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安倍元首相が「ルイ14世」と告発された時のこと  文科系

2023年12月29日 10時05分22秒 | 国内政治・経済・社会問題
 「時節」柄、去年の2月11日に掲載した物を再掲させていただく。モリカケサクラに統一教会問題よりもずっと酷い安倍の罪だった。多分、罪の自覚もなかったから、怖かったものだ。

安倍元首相は、あい変わらず自民党最大派閥を率い、内閣にも大きな発言力を行使しているようだ。このことが続く間、僕は彼の告発を続けていくつもりだ。このような人物がいまだに影の国家支配者であるという事実が、政治の道理に合わないからである。国権の最高機関・国会答弁などであれだけ嘘をつき続けたら、答弁資格などとうに失っているはずではないか。そんな彼のもう一つの大罪、検察庁法改正問題においては、安倍晋三氏は標記のように「ルイ14世」と呼ばれたのである。そう呼んだ人々がまた、元検事総長らそうそうたる検察OBの方々なのだ。以下は、雑誌世界3月号の金平茂紀『「赤木ファイル」を読む(下)』からの抜粋である。

『森友学園疑惑、加計学園疑惑などの構造的腐敗案件をことごとく不起訴とした国家検察の担い手のひとりは、黒川弘務・東京高検検事長(当時)だったと言われている。
 安倍政権は、黒川氏を検察トップの検事総長に就任させることを目論んで、無理筋の定年延長を含む検察庁法の改正を企てたが、その際、世論から非常に強い反発の声があがった。この時、戦後の検察庁の歴史の中でも前代未聞の特異な動きが出現した。2020年5月15日、松尾邦弘元検事総長ら検察OB14名が連名で、検事総長や検事長らの定年延長を可能とする検察庁法改正案に反対する意見書を法務省に提出した。・・・・この法案は「検察の人事に政治権力が介入することを正当化する」と批判し、法案の撤回を求めた』

『以下、筆者の心に残った意見書の一部を少々長いが引用する。
「衆議院本会議で、安倍総理大臣は『検察官にも国家公務員法の適用があると従来の解釈を変更することにした』旨述べた。これは、本来国会の権限である法律改正の手続きを経ずに内閣による解釈だけで法律の解釈運用を変更したという宣言であって、フランスの絶対王政を確立し君臨したルイ14世の言葉として伝えられる『朕は国家である』との中世の亡霊のような言葉を彷彿とさせるような姿勢であり、近代国家の基本理念である三権分立主義の否定にもつながりかねない危険性を含んでいる」
「 ・・・・・ 検察が萎縮して人事権まで政権側に握られ、起訴・不起訴の決定など公訴権の行使にまで掣肘を受けるようになったら検察は国民の信託に応えられない。正しいことが正しく行われる国家社会でなくてはならない」
 ・・・・・
 意見書提出の3日後、安倍内閣は同法案の国会提出を断念し、廃案となった。』

 それにしても、歴代検察幹部が「ルイ14世だ」と言って猛反発し、この反対の後3日で廃案になるような法案に、安倍氏はなぜ着手できたのだろう。それも、近代以降の国家憲法体制にとって生命線とも言える三権分立の否定に繋がるようなものなのだ。これを、氏の周囲にもいろんな官僚らもいたはずなのに、どうして? 検察庁とは、国家の裁判への起訴権を握る唯一の組織なのだから、その起訴権を行政が左右できるようにしたかったと観るのが普通である。
 司法への起訴権を行政権の長が握る。やはり「ルイ14世」なのだ。そう言えば彼には、こんな国会答弁もあったな。
「私が国家ですよ!」
 国家基幹統計を今では四割も書き換えたと分かっている国家「危機」問題で長妻昭議員が行った国会質問への回答であった。安倍晋三氏、やはり国家理解そのものが独裁者的理解に傾いて悪辣な御仁なのである。国家とは第一にその国民、そしてその国民が三権に課した義務としての憲法という国民へのご自分の約束。こんな事さえ分かっているのかどうか。分かっているのなら、国民の一部を一人の公僕として「こんな人たち」とか「反日」とは呼べないはずなのだ。
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随筆 「いきなり玄冬」  文科系

