自民党の福田達夫総務会長は29日の記者会見で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と自民党の関係が指摘されていることに関して、「わが党が組織的に強い影響を受けて、政治を動かしているのであれば問題かもしれないが、僕の今の理解だと一切ない」と否定した。「誤解を招くようなこと(報道)はしてほしくない」という注文さえ付けたのである。
さてそれでは福田氏はまず、この問題をどう見るか。数十年前に評判が悪い洗脳カルトと日本社会に認知された統一教会は以降、日本での名前を変えて復活を図ろうとしてきて、2015年秘かに下村博文文科相時代にこれを認めてしまった。すると、またまたここのカルト活動が社会にはびこって訴訟も数々起きている。与党有力者などが関わっている団体ならばという、一種の社会的信用をその活動に与えたということはなかったか。そしてその見返りとしてこそ、この団体は自民党議員らを支えることになっていったのではなかったか。自民選挙候補者などの党員獲得義務に対して会員らの名を貸したり、自民選挙候補者らを組織内宣伝するなどによって。
さて、以上のことを与党政治家たちが「ノープロブレム」と言いうるのは、こういう理屈によってだけであろう。福田総務会長は、結局こう述べたことになるのである。
「彼らは宗教団体である。宗教団体の内部問題は我々の関知するところではない。そういう彼らが我々を支持してくれるというのだから、我々はそれを受けただけだ。我々の方は、彼らによって何かを変えるというように影響を受けたことは何もなかった」
統一教会は、マインドコントロールによる洗脳宗教団体、カルトであると過去の日本社会に大きく認知されたその名前を変えて、復活を図りたかった。2015年に与党が、秘かにそれを認めてやった。これを単なる一宗教団体だとして。ところが、カルト問題の政治に関わって最も歴史のあるフランスでは、10のカルト定義を慣例としていて、その多くがこの団体の活動に当てはっまっていたのである。世界に認知、活用されているそれは以下のとおりである。以下の出典は、ウィキペディアである。
フランスで採択された報告書『フランスにおけるセクト』がカルトの判定をする国際的な指針の一つとなっており、1.精神の不安定化(洗脳、マインドコントロール)、 2.法外な金銭的要求(多額の寄付金要求)、3.住み慣れた生活環境からの断絶(監禁、出家など) 、4.肉体的保全の損傷(精神的暴力も含む暴力) 、5.子供の囲い込み(子供の洗脳教育、宗教2世、カルト二世問題)、 6.反社会的な言説、7.公秩序の攪乱、 8.裁判沙汰の多さ、9.従来の経済回路からの逸脱 、10.公権力への浸透の試みの10個を「セクト構成要件の10項目」を列挙している。
この多くが現に当てはまった統一教会を世界平和統一家庭連合として国家が改めて認めてやるのならば、普通の宗教団体になったという実績やその説明が必要なはずだ。国民に対してそれを全くしていないままなのだから、この団体は社会の公序良俗を乱すカルト団体と今でも呼び続けるしかないではないか。
政府が秘かにやった「名称変更」は、犯罪人の前科を帳消しにしてやるかわりに、彼らを自分らの選挙の手足の一部に使い始めたようなものである。