・<太田農相>消費者軽視?…「やかましいから」安全徹底(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080811k0000m010085000c.html
・太田農相問題?発言「日本の消費者やかましい」(スポーツ報知)
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20080811-OHT1T00106.htm
・「消費者やかましい」発言で太田農相が釈明(産経新聞)
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/168600/
太田誠一農相が10日、NHKの討論番組で食の安全に関連し、「消費者としての国民が、やかましくいろいろ言うと応えざるを得ない」などと発言した(上記「スポーツ報知」記事)―という、例のニュースについて。その前の麻生幹事長による「自公政権・翼賛大連立反対の世論をナチス呼ばわり」と言い、今回の発言と言い、「福田政権のマルコスぶりも、安倍政権に負けず劣らず」「これで臆面も無く国民目線なぞと、よくも言えたものだ」―というのが、まずは第一印象。
ただ、上記の文章だけでは、この太田発言が、どういう文脈の中で出たものなのか、イマイチよく分かりませんでした。それで、前後の会話のやり取りまで含めて、もう少し調べてみよう―という事で、出てきたのが下記の文章。
・農水相「国民やかましい」/NHK番組/「食の安全」問われ(しんぶん赤旗)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-08-11/2008081102_02_0.html
>太田氏は、「国民がやかましくいろいろいうと、それにこたえざるをえない日本のような国の場合は、社会主義の国である中国のように消費者のことを考えないでもいいという国とは違って常にプレッシャーにさらされている」「とくに日本の場合は潔癖だから基本的には私は食の安全というのは日本国内では心配しなくてもいいと思っている」などと述べました。(同上記事より)
これでやっと、その場の大体の雰囲気が掴めてきました。誰とのどんな対談のやり取りの中で出た発言なのか、もう少し詳しく調べないと確かな事は言えないのですが、おそらく太田農相は、食の安全についても、「中国なんかのやり方と比べたら、日本の方が遥かに民主的」という事を、言いたかったのでしょう。しかし私からすれば、こんな発言は、典型的な「下見て暮らせ傘の下」の発想にしか他ならないのですが。
まず以って問題なのが、「国民のやかましい声にもいちいち誠実に応えてきた」と言わんばかりの、太田発言のこのスタンス。では、これまでの、雪印や日ハムやミートホープや船場吉兆やその他の、食品の日付・産地偽装や、マンションの耐震偽装は、一体何なのか。それを告発した西宮冷蔵を逆に容疑者扱いして、一旦は廃業にまで追いやったのは、一体どこの国のメーカーや役所なのか。
太田農相は、トレーサビリティー(生産履歴)制度や、HACCP(重要管理点モニタリング)などの衛生管理手法まで引き合いに出して、日本の役所やメーカーが「国民のやかましい声にもいちいち誠実に応えてきた」と言いたい様ですが、何をか況やです。たとえどんな制度を導入しようと、それを運用する人間がデータの改竄をやっていたら、同じ事です。それを、西宮冷蔵関係者が「世論も捨てたものではない」と言うのならまだしも、それを抑えつけてきた側が言うとは、言語道断です。
そして、今回の発言でもそうですが、中国や北朝鮮を引き合いに出しさえすれば、政府のやる事は全て免罪されると言わんばかりの、「下見て暮らせ傘の下」的発想。今の中国や北朝鮮が、お世辞にも褒められたものではないのは、その通りですが、それを陰で支えているのは、他ならぬ自分たちでもあるのにも関わらず。
例えば中国産冷凍餃子毒物混入事件一つとっても、中国側メーカーの天洋食品だけが悪者にされている感がありますが、それを日本側輸入元のJTフーズや生協も、見て見ぬふりをしていたのではないですか。国際競争に勝ち抜く為に、現場にダンピングを強いておきながら、それをいざ問題が発覚した途端に、全ての責任を製造現場だけに押し付けて、自分たちは何食わぬ顔で被害者づらして。
太田発言一つとっても、単に「食の安全を蔑ろにした」という側面だけでなく(勿論それ自体も重大な問題なのだが)、そういう「下見て暮らせ傘の下」的発想が、透けて見えるのです。
拉致問題や反日暴動からダンボール肉まんやディズニーランド模造遊園地の話題まで、昨今は「特定アジア」叩きには事欠かない有様ですが。しかし、その「特定アジア」の遅れた側面、例えば中国の環境問題一つとっても、中国の政府や共産党が人民の抗議行動を押さえつけているのは周知の事実ですが、それを陰で支えているのは一体誰なのか。G8諸国の政府・財界であり、グローバル資本やその手先のIMF・世銀・WTOではないのか。
それらが、自分たちの金儲けの為に、中国政府と結託して、彼の国の農民を農薬漬けにし、同じく労働者をスウェットショップ(搾取工場)に縛りつけ、「安かろう悪かろう」のダンピング輸出を強行して、日本の国内農業を破壊し、日本国民をジャンクフード漬けにしてきたのでしょうが。何の事は無い、G8やWTOが、今まで他の第三世界の国々に対して散々してきた事を、中国に対しても行っている。それだけの事なのです。しかも昨今は、その様な「ODAに名を借りた経済的搾取」を、「国益追求」と居直る議論まで出てくる始末で。
この様に、中国・北朝鮮の今の体制を支えているのが、実はG8やグローバル資本主義なのです。これは「親中・媚中」とか「ハト派」と言われる人たちだけに限った事ではなく、「タカ派」と呼ばれる人たちにも当てはまる事です。それが証拠に、普段は中国をシナだ何だのと散々貶める発言を繰り返している石原慎太郎が、経済的利害が絡むと途端に「親中・媚中」に豹変する、下記の事例一つとっても、自ずと明らかです。
・北京市との連携よびかけ 石原知事帰国(産経新聞)
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/sports/other/168393/
何故、タカ派・極右で鳴らす前首相の安倍晋三が、就任早々に中国との手打ちに踏み切ったのか。何故、北京オリンピック前はチベット問題や東シナ海ガス田開発問題などで「中国叩き」一色だったマスコミが、オリンピックが始まった途端に「五輪報道」一色に豹変するのか。
G8諸国の政府・財界やグローバル資本主義にとっては、今の中国との経済的関係は切っても切り離せないからです。日本の貿易相手国第一位の国が米国だったのも、数年前まで。今や、中国が日本の第一のお得意様なのですから。そんな国と断交や、況してや戦争なんて、今や在り得ない。それは右・左、タカ・ハト関係無し。
ただ、「目糞鼻糞」の輩が「下見て暮らせ傘の下」の風潮を煽りたい時だけ、ご都合主義的に中国や北朝鮮を持ち出してくるのです。よく「困った時の北朝鮮頼み」という事が言われますが、その通り、時として、自民党が選挙で危なくなると、途端にうまいタイミングで北朝鮮からミサイルが飛んでくる。
日本の右傾化としての改憲や海外派兵にしても、あれはあくまでイラクやアフガニスタンなどにおける米軍との戦争協力体制構築を想定したものであって、中国や北朝鮮を直接視野に入れたものではありません。本気で中国と事を構えるような事は、日本も米国も決してしない。そんな事をすれば、資本主義にとっても自殺行為となります。
しかし、「人権侵害が横行しダンボール肉まんが店頭で売られる気持ち悪い国」としての中国の存在は、政府・自民党にとっては真に都合が良い。B層やネットウヨク相手に「下見て暮らせ傘の下」を煽る格好のネタになるから。しかし、中国・北朝鮮人権問題の真の解決には、おそらく結びつかないでしょう。寧ろ「百害あって一利無し」という方が近いのではないか。
