九条バトル !! (憲法問題のみならず、人間的なテーマならなんでも大歓迎!!)

憲法論議はいよいよ本番に。自由な掲示板です。憲法問題以外でも、人間的な話題なら何でも大歓迎。是非ひと言 !!!

世界43位の貧乏国が、さらに・・?  文科系

2022年04月29日 14時21分19秒 | 国内政治・経済・社会問題

 世界比較の個人貧富度の日本順位が、今また急降下した。単純計算だが、多分43位ほどに。訳はこういうことだ。

 円が20年ぶりかの急落である。国民一人当たりGDPにも名目と購買力平価とのふたつがあるが、ガソリン、食糧などに関わって購買力平価で比べるのが正しくって、これで言うと日本はまたまた貧乏になった。1ドル110円が130円になったとして20%近い落ちようだから、30位であった20年度の購買力平価順位表から換算して言えば、世界43位ほどの貧乏国になってしまうということだ。先進国と言われるOECD・経済協力開発機構加盟国では最下位なのではないか。ガソリン、食糧全部上がっていき、リーバイスや牛肉などはもはや99%には買えない国になってしまった。ウルグァ産の牛肉でさえ今やグラム200円で、豪州産と並び始めた。というよりも、ウルグァイ産に負けた豪州肉が値下がりした。これからは、両方一緒になってグラム300円などとなるのではないか。

 ところがさてさて、今日の朝日新聞の朝刊。有名なディーラー・藤巻建史氏の談話が載っている。その見出しも「日銀の債務超過危惧 1ドル500円、国債投げ売りも」とあるではないか。はたして、安倍晋三「アベノミクス・財政ファイナンス」に危惧・予言された日本売りが、今到来する? 安倍・戦後最長政権のとんでもない爆弾・置き土産。こんな人物がいまだ自民党最大派閥のボスというのだから、有権者もよほど考えないと国家累積赤字借金分が全部むしり取られるぞ。いやもう始まっている、復興税とかで・・・。2037年まで続くんだっけ?

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米、対ロ世界戦線司令官に    文科系

2022年04月28日 16時53分46秒 | #ウクライナ戦争#マウリポリ陥落#アゾフ大隊

 今、ロシアのウクライナ侵攻に対して、アメリカが「対ロ世界戦線最高司令官」に躍り出てきた感がある。まずいくつかのその例を上げてみるが、これはとてもおかしなことじゃないかと、気付き始めた人々も多いはずだ。

 まず、今日の朝日新聞「天声人語」にこんな下りがあった。
『ウクライナ側は、米国などから渡された武器を使って対抗している。武器供与は今後も続くという。気がかりなのは、オースティン米国防長官による勇ましげな言葉だ。米国の目標について、「ウクライナ侵攻のようなことができない程度に、ロシアが弱体化することを望む」と語ったという。自衛のための支援が、いつからロシアつぶしに変わったのか』

 次は、本日の日刊ゲンダイの記事から。
『ブリンケン米国務長官が26日、上院外交委員会の公聴会で、6月下旬にスペイン・マドリードで開催予定のNATO首脳会議に日本が参加すると明言。ロシアによるウクライナ侵攻について「日本が素晴らしい形で立ち向かった」と称賛してみせた。(中略)
 ブリンケン発言は、NATO拡大を忌み嫌うプーチン大統領を刺激したに違いない。松野官房長官は会見で「日本の出席については何ら決まっていない」と慎重だったが、内心は大慌てだったようだ。
「ブリンケン発言は、日本側と調整せずに突然飛び出したとみられている。11日にはバイデン大統領が、インドとの首脳会談の場で、日米豪印の4カ国からなるクアッドの首脳会議を『5月24日に日本で行う』と突然公表。まだ水面下で調整中だったのに、『5.24』と日付までブチ上げられ、岸田官邸はてんやわんやでした。この時も松野長官が『具体的な日程は決まっていない』と火消ししていた。米国は先手を打って情報を出し、重要日程の既成事実化を図っているフシがある」(官邸事情通)』

 ちなみに、クアッドの一つインドは、米ロ間で中立と言うよりも、国連総会決議などでアメリカを疑惑の目で見始めていることはすでに有名な話である。

 さて、アメリカはいつから、対ロ世界戦線の総司令官になったのか。他国がまだ決めていない「軍事外交方向」の決定を予告する「世論操作」にまで打って出たとあっては、その国は米軍支配下の司令官(国)も同じではないか。ただでさえ世界のウクライナ戦争ニュースにニューヨーク発が多くなりすぎて、米の「ウクライナ戦争・世界世論操作」が急なのに(朝日新聞でさえ、そうだ。米の大本営発表をそのままに報知している)、こんな事までしているのである。僕に言わせれば、このウクライナ戦争はもうイラク戦争と同じ性質のアメリカ「ドル=石油世界体制死守」という世界支配の一環と証明されたようなものなのに。

  この戦争とアメリカの世界地政学・ドル世界(金融資本主義)体制とを結びつけて考える日本人はごく少ないと思う。が、これが見えなければこの戦争の本質が見えていないに等しいはずだ。それは、イラク戦争についても同じことなのだが、9日の拙ブログにおいて真田幸光 愛知淑徳大学教授が現下の米世界地政学・ドル世界体制死守がこの戦争の片面の本質だとしっかり述べているのを紹介している、それと同じ「ウクライナ戦争はアメリカが関わってこそ起きた」論なのである。
 今のドル(で)石油代を支払う世界体制があるからこそ、ドル世界通貨体制が守られ、GDPの4倍もの米国家累積赤字(日本は2倍と言われているが、その倍)や、毎年打ち続いた大きな米貿易赤字やがあってもドルが下がらないという超大国恩恵をアメリカは享受してきた。そのためにこそ、石油(天然ガス含む)=ドル体制を崩そうとする国はすべてアメリカの戦争相手にされてきたのである。フセイン・イラク、カダフィのリビアは滅ぼされ、ベネズエラ、イランも訳の分からん「悪の枢軸国」扱いをされて、有志国を募る戦争さえ呼びかけられてきた国だ。この4国の石油埋蔵量世界順位はそれぞれ、5位、9位、1位、4位で、ロシアが8位なのだ。しかも今回のロシア侵攻は、西欧へのノルトストリーム2を完成させるやいなや起こったもの。つまり今回も、アメリカによってロシアがウクライナに煽り出されたという仕組が存在し、働き続けてきたと、このブログではここまでその証拠などを提示してきたつもりである。もっとも、煽り出されたプーチンが「右翼ポピュリズム独裁体制に固有の弱みを突かれた」戦争犯罪国の極悪指導者であることには変わりはないのだが。