2023年12月26日 10時45分49秒 | Weblog
 去年の秋口に膀胱(周辺)全摘手術をやった。内視鏡検査によって第二~三期の癌で、「切ってみなければわからない」と言われたから、仕方なかった。このどちらかで、五年生存率が二割も変わり、治療法も違うからだ。手術前後はずっとなんともなかったのだが、術後一年を過ぎた最近になって「できない」ことの寂しさを痛感することが多い。
 最近の人類史研究において、こんなことがわかって来た。オーストラロピテクス、北京原人、ネアンデルタール人、僕らのような人類は過去にいっぱいいたがすべて絶滅したのに、現生世界人類すべて、ただこの一種類が生き残った。多産に結び付く生殖機能が旺盛だったからという説も出ているのである。そもそも、現生人類の女性には発情期がない。男も、それにあわせたように旺盛、絶倫な猿なのだ。それが閉ざされた寂しさ、悲しさ。「遺伝子を残すため」という、あらゆる動物、サル類の系統発生、進化論舞台上の変化、結果を目的に入れ替えてしまった「目的論」も今は盛んだが、とにかく年取って失ったそれの大きさを日々痛感する場面が多くなった。ただし、こんな時の人には、想像力という武器がある。

 連れ合いと付き合い始めたころなどをあれこれ思い浮かべている。大学クラスは男女半々ほどで、入学直後に付き合い始め、それから六年たって家庭を持ったから、思い出すことは多いのである。彼女の職員旅行の帰りなど、早朝の大阪駅まで出かけて行って出会ったデイトとか、北陸旅行の帰りに敦賀駅で会った一日、さらには新婚旅行のあれこれ。その時の紀州川湯温泉には三泊したし、近くの里山にも登ったなーとか。川湯にはわざわざ、五年ほど前にもう一度二人で行ったけど、それだけ思い出が多かったんだ、などなど。
 これらの想像は、実がないものにはちがいないが、わが身にリアルだから、楽しい。そして、幸せな青春だったなー、いやいや八一歳の昨年までできたぞ、などなどを思い出し、想像してみる。〈一〇キロ走れる体力があったから、血流、新陳代謝などその道は大丈夫と、うそぶいてたよなー〉。以降たった一年、それだけに今が寂しい。
 誰でも通る道だと言い聞かせてみても、突然、いきなりやって来た絶対的な境遇だから、この寂しさはきつい。川端、三島・・・・幾人かの小説家はこれで自死したのかも知れない。一種美を重んずる小説家にとっては、この能力発揮は一種の美、その極地とも言えると思うからである。
 寂しいだけなら良いが、もっと怖いことも頭をかすめる。教室通いをしつつ毎日弾いていたギターが、週二~三回になったし、これも毎日描いていたブログ原稿をほとんど書かなくなった。加えて、ネット映像の連続テレビドラマなどを無限なようにだらだらと観ている。これは、以前の僕が大嫌いだった行為だ。こうして、僕の生活が全く変わってきてしまった。男性機能の完全喪失がこうして、生活、性格の重大変化を生んでいるのかも知れない。青春、朱夏、白秋、玄冬の最後が、いきなり我が身に現れたのか。よくよく心して臨まないと、残りの人生、大変だ。

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「ウクライナ戦争をめぐる『が』について」 文科系文科系

2023年12月21日 10時55分10秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など
 これも旧稿再掲だが、大事なことだから、載せる。こういうミスは、学者としては致命的なもの。学者とはそう言うもので、過去論文から引用して自説を補強するというのも、学者としての積み重ねなのである。