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080811k0000m010085000c.html
・太田農相問題?発言「日本の消費者やかましい」(スポーツ報知)
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20080811-OHT1T00106.htm
・「消費者やかましい」発言で太田農相が釈明(産経新聞)
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/168600/
太田誠一農相が10日、NHKの討論番組で食の安全に関連し、「消費者としての国民が、やかましくいろいろ言うと応えざるを得ない」などと発言した(上記「スポーツ報知」記事)―という、例のニュースについて。その前の麻生幹事長による「自公政権・翼賛大連立反対の世論をナチス呼ばわり」と言い、今回の発言と言い、「福田政権のマルコスぶりも、安倍政権に負けず劣らず」「これで臆面も無く国民目線なぞと、よくも言えたものだ」―というのが、まずは第一印象。
ただ、上記の文章だけでは、この太田発言が、どういう文脈の中で出たものなのか、イマイチよく分かりませんでした。それで、前後の会話のやり取りまで含めて、もう少し調べてみよう―という事で、出てきたのが下記の文章。
・農水相「国民やかましい」/NHK番組/「食の安全」問われ(しんぶん赤旗)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-08-11/2008081102_02_0.html
>太田氏は、「国民がやかましくいろいろいうと、それにこたえざるをえない日本のような国の場合は、社会主義の国である中国のように消費者のことを考えないでもいいという国とは違って常にプレッシャーにさらされている」「とくに日本の場合は潔癖だから基本的には私は食の安全というのは日本国内では心配しなくてもいいと思っている」などと述べました。(同上記事より)
これでやっと、その場の大体の雰囲気が掴めてきました。誰とのどんな対談のやり取りの中で出た発言なのか、もう少し詳しく調べないと確かな事は言えないのですが、おそらく太田農相は、食の安全についても、「中国なんかのやり方と比べたら、日本の方が遥かに民主的」という事を、言いたかったのでしょう。しかし私からすれば、こんな発言は、典型的な「下見て暮らせ傘の下」の発想にしか他ならないのですが。
まず以って問題なのが、「国民のやかましい声にもいちいち誠実に応えてきた」と言わんばかりの、太田発言のこのスタンス。では、これまでの、雪印や日ハムやミートホープや船場吉兆やその他の、食品の日付・産地偽装や、マンションの耐震偽装は、一体何なのか。それを告発した西宮冷蔵を逆に容疑者扱いして、一旦は廃業にまで追いやったのは、一体どこの国のメーカーや役所なのか。
太田農相は、トレーサビリティー(生産履歴)制度や、HACCP(重要管理点モニタリング)などの衛生管理手法まで引き合いに出して、日本の役所やメーカーが「国民のやかましい声にもいちいち誠実に応えてきた」と言いたい様ですが、何をか況やです。たとえどんな制度を導入しようと、それを運用する人間がデータの改竄をやっていたら、同じ事です。それを、西宮冷蔵関係者が「世論も捨てたものではない」と言うのならまだしも、それを抑えつけてきた側が言うとは、言語道断です。
そして、今回の発言でもそうですが、中国や北朝鮮を引き合いに出しさえすれば、政府のやる事は全て免罪されると言わんばかりの、「下見て暮らせ傘の下」的発想。今の中国や北朝鮮が、お世辞にも褒められたものではないのは、その通りですが、それを陰で支えているのは、他ならぬ自分たちでもあるのにも関わらず。
例えば中国産冷凍餃子毒物混入事件一つとっても、中国側メーカーの天洋食品だけが悪者にされている感がありますが、それを日本側輸入元のJTフーズや生協も、見て見ぬふりをしていたのではないですか。国際競争に勝ち抜く為に、現場にダンピングを強いておきながら、それをいざ問題が発覚した途端に、全ての責任を製造現場だけに押し付けて、自分たちは何食わぬ顔で被害者づらして。
太田発言一つとっても、単に「食の安全を蔑ろにした」という側面だけでなく(勿論それ自体も重大な問題なのだが)、そういう「下見て暮らせ傘の下」的発想が、透けて見えるのです。
拉致問題や反日暴動からダンボール肉まんやディズニーランド模造遊園地の話題まで、昨今は「特定アジア」叩きには事欠かない有様ですが。しかし、その「特定アジア」の遅れた側面、例えば中国の環境問題一つとっても、中国の政府や共産党が人民の抗議行動を押さえつけているのは周知の事実ですが、それを陰で支えているのは一体誰なのか。G8諸国の政府・財界であり、グローバル資本やその手先のIMF・世銀・WTOではないのか。
それらが、自分たちの金儲けの為に、中国政府と結託して、彼の国の農民を農薬漬けにし、同じく労働者をスウェットショップ(搾取工場)に縛りつけ、「安かろう悪かろう」のダンピング輸出を強行して、日本の国内農業を破壊し、日本国民をジャンクフード漬けにしてきたのでしょうが。何の事は無い、G8やWTOが、今まで他の第三世界の国々に対して散々してきた事を、中国に対しても行っている。それだけの事なのです。しかも昨今は、その様な「ODAに名を借りた経済的搾取」を、「国益追求」と居直る議論まで出てくる始末で。
この様に、中国・北朝鮮の今の体制を支えているのが、実はG8やグローバル資本主義なのです。これは「親中・媚中」とか「ハト派」と言われる人たちだけに限った事ではなく、「タカ派」と呼ばれる人たちにも当てはまる事です。それが証拠に、普段は中国をシナだ何だのと散々貶める発言を繰り返している石原慎太郎が、経済的利害が絡むと途端に「親中・媚中」に豹変する、下記の事例一つとっても、自ずと明らかです。
・北京市との連携よびかけ 石原知事帰国(産経新聞)
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/sports/other/168393/
何故、タカ派・極右で鳴らす前首相の安倍晋三が、就任早々に中国との手打ちに踏み切ったのか。何故、北京オリンピック前はチベット問題や東シナ海ガス田開発問題などで「中国叩き」一色だったマスコミが、オリンピックが始まった途端に「五輪報道」一色に豹変するのか。
G8諸国の政府・財界やグローバル資本主義にとっては、今の中国との経済的関係は切っても切り離せないからです。日本の貿易相手国第一位の国が米国だったのも、数年前まで。今や、中国が日本の第一のお得意様なのですから。そんな国と断交や、況してや戦争なんて、今や在り得ない。それは右・左、タカ・ハト関係無し。
ただ、「目糞鼻糞」の輩が「下見て暮らせ傘の下」の風潮を煽りたい時だけ、ご都合主義的に中国や北朝鮮を持ち出してくるのです。よく「困った時の北朝鮮頼み」という事が言われますが、その通り、時として、自民党が選挙で危なくなると、途端にうまいタイミングで北朝鮮からミサイルが飛んでくる。
日本の右傾化としての改憲や海外派兵にしても、あれはあくまでイラクやアフガニスタンなどにおける米軍との戦争協力体制構築を想定したものであって、中国や北朝鮮を直接視野に入れたものではありません。本気で中国と事を構えるような事は、日本も米国も決してしない。そんな事をすれば、資本主義にとっても自殺行為となります。
しかし、「人権侵害が横行しダンボール肉まんが店頭で売られる気持ち悪い国」としての中国の存在は、政府・自民党にとっては真に都合が良い。B層やネットウヨク相手に「下見て暮らせ傘の下」を煽る格好のネタになるから。しかし、中国・北朝鮮人権問題の真の解決には、おそらく結びつかないでしょう。寧ろ「百害あって一利無し」という方が近いのではないか。