 ちなみに、このロシア孤立化・「世界の敵」化の先に、中国を裸にして「トゥキディデスの罠」戦争よろしくこれを引きずり下ろす米世界地政学が存在するというのは、誰にも分かりやすいことだろう。アメリカは今や、物作りがすっかりダメになってバブル株価(とドル世界通貨体制と)だけで持っている国。そして、そのバブル株価が有効な内に世界の物作り企業を買い占めようとしている国。こういうグローバル金融資本主義米国の世界制覇をば、物作り国中国の台頭を打ち破って死守していくためには何でもやる国になっているのである。米金融が世界経済を握り尽くしたら世界の庶民の職業というものがどうなるのか、皆さん是非考えて見て下さい。

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ロ・ウ戦争、日本マスコミの偏向  文科系

2022年04月27日 08時14分01秒 | #ウクライナ戦争#マウリポリ陥落#アゾフ大隊
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安倍晋三氏の討論法  文科系

2022年04月26日 21時08分51秒 | 国内政治・経済・社会問題

 今日のデイリーのサイト記事に安倍晋三氏のこんな談話が載っていた。

『 安倍晋三元首相が26日、ツイッターに投稿。朝日新聞が24日付紙面の「社説余滴」で「また森友問題を取り上げていた」と指摘する投稿を引用し、安倍元首相は「相変わらずの朝日新聞。珊瑚は大切に」とツイートした。  朝日社説余滴は「森友問題の4月25日、28日」と題して、「真相が明らかでない問題を忘れてしまうわけにはゆかない」と切り出し、論じている。』

 この記事の安倍氏の言動にも政治家としての彼の答弁態度、やり方がとてもよく出ている。批判されていることにはなにも応えずに、相手を批判して返すやり方だ。全く関係が無いことを返すから、こういうことにしかならない。自分への批判、自分の悪事は脇に置いといて、それと全く関係ないことで「お前(の方が)悪いぞ」と応えている?のである。ここでは朝日記者の「珊瑚の傷捏造事件」を持ちだしているのだが、彼の国会答弁論法はいつもこれだ。これじゃ国会「答弁」の内容も猿山の猿のマウントの取り合いを仕掛けるだけ、まー喧嘩のすれ違い論にしかならないように彼の方から持っていくのである。つまり、彼の答弁はいつもマウント合戦、喧嘩なのである。これが「答弁」の積もりだから国会が品のないこと甚だしくなるだけでなく、自分が絡んだ大悪は何も明らかにならない「ウヤムヤ流」である。大悪を喧嘩論法で隠したまま煙に巻いて終わらせるということだ。何の反省もないから悪を重ねていく、典型的な悪人である。

 

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ロ・ウ戦争が証明した安倍晋三の馬鹿さ加減  文科系

2022年04月25日 19時00分16秒 | #ウクライナ戦争#マウリポリ陥落#アゾフ大隊
 ブログ友のブログに「早く引退して欲しい安倍晋三元首相」というエントリーがあった。それに僕がコメントを付けて、こんな応答があった。ここに再掲したい。「行雲流水の如くに」というブログです。
 
 
『9vs9qvsq  2022年4月24日
 ウクライナ戦争でもまた、安倍の馬鹿さ加減が白日の下にさらされた。NATOの盟主としてのアメリカにあれだけ警戒してきたプーチンが、米軍基地我が物顔のままの日本に、その最北端の列島を返還してくれると考えていたからこそ、安倍は粘っていたのだ。
 しかも、大金費やし続けたうえに、言われたようなあの「おだて上げ作戦」。自分こそ「オベッカ」に弱いのだろうが、相手もそうだと思い込んでいる馬鹿! そりゃ、官僚は「おだて上げ作戦」=忖度に染まるわなー!
 人品卑しいこんな馬鹿は、早く消えてくれ!
 
『 megii123 
文科系さん
安倍晋三の頭の中は、対米従属が前提でその範囲の中で中国や韓国に吠えるという弱い犬のパターンです。
プーチンに27回も会っていながらプーチンの腹の中が読めない「無知」をさらけ出し、それが恥ずかしいことだと思わない「無恥」、そして自分に反対する人々をこんな人たちと敵視する「無謀」な言動。
本当に早く消えてほしいものです。』
 
 物事への理解力が無いという意味でこんな馬鹿なお人が、どうして最大与党の最大派閥の長で居続けられるのだろう? この派閥の人々は、こんな愚かで品のない発想の「対プーチン、オベッカ作戦」に27回の会談分も国費を浪費してきた馬鹿に国会議員生活を預けているのである。安倍派議員は、主人と同じで全部こんな馬鹿なのだろうか? これが自民党最大派閥って、今となっては本当に不思議なことである。祖父と父の後光もあってか「選挙に強い」に目が行くだけの国会議員がそれだけ多いと言うことなのか。とにかく、この派閥の自民党議員は、まともな政治などやる気が無いこと丸わかりである。ただ当選すればよい議員集団。政策なども当選するためのその場限り、口から出任せばかりなんだろうな。
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随筆 戦争報道が正気と思えないから   文科系

2022年04月24日 03時42分32秒 | #ウクライナ戦争#マウリポリ陥落#アゾフ大隊

 気づいてみれば、二月から僕の心が大騒ぎを始めていた。過去に二度ほどやった精神疲労性の鬱病の症状さえ出ていたのだが、そう気づいたのはやっと最近になってから。初めはただ「もう八一歳、おかしくもなる年だ」とだけ、このおかしさを自分一身に引き受けていた。が、これは勘違いと二か月も時が経って気づいた。地球の一角で始まった大変な殺し合いを見せられているからだ、と。それよりも何倍も強く、この殺し合いの双方がともに極悪人どうしと分かったからであり、またこの周辺にいてこれを報道しているその世界大元の人々がこれまた戦争の当事者で嘘まみれ、大本営発表ばかりと知ったからだと、やっと自覚できるようになった。ちなみに、大本営発表とはこういうものだ。「身方はすべて正義。敵はすべて凶悪でこんなにも残酷」。

