に何の前進もないこの戦争の一体何を?
 
・そもそも、5月末から叫ばれてきた『「反転」攻勢』という言葉からして奇妙だ。この語の意味は『劣勢を反転させて攻勢に出る』というだけのもの。
・それで4か月過ぎて、どんな「攻勢の戦果」があった? ロシア側の準備万端整えた三重陣地の第一線を1~2箇所突破した? 4か月でたったこれだけという今、こんな事を豪語、報道しているのである。
・「三重陣地を一気に突破して」、「アゾフ海まで」。または「補給路を絶ってクリミア分断・殲滅か」という調子だ。
・以上の間中、「米独などの戦車、長距離砲、『クラスター弾』などなど、続々届く」という報道姿勢、調子である。

 以上にプラスして、ウ政権内のこんな情勢を合わせて考えてみれば、ウクライナにとっての戦況は絶望的という結論しか出てこないように思うのだが。

「国内全州の徴兵官32人を全員解任。理由はすべて汚職」
「6人の防衛副大臣が解職。理由公表は無し」

 上に立つ者がこれでは、どんな戦略戦術が望めて、兵の士気をどれだけ保てるというのか? 「本気で戦っているのは、ゼレンスキーだけ?」。兵器を提供するアメリカ軍部、ミリー統合参謀本部議長の発破によって、万端整えた三重防御陣に突入している兵士らはすでに何十万なくなったのだろうか。という犠牲報道の方は皆無なのである。

 戦端を開いたロシアの国際法違反の大罪は明らかだが、兵器提供国の代わりに若者、壮年がどんどん死んでいくといったこんな戦争は辛すぎる。マスコミは、その辛さをも描くべきであるのに、「反転」「攻勢」「この兵器が有望」などなど、明るい希望ばかりを描いてきたのだった! なんで?


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何度目かの、『 随筆 僕の「死生観・人生観」』  文科系

2023年09月28日 00時32分06秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
 僕は、「あの世」、つまり死後の僕が存在しこれが行くべき世界があるとは考えていない。僕の肉体とともに僕の心も死滅し、死後の魂は存在しないと考えるからだ。ちなみに、肉体を離れてその心が存在すれば、この世以外の心の来し方、行く末が存在することになり、それがこの世ならぬ神(の世界)なのだとなる理屈だろう。と語ると、昔からすかさずこんな反論が返ってくるもの。
「ということは、牛飲馬食だけで、罪や愛は存在しないと?」
 これに対してはこう答えることにしてある。
「飲食は大事だが、例えば、罪や愛はもちろん、真善美なども存在する」
 これを言い換えればこういうことか。人生に予め決まった目的などはないが、これまで生きてきた人々は皆それぞれ何かを求めてきて、そういう人々の生活、歴史の中には、真善美、あるいは偽悪醜と言えるようなものは存在してきたと。その上で自分自身は、前者寄りに生きたいと考えてきた。

 この真善美に関わって、話は変わるが、三つの学問(対象)がある。例えば日本の旧帝大学制などではこれを自然、社会、人文と分けて、三種の科学の名を冠してきた。自然科学は自然とその応用の学問、社会科学は経済、政治など人間社会の学問、人文科学は哲学、歴史学、文学など人間文化を研究対象とする学問というように。そして、善や美は、直接扱う学問がそれぞれ倫理学、美学であるにしても、医師の倫理とか社会的正義つまり公正とか、全ての学問に不可分なものと言えるだろう。

 さて、以上を理論的前提とした僕の死生観だが、上のように生と死を観ているから現生をこう生きてきたし、今後もそうしていく積もりだ。
 活動年齢を延ばし、できるだけ長くしなやかな身体でありたいという目的を含めて生涯スポーツを意識したのは48歳の頃だった。これは今、「八十路ランナーの手記」や100キロサイクリングという形で続いている。この二つの関係は、こういうものだ。若い頃からサイクリングをしていたから、59歳にして容易にランナーになれたと。ちなみに、(長距離)サイクリングは最高の有酸素運動スポーツである。
 楽器をやろうとも若い頃から準備していたのだが、これが2003年からのクラシックギター教室通いになっている。そして定年を意識した55歳頃、文章を仕入れようと考えてある同人誌に加わり、小説、随筆などを学び始めた。これも現在継続しているわけだが、この同人誌執筆活動が2006年以来のこのブログ参加にも役に立つことになっていく。ちなみに、同人誌やブログでは、僕なりにこの日本社会に関わっているつもりだ。また、このグローバル時代には日本だけ観ていても良い政治にはならないと考えてきて、特にアメリカの国連無視悪政を批判してきた。ここ20年の日本政治は、アメリカの経済的・軍事的暴力政策への追随が酷すぎると考えている。
 なお、ギターやスポーツに込めた僕の思い(人生目的と言っても良いような思い)などは、明日から各一回ここに書いて行くつもりでいる。


(2021年11月30日 ブログ初出)


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何度目かの「慰安婦、当時政府の2文書」   文科系

2023年09月27日 01時03分01秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など

 以下も、このブログで定期的に載せている報告、歴史文書の紹介。14年9月22日に当ブログ初出以来、続けて来たことだ。長い安倍政権の下で歴史修正主義が押し出され、過去の悪行を帳消しにしようとの企みが絶えなかったからだ。「第二の戦前」などと一部で言われている昨今、当時を思い出すことは必要になるばかりと考えて・・・。

 『 以下二つは「日本軍の慰安所政策について」(2003年発表)という論文の中に、著者の永井 和(京都大学文学研究科教授)が紹介されていたものです。一つは、1937年12月21日付で在上海日本総領事館警察署から発された「皇軍将兵慰安婦女渡来ニツキ便宜供与方依頼ノ件」。今ひとつは、この文書を受けて1938年3月4日に出された陸軍省副官発で、北支那方面軍及中支派遣軍参謀長宛通牒、陸支密第745号「軍慰安所従業婦等募集ニ関スル件」です。後者には、前に永井氏の説明をそのまま付けておきました。日付や文書名、誰が誰に出したかも、この説明の中に書いてあるからです。

