九条バトル !! (憲法問題のみならず、人間的なテーマならなんでも大歓迎!!)

憲法論議はいよいよ本番に。自由な掲示板です。憲法問題以外でも、人間的な話題なら何でも大歓迎。是非ひと言 !!!

NHKスペシャル「日本国憲法誕生」を見て    千里眼

2007年04月30日 22時05分05秒 | Weblog
 これは、非常に優れた番組であった。保守系や右翼の人々がNHKを盛んに攻撃する理由は、こうした優れた番組をNHKが作成するからであろう。
 この番組は、国民主権(裏を返せば天皇制)と戦争放棄の二つを主軸に、新しい資料や生き残りの関係者の証言(なかには以前録画したものも含む)、残存する関連テープを駆使して、構成されている。新しい知見を中心にこの番組の内容を紹介したい。
 
1.GHQは一貫して、日本政府みずからが憲法草案を作成し、制定していくことを願っていた。草案作成に関わったミルトン・エスマン氏はインタビューに答えて、「当初われわれは、日本政府が自ら作成することを期待していた。そのほうが、われわれにとっても望ましいと考えていた」、と述べている。この事実は他の多くの資料からうかがい知れる周知の事実である。

2.幣原喜重郎首相・マッカッサーの二人だけの会談
   - 戦争放棄は幣原喜重郎首相が言い出したのだ -
 幣原喜重郎首相は1946年1月24日、GHQを尋ね、マッカーサーと会談した。その内容は、枢密院顧問の大平小松氏の娘が克明に記録していた。幣原は大平に詳細を報告し、大平が自分の娘に口述して記録させていたのであった。ここには未知の事柄が記されていた。
 幣原の「天皇制を自分生きている間は維持させたい。協力してくれ」との要望に対し、マッカーサーはできるだけのことは協力すると約束している。さらに、「世界から信用をなくした日本にとって、戦争を放棄するということを世界にはっきり世界に声明すること。それだけが日本が世界から信用してもらえる唯一の『ほこり』(メモには平仮名でそう書いてある)となるのではないのか」という幣原発言に、「二人は大いに共鳴した」そうだ。
 マッカーサーはこれを「憲法に戦争放棄を入れる、と幣原が発言した」と後に証言しているが、マッカーサーはそう受け止めたのであろう。

3.その方針の転換
   - GHQ草案の作成へ -
 日本政府は、松本烝治国務大臣を委員長とする憲法問題調査委員会のなかで憲法草案を検討・作成していた。1946年2月1日、毎日新聞がその内容をスクープした。その内容が明治憲法の一部手直しにすぎないことを知ったマッカーサーは、すでに周知のとおり、2月4日、GHQ民生局の関係者に緊急招集をかけ、1週間で憲法草案を作成することを命じた。

4.マッカーサーは何故急いだのか
 対日戦争参加国11ヶ国で構成される極東委員会の発足と、関連していたのだ。オーストラリア、中国、ソ連は天皇制の廃止を主張し、天皇の戦犯訴迫も考えていた。この番組では、オーストリアの極東委員会理事であった人物のインタビューで、そのへんの状況を描いている。
 アメリカはポツダム宣言時に、バンーンズ(国務長官)回答書で「天皇を残した形での間接統治、その後の天皇制については日本国民の意思にまかせる」と日本政府に約束していた。この番組では触れていないが、私の前投稿にその点は詳しく記載してある。さらに、マッカーサーは幣原の要望に答えて、天皇制を残すことに協力すると約束していた。マッカーサーも国務省も占領統治のために天皇は必要という判断をしていたのだ。
 GHQの上に立つ極東委員会が発足すると、天皇制廃止の意見が多数を占める情勢のなかで、マッカーサーはどうしても、既製事実を作る必要に迫られていたのだ。

5.GHQ草案は鈴木安蔵らの「憲法研究会」の案「憲法草案要綱」を下敷きにしていた
 トルーマン・ライブラリーに残されているマイロ・ラウエル中佐のテープがその事実をあからさまに語っている。彼は民生局のなかの法律関連の課長であり、GHQ草案作成の実質的統括者であった。
 まだ、日本に憲法草案作成をまかせていた段階でこの草案に目を通し、「私はこの民間草案を使って若干の修正を加えれば、マッカーサー最高司令官が満足しうる憲法ができると考えた」、「これで憲法改正は大きく前進できる」と考えたと、彼は語っている。
 GHQ草案の作成にはいった段階についてのラウエル中佐の証言では、「私たちは確かにそれを(「憲法研究会」の案のこと)使いました。意識的に、また無意識的に」と語っている。私の前投稿では、「だろう」と断定を避けたのが。
 
6.憲法第9条の問題と関連して
 この問題では、私の知らなかったことが、この番組では続出した。民生局へ草案作成を指示したとき、マッカーサーはその指針となる文書(マッカーサー・ノート)を渡していたが、そのなかの戦争放棄に関する文面では、自衛権を放棄する内容が明記されていた。民生局次長のケーディス大佐は、「どんな国であれ、攻撃されたときには守る権利を持っていることは、当然の権利である」(生前のインタビュー)として、マッカーサーの指示を修正して、草案では「国権の発動たる戦争は、廃止する。いかなる国であれ他の国との紛争解決の手段として武力による威嚇または武力の行使は永久に放棄する」とした。
 