 「ブチャで大量殺人」「マウリポリの製鉄所地下の人々の運命は!?」。馬鹿じゃないか。戦争になったら当然、必然のこと。戦争は何でもありと誰でも知っているだろう。イラク戦争のアメリカについて、米軍ヘリコプターからイラク一般人群衆を機銃掃射しまくる映像さえ流れたぞ。スパイやスナイパーが混じっている可能性があれば、あるいは軍隊が一般人を防衛の楯のように同居させ、前面に出すこともあるのだから、こんな機銃掃射も戦闘の中では日常茶飯事のはずだろう。ただこの映像をやっとつかんで流した「自由と民主主義の女神のような人」は、合衆国重大国家反逆者として終生獄に繋がれ、米史上から抹殺されることになった。そしてこんどはそんな機銃掃射のような何でもありをただ映しはじめたのだが、マスコミは一体どうなっている、何が言いたいのだ? それもバラエティー番組の中に組み込んだような企画で、これじゃただの火事見物、野次馬(番組)じゃないか。

  戦争嫌いの僕は例によって、この戦争を起こしたプーチン・ロシアを今でも、どれだけでも非難する。だからこそそれだけでは済まず、一般マスコミ物の他にもここまでの詳しい経過などをいろいろ読まざるをえなくなった。そこで出会ったのが「プーチンもウクライナも英米によってこの『あまりにも愚策』へと追い込まれた」論なのである。すると、これを傍証するようなものをどうでも探したくなって、やっと一つ見つけた証拠が、これだ。

『「ヤツェニュクには政治と経済の経験がある。クリチコが入るとうまくいかないだろう。国際的に信頼されている人物を招いて一役買ってもらえるといいが・・・」
 政変のさなか、アメリカのヌーランド国務次官補とキエフ駐(ちゆう)箚(さつ)のパイアット大使のふたりが、この政変を支持し、暫定政権の人事について電話で話し合う様子がリークされたエピソード(BBC、二〇一四年二月七日)も、いまでは忘れられた感がある。
 果たしてその後、ふたりが描いた筋書きどおり、クリチコはキエフ市長になり(プロボクシングの元世界チャンピョンで、ロシア軍と戦う現キエフ市長である)、ヤツェニュクはマイダンで開かれた勝利集会で〝革命〟政権の暫定首相に指名される。』

 この文章の出典は、月刊誌「世界」四月臨時増刊号「続・誰にウクライナが救えるか」。二〇一四年マイダン革命当時のウクライナ政権人事をアメリカが握っていたと示されている。筆者はエコノミスト・西谷公明氏。早稲田の大学院を出て、長銀総合研究所、ウクライナ日本大使館専門調査員、その後トヨタロシア社長という経歴の東欧専門家である。

 

 

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八十路ランナーの手記(425) 「また一難」   文科系

2022年04月23日 07時18分53秒 | スポーツ

 一難去って、また一難。80過ぎのランは、こんなにも故障連動が続くのか! 13日に10キロ走ることができて「怪我からの完全復活!」と大喜びしたのもつかの間。15日も10・5キロやった次の18日、82分で11キロのその最後ごろに、左もも前部外側にごくごく軽い凝りというか筋肉疲労痛というか、これが次の日への兆候だったのである。20日、全く同じようにジムで注意して走り出して30分3・7キロを終える頃、そこがはっきりと筋肉痛。これを疲労痛と解して、プラス1キロ強走り増したのがいけなかった。夕方には、階段上りもそろり、そろりになってしまった。

 さてこの故障、前の怪我が左フクラハギだから、それを無意識に庇って走っていた結果なのだろう、そのしわ寄せが左腰近くに来たのだと思う。脚で地面をトーンとつついて走るその骨盤の付け根前外側に当たる箇所だ。さてそれから三日目の今朝までストレッチ以外はほとんど安静にしつつ、全く痛みが出ない爪先立ちトレーニングしかしていないくて様子を見ている段階だ。

 これで、2月の左手甲の怪我・ドクターストップに端を発して、3月中にふくらはぎ、そして今度だ。これだけラン・セーブが続くと流石に体組成も気になって測ってみたら、体重3キロ、体脂肪率1・5%ほど去年の秋から増えて、それぞれ57・8キロ、11・8%になっている。筋肉量48・3キログラムも1キロ以上、骨量も少々増えているのは去年秋からの走り込みのお陰だろうが、この体脂肪率増はちょっとショックだ。1・5%というと1キロ近くになるのだから、やはりランに影響するだろう。
 爪先立ちなど患部を使わない補強運動の他に、6年生になった女孫のハーちゃんにも協力してもらうサイクルツーリングで補強運動に努めたりしながら、様子を見ることにした。今日午後一緒に走る予定になっているが、僕にとって至福の時間になる「不幸中の幸い」。

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泥沼化ウクライナにアメリカ工作の証拠  文科系

2022年04月21日 22時55分00秒 | #ウクライナ戦争#マウリポリ陥落#アゾフ大隊

 ロシアが起こした戦争犯罪・ウクライナの泥沼はどこまでも続く様相になり始めた。それを示す出来事がいろいろ現れてきたのである。一旦大幅に値を下げたロシアルーブルは持ち直して、侵攻前以上にまで上がったし、一般市民を楯に製鉄所地下に立て籠もったマリウポリ・アゾフ連隊はすでに玉砕寸前に包囲されて久しく、クリミア半島とドンパスが繋がってしまった。製鉄所地下に残った一般市民とは以前の人道回路から敢えて出て行かなかった人々なのか、それとも強制的に残された人か、などと訝りたくなる。当面のこんな政府側敗勢を認め始めた証拠が、西欧が新たな重火器支援・拡大を加速させているとのニュース。この戦争が長期化する見通しになってしまった。