「 皇軍将兵慰安婦女渡来ニツキ便宜供与方依頼ノ件
 本件ニ関シ前線各地ニ於ケル皇軍ノ進展ニ伴ヒ之カ将兵ノ慰安方ニ付関係諸機関ニ於テ考究中処頃日来当館陸軍武官室憲兵隊合議ノ結果施設ノ一端トシテ前線各地ニ軍慰安所(事実上ノ貸座敷)ヲ左記要領ニ依リ設置スルコトトナレリ
        記
領事館
 (イ)営業願出者ニ対スル許否ノ決定
 (ロ)慰安婦女ノ身許及斯業ニ対スル一般契約手続
 (ハ)渡航上ニ関スル便宜供与
 (ニ)営業主並婦女ノ身元其他ニ関シ関係諸官署間ノ照会並回答
 (ホ)着滬ト同時ニ当地ニ滞在セシメサルヲ原則トシテ許否決定ノ上直チニ憲兵隊ニ引継クモトス
憲兵隊
 (イ)領事館ヨリ引継ヲ受ケタル営業主並婦女ノ就業地輸送手続
 (ロ)営業者並稼業婦女ニ対スル保護取締
武官室
 (イ)就業場所及家屋等ノ準備
 (ロ)一般保険並検黴ニ関スル件
 
右要領ニヨリ施設ヲ急キ居ル処既ニ稼業婦女(酌婦)募集ノ為本邦内地並ニ朝鮮方面ニ旅行中ノモノアリ今後モ同様要務ニテ旅行スルモノアル筈ナルカ之等ノモノニ対シテハ当館発給ノ身分証明書中ニ事由ヲ記入シ本人ニ携帯セシメ居ルニ付乗船其他ニ付便宜供与方御取計相成度尚着滬後直ニ就業地ニ赴ク関係上募集者抱主又ハ其ノ代理者等ニハ夫々斯業ニ必要ナル書類(左記雛形)ヲ交付シ予メ書類ノ完備方指示シ置キタルモ整備ヲ缺クモノ多カルヘキヲ予想サルルト共ニ着滬後煩雑ナル手続ヲ繰返スコトナキ様致度ニ付一応携帯書類御査閲ノ上御援助相煩度此段御依頼ス
(中略)
昭和十二年十二月二十一日
         在上海日本総領事館警察署  」


「  本報告では、1996年末に新たに発掘された警察資料を用いて、この「従軍慰安婦論争」で、その解釈が争点のひとつとなった陸軍の一文書、すなわち陸軍省副官発北支那方面軍及中支派遣軍参謀長宛通牒、陸支密第745号「軍慰安所従業婦等募集ニ関スル件」 (1938年3月4日付-以後副官通牒と略す)の意味を再検討する。

まず問題の文書全文を以下に引用する(引用にあたっては、原史料に忠実であることを心がけたが、漢字は通行の字体を用いた)。

支那事変地ニ於ケル慰安所設置ノ為内地ニ於テ之カ従業婦等ヲ募集スルニ当リ、故サラニ軍部諒解等ノ名儀ヲ利用シ為ニ軍ノ威信ヲ傷ツケ且ツ一般民ノ誤解ヲ招ク虞アルモノ或ハ従軍記者、慰問者等ヲ介シテ不統制ニ募集シ社会問題ヲ惹起スル虞アルモノ或ハ募集ニ任スル者ノ人選適切ヲ欠キ為ニ募集ノ方法、誘拐ニ類シ警察当局ニ検挙取調ヲ受クルモノアル等注意ヲ要スルモノ少ナカラサルニ就テハ将来是等ノ募集等ニ当リテハ派遣軍ニ於イテ統制シ之ニ任スル人物ノ選定ヲ周到適切ニシ其実地ニ当リテハ関係地方ノ憲兵及警察当局トノ連携ヲ密ニシ次テ軍ノ威信保持上並ニ社会問題上遺漏ナキ様配慮相成度依命通牒ス 」

 さて、これを皆さんはどう読まれるでしょうか。なお、この文書関係当時の北支関連国内分募集人員については、ある女衒業者の取り調べ資料から16~30歳で3000名とありました。内地ではこうだったという公的資料の一部です。最初に日本各地の警察から、この個々の募集行動(事件)への疑惑が持ち上がって来て、それがこの文書の発端になったという所が、大きな意味を持つように僕は読みました。 』
 
 
 存在した歴史事実をない事にするとか、それが難しいと分かると、こう応える。「当時はどの国でもあったこと。合法だったのだ」。過去に目をつぶるものは、また同じような過ちを繰り返すようになっていくものだ、何度でもそう強調したい。「過ちを繰り返す」というのも、例えば或る有力者がすべてを意図してやったとかいうのではなく、「集団による成り行きでそうなっていった」という人間疎外現象の方が多いものなのだろうが。
 
 
 
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何度目かの随筆  右の人々の戦争哲学  文科系

2023年09月26日 09時55分12秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など
 
『平和を願い、母国を愛する一未成年から反論させていただきたい。・・・以上、反論があれば随時丁重にお返しさせていただく故、フェアに品のある議論を望む』
 これは「平成の侍」と名乗られたお方がこの八月十九日に僕の文章に寄せてきた長文コメントの前後だが、たった一回僕が出した回答に対して、もうお返事が何もなかった。僕の文章内容が彼が考えたこともないようなものだったから再回答のしようがなかったのであろうが、はてこれは「フェアに品のある議論」であったのかどうか、難しいところだ。

 こんなふうに知識も思考力も様々な方々を相手にしたこの十年、実に多領域の勉強をさせられたし、いろいろ考えさせられつつ今日まで来た。慰安婦問題は明治維新以降百年の日朝関係史学習にまで拡がっていったし、南京虐殺や「連合国史観」は「アジア・太平洋戦争史」の復習に繋がった。こちらが学んでいくごとに「これだけ稚拙な知識しかない相手が、どうしてこれだけ自信ありげに頑張れるのだろうか」と気付き始めた。その度に訝り、考え込んで来たのがこのこと。これだけ確信ありげに語るのは、世界も狭いからというだけではなく、自分を納得させ、確信させる信念を何か持っているからだろうが、それって何なんだろうかと。
 これらすべてにおいて、同じ人間という生き物に、どうしてこれだけ見解の相違が生じるのだろうかと、そんな哲学的問題意識をも温めつつ、相手の言い分を観察してきた。
 そこで最近になってようやく気付いたのが、これだ。

 米国は実体経済がIT産業ぐらいしかない。サービス業ばかりで、相対的貧困者と格差が大問題になっている先進国である。サブプライムバブルや九年にも及ぶ紙幣大増刷・官製バブルなどなどマネーゲームで儲けて、日本やBRICS諸国相手の現物貿易収支大赤字をその分カバーしている。がこの国、戦争が流行ればその苦手な現物経済もなかなかの物なのである。兵器産業でいえば世界ダントツの実力があるからだ。貧乏な国、地域には、本来廃棄すべき多量の中古品などの廃棄料が収入に転化する。日本や石油成金国などには第一級の高価な最新兵器などなど。世界のどこかで戦乱が起こるほどにこの商売はいつも大繁盛だ。
 ところで、戦争は無くならないと語る人は当然、こう語る。「国が滅びないように、国土防衛が国として最大の仕事」。こういう人々が世界に増えるほど、貿易大赤字国の米国は助かる。いや、助かるという地点を越えて、今の米国は「テロとの戦い」とか、以前なら「共産主義との戦い」などなどを世界戦略としているからこそ、地球の裏側まで出かけていったりして、あちこちで戦争を起こしているのである。まるで、人間永遠に闘う存在だという世界観を広める如くに。失礼を承知で言うが、「人間必ず死ぬ。貴方も間もなく死ぬ」と大いに叫べば、葬式屋さんが儲かるようなものではないか。