7.政府案確定にいたるGHQとの折衝
 この点についても、詳しく折衝過程が描かれているが、省略する。

8.国会での審議と修正
 3月6日、政府は突如新憲法草案を公表した。その内容をめぐって、極東委員会は激しく反発した。発足後10日にして、この事態に直面して、既製事実を突きつけられたのだから、アメリカ以外の10カ国理事がびっくり仰天し、怒ったことは理解できる。さらに、天皇制が象徴とはいえ残されていたこと激しく反発したのだ。極東委員会の記録によると、のべ100回の会議が重ねられることになった。
 並行して日本の国会の審議も進行した。小委員会での審議過程のなか政府案はいろいろ修正されていくこととなった。その主要点のみ挙げておく。
 ・第25条の生存権が付け加えられたこと。
 ・義務教育の年限を引き上げたこと。(GHQ草案では、初頭教育のみ)
 ・戦争放棄条項の修正 小委員会では、「日本は平和を愛好し、国際信義を重んずることを国是とする」、「泣き言的な消極的な形でなく、自ら積極的に戦争を放棄するのだ」「高らかに世界に宣言するのだ」というような意見が圧倒的な支持を集めて、9条は大きく修正され、憲法前文とともに平和主義を鮮明にしたものになったのだ。
 この国会審議過程も詳しく描かれているが、詳細は省略する。
コメント (11)
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日本国憲法の成立をめぐって    千里眼

2007年04月30日 14時57分05秒 | Weblog
日本国憲法の成立をめぐって その1

 少々の修正は加えられたが、基本的にはGHQの作成した案によって、日本国憲法は成立したのだ、と私は思っていた。与えられたと言っても「いいもの」は守っていくべきなのだ。日本国憲法の内容は、世界に誇れるものなのだ、と考えていた。ところが、調べれば調べるほど、この日本国憲法には日本国民の知恵が生かされていることに気づく。アメリカに押し付けられたという評価が間違っているのに気づかされる。

 法学館憲法研究所の池田香代子氏は、サイトのなかで次のように書いている。
 「私は鈴木安蔵さんの試案を見て、すごく不思議な思いに駆られました。それはGHQの憲法案に似ているだけでなく、‥‥自由民権運動‥‥その中で土佐の植木枝盛が書いた憲法案である『東洋大日本国国権案』にもよく似ていたからなんです」と。

 日本国憲法の成立過程を調べるには、国会図書館のサイトがよい。ここには、日本側の文献、生の史料・資料、関係する個人のメモなども漏れなく収録されている。それゆえ、日本人の手になる憲法草案・私案もすべて集められている。それだけではなく、アメリカ公文書館の資料も憲法に関連する基本的なものはすべて収録されている。GHQの憲法問題の責任者だったホィットニー、直接の担当者だったラウエルのメモまで収録しているのだ。何よりもすばらしいのは、そうした文献、資料がすべて「テキスト」という形でその全文を見ることができるのだ。ただし、私は残念なことに英文を読めないので、GHQ関連の資料は読めないのだ。翻訳して日本文が添付してあると、助かるのだが。
 ただし、このサイトに紹介されているのは、所蔵している膨大な資料のうちのほんの一部である。しかし、重要と思われるものは、ほぼ網羅しているのではないかと思われる。

 さらに、よいことには時系列で配列し、内容ごとに簡単な概説が加えられている。それが、そのまま日本国憲法制定史の簡単な概説書になるようになっているのだ。さらには親切に、年表や人物紹介まで付けているのだ。このサイトを作った人の苦労がしのばれる。この優れものを利用しない手はない。

 GHQ・マッカーサーは一貫して、日本が自主的に新憲法を作成・制定することを望んでいた。日本側の憲法改正の動きのきっかけなったのが、1945年10月4日の近衛文麿国務相(東久邇宮内閣)とマッカッサーの会談であった。その席上、近衛が政府組織についての意見を求めたのに対し、マッカッサーが「憲法ハ改正ヲ要スル」と示唆した。これを受けて、日本側の憲法改正の動きが活発化することとなった。

 10月13日、幣原喜重郎内閣は、正式に憲法改正案作成の着手に取り組むことを決め、松本烝治国務大臣を委員長とする憲法問題調査委員会の発足が決定した。この結果、憲法改正作業は、近衛を中心とする内大臣府と政府の機関である憲法問題調査委員会の両者で進められることになった。

 こうしたなか、日本国内では各種組織の案や、学者その他個人の私案など、相次いで発表されるようになり、憲法改正へ向けた日本国内の気運の高まりがみられた。日本自由党・進歩等や社会党など各政党もそれぞれ試案を発表していった。これらの改正案はほとんどすべて、明治憲法の一部手直し程度の案で、明治以降の天皇制をそのまま受け継ぐような案であった。

 民間での憲法制定の準備・研究を目的として結成された「憲法研究会」は、改正案「憲法草案要綱」を発表し、GHQにも提出した。この内容は民主的な内容で、他の案とは大きくことなるものであった。国民主権の原則を採用し、天皇は「国家的儀礼」を司るとものして天皇制を残すという内容のものであった。

 民生局のラウエルはこの「憲法研究会」の案「憲法草案要綱」に注目し、これに綿密な検討を加え、その所見をまとめた。(ラウエル・メモ)彼は、憲法研究会案の諸条項は「民主主義的で、賛成できる」とし、かつ国民主権主義や国民投票制度などの規定については「いちじるしく自由主義的」と評価している。憲法研究会案とGHQ草案との近似性は早くから指摘されていたが、1959(昭和34)年にこの文書(ラウエル・メモ)の存在が明らかになったことで、憲法研究会案がGHQ草案作成に大きな影響を与えていたことが確認された。