 さて、次なる論文をまとめてみたい。月刊誌「世界」4月臨時増刊号の「続・誰にウクライナが救えるか」である。筆者はエコノミスト・西谷公明。早稲田の大学院を出て、長銀総合研究所、ウクライナ日本大使館専門調査員、その後トヨタロシア社長などというウクライナ通、異色の人物である。この論文の書き出しと結論とを最初に紹介して、その中間を占めるものとして、筆者が脚で稼いだこれまでのアメリカ工作の数々を並べて、要約としたい。

 先ず書き出しである。
『最悪の戦争である。
 あらゆる戦争は常に悲惨である。だがしかし、この戦争は憎しみの果てに起きたのではない。
 この戦争が最悪であるのは、ロシアとウクライナが古くから兄弟国のような関係にあったためばかりではない。真の当事者が、実はウクライナとは別のふたつの大国、ロシアとアメリカであることが、戦火の中を彷徨える人々の悲惨さを一層際立たせている』

 そして、結論は、
『最悪の戦争にも終わりは来る。ウクライナが戦いつづけることができるのは、強力で、かつ効果的なアメリカとNATO諸国による援護あればこその話である。(中略)
 結局、この戦争を終えられるのはウクライナではない。なぜなら、冒頭で記したように、真の当事者はロシアとアメリカなのだから。ロシアはさらに深く傷つき、長く国際社会から孤立するだろう。バイデン大統領は2022年秋にひかえた中間選挙を見据え、同盟の結束と全体主義に対する民主主義の勝利を訴えてロシアを追い詰めようとするだろう。だが、アメリカはもはやかつての超大国ではない。西側世界のより大きな課題が強大化したもう一つの全体主義大国、中国への対処と、米・中の対立・競争にある点に変わりはない。その中国は静かなままだ。』

 さて、日本マスコミの論調には観られないこの文章の最要点、ウクライナ戦争一方の真の当事者はアメリカだったというその著者例証を抜き出してみよう。
 一つは、2014年マイダン革命が暴力革命に転化した時のスナイパーによるデモ参加者虐殺事件のこと。以下の内乱勃発に加えて筆者は、こんな数字も上げている。『(2014年から2019年までの)累計の死者数はその時点ですでに1万人を超えていた』。

『〝ユーロマイダン革命〟。いま、キエフ市民のあいだでそう呼ばれる政変は、数日間で警察官をふくむ80余名の血の犠牲のうえに遂げられた(正確な人数は報告によって異なる)。
「スナイパーの背後にいるのはヤヌコービッチではなく新政権の誰かだ」
 デモ隊と警察隊が衝突して二週間が過ぎようとする頃だった。EUのアシュトン外交・安全保障上級代表(以下、いずれも当時)とエストニアのパエト外相が電話で交わした会話の録音ファイルが動画サイトに流出した(産経、2014・3・6)。』

「ヤツェニュクには政治と経済の経験がある。クリチコが入るとうまくいかないだろう。国際的に信頼されている人物を招いて一役買ってもらえるといいが・・・」
 政変のさなか、アメリカのヌーランド国務次官補とキエフ駐箚のパイアット大使のふたりが、この政変を支持し、暫定政権の人事について電話で話し合う様子がリークされたエピソード(BBC、2014年2月7日)も、いまでは忘れられた感がある。
 果たしてその後、ふたりが描いた筋書きどおり、クリチコはキエフ市長になり(プロボクシングの元世界チャンピョンで、ロシア軍と戦う現キエフ市長である)、ヤツェニュクはマイダンで開かれた勝利集会で〝革命〟政権の暫定首相に指名される。』

 アフガン、イラク戦争はもちろん、シリア内乱にもアラブの春・リビアにも、アメリカの画策があったというのは世界既知の事実である。侵攻したロシアがいかに悪いにせよ、ウクライナ問題がこれだけこじれたのにもアメリカの世界地政学に基づくウクライナ内乱激化工作があったのである。つまり、これがなければこの戦争は起きなかったということだ。こういうアメリカが今ウクライナ問題で新たに「平和をもたらす国」のように立ち現れ直していることを、今後の世界平和目指すまっとうな世界世論のためにこそ大変危惧するものだ。

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ウクライナ関連拙文への友人ご批判に応える  文科系

2022年04月20日 12時14分31秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など

 当ブログのウクライナ関係拙文・拙考に対して、仲のよい友人から率直なご批判をメールで頂いた。彼に感謝しつつ、このような解釈もありうるかというところから、この応答をエントリーにしたい。なお、拙文は一部加筆修正した。

  友人によるご批判

『 九条バトルのウクライナ侵攻を拝読。これは極端にロシア思い。2014年の協定違反、レオナチスの暗躍、黒幕のアメリカ、中国を叩く前哨戦、イラク侵攻のアメリカの犯罪性を力説する。しかし肝心な今回のロシアの暴力、侵略、帝国主義、独裁政治には甘い。イラク問題でアメリカを叩く様に、ウクライナ侵攻でロシアを叩く。これができない。』


『 拙ブログのウクライナ戦争の件に、以下お応えします。
① 拙文のどれにも必ず、「ロシアの歴史的戦争犯罪は大前提として」と付しています。なんせ僕の立ち位置が何度もブログにも書いてきたように、「戦争を無くしたい。そのためには、将来的に国連とその(警察)軍とに世界国防体制がまとまっていって欲しい」というものですから。「江戸幕府の日本統一で徳川の平和があったように」という発想です。米国が、中国が国連に提案してきたような「国連軍による世界国防体制」でやっていこうと決めたらよいのにと述べてきました。
② 「その上で」2014年以来の「ドンパス戦争」(僕の用語ではなく、そういう戦争が続いてきたという学者論文からとりました。一例が、昨日の拙稿にある月刊誌「世界」4月14日臨時増刊号の「未完の国民、コンテスタブルな国家」松里公孝・東京大学大学院法学政治学教授)経過を観てきました。すでに一種の内乱戦争が起こっていたと示したわけです。それでも①は①なのですが。キエフを攻めるというのは、ウクライナを潰すこと、ドンパス戦争とは違いますから。念のために。
③ ついては、ウクライナ・ネオナチについて説明します。これは日本政府・外務省もアゾフ連隊などをそう認定してきた用語です。「ウクライナ・ロシア人への右派民族主義的ヘイトがドンパス戦争の一方の元」という②などの現象をそう捉えたのでしょう。
④ この戦争に関わるアメリカ批判についてですが、①の議論立ち位置からすると、現在どの戦争を論じてもこれにも触れぬ訳にはいきません。しかも、ドンパス戦争以来、アメリカがウクライナ・ネオナチをずっと支援してきたのは、最初のアフガニスタン戦争で親ソ派の政府を倒すためにタリバンを支援したやり口と同じと観てきました。