私が森事件に遭遇し、秋葉原通り魔事件を契機に、派遣・請負労働の現状に思いを巡らしている間に、北朝鮮関連で大きなニュースがありました。今回はその件で、遅まきながら、少し思う所について書きたいと思います。この間の北朝鮮関連の大きなニュースというのは、勿論次の2つです。
・脱北女性が、「帰国事業の虚偽宣伝に騙された」と、朝鮮総連を提訴。
・北朝鮮が核計画の申告を行い、米国がその見返りにテロ支援国の指定解除に踏み出す。
まず最初に、脱北女性による朝鮮総連提訴のニュースから。以下、産経新聞の記事から引用します。
>「地上の楽園」などと虚偽の宣伝がなされた帰還事業で北朝鮮に渡り、強制収容所などで肉体的、精神的苦痛を受けたとして、脱北した大阪府在住で韓国籍の千葉優美子さん(47)=韓国名・高政美=が13日、帰還事業を支援した在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)を相手取り、慰謝料など約1100万円の損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こした。
>千葉さんは「朝鮮総連は北朝鮮を『地上の楽園』と称し、実情を秘して在日朝鮮人を誤信させた」と主張。帰還事業は在日朝鮮人を労働者や人質として利用するためのもので、「囚人や奴隷と変わらない生活を強いられた。脱北失敗後は殴るけるなどの激しい拷問を受けた」としている。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080613/trl0806131145006-n1.htm
私は、産経新聞なんてゴミ以下の存在だと思っているのですが、その中で唯一評価しているのが、こういうニュースをきちんと伝えている点です。他にこのニュースを伝えたのは、ウェブ版で見る限りだと、後は共同通信ぐらいでした。勿論、その裏には、北朝鮮問題を「左翼叩き、自民党政府ヨイショ」の「格好のネタ」として重宝している、フジ・産経グループの思惑がある事も、百も承知の上ですが。それでも事実は事実として、詳しく伝えてくれるのは、有難い点です。
帰国事業の問題については、旧サイト時代から何度となく言及してきたので、余りくどくは書きませんが、戦前から今に至るまで、日帝の旧植民地として差別され(近年の韓流ブームで緩和されつつあるとは言え)、戦後は北朝鮮政府によっても、帰国した親族を人質に取られ、日朝両国支配層の思惑に翻弄されてきたのが、これらの人たちです。原告が大阪在住で、裁判も大阪地裁で進められる事件なので、私としても、ささやかではあっても、何らかの形で原告の方を支援していきたいと思います。このニュースについては、既に訴状の全文が、沢村さんのサイトや「薔薇、または陽だまりの猫」さんのブログにアップされていますので、詳細についてはそちらも参照して下さい。
http://www11.ocn.ne.jp/~rachi/sojou.htm
http://blog.goo.ne.jp/harumi-s_2005/e/9c6b29b5f45d173af4dcc907e6178130
その他の、マルコス・ボカサと同レベルのどこぞの国の大統領が北朝鮮をテロ支援国リストから外したとか、そのお礼に北朝鮮がどこか中古の原子炉冷却塔を爆破したとか、あと何人か拉致被害者が帰ってくるかも知れないとか、そういうニュースも色々流れていますが、私は、そんなニュースにはあんまり興味がないです。「どうでも良い」とまでは言いませんが、そんな日・米・朝・その他の国の為政者・支配層の一挙手一投足に、いちいち一喜一憂して振り回されるというのも、何だか癪に障るので。こちらの方も、一応ニュース・ソースを下記に添付しておきますので、詳しくはそちらを参照して下さい。
・7/7緊急国民集会を開催-家族会・救う会・拉致議連(救う会ニュース)
http://www.sukuukai.jp/mailnews.php?itemid=1563
・テロ支援国指定の解除について(調査会ニュース)
http://www.chosa-kai.jp/news/comjannews0806.html
・拉致再調査「近く具体化」=町村官房長官が表明-対北朝鮮(時事通信)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol&k=2008062900164
・核問題解決進展を演出? 北朝鮮が冷却塔爆破(産経新聞)
http://sankei.jp.msn.com/world/korea/080627/kor0806272022012-n1.htm
・かすむ「拉致」福田政権打つ手なし 北朝鮮のテロ指定国家解除へ(産経新聞)
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080626/plc0806262010014-n1.htm
・今後の活動(荒木和博BLOG)
http://araki.way-nifty.com/araki/2008/06/post_c44a.html
・『テロ指定解除』(青木直人BLOG)
http://aoki.trycomp.com/2008/06/post-47.html
それらの「あんまり興味が湧かない」ニュースの中でも、とりわけ「興味が湧かない」のが、最初の「どこぞの国の大統領による、北朝鮮のテロ支援国リスト外し」のニュースです。
確かに、南北朝鮮が休戦ラインを挟んで互いににらみ合っている状況から脱却し、将来の東北アジア非核・平和地帯構築に至る、一つの可能性を示すという点では、歓迎すべきニュースなのかも知れませんが。しかし、一番肝心なのは、「それらの国の人民の生活・権利状況がどう変化するか」という点です。それを抜きにして、支配者同士の手打ちの宴に一喜一憂するだけでは、旧ソ連の、1960年頃のフルシチョフ外交や、80年代のゴルバチョフ外交とも、そう変わらないのでは。
当時も、「米ソ雪解け」「平和共存」「デタント」「新思考」だの散々言われましたが、その実、アメリカ帝国主義の侵略的性格が全然変わらなかったのは、今のイラク戦争が見事に証明していますし、旧ソ連の「収容所列島」としての本質も、その後のソ連崩壊で初めてその全貌が明るみになった訳で。
しかも、60年代のベトナム人民や、当時から今に至るまでのキューバ人民は、その「米ソの雪解け」時代(70年代以降はそれに中国も加わる)に、米国の侵略や経済封鎖と対峙し続けた末に、ベトナムは最終的に勝利を勝ち取り、キューバも今や勝利しつつあるのです。
現在、米国が「テロ支援国」=「悪の枢軸」と名指ししているのは、北朝鮮・イラン・シリア・キューバ・スーダンの5ヶ国で、それらの国々には、武器関連の輸出・販売禁止、経済援助禁止、世界銀行による融資の規制措置が執られています。しかし、そもそもこれら5ヶ国の選定基準そのものが、米国の勝手都合による恣意的なものですが、その事はここでは問いません。ただ、キューバ一つ例にとっても、そんな米国による恣意的な「テロ支援国」=「悪の枢軸」規定など、キューバにとっては、決定的な打撃には全然なっていないではありませんか。
確かに、米国の経済封鎖によって、キューバ経済は大きな重荷を背負わされています。しかし、ラテンアメリカの大多数の人民にとっては、軍事政権の人権弾圧に手を貸し、内政干渉を行い、経済的に搾取する米国こそが「悪の枢軸、テロ国家」であり、反対にキューバこそが、医療援助や識字活動支援を行う「救世主」となっているではありませんか。今や中南米諸国で続々と、新自由主義に反旗を翻す左派・中道左派政権が誕生しているのは、一体何故なのか。米国とキューバを比較して、どちらの言い分が真実かを、当該地域の人民が、理屈ではなく身体で理解しているからに、他ならないからではないですか。
