★東海放送人九条の会HPの「ものみやぐら」愛読させてもらっているのですが、佐藤隆三さんが愛知憲法会議の学習会での平和委員会矢野事務局長の講演を詳しく報告していました。
テーマは「愛知の驚くべき軍事状況について」です。
平和運動の端くれにいても「愛知の軍事」についてはほとんど知りませんでした。大変に参考になりましたので転載させてもらいました。
*******************************************************************************
******* 最初に、読売新聞の世論調査で憲法9条を守れという声が6割を超えたという話しがあり、また、「我自衛隊を愛す、ゆえに憲法9条まもる」や「自衛隊の国際貢献は憲法9条で」という本の広告が、自衛隊の機関誌「朝雲」に載るようになったと指摘。自衛隊のなかにも憲法9条を守れという声が拡がる土壌があり、いま、私たちが手を繋ぐ人たちの条件が大きく拡がっていると述べました。
特にはっとしたのは、憲法9条が改悪されて一番犠牲になるのは、市民であり、自衛隊員であるという指摘でした。
では、矢野さんの講義を出来るだけ詳しく報告します。
★「高蔵寺弾薬庫にはクラスター爆弾が」
はじめは愛知県の軍事基地についての説明です。
小牧基地は全国で唯ひとつ、C130という輸送機が置かれている基地で、輸送部隊の中心になっています。それに附属する高蔵寺弾薬庫。ここには、1つの爆弾から200個の子爆弾を破裂させるクラスター爆弾を保管しています。クラスター爆弾はその被害がほとんど一般住民であることと、不発弾で子どもが殺傷される事件が多発しているのが特徴です。
名古屋市守山区には陸上自衛隊の第10師団司令部があります。
陸上自衛隊の基地はほかに、春日井、豊川に駐屯地があります。それと基地ではありませんが、名古屋港、衣浦港、蒲郡港にも、海上自衛隊の軍艦、米軍の艦船が次つぎと入港してきている実態があります。
また、渥美半島の大山という300メートルの小山にもヘリ訓練施設をいま作ろうとしています。
これらの基地がどんな役割を果たしているのか1つずつ見ていくことにしましょう。
★「イラク戦争に直結する小牧基地」
航空自衛隊小牧基地。県営名古屋空港と隣接していますが、ここでは自衛隊の訓練、三菱など軍需産業による戦闘機等の点検などが随時行われております。
小牧基地の全国的な位置づけとしては、輸送部隊が配備され、中枢的な兵站基地としての役割があります。戦闘機などはありませんが、米軍の支援拠点基地としてはC130が全国で唯一置かれている基地であり、特筆すべき役割を果たしています。
C130は、トルコの空軍基地を通じてバグダッドやモスルの米軍基地に武器弾薬を輸送しています。
2004年3月13日から今年の3月13日まで、イラクへの往復は676回を数えています。輸送した物資の総重量は591トン、延べ2900人余りを輸送しています。いまや「タクシー」というあだ名が付いているほどです。
輸送回数の86%、輸送重量の93%が多国籍軍の物資の輸送にあてられています。その多国籍軍のほとんどが米軍であることは実態として明らかになっています。
小牧基地の基地機能が海外派兵型につぎつぎと強化されてきています。まず、空中給油・輸送機KC767Jの配備です。これは、戦闘機に空で給油する「空飛ぶガソリンスタンド」で、2月と3月につづけて2機配備されました。C130という輸送機にも空中給油機能と給油を受給する機能が付加されました。スクリーンにはC130からヘリコプターへ給油しているところが映しだされていました。
KC767というのは最新鋭の空中給油輸送機で、これまでの給油機にくらべ給油にかかる時間が非常に短縮されたと言われています。
KC767は大量の航空燃料を積み込みます。その量は、11万リットル、大型タンクローリー5台分に相当します。KC767が墜落したら、県内の消防能力を最大限発揮しても消火・救助は難しいといわれています。
また、飛行航続距離も非常に伸びています。C130は5トンの荷物を積んだときに、4000キロの飛行ができますが、KC767は30トンの荷物を積んで7400キロの航続が可能です。荷物を積まなければ南アフリカ共和国まで飛行することが出来ると言われています。なぜこのようなものが専守防衛の日本に必要なのでしょうか。
イラク開戦時の03年3月から4月にかけて一番使われた航空機は戦闘機でした。2万228機使われました。その次に使われたのが空中給油機で9064機使われています。(雑誌軍事研究による)
戦闘機というのは燃料が満タンでは飛び立てない航空機だと言われています。なぜかと言うと、満タンで飛び立つと滑車が折れ曲がってしまう。だから、いつも燃料を半分ぐらい入れて飛び立ち、空中で給油する必要があるのです。
ところで、基地機能強化に不安を覚える地元自治体、春日井市や小牧市、豊山町では、米軍機の名古屋空港使用には反対を表明したものの、空中給油機については配備を許容するという態度をとっています。愛知県も地元自治体を尊重するということで、空中給油機を黙認しています。
小牧基地の新しい部隊として、航空機動衛生隊が防衛省直轄部隊として新設されました。戦場における戦傷者救助を目的としています。航空機のなかで、集中治療が可能なように、必要な各種高度医療器材がユニットとして搭載されます。C130では2ユニット搭載可能です。
また、名古屋空港の管制塔が2009年度末をめどに小牧基地内に移転するという報道もなされています。管制塔の移転で名古屋空港が「自衛隊空港化」する懸念も生まれています。
