NHK会長原発報道「公式発表で」 熊本地震局内指示、萎縮の恐れ(16.4.23 毎日新聞)
NHKが熊本地震発生を受けて開いた災害対策本部会議で、本部長を務める籾井勝人会長が「原発については、住民の不安をいたずらにかき立てないよう、公式発表をベースに伝えることを続けてほしい」と指示していたことが22日、関係者の話でわかった。識者は「事実なら、報道現場に萎縮効果をもたらす発言だ」と指摘している。
会議は20日、NHK放送センター(渋谷区)で開かれた。関係者によると、籾井会長は会議の最後に発言。「食料などは、自衛隊が入ってきて届くようになってきているので、そうした状況も含めてきめ細かく報じてもらいたい」とも述べた。出席した理事や局長らから異論は出なかった。
議事録は局内のネット回線を通じて共有され、NHK内には「会長の個人的見解を放送に反映させようとする指示だ」(ある幹部)と反発も聞かれる。
砂川浩慶・立教大教授(メディア論)は「会長には強い人事権がある。発言が事実なら、萎縮効果をもたらす発言で問題だ。熊本地震で起きた交通網の遮断を前提に原発事故発生時の避難計画の妥当性を検証したり、自衛隊と地元自治体との連携について振り返ったりするといった独自取材ができなくなる恐れがある」と指摘する。
NHK広報部は「部内の会議についてはコメントできない。原発に関する報道は、住民の不安をいたずらにあおらないよう、従来通り事実に基づき正しい情報を伝える」としている。
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民間企業の経営者で、報道・ジャーナリズムということを経験したこともなく、ある日突然首相から指名されてNHK会長になった籾井勝人氏は2014年1月の就任記者会見で「政府が右というものを左という訳にもいかんでしょう」「国際放送では領土問題などで日本の立場・主張を主張していくべきだ」などと発言して、報道・ジャーナリズムの立場や使命が判っていないと批判されましたが、籾井会長がまたまた報道機関の責任者としての資質を疑わせる発言をしました。
熊本地震で、原発再稼働について原発のの安全性に多くの国民から疑問の声が出されています。原発問題については、原子力規制委員会の安全宣言の妥当性や原発運転差し止め(廃炉)を求めて提訴した原発周辺地域の人たちの主張との対立点を判り易く伝えるとともに、科学者の見解なども紹介するのが報道機関の役割です。それを「住民の不安をかき立てないよう、公式発表をベースに伝えることを続けよ」と云うに至っては、報道機関としての役割を理解していないことを自ら明らかにしたことになります。
籾井会長はNHKを政府の広報機関と考えているのではないかと思わせるような発言を続けており、そういう考え方にそぐわないNHKの理事を任期満了で再任しないという方法で「籾井王国」を築こうとしており、多数のNHK退職者が籾井会長の退任を求める署名を集めてNHKに提出したりしています。いまその活動はOBの人が中心ですが、現役の人の集まりの日放労が籾井氏のNHK会長としての資質を問題にすべきだと思います。 大西 五郎