要は、ここで言いたいかというと、ブッシュが勝手にこしらえた「テロとの戦い」という枠組みに、いつまでも囚われる事自体が、私に言わせれば、「ナンセンス」だという事です。十年一日の如く、そんな枠組みに囚われて、それに「下駄の雪」宜しくどこまでも阿諛追従してみせたり、逆に米国のその時々の「変節」にことさら反発して、日本が米国にとって代わって「テロとの戦い」を主導するんだ、みたいな事を云々する事自体が、それほど意味のある事だとは、到底思えないのですが。
ここで少し面白い話をします。カストロと並ぶキューバ革命の英雄チェ・ゲバラが、少なくないチベット人活動家にとっても、中国への抵抗運動の象徴として捉えられている事実があるのです。
チベットの抵抗運動というと、日本では兎角、社会主義中国に対する右派民族主義運動として捉えている向きが多いようです。しかし、世界に目を転じると、また違った事実にも気付かされます。たとえば、若き日のペマ・ギャルポさんが一時期チェ・ゲバラに心酔していた事とか、ブラジルのチベット問題NGOがゲバラの旗を掲げていたりとか、そういう事例も少なからず見受けられるのです。また、ゲバラそのものも、昨今の「蟹工船」ブームほどハッキリした形ではありませんが、世界的にはちょっとしたブームで、ゲバラTシャツが人気を呼んだりしているのです。
それは何故か。詳しい事は私にもよく分かりませんが、多分、キューバ革命直後の頃から既にソ連の官僚制や人権抑圧には批判的で、カストロとも袂を分かち最後まで革命家としての人生を全うしたゲバラに対して、レーニンや毛沢東にはない「人間的」側面を、彼の中に見出しているのではないかと思われます。
・アレイダ・ゲバラ氏来日講演会のお知らせ(アテナ・ジャパン)
http://www.atenajapan.com/news/pdf/aleida03.pdf
http://www.atenajapan.com/
・ゲバラの娘、連帯を語る(高世仁の「諸悪莫作」日記)
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20080517
・月刊プレイボーイ特集「チェ・ゲバラ、ぶれない男」(記事写真参照)
http://m-playboy.shueisha.co.jp/playboy_special/index.html
翻って、北朝鮮人権問題。かつて「救う会」は、ブッシュの向こうを張って、「拉致はテロだ」というスローガンを掲げました。当時は、小泉訪朝を契機に、拉致問題が表面化し、北朝鮮・金正日体制下の様々な人権抑圧が明らかになった時期でした。それはまた同時に、米国で911テロが勃発し、アフガン・イラク戦争にのめり込み、日本でも小泉政権が靖国参拝を強行し、ネットウヨク的言説がインターネットを占拠した時期でもありました。そんな時代だったからこそ、そんなスローガンが自然と大衆の中に入り込んで行ったのでしょう。
しかし今はどうか。その小泉政治の所為で日本は急速に格差社会化し、「勝ち組」に対する怨嗟の念が、秋葉原通り魔殺人事件加害者ですら一部からは「負け組」の救世主にまで押し上げられる時代となりました。そんな中で、往時の「拉致はテロだ」スローガンを叫んでも、果たして何人の方が振り向くでしょうか。振り向く人も確かにまだまだ少なくはないでしょうが、往時の勢いほどには顧みられないのは確かでしょう。
それどころか、下手をすれば「俺らワーキングプアが日々職場で経験しているピンハネ・パワハラ・セクハラこそ、政府・財界・派遣会社によるテロじゃないか!」「ひたすら勝ち組が負け組を支配する平和よりも、下克上でのし上がれる可能性もある戦争を望む」「何が「拉致はテロだ」じゃ、テロをそういう風に、異国から来た工作員の仕業としてしか捉えられないのも、所詮は政府御用の、守るべき家庭も資産もある人間による、ヌクヌク保守の運動だからじゃないか」とも、受け取られかねないのではないでしょうか。
そんな時代に、北朝鮮問題に世間の目を再び振り向かせようとするには、もうこれしかないのでは―「あくまで、人権抑圧国家への抵抗運動、北朝鮮の被抑圧人民の解放運動としての原点を、握って離さない事」。そう考えてこそ、「テロとの戦い」とか「拉致はテロだ」とかいうスローガンを掲げる事自体が、抵抗運動・解放運動にとっては「自縄自縛」「自殺行為」以外の何物でもないという事も、初めて自ずと明らかになります。実際、中国政府が東トルキスタンやチベットで少数民族を弾圧するのに、正にこのブッシュの「テロとの戦い」の論理を援用しているのですから。
そうではなく、あくまでも前記の原点に立脚してこそ、一旦は離れた「負け組」の目を、再び北朝鮮・拉致問題に振り向けさせる事が出来るのではないでしょうか。その為には、今の「救う会」の様な、兎角「反共」「保守再生」イデオロギーにのみ固執した、右派だけの視野の狭い運動ではなく、チベットNGOの様に、右の「法輪講」支持者からリベラルの「アムネスティ」や左の「ゲバラ」支持者まで、前記の原点で一致出来る全ての人士を網羅した、幅広い裾野を持つ運動を展開していかなければならないのではないでしょうか。
それと、上記の提起とも関連するのですが、今のマスコミの北朝鮮問題の取り上げ方も、私は「大いに問題あり」という気がして仕方がありません。これはあくまでも私が見た感じなので、今すぐに具体的な番組名なり記事名を挙げて論証する所までは行かないのですが。
これはどういう事かと言うと、特に今の北朝鮮関連のテレビ・ニュースなり特集番組を見て感じるのは、余りにも興味本位の「見てくれ」や「お涙頂戴」に偏し、視聴率稼ぎのセンセーショナリズムに走っているのが、露骨に目に付きだしたという事です。新聞では、以前から産経新聞にその傾向が顕著でしたが、テレビではもう大なり小なり、どの放送局でもそれが目に付く。確かに中には、以前見たチョン・ウォルソンさんの半生記や、石丸次郎さんの北朝鮮国内ルポ・ジャーナリスト誕生秘話の様な、本当に見ごたえのある優れた番組もあるのですが、それ以外の大半が、やれ「テポドン」だどうの「喜び組」がこうの、「金のどら息子がお忍びでTDLにやって来た」だとか、そういう番組が一時期からやたら鼻に付くようになりました。
そしてNHKの「拉致命令放送」、あれも何だかねえ。凡そどんな番組でも、編集者が誰からも干渉されずに、ひたすら自己の良心に基づいて製作された番組こそが、初めて真に人の心を打つのです。たとえば、政府・財界の圧力に屈せず第三弾に渡って放送されたNHKのワーキングプア特集番組などは、その好例です。あの番組も、誰かの命令で作らされていたら、あれほどの良い番組にはならなかったでしょう。たとえそれが「ワーキングプアの悲惨さをことさら強調しろ」という命令であったとしても。
ところが「命令放送」以降は特に、NHKのニュース番組で北朝鮮・拉致問題が取り上げられる回数こそ確かに増えたものの、その中身はといえば、安倍内閣なり福田内閣のサイドからの、単なる政府広報番組としか思えないものが、やたら増えたような気がして、仕方がない。私はもう、この手の番組はNHKであろうが民放であろうが、一切見ないようにしています。わざわざ自分の時間を割いてまで、見ようとは思わない。それもこれも、「救う会」などの運動団体が偏に、「人権抑圧国家への抵抗運動、北朝鮮の被抑圧人民の解放運動としての原点」をどこかに置き忘れ、「国家(具体的には日米両国)頼みの、時の政権におんぶにだっこの、解放同盟の右翼版みたいな運動」になってしまったからではないでしょうか。
私が、朝鮮総連を訴えた高政美(千葉優美子)さんの境遇には自分も思いを馳せる事が出来るのに引き換え、「拉致はテロだ」というスローガンにはことさら違和感しか感じ取れない原因も、多分今まで述べた点にあるからではないでしょうか。
・脱北女性が、「帰国事業の虚偽宣伝に騙された」と、朝鮮総連を提訴。
・北朝鮮が核計画の申告を行い、米国がその見返りにテロ支援国の指定解除に踏み出す。