『 小泉悠論文に一言  文科系
2023年09月16日 08時23分26秒 | #ウクライナ戦争#マウリポリ陥落#アゾフ大隊

 岩波の雑誌「世界10月号」に、ウクライナ問題で小泉悠の論文「ウクライナ戦争をめぐる『が』について」が載った。この雑誌に多い「ロシアの侵攻は大きすぎる罪だ『が』・・・」という内容の論文を意識して、この「が」を批判するものだと言って良い。「大罪だが・・」などと前置きしてあれこれと語るのは、ロシアの罪を軽減しているとの批判と言えよう。以下は、彼の論文の骨格に関わる部分に、アメリカの過去について重大過ぎる見落としがあると指摘したい。この見落としによって小泉の論議の骨子が、米ロ比較で冷戦後最大の戦争犯罪国、米の罪を減じたことによって、ロシアが冷戦後世界で唯一最大の誤りを犯した国になっている。
『アメリカという、時に残虐性を孕んだ戦争を行う大国との同盟に関して倫理的な忌避感はないではないが、少なくともアメリカは民間人を無差別に殺傷する戦争を過去半世紀にわたって行っておらず、まして占領地域の住民を選別キャンプに集めて拷問・レイプ・殺害するような行為にも(少なくとも冷戦後には)及んでいないという点では、現在のロシアと全く同列に論じるべき存在でもない』(同誌52ページ)
 この一文を読んだ時にすぐに大きな疑問が浮かんだ。この論文全体の論理の筋における骨格に当たる部分への疑問だから、この疑問は大きい。
 まず、アメリカによる民間人無差別殺傷だが、史上有名な例が存在する。ウイキリークスでこれをすっぱ抜いたからこそジュリアン・アサンジは米政府に執拗に追いかけられた末に、終生監獄の憂き目に遭うことになったのではなかったか。米ヘリコプターからのイラク人無差別射殺映像を世界に流したのだった。というほどに、アメリカは自らの民間人無差別虐殺を世界史から意図的計画的に隠してきたのである。
 また、キューバ・グァンタナモ基地における、中東の人々の監禁、拷問はつとに有名な話ではなかったか。
 この二つを無視して上のように語るのでは、小泉氏語るところの「が」への反論は、あまりにも弱いものになるというべきだろう。と、このように僕が述べたとしても、ロシアによる民間人無差別虐殺や選別キャンプ・拷問を許すものではないというのは、言うまでも無いことだ。ただし、「少なくとも冷戦後に」もしそれがあればの話だが、ウクライナ戦争でこのことが世界白日の下に証明されたということではない。ブチャの大虐殺なるものも、アメリカのイラク一般市民への機銃発砲・虐殺のような場面そのものが証明されたわけではないのである。ちなみに、自らの虐殺を上記のように組織的・大々的に隠してきたアメリカは、他国による虐殺などはいくらでも作り、宣伝してきたと覚えてきた。
 
 なお、上記「米ヘリコプターからのイラク人無差別射殺映像」には、このような証拠もある。2010年4月7日に出た「2007年米軍ヘリによるロイター記者とイラク市民銃撃映像」だ。その映像に付いた文章は、以下のようなものだった。
『米軍ブラボー2-16部隊の元隊員に聞きます。ウィキリークスが公開した軍所蔵ビデオにある、ロイター従業員2人を含む12人の死者を出した 2007年の米軍ヘリによるイラク民間人爆撃事件は、米軍部隊のブラボー2-16が起こしました。
この部隊に所属していた帰還兵ジョシュ・スティーバーは「このビデオの兵士たちを直ちに非難したり批判するのが自然なことでしょう。でも、彼らの行動を正当化するわけではありませんが、軍隊の立場からいえば、彼らは訓練された通りに行動したのです・・・もしこのビデオを見てショックを受けるのなら、より大きなシステムを問題にするべきです。なぜならば、兵士たちの行動は、このように行動せよと訓練されて行ったことだからです」
 
 



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ストーマ老サイクリストの手記(473)身心が破壊されつつある  文科系

2023年12月19日 19時49分37秒 | その他
 ブログをずっと書かないのは、標記のことが原因。この5月にランニングを断念してから、そうなっていると近ごろ痛感する。

