日本で販売している書店が1カ所もないにもかかわらず「ベストセラー」になっている本がある。
自民党による憲法改正案を真っ向から批判する内容の『憲法が変わっちゃったらどうなるの?』という本だ。
「明日の自由を守る若手弁護士の会」が、ウェブサイトを通じて販売しているだけだが、
昨年3月に発行されて以降、すでに20万部が売れている。
ポケットに入るサイズの、全部で8ページの小冊子で、価格はわずか15円。
市民が数十冊ずつ購入して、病院や喫茶店、美容院などに備え付けるケースもある。
また、動画版も動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開されており、この冊子の内容を知っている人はかなり多い。
この冊子を作成した「明日の自由を守る若手弁護士の会」は、戦争を禁じる「平和憲法」の改正を公約している
安倍政権の発足をきっかけに、昨年1月に結成された。
事務局長を務める早田由布子弁護士(31)は「自民党の憲法改正案は、
日本を『戦争のできる国』にするだけでなく、
表現の自由や社会福祉制度まで破壊しかねない、毒素条項の多い案だ。
これを国民に効果的に伝える方法について苦悩し、冊子を作成するに至った」と語った。
これまでの憲法改正に反対する本は、法律の解釈を中心とした堅い文章が多く、
若者たちが手に取りにくいという点に着目し、口語体のやさしい文章を中心とし、天然色の挿絵を多く取り入れた。
「私たちが知らない間に憲法が変わってしまってはならない。みんなが一緒に、憲法について考えてみよう」と
いう文章で始まる小冊子は、国家と国民の関係、自衛軍と戦争への傘下、表現の自由の制限、社会福祉の水準の低下などと
いった項目に分け、憲法改正案を一つ一つ批判している。
そして「自民党の憲法改正案は、国家が定める範囲内に限って(個人の)自由を認めるなど、
現行憲法の根幹を変えるものだ。
憲法が改正され、軍隊が設けられれば、同盟関係にあるほかの国の戦争に参戦し、
国民の行動や財産権が制限されかねない」と主張している。
「明日の自由を守る若手弁護士の会」は、安倍晋三首相が憲法解釈の変更によって
集団的自衛権の行使を本格的に推進しているのを受け、
今年2月には第2弾として『2分で分かる集団的自衛権A to Z』も発行した。
同じようにウェブサイトを通じて15円で販売しており、すでに10万部が売れた。
一問一答式の開設が特徴のこの冊子もまた、動画版が作成され、ユーチューブで見ることができる。
早田弁護士は「憲法改正に反対する市民が自発的に動画版を作成、公開している。
若者たちが憲法問題に関心を持つきっかけになればと思う」と語った。
