外務省の本職としてロシアウオッチャーをずっと務めていた佐藤優が現代ビジネスにおいて、ウクライナ戦争でブチャ虐殺が果たした重要役割をこう解説している。
『(前略) 軍事侵攻から1ヵ月余りが経過した昨年3月29日、トルコのイスタンブールで両国の和平交渉が開かれます。ロシアとウクライナの代表団が対面で停戦協議のテーブルにつき、対立はいったん解決しかけました。
ところが、ロシア軍がウクライナの首都キーウ周辺から軍隊を引き揚げると、キーウ近郊のブチャで民間人を含む大量虐殺を行っていた事件が報じられました。この「ブチャ事件」が停戦の可能性を御破算にしてしまいます。
ウクライナ側は「こんな蛮行に手を染めるような連中とは交渉できない」と激怒して交渉のテーブルから離れ、以後一度も和平交渉ができなくなってしまいます。
『(前略) 軍事侵攻から1ヵ月余りが経過した昨年3月29日、トルコのイスタンブールで両国の和平交渉が開かれます。ロシアとウクライナの代表団が対面で停戦協議のテーブルにつき、対立はいったん解決しかけました。
ところが、ロシア軍がウクライナの首都キーウ周辺から軍隊を引き揚げると、キーウ近郊のブチャで民間人を含む大量虐殺を行っていた事件が報じられました。この「ブチャ事件」が停戦の可能性を御破算にしてしまいます。
ウクライナ側は「こんな蛮行に手を染めるような連中とは交渉できない」と激怒して交渉のテーブルから離れ、以後一度も和平交渉ができなくなってしまいます。
変局する戦争の大義名分
さらにアメリカをはじめとするNATO(北大西洋条約機構)諸国、西側諸国がウクライナに送る兵器の物量が一気に10倍以上に増えました。ブチャ事件をトリガーとして、西側諸国がこの戦争を ”価値観戦争” に変えたのです。
「民主主義VS.独裁」の争いに変わった価値観戦争を、どうすれば終わらせることができるのでしょう。相手の政権を殲滅するか、あるいは屈服させるか。相手が自分の価値観を放棄しない限り、戦争は終わらなくなってしまいました。
西側諸国が兵器をどんどん送りこむ中、昨年4月以降のウクライナとロシアは「地域紛争」という枠組みで戦闘を継続します。(後略)』
戦争の初期において起こった停戦への動きに関わって、この「停戦の可能性を御破算」にしたというブチャ虐殺だが、その証拠はたったこれだけのはずだ。僕もこれを観たのだが、ロシア軍が引き揚げる前と直後との同じ道路上の写真比較。後者には死体が点々と散らばっていたというもの。これだけでロシアがやったということになっているが、こんな場面は爆撃、砲撃など戦争の巻き添え死体さえ準備できていれば真夜中の2~3時間で創れるものだろう。だから、もし国際裁判が開かれれば、これだけでは「ロシア告発」などはけっして成立しないはずだ。
最近の「黒海穀物輸送の頓挫は、ロシアの仕業」という印象操作もそうだが、ウクライナ戦争では「悪人ロシア(工作)報道」が日本などでも特に多すぎるように思う。そして、こういう報道は、世界に憎しみあいを深化拡大していくもの。つまり、次の戦争工作をやりやすくするというような。ちなみに、ウクライナ戦争を佐藤優が述べたように「価値観戦争」などと拡大すれば、「独裁中国」も近く相手にできるようになるわけだ。
ベトナム戦争のトンキン湾事件、イラク戦争の「大量破壊兵器」、シリア内乱介入の原因「化学兵器の使用」・・・アメリカは最近まで多くの「巨大な戦争原因」を捏造してきた。そして今、その米世界覇権がG7もろとも傾き始めている時、アメリカの戦争工作はさらに執拗になっていく情勢だと思う。「独裁体制国家への戦争工作」には、よくよく注意が必要になっている。