 ブログ記事を書くためには、本の一~二冊も読むのが僕のやり方だが、その気力が湧かなくなった。毎日弾いていたギターも、周に2~3度に減って、11月は特に長く弾かなかった保ってきた保ってきた暗譜群20数曲の暗譜が一部崩れていると、12月になって分かった。ここにも長く書いてきた教室の「ギター宴会」を1月21日にやってくれる人がいるので、それまでに取り戻しておかないといけない。その中のどれかを弾くのか、今やっているアルベニスの「アストリアス(伝説)」をやるのか?
 5月にはまだ、10キロ走れたのだが、病気の事情で6月から走れなくなったのだ。身体が崩れるのは早いもので、それとともに、心の活気まで。もっとも膀胱癌の転移を防ぐ薬剤、オプチーボの影響もあるのだろう。癌が作る免疫抵抗障壁を打ち破るという、京都大学の本庶佑さんがノーベル賞をもらった、新型の抗がん剤だ。これを月1で注入しているのである。

 ここまで体力が落ちると、82歳の僕に5月の半分ほどの復活も難しいが、階段往復で維持に努めてきたのを、どこかでもう一歩進めたいとは目論んでいる。まー、このままで死を従容と受け入れる道も全く抵抗はないが、心の衰えが適わない。これじゃ活きていても?という感じなのだ。
 ただ、今年は、年賀状を早く書いた。病気のため2年出さなかったので、その取り返しを付けているわけだ。

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旧稿の再掲「ウクライナ戦争」  文科系

2023年12月12日 06時08分40秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など
 ウクライナ戦争がやっと終結に向かい始めたように見える。そこで、今一度この戦争についての僕の見方を提示し直したいと思う。旧稿の再掲だが。・

「ウクライナ戦争の起こり方」総集編   文科系
2022年05月04日 12時58分50秒 | #ウクライナ戦争#マウリポリ陥落#アゾフ大隊

 ウクライナ戦争の起こり方について改めて総集編をまとめてみる。以下の歴史的経過は、アメリカ発ニュースで覆い尽くされている西欧、日本マスコミ社会ではほぼ無視されてきたものと言える。これらの経過の無視がどうして起こっているかを論じたものも併せて紹介する。これはちょうど嘘の理由で始まったイラク戦争に本当の理由が別に存在したのと表裏の関係になるだろう。と言っても、プーチンの世界史的戦争犯罪が軽減されるわけでは全くない。これはイラク戦争が国連(総長)によって真っ向から非難されていたのと同じ理由であるはずだ。
 