 翌年にはいって、政府の憲法調査会の草案作りはやっとまとまってきた、2月1日の毎日新聞が、その草案をスクープして紙上に全文を掲載した。その内容は明治憲法の一部手直し程度のものなので、それを見て憤ったマッカーサーはただちに、2月3日にホイットニーに憲法案作成を指示した。わずか1週間で民生局は改正案を作成し、マッカーサーに2月10日に提出している。

 GHQがこれまでの政策を転換し、GHQの手で改正案を作っているということをまったく知らなかった日本政府は、憲法調査会案の受け取りを拒否され、2月13日にGHQ草案が手交されたのである。この時の政府関係者の驚愕は大きかったそうである。


日本国憲法の成立をめぐって その2

1.ポツダム宣言受諾に際しての米国政府内の意見対立
 8月10日の御前会議で国体護持を条件にポツダム宣言受諾を決定した、日本政府は中立国を通じて、「国体護持」を条件に受け入れると、連合国に申し入れた。それを受けてアメリカ政府はその取り扱いを検討する。そのホワイトハウスでの会議は長時間にわたった。スチムソン陸軍長官は、「流血の硫黄島、沖縄の繰り返しを避けるため」と「ソ連軍の日本本土侵攻を避けるため」に、この条件を認めるべきだと主張した。軍関係者は賛成したが、バンーンズ国務長官は強烈に反対し、あくまでも無条件降伏であるべきだと主張し、会議はまとまらなかった。翌日、トルーマン大統領は、妥協案を採用し、バンーンズ回答書が日本へ伝えられることになった。
 それは「天皇および日本政府の国を統治する権限は連合国最高司令官に属する」、「日本の究極的政治形態はポツダム宣言に従い、日本国民が自由に表明する意思に従い決定される」というものであった。日本は8月14日の午前会議で最終的に受諾を決定したのだ。
 バンーンズ回答書の前者は天皇を残した形での間接統治、後者は天皇制については日本国民の意思にまかせる、という内容である。そして、この回答書が、その後の天皇の戦争責任を免責する根拠になっていくのである。
 
2.アメリカ政府の日本占領基本政策-(省略)
 
3.憲法制定についてのGHQの基本的態度
米国政府の憲法改正についての基本方針は「日本の統治体制の改革」(1946年1月7日)に始めて記されている。「選挙民に責任を負う政府の樹立、基本的人権の保障、国民の自由意思が表明される方法による憲法の改正といった目的を達成すべく、統治体制の改革を示唆すべきである」とし、憲法改正は、日本側が自主的に行うように導かなければ日本国民に受容されないので、改革の実施を日本政府に「命令」するのは、「あくまで最後の手段」であることを強調している
『日本側に自主的に作らせる』というこの方針を、マッカーサーもGHQも受け継いでいたことは明らかである。GHQ文書、その幹部のメモを見てもそう言える。

4.日本側の憲法改正案の内容とその特徴
 幣原内閣の閣議で研究開始を決定したのに続いて、民間でも様々な議論が交わされ新聞紙上を賑わせた。
 幣原内閣の「憲法問題調査委員会」の案がまとまるのはよく1946年2月2日のことであった。その前日の毎日新聞のスクープで、その内容を知ったGHQは、そのあまりにも時代錯誤的な内容に驚いたのだ。
  第一条 日本国は君主国とする。
  第二条 天皇は君主にして此の憲法の条規に依り統治権を行う
  第三条 皇位は皇室典範の定むる所に依り万世一系の皇男子孫之を継承す
  第十条 天皇は行政各部の官制及び官吏‥‥を任命す
 「わが国は君主国であり天皇は統治県を総攬する根本原則には些かの変更もなく」と説明しているように、明治憲法をそのまま引き継ぐ内容であった。驚くべきことには、勅令の発布権まで天皇に認めているのである。

5.GHQの政策・態度の転換
 この『毎日新聞』によるスクープ記事は、GHQが日本政府による自主的な憲法改正作業に見切りをつけ、独自の草案作成に踏み切るターニング・ポイントとなった
 マッカーサーは、ただちに憲法改正を日本側にまかせる態度を転換し、2月3日に民生局へ憲法草案の作成を指示した。ラウエルらはわずか1週間で原案を作成し、マッカーサーは2月12日にその草案を承認した。
 ラウエルは、GHQ草案作成にはいる以前に目を通した、憲法研究会の案「憲法草案要綱」に注目していた。ラウエルがこれに綿密な検討を加え、その所見をまとめたメモが国会図書館に所蔵されている。彼は、憲法研究会案の諸条項は「民主主義的で、賛成できる」とし、かつ国民主権主義や国民投票制度などの規定については「いちじるしく自由主義的」であると評価している。
 GHQ草案作成をわずか1週間で仕上げるには、この検討済みで内容に賛成していた憲法研究会案を下敷きに使う以外に道はなかった、

6.憲法研究会の「憲法草案要綱」の内容
 憲法研究会のメンバーは、高野岩三郎、馬場恒吾、杉森孝次郎、森戸辰男、岩淵辰雄、室伏高信、鈴木安蔵の7名である。
 その草案の内容を次に示す。(条文を部分的に次に引用する)

