スペイン・バルセロナの監督にドイツ人のハンジ・フリックが就任した。ドイツ・バイエルンミュンヘンで選手時代を過ごし、ドイツ代表のコーチや監督を歴任した人物だ。それにしても、こういう人物がバルセロナの監督とは? 案の定、早速こんなチーム変身方向を語り出した。サッカーネットの「ゴール」から取った物だが、こんな声が聞こえてくる。バルセロナやスペインサッカー好きの日本人からしたら、目を剥いて反対するような変身ではないか。
『何よりも勝利を目的にプレーする必要性を説いた。 「ここ(バルセロナ)の伝統はボールに触れるプレーだ。だが私は同様に、ダイレクトな形でもゴールにたどり着きたい」 「ゴールを決めるためには、もっとクロスを上げるべきだ。思うに、私のスタイルが大きな変化を与えることはない。私が求めるスタイルは、高い位置からプレッシングを仕掛けて、相手陣地でプレーをすることなのだから。しかし結局は、勝利をつかまなければいけないんだよ」 フリック監督はその一方で、ボールを保持・非保持の状態で選手たちに求める姿勢についても語った。 「私のチームは適切なタイミングで相手にプレッシングを仕掛けなければならないし、ときには高い位置からそうすることも必要だ。』
こんなフリック監督は、日本人には評判が悪いだろう。ドイツ代表監督としては、カタールW杯では我が代表に負け、その後ももう一度負けているのだから。それにしてもこのフリックがバルセロナを上記のようなチームに変えようというのは、日本ではさらに評判を悪くするはずだ。「(従来バルセロナの)多くボールに触れるプレーではなく」「ゴールにダイレクトに」。そして「もっとクロスを上げるべき」・・・。
世界のサッカーがどんどん変わりつつあるのだけれど、バルセロナまでがパスサッカーから離れる? 逆に僕はこう思うのだ。2010年前からのドイツのゲーゲンプレス戦術創出、世界席巻以来、「高い位置からのプレス」が世界に広がっているが、だからこそ逆に、この高いプレスをかいくぐれば、敵陣ゴール前に強襲することができる。この急襲をするのに、速いサイド選手の価値がどんどん上がっている。伊東純也、三苫薫、相馬勇紀、中村、毎熊・・・。日本のこれらの選手が骨身にしみているからこそのフリックの声「ゴールにダイレクトに、もっとクロスを上げる」なのだろうと思う。
ちなみに、J1首位の町田が、多くの選手を年度中に奪われたその穴埋めのように、名古屋に戻った相馬勇紀を早速獲得した。それも大金を積んでの事と聞いている。名古屋はなぜ相馬を手放したのか不思議だが、大活躍するのではないか。相馬は、伊東のようなクロスだけではなく、三苫のようなゴール前へのドリブル突破も、そこからのシュートも打てる、「得点に結びつく確率が大きいプレー」を必ず作ることができる選手である。
今後のバルセロナはともかく、町田の動向が見物だと思っている。ダ・ゾーンにかぶり付きだな。