 二月二四日に始まったロシアのウクライナ侵攻は、人類戦争史を半世紀前に戻したような酷い蛮行と観る。アメリカは二一世紀に入ってもこの野蛮を繰り返しているが、それ以外の大国のこんなあからさまな戦争は近年珍しいからだ。それだけに、戦争嫌いの僕はこの戦争までの彼の地の紛争経過を知りたくなった。この地の紛争と言えばまず、二〇一四年ウクライナ東南部を巡るロ・ウの暴力応酬、戦闘にまで遡らねばならない。
『(二〇一三年から一四年にかけての反政府運動において)二〇一四年二月に突然、暴力革命の様相を帯びるに到り、ヤヌコビッチ(二〇一〇年の選挙でウクライナ南部、東部を基盤として選ばれた同国大統領)は国外逃亡に追い込まれます。その背後の事情は明らかではありませんが、整然たる市民運動のなかに過激な暴力を持ち込む極右勢力が紛れ込んだようであり、そのなかにはネオナチ的な人たちもいたようです。このような「マイダン運動」の暴力革命化は、ロシア語系住民の多いクリミアやドンパス二州の住民を刺激し、前者のロシアへの移行、後者における「人民共和国」樹立を引き起こしました。これは国家秩序の非立憲的な変更であり、諸外国から強く非難されました。もっとも、当事者たちからすれば、その前にキエフで非立憲的な暴力革命があったということが正当化根拠とされるわけです』(月刊誌「世界 五月号」の塩川伸明東大名誉教授「ウクライナ侵攻の歴史文脈と政治理論」)
 次いでこの時の状況を、岩波新書「アメリカの制裁外交」(杉田弘毅元共同通信論説委員長、現在国際ジャーナリスト著。二〇二〇年二月第一刷発行)から、紹介する。以下のこの事件によってロシアがここから追放され、G八がG七になったのである。
『(二〇一四年の)クリミア併合とその後の(ロシアへの)制裁は、ロシアと米国の関係を決定的に悪化させ、中ロを接近させた。その結果、北方領土返還の道筋も見えなくなった。地政学的に大きなインパクトを持つ対ロシア制裁とはどんなものなのだろうか。
 クリミア半島は帝政ロシア時代の一九世紀から保養地として知られ、ロシア系住民が六〇%を占め、ウクライナ人は二五%と少数派だった。黒海に突き出ている半島にはロシア黒海艦隊の基地があり、ロシア海軍が地中海に出る戦略的要衝である。(中略)
 ウクライナでは二〇一三年一一月から親ロシアのビクトル・ヤヌコビッチ政権への激しい市民デモが起こり、翌一四年二月には政権が崩壊。これを受けて親ロシア派の武装勢力がクリミア半島の議会や空港を占拠し現地の政治権力を奪取し、さらには半島全域で行われた住民投票で九六・七七%がロシアへの編入を支持し、欧米が猛反発する中、三月一八日プーチンはクリミアの編入を宣言した』
この後のことについては、この三月二四日の朝日新聞に、元国連難民高等弁務官事務所職員、千田悦子氏がこういう文章を寄せていた。
『一四年以降のドンパス地域は、ウクライナ政府の非制御地(NGCA)と制御地(GCA)との境界線を中心に戦闘が常態化し、人々が西へ逃げていた。親ロ派によるロケット弾発射や発砲、それを迎え撃つウクライナ軍の砲撃戦で、家や学校、病院、公共施設などが破壊されたそれらの修復を初めとするプロジェクトの進行調整を私は担当した。日中、砲弾の音を間近に聞きながら仕事をする日もあった・・・・ロシアの歴代大統領が恐れてきたNATO拡大についてロシアの言い分を聞きつつ、今後の緊張を緩和する方向性をNATO全体で探る必要があるのではないだろうか』
  この境界線戦闘によって以降一九年までに双方一万人を超える死者が出ているという資料もあったうえで、今年二月二四日のロシア侵攻である。ついてはこの侵攻直前まで、こういう事実があったと明記しておきたい。ウクライナの大統領はあくまでもNATOには加盟すると、それでも「ロシアは攻めて来ない。来るという人はその証拠を見せて欲しい」と表明し続けていた。なぜ、どういう根拠でこの表明があったのか。