 国家の統治権にかかわる部分では、国民主権を明確にし、天皇は国家的儀礼のみを担当するとしている。現在の象徴天皇制とほぼ似た内容である。
一、日本国ノ統治権ハ日本国民ヨリ発ス
一、天皇ハ国政ヲ親ラセス国政ノ一切ノ最高責任者ハ内閣トス
一、天皇ハ国民ノ委任ニヨリ専ラ国家的儀礼ヲ司ル
一、天皇ノ即位ハ議会ノ承認ヲ経ルモノトス

 国民の権利義務については、国民の請願権、発案権、国民投票権を規定するなど、すぐれた内容を持っている。
一、国民ハ法律ノ前ニ平等ニシテ出生又ハ身分ニ基ク一切ノ差別ハ之ヲ廃止ス
一、国民ノ言論学術芸術宗教ノ自由ニ妨ケル如何ナル法令ヲモ発布スルヲ得ス
一、国民ハ国民請願国民発案及国民表決ノ権利ヲ有ス
一、国民ハ労働ニ従事シ其ノ労働ニ対シテ報酬ヲ受クルノ権利ヲ有ス
一、国民ハ健康ニシテ文化的水準ノ生活ヲ営ム権利ヲ有ス
一、国民ハ休息ノ権利ヲ有ス国家ハ最高八時間労働ノ実施勤労者ニ対スル有給休暇制‥‥
一、男女ハ公的並私的ニ完全ニ平等ノ権利ヲ享有ス

 上記の「国民ハ健康ニシテ文化的水準ノ生活ヲ営ム権利ヲ有ス」という条文は、現憲法の第25条「すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」という形でそのまま生かされている。この生活権・生存権の考え方は、欧米の基本的人権の理念のなかには含まれていなかった内容である。したがってラウエルらが考え付くはずはない。明らかに、この憲法研究会案を下敷きにした証拠である。
 民生局内部の原案作成作業について、一連の作業経過が分る資料が国会図書館に所蔵されている。この分析をする余裕は今回なかった。

6.まとめに代えて
 保守系論客の言う「日本国憲法はアメリカが押し付けたものだ」という見解は誤っていることは、以上の私の分析で理解してもらえるはずである。
 1946年2月2日以前においては、アメリカ政府もGHQも一貫して、日本が自主的に憲法改正を進めることを期待していたのは明らかである。これを否定することは、きちんとした資料が残されている以上、不可能である。

 では、2月3日のマッカーサー民生局への指示については、私はこう思う。松本烝治ら政府案作成にあたった人たち、幣原喜重郎首相は政権中枢の人たちの、あまりにも時代錯誤的な暗愚さがこの結果を生んだと言わざるを得ない。天皇制を明治期と同じ形で温存することの不可能なことは、明らかであったにも関わらず、明治憲法の部分的手直しで連合国側が受け入れるであろうという甘い観測がどこから出てきているのであろうか。彼等の手記や関連メモが残されているので、こうした分析も可能である。

 民生局のラウエルが、わずか1週間でGHQ草案をまとめた経過は前に述べたとおりである。あきらかに、憲法研究会の「憲法草案要綱」を下敷きにしていたであろうことも前に述べたとおりである。
 保守系論客や自民党など改憲論者が「アメリカに押し付けられた」という主張は、憲法第9条を改正の理由付けに利用しているのに過ぎない。
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昨日のNHKスペシャル  楽石

2007年04月30日 10時18分38秒 | Weblog
昨日のNHKスペシャルを見損なってしまいました。
どんな内容だったのか?
ご覧になった方がいらしたら教えて下さい。

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映画「戦争をしない国 日本」のご紹介 キャッチホン

2007年04月29日 21時14分47秒 | Weblog
「戦争をしない国 日本」という映画が完成し、
各地で上映が始まっていることを知りました。
すでにご存知のことかもしれませんが、ご紹介します。

映画は、
 ドキュメンタリー映画「シリーズ・憲法と共に歩む」第1篇
 「戦争をしない国 日本」(監督・脚本:片桐直樹 )
というものです。

この映画についてはhpが開設されていて、
予告編を見ることもできます。
具体的にはこちらをご覧ください。

 http://www.filmkenpo.net/

その要点を以下のように抜書きさせていただきました。
参考にしていただければと思います。

この映画は憲法公布60周年にあたり、
日本国憲法とその平和主義をめぐる規定がなぜ、どのように誕生したのか、
それは日本社会と国際社会にどのような役割を果たしてきたのか、
日本国民と各階層はそれをどのように受けとめてきたのか、などについて
歴史的な映像によって検証するものです。
具体的には次のような映像によって構成されています。
●「戦争」に備える自衛隊 - 自衛隊の存在と役割、米軍再編を問う
●なぜ日本国憲法は「戦争放棄・戦力不保持」を謳うことになったのか
●自衛隊の発足と海外派遣の背景にあるアメリカの意向~その歴史の事実を知る
●基地反対闘争・安保闘争・核兵器廃絶のたたかいを学び国民の力を再確認する
●自衛隊の海外派遣がすすめられ、いよいよ「憲法改正」を唱える内閣が発足
●「九条の会」など憲法改悪反対運動の高揚

<成功させる会呼びかけ人代表>
小山内美江子(脚本家)/伊藤真(「伊藤塾」塾長)/香山リカ(精神科医)/
鬼追明夫(元日弁連会長)/  品川正治(経済同友会終身幹事)/
橘祐典(映画監督)/辻井喬(作家)/山田洋次(映画監督)
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憲法9条シール投票の結果です!! まもる