 さて、戦争違法化が、二十世紀になって世界史上初めてその国際組織と法が生まれたりして着手されたが、地上から戦争はなくせるのだろうか。この問題で極めて簡単な正しい理屈が一つある。戦争はずっとなくならないと語る人は「その方向」で動いていると言えるのだし、なくせると思う人はそういう方向に「参加していく」のである。つまり、戦争が未来になくなるか否かという問題とは、人間にとって何か宿命的に決まっているようなものではなく、今及び将来の人間たちがこれをどうしようと考え、振る舞うだろうかという実践的な問題なのである。世界の政治課題というものは、人間が決めるものだと言い換えても良いだろう。ところが、人間が決めるものだというこの真理を意識せずして否定する以下のような「理論」に最も多く出会えたのだと理解してから、僕の頭はすっきりした。
 社会ダーウィニズムという今は誤りだとされた社会理論がある。その現代版亜流の世界観が存在するようだ。「動物は争うもの、人間もその国家も同じだろう。そうやって、生物は己自身を進化させてきたのであるから」。この理論で言えば夫婦ゲンカも国同士の戦争も同じ(本質の)ものになる。そして、夫婦ゲンカは永遠になくならないから、戦争もそうだろうと、大威張りで確信できるわけだ。
『動物の争いは永遠になくならないのだから、人間も永遠に争うものである』
『人間は争うものだから、国家の戦争も無くならない』
 これが、ネット右翼諸氏の世界と政治を観る無意識の出発点なのである。最近、そう気付いた。対案はこういうものだ。「このような闘争本能戦争論は誤りである
」「戦争をめぐって存在するものは戦争の歴史しかない」「戦争史では戦争はどんどん減ってきたばかりではなく、二十世紀には人類史上初めて戦争違法化に向けた国際法、国際組織も生まれた」などの歴史的事実と戦争はなくせるという世界観とを広めていくこと。その実を例え少しずつでも、粘り強く作り広げていくこと。

 以上ありふれて見えるようなことを書いたが、正面からは案外批判されてこなかった誤った戦争に関わる信念が巷に溢れていると言いたい。この日本には特に広く。集団主義ムラ社会の中で激しい競争を演じてきた団塊世代以降では、自然に持つ世界観なのかも知れない。


(2016年1月の同人誌に初出)
 
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何度目かの 「南京虐殺の史実」  文科系

2023年09月25日 19時38分06秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など
 
「あんたも無知丸出しかい? 南京市民より死者が多い三十万人などというヨタ話を、ほんとに信じるの?」
 今度の相手も上から目線でこちらを頭から押さえ込んで来た。いつも同様、僕のブログの過去文章を読んでいないことも丸分かり。丁寧に反論する。

 ①虐殺直前に、日本軍がしかけた上海上陸攻防の大激戦が三か月続いた。そこの中国軍三〇万が揚子江すぐ上流の首都・南京城めがけて潰走し、日本軍がこれを我先にと追撃して出来上がったのが南京城包囲である。城の外、付近の住民も首都軍の庇護を求めて逃げ込んだし、膨大な人数に増えていて当たり前なのである。

 ②次いで、「あんな短期間にそんなにたくさん殺せる訳がない。日本軍はスーパー・サイヤ人か?」とのご批判。これには、こうお応えする。南京城壁は高さ一八メートルで分厚く、一方は揚子江。この城の限られた城門から全軍脱出が敢行されたのが一九三七年一二月一二日の夜から一三日朝にかけて。作戦は完全な失敗。揚子江を渡れた兵はごく少なく、膨大な数の捕虜はその後どうなったか。以降の日本軍中国南下作戦を考えれば、生かして放つはずがない。以降七年半の占領下早い内に、収容施設へ連れて行くように見せかけて秘密裏に殺したと考えるの普通だろう。三一年の満州事変の無法行為で国連を脱退したことを巡る国際的批判と、国内の戦意高揚とのためにも、秘密裏にということが大事だった。

 ③と、僕が返した反論には間髪を入れず、こんなご批判。「それだけ死んだら、死者名簿は? 慰霊祭は? なぜ家族の猛抗議はなかったのか? これらがいまだにないのは嘘である証拠! せいぜい二万人がイーところだな!」。まるで鬼の首でも取ったように勝ち誇って来る。これもネトウヨ本の鸚鵡返しであって、勝ち誇ったこの態度も「自信」の顕れなのである。ただし僕は、一一年ここで闘ってきた勤勉な古参兵。こんなひょろひょろ弾に倒れる訳がない。
 当時の中国政府は、戸籍がないに等しく、兵士は浮浪者が多かった。それも、あの広大な全土から集められた人々。浮浪者が多く、戸籍がないなら、どうやって名簿を創り、家族に知らせるのか。しかも、以降一二年の中国は戦乱と、さらには国共戦争と政権分裂。日本の習慣で思い付いた訳知り顔の屁理屈に過ぎない。現に、中支派遣軍事前教育教科書にこんな記述がある。
『三三年に陸軍歩兵学校が頒布した「対支那軍戦闘法の研究」中の「捕虜の取扱」の項には、(中略)「支那人は戸籍法完全ならざるのみならず、特に兵員は浮浪者」が多いので、「仮にこれを殺害又は他の地方に放つも世間的に問題となること無し」と書かれていた(藤原彰『戦死した英霊たち』)』
(岩波新書「シリーズ日本近現代史全10巻」の第5巻『満州事変から日中戦争へ』加藤陽子・東京大学大学院人文社会系研究科教授、220ページ)