BSフジ・『プライムニュース』三月二八日放送」のネット記事から、真田幸光 愛知淑徳大学教授の見解を以下に紹介してみよう。三菱UFJ銀行出身の国際金融学者である。
【 英米が真に狙うはロシアの先の中国叩きか。日本は慎重に様子見を
(前略)
新美有加キャスター 国際的な信用を落としてまでも各政策を行うプーチン政権。経済的にはどういう利益が出るものですか。
真田幸光 基本的にはない。むしろ、そこまでロシアが追い込まれ、貶められている。
反町理キャスター プーチンがそうするように仕向けていると。その主体は誰ですか?
真田 英米だと思います。今の覇権争いにおけるアメリカの一番の敵は中国。中国とロシアがくっつくことは極めて怖い。まず、ロシアの力である資源と軍事力を徹底的に落とす。最近の国際金融筋は、ウクライナ問題においてプーチンの力がかなり落ちていると見ている。そろそろ落としどころを探し、金融で中国の首を絞めることが始まるのでは。
反町 なるほど。ロシアに対して英米は、経済制裁や国際世論、武器供与も含めて追い込み、プーチン大統領が愚策を打たざるを得ないようにした。すると、武力をもってウクライナを救うつもりは最初からなく、ロシアを潰して中国を叩くことに向けたステップとしてウクライナ侵略を見ていたと聞こえるが?
真田 そう申し上げました。ウクライナが、そして大陸ヨーロッパが踊らされた部分が結構あるのでは。
反町 怖い話だ。畔蒜さんは?
畔蒜泰助 笹川平和財団主任研究員 これまでの米露の交渉を見ると、アメリカはロシアがウクライナに侵攻する危険性を相当感じていて、かなり警告をしたと思う。一方、私が知っているロシア人の専門家は皆、ウクライナへの侵攻などあまりにも愚策でやるはずがないと言っていた。今は当惑している。プーチンにはもっと別の手もあった。
反町 英米が本当に睨んでいるのがロシアの先の中国であるとすれば、日本はどのようについていけばよいのか。
真田 難しい。日本最大の同盟国はアメリカで、価値観の共有という意味できちんと合わせる必要があるが、先んじて対露制裁や中国への何らかの動きをし過ぎると、はしごを外される危険性がある。また場合によっては、世界の中でかなりの実体経済を握る中国の側が勝つ可能性もある。どう転ぶかわからず、とりあえず様子を見るのが生き延びる手だて】
  戦争嫌いの僕は例によって、この戦争を起こしたプーチン・ロシアを今でも、どれだけでも非難する。だからこそそれだけでは済まず、一般マスコミ物の他にもここまでの詳しい経過などをいろいろ読むことになった。そこで出会ったのが「プーチンもウクライナも英米によってこの『あまりにも愚策』へと追い込まれた」論なのである。すると、これを傍証するようなものをどうでも探したくなって、やっと一つ見つけた証拠が、これだ。
『「ヤツェニュクには政治と経済の経験がある。クリチコが入るとうまくいかないだろう。国際的に信頼されている人物を招いて一役買ってもらえるといいが・・・」
 政変のさなか、アメリカのヌーランド国務次官補とキエフ駐(ちゆう)箚(さつ)のパイアット大使のふたりが、この政変を支持し、暫定政権の人事について電話で話し合う様子がリークされたエピソード(BBC、二〇一四年二月七日)も、いまでは忘れられた感がある。
 果たしてその後、ふたりが描いた筋書きどおり、クリチコはキエフ市長になり(プロボクシングの元世界チャンピョンで、ロシア軍と戦う現キエフ市長である)、ヤツェニュクはマイダンで開かれた勝利集会で〝革命〟政権の暫定首相に指名される。』
 この文章の出典は、月刊誌「世界」四月臨時増刊号「続・誰にウクライナが救えるか」。二〇一四年マイダン革命当時のウクライナ政権人事をアメリカが握っていたと示されている。筆者はエコノミスト・西谷公明氏。早稲田の大学院を出て、長銀総合研究所、ウクライナ日本大使館専門調査員、その後トヨタロシア社長という経歴の東欧専門家である。