2007年04月29日 16時50分02秒 | Weblog
四月五日にこのブログで紹介しました「憲法9条、国民投票(シール投票)」を今日、八事の森まつりの行われている興正寺前で行いました。
 全国81市町村で展開されている運動の一環です。
 それぞれの地域で「憲法9条、守る?変える?}の模擬国民投票をして、市民の意識を知り、それをきっかけにこの問題で市民との対話を深めようという試みです。
 結果は
  守る・・305人70% 変える・・54人12% わからない・・83人18%
 でした。 
五月三日憲法記念日にも10時から鶴舞公園正門で実施し、市民の方との対話を深めたいと計画しています。

   

 今日の興正寺前のシール投票では、いつもの宣伝活動とはまた違った経験が出来ました。
 通行人の多くが関心を示してくれ、四割近くの人がシールを手にしてくれました。戸惑って意味を確かめる老婦人の方、さっと「変える」に貼って、一言つぶやいて去る髭の老人。「ここに貼るのよ」と子どものシールを「守る」に貼っていくママ。「何処に貼るんだおまえ、俺たち死ぬんだぞ。」と言って「守る」に貼る高校生。
 「変えなきゃだめ。戦争になったらどうするの。」という元気なおばさん。
 「変える」に貼りそうな人に「アメリカと心中ですよ。」と言いたくなるのを抑えて、親子でもできない「9条会話」を人々と交わす事が出来ました。

 とても楽しい時間でした。5月3日10時から鶴舞公園正門で再びやりますのでぜひ立ち寄っていただき、お手伝いください。
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万世一系は良いか?  楽石

2007年04月28日 12時56分00秒 | Weblog
愛国心を主張している人たちのなかには
日本は万世一系だから、素晴らしいという考えを
持っている人が多いようです。
しかし万世一系は、本当に良いのか?
案外、難しいのではないでしょうか?

昔の人のなかに日本は万世一系だから
ダメなのだという意見があったことを
紹介しておきたいと思います。

誰だか忘れてしまいましたが、
その理由だけは記憶しています。
「中国のように易姓革命がないから、
日本は強い国になれないのだ」と。

この人は愛国心を持っていたから
こう言ったんでしょうかね?

  今日の天気は


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イラク特措法改正案についての首相への公開質問   ネット虫      

2007年04月27日 11時43分26秒 | Weblog
  2007年4月25日
内閣総理大臣 安倍晋三殿

       「イラク特措法改正に関する公開質問状」


政府は3月30日、7月末に期限が切れるイラク復興支援特別措置法の改正法案を閣議決定し国会に提出しました。この法案提出の理由として久間防衛大臣は「国連並びに多国籍軍が復興と安全確保活動を行っており、その支援のために航空自衛隊の輸送活動が必要だという要請がある」と述べています。

イラクの現状をみるに、治安状況は悪化の一途をたどっています。2万人以上の米軍の増派を受けて行われたこの新治安作戦によっても状況は改善される兆しはみられません。また治安の悪化が宗派間の対立によって引き起こされている面があることは確かですが、宗派対立が激化するに至った占領政策の影響も無視することはできません。さらに米軍を中心とした多国籍軍による空爆、狙撃、家宅捜索、捕縛・拘束がイラクの人たちの生命と安全に危険をもたらしていることも大きな問題です。

イラクにおいて人道復興支援活動を行っている私たちは、アメリカによるイラク開戦の正当性と占領政策そして主権移譲後の治安作戦の妥当性に対して強い疑問を抱いています。そして日本政府がイラク戦争を支持した小泉政権の外交政策の検証もないままイラク特措法を制定したこと、さらにイラクでの自衛隊の活動についての情報が十分に公開されず、その妥当性の検証もされぬまま自衛隊の派遣が延長し続けられることに危機感を感じざるをえません。

私たちは、多数の民間人の命が失われ続けている現在のイラクの治安状況が一刻も早く改善されることを期待しています。そのために日本政府はどのようなイラク支援の方策をとるべきなのかについて、「人道上の危機」と言われるまでの治安の悪化を招いた原因と責任がどこにあるのかの検証を踏まえた上で明らかにする必要があると考えています。

イラク特措法改正の国会審議に当たり、日本政府に以下の質問に答えていただき、日本とイラクの市民に対して説明責任を果たしていただきたいと思います

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(1)多国籍軍の活動に対する評価について
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■派遣された多国籍軍は、治安回復に対し、いかなる成果を上げていると理解していますか。
■その評価・検証は行われていますか。
■もし、まだ評価が行われていないのであれば、今後、いつどのような形で評価が行われる予定ですか。

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(2)自衛隊派遣の評価について
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特措法の改正案を国会で議論するに当たって私たちはこのイラク政策見直しの重要な局面において、イラクへの自衛隊派遣の評価を踏まえた議論が必要だと考えます。
■2006年7月に撤退した陸上自衛隊および航空自衛隊の活動の評価はされているのでしょうか。
■評価をしていないとするならば、なぜしないのでしょうか。
■また評価をしていない場合、今後いつ、どのような形でするのでしょうか。

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(3)航空自衛隊派遣の非代替性について
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航空自衛隊の活動として政府は、クウェートからイラクのバスラやバグダード及びエルビールの空港に多国籍軍や国連の物資や部隊を輸送していると説明しています。しかしイラク国内のこれらの空港にはロンドン、ウィーン、アンマン、カイロ、ドバイ等から民間商業便が就航しています。
■国連の物資や武装解除された多国籍軍の兵員や物資を輸送するのであれば航空自衛隊を派遣する必要があるのでしょうか。
■航空自衛隊による輸送が必要であるとするならばその理由を説明してください。