 ④すると今度はまた、こう返ってきた。「どんな理屈を語ろうと、死者数二万という学者の有力説もある。三〇万ははっきり嘘として、数をはっきりさせろよな!」。古参兵はこの数字弾のひょろひょろぶりもよく知っているから、こう反論するだけだ。
 確か小泉内閣の時に日中の学者が集まって虐殺数を検討する会議を持った。日本からも一〇名ほどが出たが、北岡伸一など政府系の学者らが多い日本側の結論は、二~二〇万というもの。なぜこんなに開きが出るのか。「虐殺犠牲者」の定義とか虐殺期間・地域などで一致できなかったからだ。特に虐殺に兵士を含むか否か。兵士の戦死は当たり前、虐殺の数には入らないと。が、これにも反論は容易だ。日本は中国に最後まで宣戦を布告をせず、地中あちこちから折り重なって出てきた膨大な若者人骨は捕虜を虐殺した証拠にもなる。以上から、日本の(政府系)学者らさえ二〇万人の含みを否定できなかったのである。


 さて、以下の内容がまた、以上すべてを裏付けるものである。

【 南京大虐殺、一師団長の日記から  文科系 2017年03月09日

「教育図書出版 第一学習社」発行の「詳録新日本史資料集成 1995年改訂第8版」という高校日本史学習資料集がある。これをぱらぱらと見ていて、南京大虐殺の資料を新たに一つ発見したので、ご紹介したい。408頁に南京攻略軍指揮官の中島今朝吾(けさご)第16師団長日記というのが載っていた。そこの全文を書いてみる。

大体捕虜ハセヌ方針ナレバ、片端ヨリ之ヲ片付クルコトトナシタレドモ、千、五千、一万ノ群集トナレバ之ガ武装ヲ解除スルコトスラ出来ズ、唯彼等ガゾロゾロツイテ来ルカラ安全ナルモノノ、之ガ一旦騒擾セバ始末ニ困ルノデ、部隊ヲトラックニテ増派シテ監視ト誘導ニ任ジ、十三日夕ハトラックノ大活動ヲ要シタリ。シカシナガラ戦勝直後ノコトナレバナカナカ実行ハ敏速ニハ出来ズ。カカル処置ハ当初ヨリ予想ダニセザリシ処ナレバ、参謀部ハ大多忙ヲ極メタリ。
一、後ニ至リテ知ル処ニ依リテ佐々木部隊ダケニテ処理セシモノ約一万五千、大平門ニ於ケル守備ノ一中隊長ガ処理セシモノ約一三〇〇、其仙鶴門付近ニ集結シタルモノ約七、八千人あり。ナオ続々投降シ来ル。
一、コノ七、八千人、之ヲ片付クルニハ相当大ナル壕ヲ要シ、中々見当ラズ。一案トシテ百、二百ニ分割シタル後、適当ノカ処ニ誘キテ処理スル予定ナリ。』

 高さ18メートルもある分厚い南京城壁の限られた門から一夜にして日本軍包囲網を脱出しようとした中国軍兵は、その多くが捕虜になった事が示されている。どうせ逃げられないから、捕虜になって助かろうという態度にさえ見えるのである。ところが、これを最初からの方針として、全部殺してしまった。あちこちに分けて連れて行って殺し、埋めたということなのである。そもそも冒頭のこの部分が僕がこのブログで強調してきた要注意か所と言える。

「大体捕虜ハセヌ方針ナレバ、片端ヨリ之ヲ片付クルコトトナシタレドモ」

 最初から捕虜は殺す方針であったことが明確に述べられている。酷いもんだ。こんな資料があるのに、ネトウヨ諸君の種本論客達は、兵士虐殺を否定してきたのである。一師団長が聞いただけで彼等がよく語る「せいぜい2万人」などは、優に超えている。すべて世界に向けては、いや南京攻略兵にすら秘密の仕業であった。なんせ、上の手記にあるように師団長すら虐殺の全貌は知らないのだから。少し前にあった満州事変に対する国連非難囂々に懲りていたのだろう。また、国民の戦意高揚のためにも、敵への残虐行為は極力秘密にするものだ。実に卑怯、姑息な日本軍である。もっとも命令を出した奴らが卑怯、非道なのであるが・・・。】
 

 

 

 

 

 

 

 

 

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随筆紹介  店仕舞い   文科系

2023年09月24日 15時51分21秒 | 文芸作品

 随筆紹介  店仕舞い   S.Yさんの作品です

 

 行きつけの美容室が今月末に閉店するという。飽き性の私が珍しく十年以上も通っていた店であった。当時は男性スタッフが多かったが、この七年ほどは私の担当は、四十代前半のベテランの女性で、技術もトークも上手くて美人、なにより明るくて笑顔が良かった。ここで働く総勢二十名以上のスタッフが全員辞職とは、晴天の霹靂だったと想像がつく。

 それにしてもこの地方にいくつもの店舗を持つこの店は、たいそう流行っていた。客層も三十代から四十代が多く、私のような年配者もけっこういた。店内にはヘッドスパ室、ネイル室、託児室まであって充実していた。スタッフ同士の雰囲気も良かった。

「なんで閉店するの? 順風満帆って感じだったのに」私には閉店の意味が理解できない。この辺りは美容室の激戦区と言われるほど多くて、その中でも勝ち残ってきていたのに。

「経営者は店の若返りを目的としているのですよ。今のままでは目新しい客を呼び込めないので。店の内外を全て改装して、店名も変え、スタッフも総入れ替えしたいそうです」私担当の彼女は悔しそうに言った。私を含めた彼女の常連客は多い。彼女は次の美容室の採用が決まって、そこへ私の今度の予約を入れてくれた。

経営者は、スタッフ各自の客はどんどん連れて行ってくれと言っているらしい。なんか腹立つ。もう来ないでほしいということか。年取った客は要らないということか。若者を育成するのはいいだろう。でも、ベテランを首にしたり、今までの客をないがしろにしたり、若者だってそのうち歳をとるのだよ。それに今や、高齢化社会まっしぐらだよ。

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ウ戦争が続けられない諸様相  文科系

2023年09月22日 00時03分33秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など

  ウクライナ戦争の終わりがなぜか急に、見えてきたのではないか。いくつかの理由から、そう思う。

・第一は、9月上旬にあったG20インド会議の共同宣言にウクライナ問題が扱われなかったこと。これに関連して、G20国の中から、BRICSにサウジとアルゼンチンが新たに加盟したこと。そのBRICSから、ブラジルと南アなどグローバルサウス代表が以下のように述べて、停戦交渉に前のめりになっていること。

・ゼレンスキーが初めて実際に出席しておこなった国連総会演説に、世界が意外に冷めていたこと。これは上記を踏まえてのものだと思う。新聞はこんな情報も伝えた。
『「和平を達成することの難しさを過小評価するつもりはない。だが、対話に基づかない解決策はいつまでも続かない」。グローバルサウスの代表格であるブラジルのルラ大統領は演説で、和平交渉の開始の必要性を強調し、米欧による軍事支援を念頭に「大金が開発にはほとんど使われない」と不満も示した。ロシアとの関係が深い南アフリカのラマポーザ大統領も、紛争や開発などアフリカ大陸が抱える課題に演説時間の多くを割いた。』(毎日新聞)