 最後ですが、僕はプーチンは大嫌い。戦争と同じように嫌いな、安倍晋三氏と同じようなポピュリズム独裁者(彼が独裁者であることはここで種々示してきた通りです。国会に諮らずに重大事項を決めたり、国権の最高機関・国会で何百と嘘をついたり、堂々と国家を私物化したりしてきた所業からのことです)と観ています。ただ、独裁者とか人権問題とかは、国際法上の知恵によれば内政問題と扱うのがよいのであって、「価値観外交」とやらで外からこれに干渉し出すと最後は戦争というもっと悲惨なエスカレートになるものと考えてきました。これは20世紀人類に初めてできた世界平和組織運営上の知恵の1つだと思います』

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2014年の「ドンパス戦争」   文科系

2022年04月19日 07時20分42秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など

   これまでのエントリーで、2014年ウクライナ・マイダン革命の暴力を焦点にしてこの戦争の淵源を観てきた。「地上から戦争を無くする」と言う立場の僕として、当然のことながらロシアの開戦を憎んでも余りあるものとしてのことである。

『(2013年末から14年初頭にかけての反政府運動において)2014年2月に突然、暴力革命の様相を帯びるに到り、ヤヌコビッチ(2010年の選挙でウクライナ南部、東部を基盤として選ばれた大統領)は国外逃亡に追い込まれます。その背後の事情は明らかではありませんが、整然たる市民運動のなかに過激な暴力を持ち込む極右勢力が紛れ込んだようであり、そのなかにはネオナチ的な人たちもいたようです。』(月刊誌「世界5月号」の塩川伸明東大名誉教授「ウクライナ侵攻の歴史文脈と政治理論」)』

  次いで、この塩川論文を一歩詳論した形の以下を紹介した。岩波新書「アメリカの制裁外交」(杉田弘毅元共同通信論説委員長、現在国際ジャーナリストの著作。2020年2月第一刷発行)から。
『 クリミア半島は帝政ロシア時代の19世紀から保養地として知られ、ロシア系住民が60%を占め、ウクライナ人は25%と少数派だった。黒海に突き出ている半島にはロシア黒海艦隊の基地があり、ロシア海軍が地中海に出る戦略的要衝である。
(中略)
 ウクライナでは2013年11月から親ロシアのビクトル・ヤヌコビッチ政権への激しい市民デモが起こり、翌14年2月には政権が崩壊。これを受けて親ロシア派の武装勢力がクリミア半島の議会や空港を占拠し現地の政治権力を奪取し、さらには半島全域で行われた住民投票で96・77%がロシアへの編入を支持し、欧米が猛反発する中、3月18日プーチンはクリミアの編入を宣言した。(中略)
 米ロ関係は冷戦時代に逆戻りしたと称されるほどのものだ。ロシアは主要8カ国会議(G8)からも追放された。もはやロシアは仲間ではない、という宣言だ』

 さて、以上で述べられた2014年ウクライナの「激しい市民デモ」とか、「ネオナチ的な人たち」の「過激な暴力」とかはどんな様相であったのか。月刊誌「世界」4月14日臨時増刊号の「未完の国民、コンテスタブルな国家」(松里公孝・東京大学大学院法学政治学教授)から紹介してみよう。このような歴史から、ドンパス二共和国とクリミア領有が問題になっているわけである。
 2月20日キエフの独立広場周辺で「スナイパー虐殺」事件が起こり、数十人が犠牲になった。「銃で人が殺されている、スナイパーを探し出せ」から起こったものだ。この時、キエフに上京していたヤヌコビッチ支持派がこの事件に恐怖を感じて8台のバスでクリミアに帰ろうとした途中、暴力事件が起こった。マイダン活動家(右派民族主義者)にバスを止められて数時間にわたる暴行を受けたのである。これらに連動して、クリミア議会で、またオデッサの労働組合会館放火事件で、多くの死者が出る襲撃事件が起こった。この論文末尾にはこんな文章もあった。

『特徴的なのは(右翼)革命派が、これら暴力事件を携帯電話で録画し、自らソーシャルメディアに盛んに公開したことである。これは常識ある市民を恐怖のどん底に突き落とした。ユーロマイダン革命中は、凄惨な死体の録画がユーチューブ上に溢れていた。(中略)残虐シーンのソーシャルメディア上での公開は、ドンパス戦争から今日に到るまで変わっていない。(中略)ドンパス戦争による人民共和国側の民間人死者が約2600名に達していること、戦争犯罪を命令または執行したウクライナ軍人ほかの名が現時点で85名特定され、400以上の刑事事件がすでに立件されている』

 なお、この筆者・松里公孝は、「露ウ戦争」の歴史的構造的背景を3つあげている。「ソ連解体の後始末」、「(アメリカ)一極世界の終焉」、そして「今回の戦争の遠因は、2014年のユーロマイダン革命である」というものだった。

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マリウポリがほぼ陥落  文科系 

2022年04月16日 18時14分12秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など

 16日東京新聞に、こんな記事が載った。

『 (ウクライナの)クレバ外相は同日、露軍が包囲する南東部の要衝マリウポリの戦況が「絶望的な状況にある」と述べ、欧米諸国に早急な武器支援を求めていることを明かした。ウクライナメディアが伝えた。

 首都キーウ(キエフ)周辺から撤収した露軍は部隊を再編成して東部戦線に注力し、マリウポリを東部制圧のための目標に位置づける。米シンクタンク「戦争研究所」は、マリウポリでのウクライナ軍の抵抗は「いつまでも持ちこたえることはできない」と分析し、陥落が近いとの観測も広がる。ロシア国防省は15日、マリウポリでウクライナ側が抵抗を続けていた製鉄所の一つを「完全に」制圧したと発表した。』