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(4)航空自衛隊派遣延長の効果について
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■自衛隊派遣の延長によってイラクの治安を回復し、人びとの暮らしを改善することに寄与するになると考えているのでしょうか。
■もし考えているのであればその判断の根拠を示してください。

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(5)イラク政府と多国籍軍による治安の回復に目処が立たない状況にありますが、もしイラク特措法を改正し航空自衛隊の派遣を延長した場合の出口戦略を説明してください。
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■どのような状態になれば航空自衛隊派遣の目的が達成されたとみなし撤退するのでしょうか。
■また航空自衛隊派遣の目的が達成されない場合、どのような場合に撤退するのでしょうか。
■多国籍軍の要請が引き続きある場合でも撤退することはあるのでしょうか。それはどのような場合でしょうか。

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(6)自衛隊派遣の政策判断について日本の国民とイラクの人々に対する説明責任を果たしていただくために陸上自衛隊と航空自衛隊の活動についてその情報を公開していただきたいと思いますが、
---------------------------------------------------------------------
■陸上自衛隊と航空自衛隊の活動についてその情報を公開できない活動があるでしょうか。
■また情報を公開できないものがあるとすれば、その理由は何でしょうか。
■自衛隊の活動内容を裏付けるものとして多国籍軍やイラク政府との合意文書は存在するのでしょうか。
■またその文書は情報公開できるのでしょうか。情報公開できないとした場合その理由は何でしょうか。

以上質問項目への回答をお願いします。

        特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター(JVC)
                           代表理事 谷山博史

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安倍さん陳謝  楽石

2007年04月27日 10時18分08秒 | Weblog
アメリカへ渡った安部さん。慰安婦問題で陳謝。
国内とアメリカでは言うことが違う。
私はこのダブルスタンダードに遺憾の意を表明したい。

どっちがホンネかは、誰も知っているけど・・・
せめて無言でいて欲しかった。

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誰でも分かる「保守の哲学」  文科系

2007年04月26日 11時25分16秒 | Weblog
今回のあなたの野蛮な物言いに潜むこれまた野蛮至極の「前提的命題、理論」を抽出して、最初の批判に変えましょう。

①人間争うもんだ。戦争のみならずこの人生も。今の世界、戦争が減ったとは到底言えないし、現代人間社会が「競争激化」だって?そんなのも永遠の昔から繰り返し繰り返し続いているだけのこと。今さら何を寝ぼけたことを!
②(①の「歴史的総括・本質論」から、今後の国家、個人の最大方針は以下。他の総ての「些事」はすべてここに奉仕すべきである)
A、国も個人もこの競争、現実に勝つことが眼目、幸福というもの!甘やかしたら、個人は不幸になるし、国は滅びるだけだ。
B、因みに「民主主義」なんて甘っちょろく、国や人間を弱くするだけのもの。夢見がちな坊ちゃんの、まー童話みたいなもんですな!
③さてさて、誰が何と言おうと以上が現実、以上が真理であるのだから、こういう真理にあった歴史資料だけ集めてくればよいのである。そのために「祖国の物語」を作る「歴史解釈権」を縦横無尽、自由闊達に行使しようではないか、日本の心ある男児諸君!
④以上が私、保守系の教育論、この「啓蒙」が私の人生。
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理屈と膏薬   楽石

2007年04月26日 09時42分46秒 | Weblog
今朝の中日新聞の「偏向」記事によれば、
首相肝いりの有識者懇談会が
集団的自衛権行使に道を開く、と報道。

懇談会のメンバーのひとりは
首相の外交ブレーンの岡崎元タイ大使。
集団的自衛権について、政府のこれまでの
憲法上問題があるという見解は、
「役人が言っているだけ、首相が国会で
行使できると答弁すればよい」と
述べているという。

この自衛権が承認されると、アメリカを狙った
ミサイルを日本のイージス艦が打ち落とせるとのこと。

アメリカが世界でスペインと日本にだけ
最新鋭のイージス艦を売った理由はこの辺にありそう。
(イギリスはさすがに愛国心があるから、
この問題が国会で討論されている)

   


大体、「集団的自衛権」なんてヘンな言葉。
軍事同盟でしょう。
軍事同盟が憲法に違反していることは誰でも承知。
さて、理屈と膏薬はどこにでもつくが、
どんな理屈を並べるのか?

理屈と膏薬の識者を「曲学阿世」の徒とはいうなり。

中日新聞もよく「偏向」した記事を一面に載せるね。
えらい。

   









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小さい記事だが、もの凄い運動!  文科系

2007年04月26日 00時01分43秒 | Weblog
概要はこういうことだ。
オランダにある公務員年金基金と医療機関年金基金とが「この4月中止」を既に決定していて、鉄道関連年金基金が5月に中止も含め検討という。この公務員年金基金は「年金基金として世界2位の規模を持つ公務員年金基金」と書いてあったのだが、世界の年金基金のなかで2位なのか、公務員年金基金で2位なのか、世界で公務員年金基金が他業種総ての中で2位ということなのかはともかく、投資金額が半端ではない。ロッキード・マーチンなど米企業への中止額が480億円、欧州企業へのそれが547億円とあった。