・世界から支援を受けているウクライナにおいて、その支援自身に関わって大変な不祥事が生じている。先に、各省の徴兵責任者が全員解任された上に、この度6人いる国防次官が全員解任されたこと。これではゼレンスキーの国連総会演説にもかかわらず、ほとんど彼だけが丸裸で戦っているも同じではないか。

アメリカ国民の55%がウクライナ戦争支援予算に対して不承認という調査結果も出てきた。これに加えて、来年の米大統領選挙は、新春に両党の候補者選び各州選挙が始まり、夏には両党の候補者選び全国大会があるのだ。


 最後に、「1か月後には雨期に入るから、それまでに東南部戦線で決着を」というアメリカの猛烈すぎる発破に対して、ウクライナ軍部がこんな応答しかできないことが付け加わる。
『ウクライナ国防省のブダノフ情報総局長はイギリスの「エコノミスト」誌のインタビューでロシアとクリミア半島をつなぐ陸上の補給路を遮断する作戦が冬の前に実現するかもしれないと語りました』
「作戦が冬の前に実現するかも知れない」? 

 これから、ウクライナ(南東部戦線)で人が死んでいく程に、兵器を送り込んでいるNATOが批判されることになっていくだろう。ウクライナの戦死者について西欧で何の発表もないのも意図したものと思われてならない。このままでは、来年の米大統領選挙における共和党からの民主党攻撃に政権が耐えられないと考えるのが普通ではないか。異論を排してまで「ウクライナ正義」一色だった日本マスコミも、これから急に変わっていくのではないか。

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これでは、ウクライナは勝てない  文科系

2023年09月19日 11時50分09秒 | #ウクライナ戦争#マウリポリ陥落#アゾフ大隊

 標記のことを書いてみよう。

 ウクライナでは先に、各地方の徴兵責任者全員が解任されて、その理由が汚職であると伝えられた。各省の徴兵責任者が大金もらって、若者の生死を選別していたのである。そして、その余韻も冷めぬうちになのだがこの度、6人いる国防次官が解任。今回に限っては理由は公表されていないが、不正に絡むものなのだろう。さて、これでこの戦争に勝てるだろうか。と言うよりも、下が真面目に戦争に参加できるのか? 最上層から降りてくる戦略戦術自身もいい加減になるはずと誰でもが思うだろうしして、勝敗の答えは明らかだろう。そんなわけで、この戦争は勝てるわけがない。軍事大国ロシアが、長い時間使って三段構えで構築し、かつ制空権を持った東南部境界防衛戦への突入に対して、軍最上層部を不審に思っている兵士のどれだけが命を懸けられるかという話なのである。

 こんな上層部を持った国の勝てない戦争にどんどん兵器をつぎ込むアメリカは、どんなつもりでこんな事をしているのか。ロシアをなくして、その資源などをEUの下に起いた上で、中国を孤立させてその崩壊を図っていくという地政学からなのだろうが、こんな戦争はここに何度も書いてきたように初めから本当に胡散臭いものだった。それをよく知る上の人々こそ、馬鹿馬鹿しいとだけ思ってきたのではないか。相次ぐ上層部の腐敗というのは、そういうことしか考えられない。

 こんな時に例によってまたまた、こういう「ウクライナの希望、期待の『反転攻勢』情報」が流れ出した。5月末に流れていまだに成功していない「反転攻勢」情報と同じように。

『ウクライナ国防省のブダノフ情報総局長はイギリスの「エコノミスト」誌のインタビューでロシアとクリミア半島をつなぐ陸上の補給路を遮断する作戦が冬の前に実現するかもしれないと語りました』

 「かも知れないと語りました」? こんな語りがニュースになるなら、そう、どんな戦争にも「希望」があるだろう。僕が思うに、こんな「希望だけ情報」が多すぎる。

 

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「親ガチャ」王国、日本  文科系

2023年09月18日 02時59分44秒 | 国内政治・経済・社会問題

 新たに発足した内閣でも、政治家の子どもが政治家という「親ガチャ、大当たり」が十分すぎるほどに見られるが、今ひとつ「医者の子は医者」とか、「貧富の世襲」から「教育の世襲」という親ガチャはそれ以上に誰もが身近に見るところ。世襲というのは、悪く言えば身分制度の残存にも等しく、要は近代民主主義的な社会保障・「機会の平等」が貧困な国ということだ。地番・看板を受け継いだ世襲政治家などは、まるで封建時代の領主ではないか。つまり、先進国としては「自由と民主主義」が弱すぎ、貧しすぎる国ということだろう。この貧困度を、「医者の子は医者」と「貧富の差からの教育の世襲」について、ちょっと勉強してみた。以下の種本は、中公新書ラクレの「日本絶望ランキング集」で、著者は元国税庁調査官、大村大次郎。日本の金の流れを最もよく知っている職業、人物と言える。

 まず日本の病院の大まかな世界比較だが、80%が民間病院で、人口当たりの病床数、病院数が世界一と多い割に、医師と医学生数が極端に少ないとあった。そして、そういう医師の30%が医師の子どもで、主に私大医学部に入っていく。私大医学部の学費は6年間で3,000万円以上もかかり、まず普通の家庭では入れない。私大医学部の受験に至るまでにまた大変金がかかっていて、貧富格差が激しい今の日本では「貧富の世襲」「教育の世襲」とつながっている問題にもなる。ちなみに、医師の少なさ、民間病院の多さは、日本医師会という強力な圧力団体によってもたらされたと書かれる。

 さて、次が「貧富の世襲」「教育の世襲」だ。OECD先進30か国の大学進学率は2015年調査で21位の48%で、30か国平均より約10%低い。また、義務教育の上の高等教育費の公的負担は、2018年版によると33か国中で32位。これらの結果として、金持ちの子しか大学に行けない国になっている。国立大学授業料でさえ、1975年年間36,000円から2005年535,800円まで上がった。私事で恐縮だが、僕の妻は母子家庭の五人兄弟姉妹の最長子。1965年にある旧帝大系国立大学を出たが、現在であったら大学には行けなかったと思う。家族を食わせる為にも働いていたからだ。

 さて、「貧富、教育の世襲」のある結末こそ、この書にある次の数字だと言いうる。教育の世襲を受けられなかった子が、以下の後者になる確率は極めて高くなっているはずだ。非正規社員がこの30年で急増しているのだから。
『男性の場合、正社員(30~34歳)の既婚率は約60%だが、非正規社員の既婚率は約20%である(「令和4年版、少子化社会対策白書」)』