まず最初に、脱北女性による朝鮮総連提訴のニュースから。以下、産経新聞の記事から引用します。
>「地上の楽園」などと虚偽の宣伝がなされた帰還事業で北朝鮮に渡り、強制収容所などで肉体的、精神的苦痛を受けたとして、脱北した大阪府在住で韓国籍の千葉優美子さん(47)=韓国名・高政美=が13日、帰還事業を支援した在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)を相手取り、慰謝料など約1100万円の損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こした。
>千葉さんは「朝鮮総連は北朝鮮を『地上の楽園』と称し、実情を秘して在日朝鮮人を誤信させた」と主張。帰還事業は在日朝鮮人を労働者や人質として利用するためのもので、「囚人や奴隷と変わらない生活を強いられた。脱北失敗後は殴るけるなどの激しい拷問を受けた」としている。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080613/trl0806131145006-n1.htm
私は、産経新聞なんてゴミ以下の存在だと思っているのですが、その中で唯一評価しているのが、こういうニュースをきちんと伝えている点です。他にこのニュースを伝えたのは、ウェブ版で見る限りだと、後は共同通信ぐらいでした。勿論、その裏には、北朝鮮問題を「左翼叩き、自民党政府ヨイショ」の「格好のネタ」として重宝している、フジ・産経グループの思惑がある事も、百も承知の上ですが。それでも事実は事実として、詳しく伝えてくれるのは、有難い点です。
帰国事業の問題については、旧サイト時代から何度となく言及してきたので、余りくどくは書きませんが、戦前から今に至るまで、日帝の旧植民地として差別され(近年の韓流ブームで緩和されつつあるとは言え)、戦後は北朝鮮政府によっても、帰国した親族を人質に取られ、日朝両国支配層の思惑に翻弄されてきたのが、これらの人たちです。原告が大阪在住で、裁判も大阪地裁で進められる事件なので、私としても、ささやかではあっても、何らかの形で原告の方を支援していきたいと思います。このニュースについては、既に訴状の全文が、沢村さんのサイトや「薔薇、または陽だまりの猫」さんのブログにアップされていますので、詳細についてはそちらも参照して下さい。
http://www11.ocn.ne.jp/~rachi/sojou.htm
http://blog.goo.ne.jp/harumi-s_2005/e/9c6b29b5f45d173af4dcc907e6178130
その他の、マルコス・ボカサと同レベルのどこぞの国の大統領が北朝鮮をテロ支援国リストから外したとか、そのお礼に北朝鮮がどこか中古の原子炉冷却塔を爆破したとか、あと何人か拉致被害者が帰ってくるかも知れないとか、そういうニュースも色々流れていますが、私は、そんなニュースにはあんまり興味がないです。「どうでも良い」とまでは言いませんが、そんな日・米・朝・その他の国の為政者・支配層の一挙手一投足に、いちいち一喜一憂して振り回されるというのも、何だか癪に障るので。こちらの方も、一応ニュース・ソースを下記に添付しておきますので、詳しくはそちらを参照して下さい。
・7/7緊急国民集会を開催-家族会・救う会・拉致議連(救う会ニュース)
http://www.sukuukai.jp/mailnews.php?itemid=1563
・テロ支援国指定の解除について(調査会ニュース)
http://www.chosa-kai.jp/news/comjannews0806.html
・拉致再調査「近く具体化」=町村官房長官が表明-対北朝鮮(時事通信)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol&k=2008062900164
・核問題解決進展を演出? 北朝鮮が冷却塔爆破(産経新聞)
http://sankei.jp.msn.com/world/korea/080627/kor0806272022012-n1.htm
・かすむ「拉致」福田政権打つ手なし 北朝鮮のテロ指定国家解除へ(産経新聞)
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080626/plc0806262010014-n1.htm
・今後の活動(荒木和博BLOG)
http://araki.way-nifty.com/araki/2008/06/post_c44a.html
・『テロ指定解除』(青木直人BLOG)
http://aoki.trycomp.com/2008/06/post-47.html
それらの「あんまり興味が湧かない」ニュースの中でも、とりわけ「興味が湧かない」のが、最初の「どこぞの国の大統領による、北朝鮮のテロ支援国リスト外し」のニュースです。
確かに、南北朝鮮が休戦ラインを挟んで互いににらみ合っている状況から脱却し、将来の東北アジア非核・平和地帯構築に至る、一つの可能性を示すという点では、歓迎すべきニュースなのかも知れませんが。しかし、一番肝心なのは、「それらの国の人民の生活・権利状況がどう変化するか」という点です。それを抜きにして、支配者同士の手打ちの宴に一喜一憂するだけでは、旧ソ連の、1960年頃のフルシチョフ外交や、80年代のゴルバチョフ外交とも、そう変わらないのでは。
当時も、「米ソ雪解け」「平和共存」「デタント」「新思考」だの散々言われましたが、その実、アメリカ帝国主義の侵略的性格が全然変わらなかったのは、今のイラク戦争が見事に証明していますし、旧ソ連の「収容所列島」としての本質も、その後のソ連崩壊で初めてその全貌が明るみになった訳で。
しかも、60年代のベトナム人民や、当時から今に至るまでのキューバ人民は、その「米ソの雪解け」時代(70年代以降はそれに中国も加わる)に、米国の侵略や経済封鎖と対峙し続けた末に、ベトナムは最終的に勝利を勝ち取り、キューバも今や勝利しつつあるのです。
現在、米国が「テロ支援国」=「悪の枢軸」と名指ししているのは、北朝鮮・イラン・シリア・キューバ・スーダンの5ヶ国で、それらの国々には、武器関連の輸出・販売禁止、経済援助禁止、世界銀行による融資の規制措置が執られています。しかし、そもそもこれら5ヶ国の選定基準そのものが、米国の勝手都合による恣意的なものですが、その事はここでは問いません。ただ、キューバ一つ例にとっても、そんな米国による恣意的な「テロ支援国」=「悪の枢軸」規定など、キューバにとっては、決定的な打撃には全然なっていないではありませんか。
確かに、米国の経済封鎖によって、キューバ経済は大きな重荷を背負わされています。しかし、ラテンアメリカの大多数の人民にとっては、軍事政権の人権弾圧に手を貸し、内政干渉を行い、経済的に搾取する米国こそが「悪の枢軸、テロ国家」であり、反対にキューバこそが、医療援助や識字活動支援を行う「救世主」となっているではありませんか。今や中南米諸国で続々と、新自由主義に反旗を翻す左派・中道左派政権が誕生しているのは、一体何故なのか。米国とキューバを比較して、どちらの言い分が真実かを、当該地域の人民が、理屈ではなく身体で理解しているからに、他ならないからではないですか。
要は、ここで言いたいかというと、ブッシュが勝手にこしらえた「テロとの戦い」という枠組みに、いつまでも囚われる事自体が、私に言わせれば、「ナンセンス」だという事です。十年一日の如く、そんな枠組みに囚われて、それに「下駄の雪」宜しくどこまでも阿諛追従してみせたり、逆に米国のその時々の「変節」にことさら反発して、日本が米国にとって代わって「テロとの戦い」を主導するんだ、みたいな事を云々する事自体が、それほど意味のある事だとは、到底思えないのですが。
ここで少し面白い話をします。カストロと並ぶキューバ革命の英雄チェ・ゲバラが、少なくないチベット人活動家にとっても、中国への抵抗運動の象徴として捉えられている事実があるのです。