 ウクライナ最強軍、日本政府もネオナチと認めているアゾフ大隊が死守してきたマウリポリ陥落は、ウクライナ東部とクリミア半島と二つの親ロシア地域が繋がったという意味に於いて、キーフ撤退と並ぶこの戦争最大のニュースと観た。日本のマスコミはこの記事の扱いがどうしてこんなに小さいのだろう。願わくば、これによって2015年ミンスク合意通りの停戦協議が成立して、終戦とならんことを。2015年のミンスク合意通りとなれば、双方が受け入れやすいのではないかと切に期待したい。

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プロ野球のショウビジネス化を憂う  文科系

2022年04月16日 00時38分26秒 | スポーツ

   3月31日エントリー「ビッグボス?? 文科系」には珍しく二つのコメントが付いて、僕も応答した。プロ野球がスポーツから「見世物、興業」へと堕してきたということを僕と同様に嘆く人は結構多いと分かった。

「Unknown (行雲流水の如くに) 2022-03-31 19:39:21
こんばんは。
ご指摘の点、全く同意見です。
こんなお遊びを続けていれば、ファンは必ず離れます。
やはり選手が主役でしょう。
監督ばかりが目立って負け続ける試合は見たくありません。
球団はなにか勘違いしているようです。」

「面白ければ・・・ (文科系) 2022-03-31 21:45:47
 僕のこの意見に反対の人は多いと思う。僕はすぐに愚考への反論を考える癖があるのだが、こういうもの。面白ければよいでしょう? バーチャルとリアルとで、後者の方が正統だと? 最近ではマスコミでもバーチャルスポーツを持ち上げ始めてるよね?
 これすべて、やるスポーツにこそ価値がある、観るのもそれを見たいのだ、と反論することになる。ところが「落合排除」は「反やるスポーツ、より弱いスポーツを見せる方向に舵を切った」のだ。これは言うならば、僕のような観客が求めているものと違う物を見せ始めたこと。しかも「真剣スポーツ」と銘打っているのだから、詐欺にも等しい営業であると反論してるわけです。」

「Unknown (『楕円と円』) 2022-04-01 10:52:38
文化系さん>日ハムの北海道住人で古くからのファンですが、流石にやり過ぎですね。ホーバーバイクは危険でもあります。5連敗にみられるように今の日ハムは戦力がワンランク下がっています。営業フロントが新庄効果を狙ったのでしょう。ボールパークもあるし。
「する」から「観る」へのスポーツの変質は全く同感です。究極がオリンピックなのだと考えています。アマの体裁で選手も周囲も一攫千金を目指してプロ化しているのは欺瞞そのものです。」

「嬉しい御応答 (文科系) 2022-04-01 11:46:16
 楕円と円さん、嬉しい御応答でした。行雲流水さんのコメントと同じく。特に、ここが。
『「する」から「観る」へのスポーツの変質は全く同感です』
 スポーツとしての最高技能を見せる方向を止めて、興業として「売れる」道へとルビコンを渡ったのが、「落合排除」。端的に言えば「プロ野球のプロレス化」が始まったわけだ。だからこそ今、サッカーサイトの横に野球記事ばかりをいっぱい喧伝するなど、あらゆるスポーツからファンを奪い取ろうとしている野球帝国主義も目に余る訳です。
 地域のファン目指して50数チームで好きな人々がファンとともに切磋琢磨している「プロ」サッカーと、わずか12チームに囲い込んだ「プロ野球帝国主義」との違いは一目瞭然。プロ野球がアマ野球といざこざを起こしてきた歴史は江川事件など無数ですよね。野球は好きだけど、プロ野球は大嫌いになりつつあります。
 一度大谷翔平のバッティングを観てご感想をお聞かせ下さい。あれは完全にホームラン狙いだけのフォームであって、今後は年間打率にしたら2割6分程度にしかならないように思うんです。本物の野球人・野村克也が観たら、文句タラタラでしょうね。今のプロ野球は今後、野村の弟子たちの天下じゃないのかな? ダルビッシュは本物と観ています。彼のような人物がこう言うのです。
「投球技術が好きなんであって、プロ野球が好きなわけではない」
 きっとショウ化批判なのですよ。」


 さて、僕流端的に押し詰めていえば「プロ野球のショウ化、プロレス化」が始まって、スポーツとしての価値を落とし始めているということだ。日本におけるその初期の頃の典型が「勝てる監督」落合博満をすげ替えてしまった中日ドラゴンズ、あの大愚行! あれは一体何だったのか? ちなみに米大リーグはこの転換がもっと早くて、今は随分弱くなった。と観ていた大リーグが最近は「フライボール革命」なのだそうだ。大谷翔平のあのバッティングは完全なこの影響と観た。低めのボールにバットを上から線で当てていくのではなく、すくい上げて点で打つ高い高い大飛球というあのフォームでは、低め投球を上手く使えばどんどん打撃フォームを乱していけるはず。キャッチャー野村克也なら必ずそうすると確信する。
 案の定、今年の大谷はまだホームランがなく、三振も多い。プロ野球のショウ化、エンタテインメント化は、プロ野球将来展望としては近視眼的経営方針で、やがてはこれを不人気にさせていくものと確信する。

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八十路ランナーの手記(424)故障明け「1か月ぶり10キロ」から学んだこと   文科系

2022年04月15日 00時07分25秒 | スポーツ

 13日、ジムでジャスト10キロ走ることができた。10キロ以上は、3月16日怪我前のちょうど同じ13日以来のことになり、長い長いリハビリだった。ランを長く続け、健康と活動力を保つというのが僕のランの構えだから焦るということはなかったが、例によっていろいろ学べたことが多い。

 先ず何よりも、2月17日サイクリング中に左手を怪我したドクターストップ後のリハビリが甘かった。その証拠の一つが、ランニング中に肉離れを起こした3月16日の2日前、14日の家の18階段150往復。これが無謀だったというのも今分かるが、これも左手怪我ブランクへの認識が甘かったことを示している。そうして起こった左フクラハギ肉離れの後については、「二つの故障が連動して起こった怖さ」への認識がなかった。年寄りにはこういう故障の連動は常に起こりやすいもので、基礎体力を激減させてランナー断念にも繋がりやすいはずと、よーく覚えておきたい。
 そして、「年につれて、長いリハビリ期間がどんどん必要になっていく」ことにも要注意である。医者の「走行許可」が出たと言っても、彼に80歳を超えたランナーのリハビリが分かっているというわけでもないとかも、押さえておくべきだろう。