 そして、この本最終第5章の末尾はこんな見出しの内容で終わっていく。
「選挙に行かないから政治がどんどん悪くなる」
 この世界比較が、OECD38カ国2023年公表の投票率データ。悪い順で4位の53%だ。去年7月参院選年代別投票率もあって、10代~30代それぞれ、35.42%、33.99%、44.80%とあった。
『投票率が低くなると業界団体、宗教団体などの「組織票」の力が大きくなる。そうなると、政治家は、有権者全体のことよりも、業界団体や宗教団体のほうを向いた政治を行うようになる。そういう政治が行き着いた先が、いまの日本だと言えるのだ』

 業界団体、宗教団体が支え、親ガチャ議員が群がる自公政権によって「自由と民主主義」から最もかけ離れた「親ガチャ」先進国になり下がった日本。この国現在の「人生の不自由」と「機会の不平等」は、そういう政治の産物なのである。 

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マイクロソフト流検閲?  文科系

2023年09月17日 00時08分33秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など

 ブログの記事一つ一つの紹介をマイクロソフトビーイング画面で行っていること、それで僕のブログ記事がこの「webネット検索」画面に出てくるかどうかを調べてきたことなどを、ここで何度か報告してきた。その結果分かったのが、僕の記事はほとんど紹介されていること。その上で、最近の不掲載傾向2点を論じてみたい。

 一つは、代表サッカーの賛美記事、これは人気から言っても内容的にも掲載が当然と考えたが、最近僕にとっては大事なものが二つ落とされている。一つは、「今年面白い日本サッカー」(8月25日)と「まさに『空前』、代表サッカー」(9月14日)である。

 今一つは、ウクライナ戦争に関するもので、8月29日の「ウクライナ、二つの人道回路頓挫」と、この7日「〝ウ戦争のオカシサ〟解禁」などであり、昨日16日の「小泉悠論文に一言」もその日の内には載らず、怪しい。

 記事紹介の多くが、掲載と同時にとか直後にとかに紹介されており、怪しいものは何日か経って掲載ということもある。例えば8月28日の「ネイマールをめぐる〝サッカー文化〟論」は、何日か経ってから載っている。逆に、上記「ウクライナ、二つの人道回路頓挫」は、不掲載から掲載、そしてまた不掲載へと二転していたから面白い。ちなみに、普通は一度載ったものはほぼずっと紹介されたままになっているものだ。数年前と古い物でもそうだから、驚くのである。

 以上から僕は、こんな事を疑う。マイクロソフトがアメリカ政府には秘密はないという形でぴったりと繋がっていることはスノーデンの告発で有名になったけど、ウクライナ戦争と日本サッカー(の発展とか大人気とか)に関わる情報についてはどうも、自己規制、検閲がかかっているようだ。サッカー記事不掲載は、日米協力し合った「世界的な野球の普及、宣伝」と結びついているのだと思う。

 

17日正午ごろの追加

 このエントリー掲載は17日午前0時9分。その後今までの間に、マイクロソフトビーイング検索画面に、こんな変化が起こった。「史上空前、代表サッカー」は掲載、16日の「小泉悠論文批判」も掲載された。が、ウクライナ戦争関連の二つは不掲載。やはりどうも、ウクライナ関係は検閲がかかっているようだ。

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小泉悠論文に一言  文科系

2023年09月16日 08時23分26秒 | #ウクライナ戦争#マウリポリ陥落#アゾフ大隊

 岩波の雑誌「世界10月号」に、ウクライナ問題で小泉悠の論文「ウクライナ戦争をめぐる『が』について」が載った。この雑誌に多い「ロシアの侵攻は大きすぎる罪だ『が』・・・」という内容の論文を意識して、この「が」を批判するものだと言って良い。「大罪だが・・」などと前置きしてあれこれと語るのは、ロシアの罪を軽減しているとの批判と言えよう。以下は、彼の論文の骨格に関わる部分に、アメリカの過去について重大過ぎる見落としがあると指摘したい。この見落としによって小泉の論議の骨子が、米ロ比較で冷戦後最大の戦争犯罪国、米の罪を減じたことによって、ロシアが冷戦後世界で唯一最大の誤りを犯した国になっている。

『アメリカという、時に残虐性を孕んだ戦争を行う大国との同盟に関して倫理的な忌避感はないではないが、少なくともアメリカは民間人を無差別に殺傷する戦争を過去半世紀にわたって行っておらず、まして占領地域の住民を選別キャンプに集めて拷問・レイプ・殺害するような行為にも(少なくとも冷戦後には)及んでいないという点では、現在のロシアと全く同列に論じるべき存在でもない』(同誌52ページ)

 この一文を読んだ時にすぐに大きな疑問が浮かんだ。この論文全体の論理の筋における骨格に当たる部分への疑問だから、この疑問は大きい。

 まず、アメリカによる民間人無差別殺傷だが、史上有名な例が存在する。ウイキリークスでこれをすっぱ抜いたからこそジュリアン・アサンジは米政府に執拗に追いかけられた末に、終生監獄の憂き目に遭うことになったのではなかったか。米ヘリコプターからのイラク人無差別射殺映像を世界に流したのだった。というほどに、アメリカは自らの民間人無差別虐殺を世界史から意図的計画的に隠してきたのである。

 また、キューバ・グァンタナモ基地における、中東の人々の監禁、拷問はつとに有名な話ではなかったか。

 この二つを無視して上のように語るのでは、小泉氏語るところの「が」への反論は、あまりにも弱いものになるというべきだろう。と、このように僕が述べたとしても、ロシアによる民間人無差別虐殺や選別キャンプ・拷問を許すものではないというのは、言うまでも無いことだ。ただし、「少なくとも冷戦後に」もしそれがあればの話だが、ウクライナ戦争でこのことが世界白日の下に証明されたということではない。ブチャの大虐殺なるものも、アメリカのイラク一般市民への機銃発砲・虐殺のような場面そのものが証明されたわけではないのである。ちなみに、自らの虐殺を上記のように組織的・大々的に隠してきたアメリカは、他国による虐殺などはいくらでも作り、宣伝してきたと覚えてきた。

 

 なお、上記「米ヘリコプターからのイラク人無差別射殺映像」には、このような証拠もある。2010年4月7日に出た「2007年米軍ヘリによるロイター記者とイラク市民銃撃映像」だ。その映像に付いた文章は、以下のようなものだった。