※次回は、守山の陸上自衛隊などについてです。
写真は自衛隊の見学会に展示されたクラスター爆弾の模擬弾
テーマは「愛知の驚くべき軍事状況について」です。
平和運動の端くれにいても「愛知の軍事」についてはほとんど知りませんでした。大変に参考になりましたので転載させてもらいました。
*******************************************************************************
******* 最初に、読売新聞の世論調査で憲法9条を守れという声が6割を超えたという話しがあり、また、「我自衛隊を愛す、ゆえに憲法9条まもる」や「自衛隊の国際貢献は憲法9条で」という本の広告が、自衛隊の機関誌「朝雲」に載るようになったと指摘。自衛隊のなかにも憲法9条を守れという声が拡がる土壌があり、いま、私たちが手を繋ぐ人たちの条件が大きく拡がっていると述べました。
特にはっとしたのは、憲法9条が改悪されて一番犠牲になるのは、市民であり、自衛隊員であるという指摘でした。
では、矢野さんの講義を出来るだけ詳しく報告します。
★「高蔵寺弾薬庫にはクラスター爆弾が」
はじめは愛知県の軍事基地についての説明です。
小牧基地は全国で唯ひとつ、C130という輸送機が置かれている基地で、輸送部隊の中心になっています。それに附属する高蔵寺弾薬庫。ここには、1つの爆弾から200個の子爆弾を破裂させるクラスター爆弾を保管しています。クラスター爆弾はその被害がほとんど一般住民であることと、不発弾で子どもが殺傷される事件が多発しているのが特徴です。
名古屋市守山区には陸上自衛隊の第10師団司令部があります。
陸上自衛隊の基地はほかに、春日井、豊川に駐屯地があります。それと基地ではありませんが、名古屋港、衣浦港、蒲郡港にも、海上自衛隊の軍艦、米軍の艦船が次つぎと入港してきている実態があります。
また、渥美半島の大山という300メートルの小山にもヘリ訓練施設をいま作ろうとしています。
これらの基地がどんな役割を果たしているのか1つずつ見ていくことにしましょう。
★「イラク戦争に直結する小牧基地」
航空自衛隊小牧基地。県営名古屋空港と隣接していますが、ここでは自衛隊の訓練、三菱など軍需産業による戦闘機等の点検などが随時行われております。
小牧基地の全国的な位置づけとしては、輸送部隊が配備され、中枢的な兵站基地としての役割があります。戦闘機などはありませんが、米軍の支援拠点基地としてはC130が全国で唯一置かれている基地であり、特筆すべき役割を果たしています。
C130は、トルコの空軍基地を通じてバグダッドやモスルの米軍基地に武器弾薬を輸送しています。
2004年3月13日から今年の3月13日まで、イラクへの往復は676回を数えています。輸送した物資の総重量は591トン、延べ2900人余りを輸送しています。いまや「タクシー」というあだ名が付いているほどです。
輸送回数の86%、輸送重量の93%が多国籍軍の物資の輸送にあてられています。その多国籍軍のほとんどが米軍であることは実態として明らかになっています。
小牧基地の基地機能が海外派兵型につぎつぎと強化されてきています。まず、空中給油・輸送機KC767Jの配備です。これは、戦闘機に空で給油する「空飛ぶガソリンスタンド」で、2月と3月につづけて2機配備されました。C130という輸送機にも空中給油機能と給油を受給する機能が付加されました。スクリーンにはC130からヘリコプターへ給油しているところが映しだされていました。
KC767というのは最新鋭の空中給油輸送機で、これまでの給油機にくらべ給油にかかる時間が非常に短縮されたと言われています。
KC767は大量の航空燃料を積み込みます。その量は、11万リットル、大型タンクローリー5台分に相当します。KC767が墜落したら、県内の消防能力を最大限発揮しても消火・救助は難しいといわれています。
また、飛行航続距離も非常に伸びています。C130は5トンの荷物を積んだときに、4000キロの飛行ができますが、KC767は30トンの荷物を積んで7400キロの航続が可能です。荷物を積まなければ南アフリカ共和国まで飛行することが出来ると言われています。なぜこのようなものが専守防衛の日本に必要なのでしょうか。
イラク開戦時の03年3月から4月にかけて一番使われた航空機は戦闘機でした。2万228機使われました。その次に使われたのが空中給油機で9064機使われています。(雑誌軍事研究による)
戦闘機というのは燃料が満タンでは飛び立てない航空機だと言われています。なぜかと言うと、満タンで飛び立つと滑車が折れ曲がってしまう。だから、いつも燃料を半分ぐらい入れて飛び立ち、空中で給油する必要があるのです。
ところで、基地機能強化に不安を覚える地元自治体、春日井市や小牧市、豊山町では、米軍機の名古屋空港使用には反対を表明したものの、空中給油機については配備を許容するという態度をとっています。愛知県も地元自治体を尊重するということで、空中給油機を黙認しています。
小牧基地の新しい部隊として、航空機動衛生隊が防衛省直轄部隊として新設されました。戦場における戦傷者救助を目的としています。航空機のなかで、集中治療が可能なように、必要な各種高度医療器材がユニットとして搭載されます。C130では2ユニット搭載可能です。
また、名古屋空港の管制塔が2009年度末をめどに小牧基地内に移転するという報道もなされています。管制塔の移転で名古屋空港が「自衛隊空港化」する懸念も生まれています。
※次回は、守山の陸上自衛隊などについてです。
写真は自衛隊の見学会に展示されたクラスター爆弾の模擬弾