「欧州ではベルギーなどの金融機関が同爆弾の製造企業の『ブラックリスト』を作成、投資を中止しており、投資自粛の流れが定着し始めたと言えそうだ」と、このニュースは僕も聞いたことがあるが、それにしても、近頃、朗報である。凄い圧力と思うから。

こういうブラックリストがいっぱいできると良いな。ついでに、ブッシュへの高額政治資金提供企業とか、原水爆製造企業とかも、誰か知ってたら、教えて。
金融機関などの大企業が、こういう「危機管理」に踏み出していくとしたら、「大企業は敵」という理論も一定の修正が必要とされるのではないか。
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平和の砦「ピースあいち」オープン!!    まもる

2007年04月25日 01時56分38秒 | Weblog
 5月4日にオープンする「戦争と平和の資料館」⇔「ピースあいち」は、単に戦争の惨禍を展示するだけではなく、次代の平和のために市民がともに創り上げる、アクティブな資料館、平和の砦にしようと多くの市民の参加を呼びかけています。

 ピースあいちは、次の四つの機能を持った行動的な平和資料館を目指しています。

 ①戦争資料の展示・・「愛知の空襲」「十五年戦争の全体像」「戦時下の暮し」「現代の戦争と平和」について写真やパネル・実物資料・映像などで分かり易く展示する。

 ②学習の場・・・・・子どもから大人までが、平和について学び、考え、行動するための学習の場を提供する。

 ③交流の場・・・・・訪れた人が語り合い、様々な情報を交換し、楽しく交流で
きる場を設ける。

 ④発表の場・・・・・研究発表、演劇、コンサート、講演会、講習会など、市民の活動を発表できる場を提供する。

 つまり、平和を願う市民みんなが支え発展させていく平和の資料館を目指しています。

 ==開館オープニング・プログラムから==================

 ◎ 講演と音楽の夕べ 「今こそ、平和のメッセージを!!」
 
   5月4日 17時から19時 名東文化上劇場ホール ¥1500円
        
   講演・・「いのちと平和の尊さを、ここから」 早乙女勝元氏

   合唱・・松本三紀夫とコール・ロマンチェ

 ◎ 「ようこそ、ピースあいちへ」

   五月五日 開館11時  読み聞かせ・紙芝居など

   五月六日 開館11時  ゲーム・読み聞かせとミニ・コンサート

 ◎ 特別展示・・「ぞうれっしゃがやってきた」の原画展 3F
          5月4日から31日まで
=====================================

☆★☆ 戦争と平和の資料館「ピースあいち」

    場所・・地下鉄一社駅から北へ徒歩13分
                  名東区よもぎ台2-820
                  ℡052-962-0136

     開館日と時間・・火曜から土曜 (祝日も開館)の11時から4時
                     休館は日・月曜

     閲覧料・・・・・大人300円 小中高生100円
     
=====================================

 ※ 私もずーと待ち続けてきたこの地方の平和資料館です。ぜひ早く見学したいし。 微力ですが共に資料館を育て、平和に貢献したいと思います。

   
   
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全国学力テストについて    千里眼

2007年04月24日 18時30分51秒 | Weblog
 安倍首相の著書「美しい国へ」のなかで、「イギリスでは戦後、国が教育内容をチェックするという仕組みがなく、現場の自主性にまかされていた。そのため、数も満足に数えられない子どもが続出したのである。これを立て直すべく、まず国定のカリキュラムをつくり、全国共通テストを実施した。そして教育省から独立した女王直属の学校査察機関をつくり、五千人以上の査察官を全国に派遣して、国定カリキュラムどおりに教育がおこなわれているかどうかを徹底的にチェックした」(P204)、と述べている。この短い文章のなかにいくつもの誤ちがあるが、今はそれを問わない。ここでは、安倍首相の全国共通テストに対する熱い思いを読み取ってほしいのだ。

 安倍首相らの考えでは、日本の児童の学力水準は低下してきている、それは「ゆとり教育のせいだ。という認識があるものと思われる。「ゆとり教育の弊害で落ちてしまった学力」と「美しい国へ」でも述べている。OECDの世界の学力水準調査では、かって日本は一位であったのに、今やフィンランドにその地位を奪われ、やっと一桁の地位にとどまっているにすぎない、という思いがあるようだ。

 本当に日本の学力水準は低下しているのだろうか。その検証はきちんとおこなわれたのであろうか。OECDの学力水準調査の性質が3回ぐらい前(と思っているが)から変化してきている。知識の量を問う形から読解力や応用力を重視する内容への転換である。日本の児童の成績が低下するのは当然である。したがって、この調査を学力低下の論拠に挙げることはできないはずである。私自身は、この調査とはかかわりなく、感覚的に日本の学力水準は低下してきているのではないかと思ってはいるが。そして、それは日本における格差社会の進行と直接かかわっているのではないかと思っているのだが。

 「学力とは何か」という考察を深めることのない「学力水準テスト」に何の意味があるのか。テストの内容はどのようなものであったのか。各新聞、テレビのニュースを見ていても、この点についての論及がないのは、私にとっては不思議でならない。

 安倍首相は、「バウチャー制度」の導入を以前から主張している。つまり、自由競争の原理を教育の場に導入しようとしているのだ。犬山市教育委員会は「競争原理を教育現場に持ち込むことは市の教育理念と相いれない」として、全国の公立学校で唯一、全国学力テストへの不参加を決めた。各校の学力水準が、「バウチャー制度」での学校選択の一つの指標になるのは自明の理である。「バウチャー制度」と全国学力テストは構造的に連結しているのだ。