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他ブログ記事の紹介  文科系

2023年12月10日 10時51分34秒 | 国内政治・経済・社会問題
いろんな都合が重なって、ブログも書けない。この18年間で初めてのことだ。そブログブログ友のある記事を紹介したい。「楕円と円 BY I.SATO」さんの本日の記事である。

『 内閣不信任案の提出を 2023年12月06日 | 日記

検察は総力を挙げて自民党の裏金問題の全容を白日の下に明らかにして欲しい。
東京五輪の誘致に当たって、よりにもよって官房機密費をIOC委員の買収に使わせた人物が長らく派閥のトップ、総理大臣にいた政党である。
 
組織的な裏金を何に使っていたのか。
官房長官が口が裂けてもひと事も喋れない。
別に「政府の立場」を質問しているわけでもない。
 
それにつけても思うのは、選んだのも選挙民、利益誘導を頼んだのも選挙民。
政治の貧困さがあらためて浮き彫りになった。
 
隣の韓国は政権交代により、前大統領が現職時代の悪行が暴かれて逮捕される国柄である。
土台が腐ったこの国の立て直しも政権交代でしか出来ない。
そのためには選挙民の刮目が必須だ。
 
そして、野党の毅然とした態度。
口を開けて柿が落ちてくるのを待つだけの何の理念もリーダーシップも無い岸田首相率いる内閣の不信任案を今出さずしていつ出すのか。
 
第一党の立憲民主党の泉党首の「国民がどこまで本気で政権を倒す思いを持っているかだ。」(5日 ラジオNIKKEI)というコメントには呆れ、悲しくなってきた。
本気になって欲しいのは今のところ野党第一党の立憲民主党である。


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あえて減額率を大きくした生活保護費  文科系

2023年12月04日 07時51分57秒 | 国内政治・経済・社会問題
 今月1日の前回書いた「生活保護訴訟勝利の意味」が、本日の毎日新聞で社説になっている。『生活保護減額は「違法」 命綱軽視の姿勢改める時』という見出しがついたものだが、学ぶところが多かった。なぜ違法なのか、その解説を中心に、要約してみよう。

この裁判判決ではこう断じられているとのこと。
『「合理的根拠のない手法を積み重ね、あえて減額率を大きくした」と厳しく批判した。国は重く受け止めるべきだ』
 ここで言う「合理的根拠のない手法を積み重ね」の例も数え上げられている。
 一つは、「独自の物価指数を採用したこと」となっており、パソコンなどの下落率が過度に反映される仕組みで、生活保護世帯の実態に合っていない上に、「物価が下落している時期のデータを使って算定し、直前の食料品や原油の値上がりを考慮していなかった」
 その上で、関連してこの問題の大きさまでをこう説いている。
『その基準額は、住民税や健康保険料、最低賃金、社会保障給付などととも連動しており、国民生活に幅広く影響が及ぶ』


 国民に必要な大事な内容だと思う。そう思って見直すと3日の社説にはこんな見出しの記事が載っていた。
『診療報酬の改定 現場のひずみ正す契機に』
 2年に一度見直され24年に適用されるこれに、ひずみが多すぎるというのである。上記の生活保護費の根拠が見直されるなら、これも当然ということかも知れない。がともかく、生活保護とともに国がやろうとしている政策がよく見える記事である。しかも、生活保護と医療だから、国民必須の知識ではないか。生活保護には教育の機会均等も含まれているのだから。

 僕は全国で三番目に言い多い中日新聞に、毎日、朝日新聞と何回か購読紙を換えてきたが、毎日が一番良いのではないか。視野が広く、肝腎な問題(の観点)で積み重ねを感じるのである。編集部、記者の目が良いということだろう。


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生活保護裁判勝利の意味  文科系

2023年12月01日 10時28分08秒 | 国内政治・経済・社会問題
 昨日名古屋高裁で、生活保護減額が保護法に違反しているから、国は減額国民に賠償をも払えという判決が下った。今時心がほっとする判決で、流石日本国憲法、「健康で文化的な最低限度の生活」の国という感慨を持った。08年以降、物価が上がっていないから保護費据え置きとしてきた政府への憲法判断なのである。アメリカシカゴ大学経済学派発の新自由主義が、1980年代以来ケインズ経済学的公正・福祉を世界政治からどんどん奪ってきたと観てきたからこの感慨がさらに深かったのである。生活保護、教育の機会均等、医療などは、「国家政治運営のそういう考え方」として、20世紀世界の民主主義発展を彩ってきた典型事例と考えるから、この感慨はより深くなった。ちょうど、堤未果が書いた「ナオミ・クラインの『ショック革命論』紹介」本を読んでいたところだったし。
 世界は、絶対にケインズ的国家経営思想を取り戻さなければならないとずっと思ってきたものである。「大きな政府」は、今ますます正しい。民主主義国家というなら、選挙制度だけではなく、こういう判決は当たり前のことだ。


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