『米軍ブラボー2-16部隊の元隊員に聞きます。ウィキリークスが公開した軍所蔵ビデオにある、ロイター従業員2人を含む12人の死者を出した 2007年の米軍ヘリによるイラク民間人爆撃事件は、米軍部隊のブラボー2-16が起こしました。
この部隊に所属していた帰還兵ジョシュ・スティーバーは「このビデオの兵士たちを直ちに非難したり批判するのが自然なことでしょう。でも、彼らの行動を正当化するわけではありませんが、軍隊の立場からいえば、彼らは訓練された通りに行動したのです・・・もしこのビデオを見てショックを受けるのなら、より大きなシステムを問題にするべきです。なぜならば、兵士たちの行動は、このように行動せよと訓練されて行ったことだからです」』

 

 
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まさに「空前」、代表サッカー  文科系

2023年09月14日 15時52分40秒 | スポーツ

 代表サッカーがかつて無く強い。この6月からの4戦が総得失点18対4で全勝。この内最強の相手ドイツは、9日日本戦敗戦の後、代表監督解任に到っている。ただ、このドイツは、日本戦の後12日、新監督の下で余程引き締めたのか、世界2位のフランスを2対1で負かしている。ただこのゲームでは、フランスというよりも今や世界のエース・エムバペは故障欠場。ともあれ、もはや世界10強内と言える空前の強さはどこから生まれているのかをみてみよう。

 何よりも、こうまとめることができるだろう。

「日本の歴史的欠点とも言えた守備陣が安定して来たから、4大柱を有する攻撃もより冴えてきた」

「日本には守備の文化がない」、「日本人は小さいから・・・」などと語られた時代が、ここ数年転換を遂げたその頂点が、ボランチの遠藤(リバプール)、センターバックの富安(アーセナル)である。今や二人とも、世界最強リーグイングランドの強豪チームに属するに到った。日本選手らの憧れであるこのリーグで活躍した日本人は、香川と岡崎。いずれも攻撃選手で、二人ともがチームのプレミアリーグ優勝年のレギュラーという経験を持つとは言え、在籍期間は短かかった。それがどうか、遠藤はドイツで功成り名遂げた30歳にしてのグレードアップだし、富安はまだまだ伸びていくはずだ。

 攻撃陣はと観れば、今や世界がうらやむ柱が4本。伊東、三笘、そして鎌田に久保である。しかも、この組み合わせがまた、絶妙にして最強。ネイマールをすり切れるまで見て育った上で、筑波大学の卒業論文が「ドリブル学」という三笘薫の左を警戒すれば、右の伊東に良いように走られることになる。ドイツ戦がそんな闘いであったが、その逆もあるわけだ。伊東を警戒すれば、三笘に敵右陣地がぶち抜かれる、と。

 伊東の走り方、攻撃術はフランスのエムバペそっくりと思うのは僕だけではないはずだ。「前へポーンとボールをけって走り出せば、三人のマークでも打っ千切る」という絶対的スピード・スタイルから、今やクロスだけでなくシュートまでも上手くなって、手の付けられない選手に育った。三笘については既に、語るまでもあるまい。来年は、イングランド5強のどこかに行くはずだ。マンチェスター2チームに、リバプール、アーセナル、はたまたトットナムか。アーセナルに行けば、富安がいるし、リバプールなら遠藤とチームメイトだ。

 鎌田は万能のチームプレー選手で、この一年の久保が、持ち前のスキルスピードに加えスピードも増して、急に伸びたと思う。今やスペインでも手の付けられぬ選手に育ったものだ。

 サッカーは、世界ランキングが210位(国)ほどまである他に例のないスポーツ。そこでここまで到達したというのは、古いファンとしてはもう大喜びである。ただ、この日本代表を、特に中国、韓国に対して勝ち誇って吹聴するといったネットニュースが多くなっているが、こんな品のない行為は日本サッカーを貶めるもの。中国、韓国と比較してあると読み手が増えるという狙いだろうが、その品性が卑しい。「よく勝つ国が隣の負けを嘲笑っている!」わけで、スポーツでは常に相手をリスペクトせよと教えられて来たはずだ。お隣の韓国、中国が強くなれば、日本は今よりもっと強くなっていく。

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G20、G7、BRICSの力学に異変  文科系

2023年09月13日 18時10分49秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

 ブラジル、ロシア、インド、中国、南アの5国同盟、BRICSに新たに6国が加わって、11カ国同盟になった。ブラジルのお隣のアルゼンチン。アフリカ連合から新たにエジプトとエチオピア。アメリカに愛想を尽かしたのか、中東からは呉越同舟でサウジ、UAEに、イランが加わった。これでもって、NATO主要国に日本がいるだけのG7は、さらに影響力を失った。
 この動きに合わせるように、この度のインドG20でもいくつかの異変が起こった。なによりもまず、ウクライナ問題が共同声明にも載らなかったから、ウ外務省から批判されたこと。
「ウクライナ侵攻に関してこのG20は誇りを失った」
 ちなみに、米の強い意向を押しのけてのウクライナ問題外しは、開催国インドの力が働いたからであって、中ロ首脳がいなくてこうなった意味は極めて大きいと観ることができる。これに関して、外務省元国際情報局長・孫崎享もこんな二つの報告を発出した。
『 G20の動向、一つのリトマス紙はウクライナ問題。共同声明で露を明示的に非難せず。G7では「露によるウクライナに対する侵略戦争を可能な限り最も強い言葉で非難する」。最終とりまとめに日本はカヤの外。G7主導でない。インドネシア、印、ブラジル、南アが主導的役割 』

『 ウクライナ戦争で、戦場はウクライナ、戦い死者を出すのはウクライナとロシア。だが米国のウクライナ軍事支援がなければ戦争は終わる。この中米国内で変化。共和党支持者は今年の2月に比し反対が増え、更なる武器支援に反対が多数になる 』

 このようなことが中ソ首脳のいない会議で起こって、来年、再来年のG20はブラジル、次いで南アであってみれば、G20におけるアメリカ、G7の発言力がどんどん落ちているということになる。その上で、このG20にアフリカ連合が入ったのだから、世界情勢は、G7情報ばかりを報道する日本マスコミとはかなり違ったものになっているのだ。
 インドと同じように、G20大国トルコも、ウクライナ戦争ではいつも、国連を立てて中立の仲介をして来た。このトルコ・国連が仲介してもうまく行かぬこと度々の「黒海穀物輸出」だが、日本ではただ「ロシアが中断した」とだけ報道されている。だけど、その理由は何処にも書かれていない。少なくともその一つが、アメリカの差し金で穀物代金がロシアに渡らないこと。ロシアはこれを「欺された」と怒っている。

 ウクライナ戦争にその未来を懸けているようなアメリカは、この後どうなっていくのだろうか。新自由主義国米の新たな禁断の保護貿易主義は、世界から総スカンを食っているうえに、金融バブルは日本以上に膨らんでいる。そして、アメリカ自身による世界分断が進めば進む程、ドル以外の通貨の取引が増えているのだ。

 

 なお、安倍から河井克行への公的資金1・5億の支払先、政治家たちが判明したと中国新聞がすっぱ抜いたようだ。支払い先その他は、このブログ友から教えられた。「グーブログ 楕円と円」。

 

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随筆  野球界の暴力体質、三話  文科系

2023年09月11日 10時45分41秒 | スポーツ

 新学期が始まった。学校社会では相変わらずイジメ問題が後を絶たないようだ。だからなのだろう、往年のプロ野球名選手・古田敦也が、彼の中学校時代についてこんなネット記事を世に出している。読んだ僕はまー驚いたこと!   