チベットの抵抗運動というと、日本では兎角、社会主義中国に対する右派民族主義運動として捉えている向きが多いようです。しかし、世界に目を転じると、また違った事実にも気付かされます。たとえば、若き日のペマ・ギャルポさんが一時期チェ・ゲバラに心酔していた事とか、ブラジルのチベット問題NGOがゲバラの旗を掲げていたりとか、そういう事例も少なからず見受けられるのです。また、ゲバラそのものも、昨今の「蟹工船」ブームほどハッキリした形ではありませんが、世界的にはちょっとしたブームで、ゲバラTシャツが人気を呼んだりしているのです。
それは何故か。詳しい事は私にもよく分かりませんが、多分、キューバ革命直後の頃から既にソ連の官僚制や人権抑圧には批判的で、カストロとも袂を分かち最後まで革命家としての人生を全うしたゲバラに対して、レーニンや毛沢東にはない「人間的」側面を、彼の中に見出しているのではないかと思われます。
・アレイダ・ゲバラ氏来日講演会のお知らせ(アテナ・ジャパン)
http://www.atenajapan.com/news/pdf/aleida03.pdf
http://www.atenajapan.com/
・ゲバラの娘、連帯を語る(高世仁の「諸悪莫作」日記)
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20080517
・月刊プレイボーイ特集「チェ・ゲバラ、ぶれない男」(記事写真参照)
http://m-playboy.shueisha.co.jp/playboy_special/index.html
翻って、北朝鮮人権問題。かつて「救う会」は、ブッシュの向こうを張って、「拉致はテロだ」というスローガンを掲げました。当時は、小泉訪朝を契機に、拉致問題が表面化し、北朝鮮・金正日体制下の様々な人権抑圧が明らかになった時期でした。それはまた同時に、米国で911テロが勃発し、アフガン・イラク戦争にのめり込み、日本でも小泉政権が靖国参拝を強行し、ネットウヨク的言説がインターネットを占拠した時期でもありました。そんな時代だったからこそ、そんなスローガンが自然と大衆の中に入り込んで行ったのでしょう。
しかし今はどうか。その小泉政治の所為で日本は急速に格差社会化し、「勝ち組」に対する怨嗟の念が、秋葉原通り魔殺人事件加害者ですら一部からは「負け組」の救世主にまで押し上げられる時代となりました。そんな中で、往時の「拉致はテロだ」スローガンを叫んでも、果たして何人の方が振り向くでしょうか。振り向く人も確かにまだまだ少なくはないでしょうが、往時の勢いほどには顧みられないのは確かでしょう。
それどころか、下手をすれば「俺らワーキングプアが日々職場で経験しているピンハネ・パワハラ・セクハラこそ、政府・財界・派遣会社によるテロじゃないか!」「ひたすら勝ち組が負け組を支配する平和よりも、下克上でのし上がれる可能性もある戦争を望む」「何が「拉致はテロだ」じゃ、テロをそういう風に、異国から来た工作員の仕業としてしか捉えられないのも、所詮は政府御用の、守るべき家庭も資産もある人間による、ヌクヌク保守の運動だからじゃないか」とも、受け取られかねないのではないでしょうか。
そんな時代に、北朝鮮問題に世間の目を再び振り向かせようとするには、もうこれしかないのでは―「あくまで、人権抑圧国家への抵抗運動、北朝鮮の被抑圧人民の解放運動としての原点を、握って離さない事」。そう考えてこそ、「テロとの戦い」とか「拉致はテロだ」とかいうスローガンを掲げる事自体が、抵抗運動・解放運動にとっては「自縄自縛」「自殺行為」以外の何物でもないという事も、初めて自ずと明らかになります。実際、中国政府が東トルキスタンやチベットで少数民族を弾圧するのに、正にこのブッシュの「テロとの戦い」の論理を援用しているのですから。
そうではなく、あくまでも前記の原点に立脚してこそ、一旦は離れた「負け組」の目を、再び北朝鮮・拉致問題に振り向けさせる事が出来るのではないでしょうか。その為には、今の「救う会」の様な、兎角「反共」「保守再生」イデオロギーにのみ固執した、右派だけの視野の狭い運動ではなく、チベットNGOの様に、右の「法輪講」支持者からリベラルの「アムネスティ」や左の「ゲバラ」支持者まで、前記の原点で一致出来る全ての人士を網羅した、幅広い裾野を持つ運動を展開していかなければならないのではないでしょうか。
それと、上記の提起とも関連するのですが、今のマスコミの北朝鮮問題の取り上げ方も、私は「大いに問題あり」という気がして仕方がありません。これはあくまでも私が見た感じなので、今すぐに具体的な番組名なり記事名を挙げて論証する所までは行かないのですが。
これはどういう事かと言うと、特に今の北朝鮮関連のテレビ・ニュースなり特集番組を見て感じるのは、余りにも興味本位の「見てくれ」や「お涙頂戴」に偏し、視聴率稼ぎのセンセーショナリズムに走っているのが、露骨に目に付きだしたという事です。新聞では、以前から産経新聞にその傾向が顕著でしたが、テレビではもう大なり小なり、どの放送局でもそれが目に付く。確かに中には、以前見たチョン・ウォルソンさんの半生記や、石丸次郎さんの北朝鮮国内ルポ・ジャーナリスト誕生秘話の様な、本当に見ごたえのある優れた番組もあるのですが、それ以外の大半が、やれ「テポドン」だどうの「喜び組」がこうの、「金のどら息子がお忍びでTDLにやって来た」だとか、そういう番組が一時期からやたら鼻に付くようになりました。
そしてNHKの「拉致命令放送」、あれも何だかねえ。凡そどんな番組でも、編集者が誰からも干渉されずに、ひたすら自己の良心に基づいて製作された番組こそが、初めて真に人の心を打つのです。たとえば、政府・財界の圧力に屈せず第三弾に渡って放送されたNHKのワーキングプア特集番組などは、その好例です。あの番組も、誰かの命令で作らされていたら、あれほどの良い番組にはならなかったでしょう。たとえそれが「ワーキングプアの悲惨さをことさら強調しろ」という命令であったとしても。
ところが「命令放送」以降は特に、NHKのニュース番組で北朝鮮・拉致問題が取り上げられる回数こそ確かに増えたものの、その中身はといえば、安倍内閣なり福田内閣のサイドからの、単なる政府広報番組としか思えないものが、やたら増えたような気がして、仕方がない。私はもう、この手の番組はNHKであろうが民放であろうが、一切見ないようにしています。わざわざ自分の時間を割いてまで、見ようとは思わない。それもこれも、「救う会」などの運動団体が偏に、「人権抑圧国家への抵抗運動、北朝鮮の被抑圧人民の解放運動としての原点」をどこかに置き忘れ、「国家(具体的には日米両国)頼みの、時の政権におんぶにだっこの、解放同盟の右翼版みたいな運動」になってしまったからではないでしょうか。
私が、朝鮮総連を訴えた高政美(千葉優美子)さんの境遇には自分も思いを馳せる事が出来るのに引き換え、「拉致はテロだ」というスローガンにはことさら違和感しか感じ取れない原因も、多分今まで述べた点にあるからではないでしょうか。
さる5月12日に中国・四川省で発生したマグニチュード7.8の大地震は、阪神・淡路大震災の30倍の規模に相当し、最終的には死者は5万人にまで膨れ上がるだろうと言われています。この未曾有の震災被害に対して、既に日本を始め諸外国から救援隊が被災地に入って活動を開始し、日本国内でも赤十字を始め各団体で救援募金の取り組みが始まっています。そして同時に、中国国内においても、各地から救援ボランティアが続々と現地に集まっていると言います。この今回の震災被害のニュースを通して、改めて色々と考えさせられた事があります。それは、私自身も含めて、「チベット問題を本当に人権問題として捉えていたのか?」という事です。