 ちなみに、13日の10キロは、30分2回が3・7、4・0キロで、あと18分で2・3キロだったのだが、走行後すぐに大きい疲労感があった。シャワーを浴びてもなかなか汗が引いていかず、「この程度のスピード10キロで、こんな全身疲労かー!」という感じがあって、しばらくは中1日置きがせいぜいと感じたところだ。と同時に「ここからまた前の走力に戻せたら、なかなか・・」などと考えている自分がいた。無理をするつもりはないが、これがスポーツマンなのだろうなと苦笑い。次いでこんな事も考えていた、というよりももう11、14日にはこれをやっている。走行日の中一日置きには、階段往復をやっておこう。筋肉弱点が判明したフクラハギや腿の強化に留意した階段上りが、今の僕にはいい! 各40回が普通にできた目一杯の片脚爪先立ちなどは、30回ちょっとがやっとになっていたのである。とこのように、自分の各部通常体力を数字化して覚えておくと弱った部分がすぐに分かるので便利なのだ。
 
 2か月に及ぶ長いブランクとラン不調とからランが復活してきたとたんに、自分によく再認識できたことがある。6月5日に教室発表会を控えたギター練習も能動的にできるようになったし、ブログのための本もいろいろまた読めるようになった。ラン沈滞時があったからこそ活力、「やる気一般」が今復活してきたと感じられるのである。禁酒日週2日キープもより楽になった感じだから、意思も強くなったようだ。NHK・BS2「ヒューマニエンス」2月17日分で「born to run」(走るために生まれた)というのをやっていたが、神経細胞・認知機能、全身の細胞代謝、睡眠、食欲などの改善を通して、ランは脳などにも著しい改善効果をもたらすのである。「走ると人の格が上がる」、これがこの番組のキーワードの一つだったことも思い出していたが、外っておけばいろいろ劣化が早い老人の場合はさらにそうなのだろう。またこの番組内容と同じものとして、こんな人類学上の知識も思い出したところだ。そもそも人類の脳は、哺乳類としては奇形的なその二本脚歩行の発達につれて、その固有の長距離走の力とともにうまれたようなもの。健全な二本脚と身体、特に脳とが、好循環又は悪循環の相関関係にないはずがないのである。

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ウクライナ、2013,4年の暴力革命と内戦状態   文科系

2022年04月14日 00時10分06秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など

   ロシアのウクライナ侵攻に日本マスコミが燃え上がっている。ちょうどイラク戦争前に大量破壊兵器に、戦争が起こってからはアメリカ軍動向だけに、日本マスコミが燃え上がっていたように。ただし、このイラク戦争報道では「(「侵攻側による」)ブチャの大量殺人」のようなニュースはほとんど知らされなかった。後にウィキリークスがすっぱ抜いた「アメリカ軍ヘリコプターからのイラク一般市民への機銃掃射(をそのヘリコプター内部から映した映像)」のような被害者側残酷記事は皆無だったと記憶する。そう、戦争が一旦起こったら、何でもありなのである。人が、仲間を殺された相手に対しては鬼にもなるのだし、そもそも特殊スナイパーなど重要任務を帯びた兵士が一般市民の中に隠れて動くなども普通のことだろうから。
 だから戦争はいけない。ただし、ロシアのウクライナ侵攻が憎んでも余りあるものであるのは、イラク戦争がそうであったのと同じでなければならない。だからこそ、イラク戦争の原因「嘘の大量破壊兵器」と同じように、今のこの戦争までの経過、原因を知りたい。このウクライナ戦争も外っておけば、「戦争はなくならない」「だから国防力が必要なのだ」「戦争力は戦争抑止力である」などなどの感性、観念を社会に浸透させていくのが必然と思われるから。もっとも、嘘の理由を人々が焚き付けられて戦争が起こる、などは絶対にあってはならないことであろうが。

 一体、ウクライナ戦争経過にも、あそこで止まれていれば、・・・という時点がどこかになかったのだろうか? もう一度、ウクライナを、特に深刻だったその東部紛争の歴史をより深く振り返ってみよう。
 
 12日エントリーの初めに2014年のウクライナ・マイダン革命についてこういう文章を紹介したが、今回は以下のその文章内容をもう一歩突っ込んだ当時の状況報告を紹介、詳論したい。先ず12日のエントリーから。

『(2013年末から14年初頭にかけての反政府運動において)2014年2月に突然、暴力革命の様相を帯びるに到り、ヤヌコビッチ(2010年の選挙でウクライナ南部、東部を基盤として選ばれた大統領)は国外逃亡に追い込まれます。その背後の事情は明らかではありませんが、整然たる市民運動のなかに過激な暴力を持ち込む極右勢力が紛れ込んだようであり、そのなかにはネオナチ的な人たちもいたようです。このような「マイダン運動」の暴力革命化は、ロシア語系住民の多いクリミアやドンパス二州の住民を刺激し、前者のロシアへの移行、後者における「人民共和国」樹立を引き起こしました。これは国家秩序の非立憲的な変更であり、諸外国から強く非難されました。もっとも、当事者たちからすれば、その前にキエフで非立憲的な暴力革命があったということが正当化根拠とされるわけです』(塩川伸明東大名誉教授「ウクライナ侵攻の歴史文脈と政治理論」)』

 さて、まさにこの時の状況について岩波新書「アメリカの制裁外交」(杉田弘毅元共同通信論説委員長、現在国際ジャーナリストの著作。2020年2月第一刷発行)が、詳しい状況報告をしている。ちなみに、以下のこの事件によってこそ、G8がG7になったのである。つまり、ロシアがここから追放された。