『 新学期がはじまって1週間。生徒のなかには、いじめを理由に学校に行きたくないという子もいるかもしれない。古田氏は「僕もいじめ体験者。いじめられた方です」と述べ、次のように明かした。
「僕は特に野球が上手かったので地元の中学校で先輩からよくいじめられた。『1Lコーラを買ってこい』と言われ、それを1年生全員で一気飲みさせられる。もちろん飲めないのでコーラを吐いて、笑われて『できなかったから全員30周走れ』と言って1時間以上走らされた。ほかにも、砂利道に正座をさせられて先輩がその上を歩き、先輩は1年生が痛がるのを見て笑う。どつく、殴る、蹴るのもあった。だから僕は、野球をやめた。中学校1年生の1学期に。でも、親にやめると話したらいろいろなところに掛け合ってくれて、夏休み明けの2学期から転校した。(後略)
(『ABEMAヒルズ』より) 』

 この古田談話ですぐに思いだしたのが、ベストセラー「嫌われた監督」にあったかのこのエピソード。落合博満が中日監督に内定し、内々で投手コーチ・森繁和に白羽の矢を立てたその電話交渉内容で、こういうものだった。
「投手のことはすべて、任せる。が、ただ一つだけ注文がある。選手には手を上げてくれるな」
 プロ野球の世界でも暴力、制裁が常識のように、まかり通っていたのである。落合が中日の監督になったのは、2004年だから、そのころの話だ。落合はこういうスポーツ体質が嫌いで、これに馴染めなかったから「プロ野球選手になるまでの道で色色な抵抗をして来た」とも僕は知っている。その抵抗を、監督になった初年度でチームに徹底貫徹した。見事なものだと思う。

 さて、こんなだからこそ、今でも野球界全体の暴力事件が後を絶たぬのだろう。古田が書いているようなものよりもずっと軽いものだとしても、理不尽な上下関係習慣を礼儀などと教えるような風習も含めて。最近マスコミがやんわりと「反論」している高校野球部監督による暗黙にして、事実上の丸刈り強制も同じように暴力とも言える場合が多いのではないか。これらはそもそも一体、なぜ残っているのか? ちなみに、僕は落合より12歳年上だが、ある高校の球技クラブでキャプテンをやった時、率先して球拾いもやっていた。つまり、昔は何処もこうだったとか、だから次第に改善されて来たのだとか、必ずしも言えるわけではないということを示していないか。 

 古田のこの体験談と同類のものは、「その言語的反論を教育、理解する」ことを含めて、隠すのではなく、社会にどんどん広めるべきではないか。でないとなかなか直されていかないと思う。サッカーの中村憲剛や野球のダルビッシュ有も言っている。「プレーを言語化しなければ、本当には理解できていかず、悪癖も直せず、上達もない」。理不尽な上下関係習慣も言語化するべきなのだ。スポーツ界などの「理不尽な暴力」とはなんぞや? 一例、ダルビッシュはある高校野球の誰もが当たり前と考えている一習慣について、こんな事を語っている。

――ちなみに、甲子園の予選の開会式が不要だというTwitterでの意見についても、かなりの反応がありましたね。

ダルビッシュ:ありましたね。でも、予選の開会式とか、誰がやりたいと思うんですかね? 暑い中、軍隊みたいに整列して、誰だかわからないおっさんの話をじっと聞いているわけですよ。僕自身、聞いたことは何一つ覚えていないですからね。ということは、意味がないことなんですよ。話の最後に「頑張ってください」と言われるけど、そんなこと言われなくたってみんな頑張るじゃないですか? これほど無駄な時間があるものかと思ったわけです。』

ダルビッシュのこの言葉は、彼が意識しているかどうかは別として、「高校野球開会式は暴力である」という意見になるはずだ。

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ストーマ老サイクリストの手記(469)足裏水は治る   文科系

2023年09月10日 03時33分14秒 | スポーツ

 先回見た右足裏前方に水がたまる症状は、医者が言うように悪くはならない。「膝に水がたまる症状」と同じ原理だそうだが、痛みが軽い分運動はできると、これも医者が言ったとおり。5月にランを禁じてから、こんな運動をしてきた。

 最も多いのがスクワット(後で、ストレッチ)で、これだけが多い週だと3~4日、1回50~100回。それに、サイクリングと階段往復。サイクリングはこの2日53キロなど、家の18階段往復が50~70というところだ。上半身の運動としては、僧帽筋を鍛えるアームローテーション、やグリップを使った握力強化などをやってきた。

 こんなことで最近気づいたのが、これ。サイクリングとストレッチだけでは爪先立ちをする筋肉、多分足首やフクラハギなどが弱っていくだけと。足裏の水は、このことが影響していると発見した。階段往復でふくらはぎが疲れると、この水がやや引いていると感じたことがきっかけだった。足裏の毛細血管が衰えて血液が急に行きにくくなると、そこの新陳代謝が悪くなる理屈ではないか。そんな訳で、足裏を庇わないでむしろどんどん使うようにしてこの水は治していけると、今週、確信を持った。我が連れあいの膝の水も、周辺血管を鍛えれば治るのかも知れぬが、それだけの体力がないということなのか。

 現在最長の53キロのサイクリングは、往時の愛知万博会場まで行って、5.1キロのサイクリングコースを3周して帰ってきたもの。久しぶりで、最近に珍しい程疲労した。風と湿気も影響していたと思うが、やはり5月末までのランニング時代にくらべて、運動量がずっと減っているということだろう。ただ、翌日にはこの疲労がとれていたというのが、朗報。ランニング時代の回復力がまだまだ残っているのだ。それだけに、今後はサイクリング回数や距離を増やすことが若さの源泉になろう。この回復力なら、まだまだ鍛えられる身体と思うからだ。

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