今回の中国大地震が起こった後、インターネット上には「中国人に天罰が下った、ざまあみろ」といった醜い書き込みが流れたそうです。某マイミクさんからの情報で、それを知りました。私はそんな書き込みなど見たくもないし、そんな事に時間と労力を煩わされるのも嫌なので、一々調べませんでしたが、どんな事が書かれているかは、大体察しがつきます。
どうせ「シナ人は」云々といった内容でしょう。それを批判するのは容易い事です。―被災者には中国人だけでなくチベット族などの少数民族も大勢いるのに。そんな書き込みをしたら、チベット族に同情的な人も含め、中国人全体を敵に回してしまう事にしかならない。チベット人も中国人も、両方貶める事にしかならず、正に「百害あって一理無し」。ネットウヨクは「阪神大震災の時に中国人は日本人に対して同じ様な事をしたじゃないか」と言っているようですが、そこまで行ったらもう「子ども喧嘩」のレベルでしかない。第三者からすれば「目糞、鼻糞」で、両方とも「世界の物笑いの種」にしかにしかならない事に、何故気がつかないのだろう―と、幾らでも批判する事は出来ます。
しかし、そのネットウヨクの醜い書き込みを批判している私たちにも、心の片隅には、そのネットウヨクと同じ気持ちが、ひょっとしたらどこかに在ったかも知れない。最近そんな事を思うようになりました。
今回の震災の後、日本国内でも救援募金の取組みが始まり、現時点で既に日赤のネット募金だけでも1500万円以上の金額が集まっています。また中国国内でも、国内各地から震災救援のボランティアが続々と現地に集まっていると言います。そのいずれもが、私の予想外の出来事でした。
先の冷凍餃子農薬混入事件や、この前のチベット人権弾圧・北京オリンピック聖火騒動を通して、中国政府の消費者行政や人権感覚の在り方が問われました。そして今回の震災被害についても、温家宝首相の現地での陣頭指揮のニュースと同時に、支援物資の奪い合いや建築工事の手抜き疑惑などの事例も大きく報道されました。
そんな報道ばかりを目にしているうちに、ネットウヨクの醜い書き込みを批判している筈の私たちの方でも、「作られた中国人像」や「作られた日本人像」が、知らず知らずのうちに自身の心の中に出来上がっていなかったか。曰く「中国は一党独裁国家で世論は存在せず、官僚主義や拝金主義も横行しているので、ボランティアの動きなぞ絶対に起こらないだろう」とか、「日本人はみんな大なり小なり反中国感情に囚われており、救援募金などとても集まらないだろう」という思い込みに、次第に陥っていなかっただろうか。
確かに、それらの「××人像」も決して間違いではありません。それらの側面も中国・日本それぞれの一断面には違いありません。しかし、それが全てでもありません。中国人にも日本人にも色々な人がいます。決して一色に染め上げられるものではありません。そういうごく当たり前の事が、マスコミの情報洪水の中で、ともすれば見失われがちになっていなかったか。
その様な中で、幾ら言葉の上では「チベット問題を日中間の民族・国家対立の次元で捉えてはいけない」とか「悪いのは中国政府の一党独裁・開発独裁政治であって、中国人民には何の罪も無い」と、知識の上では分かったつもりでいても、実際は知らず知らずのうちに、「作られた中国人像」や「作られた日本人像」を、自分の心の中に抱くようになっていなかっただろうか。だから、中国国内の震災ボランティアの動きや、日本国内での震災救援募金の集まりも、予測できなかったのではないか。中国社会も日本社会も、実際はもっと多様で千差万別なものであり、決して「××人は」と一括りで捉えられるものではないにも関わらず。そんな事を思っています。
尚、「天罰が下った、ざまあみろ」とか「シナ人は」云々の書き込みそのものについては、もうこれは論外です。こういう輩が、単に自分たちの偏狭な反米・反朝・反中国感情や、戦争への敵討ちや、或いは日頃の鬱憤晴らしのネタとしてだけの為に、いくら広島・長崎・沖縄やチベットの問題を持ち出してきても、もうそれは滑稽という他ありません。そういう輩は、ダライ・ラマが何故、チベットとは直接関係の無いヒロシマ・ナガサキや反核・平和の問題にも逐一言及するのか、一度たりとも考えた事がないのでしょう。
(関連記事)
・四川大地震 あしなが育英会の奨学生らが街頭募金(神戸新聞)
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0001050279.shtml
・県内で四川大地震支援の輪広がる(新潟日報)
http://www.niigata-nippo.co.jp/pref/index.asp?cateNo=1&newsNo=110402
・四川大地震:救援に立ち上がる成都市民(JANJAN)
http://www.news.janjan.jp/world/0805/0805140102/1.php
・【現地ルポ】市民記者が体験した中国大地震(1)~(3)(オーマイ・ニュース)
http://www.ohmynews.co.jp/news/20080515/25074
http://www.ohmynews.co.jp/news/20080515/25077
http://www.ohmynews.co.jp/news/20080516/25122
・内閣主席大臣による声明:中国四川省で発生した大地震について(ダライ・ラマ法王日本代表部)
http://www.tibethouse.jp/news_release/2008/080513_release.html
・広島国際平和会議
ダライ・ラマのメッセージ、及びチベット問題の全面解決を目指すキャンペーンについての詳細。
http://www.hiroshimasummit.jp/
今回の中国大地震が起こった後、インターネット上には「中国人に天罰が下った、ざまあみろ」といった醜い書き込みが流れたそうです。某マイミクさんからの情報で、それを知りました。私はそんな書き込みなど見たくもないし、そんな事に時間と労力を煩わされるのも嫌なので、一々調べませんでしたが、どんな事が書かれているかは、大体察しがつきます。
どうせ「シナ人は」云々といった内容でしょう。それを批判するのは容易い事です。―被災者には中国人だけでなくチベット族などの少数民族も大勢いるのに。そんな書き込みをしたら、チベット族に同情的な人も含め、中国人全体を敵に回してしまう事にしかならない。チベット人も中国人も、両方貶める事にしかならず、正に「百害あって一理無し」。ネットウヨクは「阪神大震災の時に中国人は日本人に対して同じ様な事をしたじゃないか」と言っているようですが、そこまで行ったらもう「子ども喧嘩」のレベルでしかない。第三者からすれば「目糞、鼻糞」で、両方とも「世界の物笑いの種」にしかにしかならない事に、何故気がつかないのだろう―と、幾らでも批判する事は出来ます。
しかし、そのネットウヨクの醜い書き込みを批判している私たちにも、心の片隅には、そのネットウヨクと同じ気持ちが、ひょっとしたらどこかに在ったかも知れない。最近そんな事を思うようになりました。
今回の震災の後、日本国内でも救援募金の取組みが始まり、現時点で既に日赤のネット募金だけでも1500万円以上の金額が集まっています。また中国国内でも、国内各地から震災救援のボランティアが続々と現地に集まっていると言います。そのいずれもが、私の予想外の出来事でした。
先の冷凍餃子農薬混入事件や、この前のチベット人権弾圧・北京オリンピック聖火騒動を通して、中国政府の消費者行政や人権感覚の在り方が問われました。そして今回の震災被害についても、温家宝首相の現地での陣頭指揮のニュースと同時に、支援物資の奪い合いや建築工事の手抜き疑惑などの事例も大きく報道されました。