 学力水準世界トップの地位を連続獲得しているフィンランドで、このような全国学力テストがおこなわれてはいない。必要がないのだ。教育に対する政府の統制を排除し、教育現場にほとんどの権限をまかせているからである。

 教育三法の改正内容の諸点は、すべて安倍首相の著書「美しい国へ」に述べられている。見事なほど一致しているのである。そして、その内容は見事なほど、教育水準一位のフィンランドの教育改革とまったく正反対の方向を目指している。詳しくは、私のこのブログへの2月19日の投稿「フィンランドの教育改革」を見てほしい。
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「正気が試される時代」吉岡氏の一文。       ネット虫

2007年04月24日 11時36分03秒 | Weblog

「わたしたちの正気が試されている。」
  吉岡忍(作家)
  朝日新聞2007.4.19

人はだれも、廃墟のイメージを持っている。世の中が崩れ、終末を迎えるときの光景だ。普段、口にこそ出さないが、人間の心の底にはそういう不気味なものが必ずある。長崎の伊藤一長市長に対する銃撃事件を知ったとき、とっさに私は、世の中が壊れていくと思った。
世の中の終末を、真っ暗な闇だという人もいるだろう。別の人は、紅蓮の炎が渦巻き、建物が崩れ落ちていく光景を思うかべるかもしれない。多くの人間たちが狂気に駆られ、「殺せ」「やっちまえ」と叫んでまわるさまを思い浮かべる人もいる。新聞やテレビを通じて、戦争やテロの残酷さ、地震や津波の洪水の惨状を見聞きしている私たちには、この世の崩壊を思い描くことは難しくない。
だが、私にはそういうどぎついイメージはない。あるのはもっと淡泊な、あっさりした廃墟の景色である。 
まずそこは、きらきらと明るいにちがいない。人間たちは、自分以外のことは考えたがらない。あれを食べたい、これを着たい、この人が好き、あれもこれもしなくちゃ、と少し忙しく、少し幸福だ。しかし、自分の忙しさや快適さや幸せの邪魔になるものについては、おそろしく不寛容だろう。無視する、キレる、あるいはひょっとして殺すかもしれない。明るくて、無知。忙しくて、攻撃的。快適で不寛容。幸福で、暴力的。そんな人間たちがあふれかえった社会。それが、私が思い描く廃墟のイメージである。
今回の事件を知った安倍首相の最初のコメントに、私は失望した。首相は「捜査当局において厳正に捜査が行われ、真相が究明されることを望む」と語ったという。この人は、調べさえすれば、事件の動機や真相がわかると考えているらしい。
世の中はそんなに単純だろうか。幼女連続融解殺害事件や酒鬼薔薇事件を引き合いに出すまでもなく、ここ何年も、本当の動機を不問に付したまま処理された事件が相次いだ。被害者を自殺に追いやるいじめ、親子や夫婦や兄弟姉妹の間の殺し合いなど、きっかけの単純さと結果の凶悪さがどう結びついたのかを解明しないまま、この社会はただ犯人に厳罰を科すだけでやり過ごしてきた。
もうひとつ、イラク戦争のことも付け加えておくべきだろうか。当時のフセイン政権が大量破壊兵器を持っていると非難して始めたあの戦争は、アメリカ政府とそれを支持したイギリスや日本の政府の過ちだった。しかし、責任ある者たちは動機をごまかし、武力を誇示し、相手をねじ伏せてしまえばいい、とばかりに戦争をつづけ、暴力的風潮を世界中にはびこらせた。
伊藤市長を撃った容疑者は、市道工事現場での自動車事故をめぐるトラブルがあったとも伝えられる。そこでキレて、市長を殺したとしたら、いくら捜査しても、あぜんとするほどの短絡さが浮かび上がるだけだろう。そこにあるのは無知と攻撃性、不寛容と暴力だけである。この短絡した行為が民主主義を壊してしまう。歴史と文化、知識と知恵に鈍感な者たちが始める戦争と同じことをする。それこそが、世の中の終わりなのだ、と私は思う。繰り返せば、その薄い表面を明るさと忙しさ、快適さとちょっとした幸せが覆い、飾っている。
世界は終わらない。終わったためしなどないのだが、明るい廃墟は人間の生きる場所ではない。どこのだれが行使するのであれ、武力と暴力にノーを言い続ける、私たちの正気が試されている。

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教育三法が変えられる。  楽石

2007年04月23日 10時57分24秒 | Weblog
義務教育の目標に愛国心を。
など、安倍さん肝いりの教育の改革。
どこへ行くのか?

   

青少年に判断力や批判力を与える必要はない。
自動車、オートバイ、美しいスター、刺激的な音楽、流行の服、
そして仲間に対する競争意識だけを与えてやればよい。
青少年から思考力を奪い、指導者の命令に対する服従心のみを植えつけるべきだ。
国家や社会、指導者を批判する者に対して、動物的な憎悪を抱かせるようにせよ。
少数派や異端者は悪だと思い込ませよ。
みんな同じことを考えるようにせよ。
みんなと同じように考えない者は、国家の敵だと思い込ませるのだ。

ヒトラーが宣伝省のゲッペルスに語ったとされる言葉。

  

今回の教育改革。
子供たちに、この階段を上らせようとする意図がありそう。

でも、世間は平穏。
時代の転換点は、かくも静かなんでしょうか?
間違いなく、時代は右に・・・

  右足の次も右足そしてまた・・

まっすぐ歩くには、右の次は左だよ。



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