『(2014年のロシアによる)クリミア併合とその後の(ロシアへの)制裁は、ロシアと米国の関係を決定的に悪化させ、中ロを接近させた。その結果、北方領土返還の道筋も見えなくなった。地政学的に大きなインパクトを持つ対ロシア制裁とはどんなものなのだろうか。
 クリミア半島は帝政ロシア時代の19世紀から保養地として知られ、ロシア系住民が60%を占め、ウクライナ人は25%と少数派だった。黒海に突き出ている半島にはロシア黒海艦隊の基地があり、ロシア海軍が地中海に出る戦略的要衝である。
(中略)
 ウクライナでは2013年11月から親ロシアのビクトル・ヤヌコビッチ政権への激しい市民デモが起こり、翌14年2月には政権が崩壊。これを受けて親ロシア派の武装勢力がクリミア半島の議会や空港を占拠し現地の政治権力を奪取し、さらには半島全域で行われた住民投票で96・77%がロシアへの編入を支持し、欧米が猛反発する中、3月18日プーチンはクリミアの編入を宣言した。
 軍事力を使った領土の獲得という暴力的な国際行為をしばらく世界は見たことがなかった。思い出すのは、1990年にサダム・フセインのイラクによる油田国クウェートの武力併合だが、この時は1年もたたずに米国率いる多国籍軍がウゥエートを開放した。
 クリミアはしかし、米国が重視するような豊富な石油埋蔵を誇る地域でもない。米大統領のオバマは最初から軍事力行使の選択肢を放棄し、制裁以外に手はないと宣言していた。こうして冷戦後もっとも激しい対ロ制裁を科すことになった。米ロ関係は冷戦時代に逆戻りしたと称されるほどのものだ。ロシアは主要8カ国会議(G8)からも追放された。もはやロシアは仲間ではない、という宣言だ』

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書評 月刊誌「世界」5月号の「緊急特集 ウクライナ」から  文科系

2022年04月12日 12時55分09秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など

 岩波の月刊誌「世界」5月号の「緊急特集 ウクライナ 平和への道標と課題」諸論文は、近ごろ珍しい読み物であった。ロシアのウクライナ侵攻を双方の視点から、歴史的経過なども追って描いている。ネット・テレビ映像や新聞を中心とした主流マスコミが「今のウクライナの視点一色」になっているのに辟易として来たから、これに引き寄せられた。今の日本マスコミは、ちょうど同じようなイラク戦争において侵攻された側イラクの視点を欠いてアメリカの視点だけだったのとあまりにも正反対、好対照に思われてならないのである。
 ちなみにアメリカは、イラク戦争では「大量破壊兵器の悪魔」を退治する大天使、ウクライナ戦争ではウクライナ側の「平和の使者」なのである。

 岩波「世界」は、明後日14日に「ウクライナ侵略戦 世界秩序の危機」という臨時増刊号を出すと予告している。この5月号からは、この戦争までの経過、背景などに関わって、明らかにウクライナ政府サイドがやって来た暴力、戦争犯罪に類することなどをいくつか抜き出してみたい。ことは8年前、2014年のマイダン革命にまでさかのぼる。


『(2013年末から14年初頭にかけての反政府運動において)2014年2月に突然、暴力革命の様相を帯びるに到り、ヤヌコビッチ(2010年の選挙でウクライナ南部、東部を基盤として選ばれた大統領)は国外逃亡に追い込まれます。その背後の事情は明らかではありませんが、整然たる市民運動のなかに過激な暴力を持ち込む極右勢力が紛れ込んだようであり、そのなかにはネオナチ的な人たちもいたようです。このような「マイダン運動」の暴力革命化は、ロシア語系住民の多いクリミアやドンパス二州の住民を刺激し、前者のロシアへの移行、後者における「人民共和国」樹立を引き起こしました。これは国家秩序の非立憲的な変更であり、諸外国から強く非難されました。もっとも、当事者たちからすれば、その前にキエフで非立憲的な暴力革命があったということが正当化根拠とされるわけです』(塩川伸明東大名誉教授「ウクライナ侵攻の歴史文脈と政治理論」)

『また、最近(ロシア侵攻3週間後)マリウポリでの激戦の模様が伝えられる。なぜ、ここが激戦地になるのかは偶然ではない。マイダン革命で状況激化に貢献し、その後政権に表彰され国軍に格上げされた「アゾフ大隊」ーー 反共・反ロのウルトラナショナリスト民兵集団で、日本の公安調査庁でもネオナチと認定していーーが、対「親ロ派」対策でこの街を拠点化していた』(西谷修東京外語大名誉教授『新たな「正義の戦争」のリアリティーショー』)

『8年来の係争になっているこの地域(マリウポリのこと)の事情については、ほとんど言及されない。じつは情報や独立系メディアの発信も探せばある。フランスのある女性ジューナリストはすでに何年も、そして今も、この地で起きている政府軍による攻撃被害を日々絶望的な思いで配信している。それを主流メディアはフォローしないばかりか、親ロ派のフェイクニュースとしてとりあわない』(同上、西谷論文)

『大きな転機となったのは、2019年のウクライナ憲法改正で、NATO加盟を目指すことが憲法に盛り込まれたのです。この改憲の背後の事情は十分明らかではありませんが、アメリカからの強い働きかけがあったのではないかと取り沙汰されています』(塩川論文)

『要するに根本の対立は米NATOとロシアの間にあったのだが、アメリカはウクライナを前に押し出し、そのウクライナが加盟させろ(つまり集団的自衛権で軍を出せ)と迫ったら、いやできない、きみは加盟させられない、だってそうなると核戦争だから、と言う。これは事実上、米NATOが、ロシアの要求は正しい、と認めたのと同じである。プーチンが要求したのはウクライナのNATO非加盟の保証とその結果としての中立化である。だとしたら、このNATOの返答で、この「戦争」の事由はなくなったことになる。それが分かったからこそ、ゼレンスキーはすぐにウクライナの「中立化」を受け入れると言い出した。だが彼は「国民」を巻き込み、世界世論を焚き付けて「戦争」を続ける必要があるのだろう。基本的に「係争」に決着はついている。その余は、交渉をできるだけ有利に相互の体面を取り繕おうとする鬩ぎ合いであって、その間続く戦闘や破壊は双方の人々を巻き込むだけの権力の都合でしかない』(西谷論文)

 ということから、ウクライナの成人男子はすべて国外脱出も禁じられているということなのである。

 

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