そんな報道ばかりを目にしているうちに、ネットウヨクの醜い書き込みを批判している筈の私たちの方でも、「作られた中国人像」や「作られた日本人像」が、知らず知らずのうちに自身の心の中に出来上がっていなかったか。曰く「中国は一党独裁国家で世論は存在せず、官僚主義や拝金主義も横行しているので、ボランティアの動きなぞ絶対に起こらないだろう」とか、「日本人はみんな大なり小なり反中国感情に囚われており、救援募金などとても集まらないだろう」という思い込みに、次第に陥っていなかっただろうか。
確かに、それらの「××人像」も決して間違いではありません。それらの側面も中国・日本それぞれの一断面には違いありません。しかし、それが全てでもありません。中国人にも日本人にも色々な人がいます。決して一色に染め上げられるものではありません。そういうごく当たり前の事が、マスコミの情報洪水の中で、ともすれば見失われがちになっていなかったか。
その様な中で、幾ら言葉の上では「チベット問題を日中間の民族・国家対立の次元で捉えてはいけない」とか「悪いのは中国政府の一党独裁・開発独裁政治であって、中国人民には何の罪も無い」と、知識の上では分かったつもりでいても、実際は知らず知らずのうちに、「作られた中国人像」や「作られた日本人像」を、自分の心の中に抱くようになっていなかっただろうか。だから、中国国内の震災ボランティアの動きや、日本国内での震災救援募金の集まりも、予測できなかったのではないか。中国社会も日本社会も、実際はもっと多様で千差万別なものであり、決して「××人は」と一括りで捉えられるものではないにも関わらず。そんな事を思っています。
尚、「天罰が下った、ざまあみろ」とか「シナ人は」云々の書き込みそのものについては、もうこれは論外です。こういう輩が、単に自分たちの偏狭な反米・反朝・反中国感情や、戦争への敵討ちや、或いは日頃の鬱憤晴らしのネタとしてだけの為に、いくら広島・長崎・沖縄やチベットの問題を持ち出してきても、もうそれは滑稽という他ありません。そういう輩は、ダライ・ラマが何故、チベットとは直接関係の無いヒロシマ・ナガサキや反核・平和の問題にも逐一言及するのか、一度たりとも考えた事がないのでしょう。
(関連記事)
・四川大地震 あしなが育英会の奨学生らが街頭募金(神戸新聞)
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0001050279.shtml
・県内で四川大地震支援の輪広がる(新潟日報)
http://www.niigata-nippo.co.jp/pref/index.asp?cateNo=1&newsNo=110402
・四川大地震:救援に立ち上がる成都市民(JANJAN)
http://www.news.janjan.jp/world/0805/0805140102/1.php
・【現地ルポ】市民記者が体験した中国大地震(1)~(3)(オーマイ・ニュース)
http://www.ohmynews.co.jp/news/20080515/25074
http://www.ohmynews.co.jp/news/20080515/25077
http://www.ohmynews.co.jp/news/20080516/25122
・内閣主席大臣による声明:中国四川省で発生した大地震について(ダライ・ラマ法王日本代表部)
http://www.tibethouse.jp/news_release/2008/080513_release.html
・広島国際平和会議
ダライ・ラマのメッセージ、及びチベット問題の全面解決を目指すキャンペーンについての詳細。
http://www.hiroshimasummit.jp/
北京オリンピックの聖火リレーが日本国内を通過した4月26日の長野市では、オリンピックを応援する在日中国人サポーターと、中国のチベット弾圧に抗議する人たちが、路上で衝突し、負傷者も何人か出ました。このニュースは既に今までもメディアで大きく取り上げられてきましたが、情報源によっては全く正反対の取り上げ方をされているものもあり、一体どちらの言い分が真実なのか、よく分からない部分がありました。
例えば、中国サポーターもチベット問題支援者も、どちらも「先に挑発し暴力を振るってきたのは相手の方だ」と主張しています。また、そもそもチベット支援NGOのセーブ・チベット・ネットワーク(STN)は、無意味な混乱を避けるという理由で、長野への組織動員は見送り、5月の胡錦濤来日に抗議行動の照準を合わせていた筈では無かったのか(当該団体HP参照)。それらも含めて、当時の現場の状況をここで改めて検証してみたいと思います。
●世界最低の国、日本([mixi]アリ@freetibetさん)
(引用開始)
当日、ニポンの警察官たちは、上層部からの命令によって、中国人たちだけに沿道での応援を許し、チベットを支援している人たちをすべて強制的に排除していたのです。実際には、チベットを支援している人たちもたくさんいたのに、警察が彼らをすべて排除して、中国人だけを沿道に並ばせていたのです。そして、現場を取材に来たTBSテレビの取材陣も、最初から「中国寄りの取材をするように」との指示があったのか、チベットを支持する人たちに対して、信じられないような態度をとっているのです。
(中略)
交差点で中国人と僕らが入り乱れた。
突然Mちゃんが顔面を殴られた。
僕は殴った中国人のババアを捕まえて、目の前の警察に言った。
「こいつ殴ったぞ!!」
警察は何もしなかった。
ババアが俺の手を噛んだ。手から血が出た。
警察と目が合った。
警察は何もしなかった。
ババアが僕の顔面を殴ってきた。
周りのチベットーサポーターが、「おい、警察、現行犯だろ、捕まえろよ!!!!」 と言ったのに、警察は何もしなかった。
(引用終了)
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=787996903&owner_id=2071143
上記は、チベット支援者がミクシィ内で公表した日記の一部です。当時の状況も動画でアップされています。当該日記はURLをクリックしてもミクシィ登録者にしか閲覧出来ませんが、転載可という事で「きっこの日記」やAMLでもその内容が取り上げられていますので、ご覧になれない人はそちらを参照して下さい。中国サポーターの異常な熱狂ぶりと、日本警察の及び腰の警備ぶりが、白日の下に晒されています。
しかし、上記の「中国寄りの取材」という部分については、どうでしょうか。「チベット支援者の強制排除」というのは確かにその通りですが、マスコミに流れた映像を見る限りでは、寧ろ逆に「中国・チベット双方の支援者同士の衝突」や「中国サポーターの残虐性」、「周辺住民の困惑」を、これでもかと言う位、取り上げていたのではなかったのか。そして、もう一方の当事者であるチベット支援者についても、映し出されたのはチベット旗と当たり障りのない「フリー・チベット」のプラカードばかりで、「ゴミはゴミ箱へ、支那人は帰れ!」(YouTube参照)といった排外主義丸出しのものは、寧ろ巧妙に隠蔽されていたのではなかったか。
下記のレポートを読むと、どうしてもそういう疑念が拭えないのです。しかし、こちらの方の情報は、マスメディアには殆ど流れる事はありませんでした。
●聖火の長野に現れた醜い「ニセモノ」(オーマイニュース)
(引用開始)
橋爪記者 「一部の日本人がチベットの国旗を掲げて、『中国は出て行け』などの主張をしていたり中国人を挑発したりして、こぜりあいになっていたんですが(その動画はこちら)、チベット人を支援する立場から見て、いかがですか?」
高橋さん 「そんなことがあったんですか。私たちは決して暴力的なことはしません。『チベットに自由を、宗教の自由を、教育の自由を、本当の自由を、フリーチベット!フリーチベット!』と言っていました」
(中略)
チベット旗を掲げて行動していた人々の中には、たとえば「支那人たちに厳命する」などと書かかれた看板を掲げた人もいた。チベット人グループとともに行動していた理由について、メディア記者らを前に「単純に中国が嫌いなだけだ!」と言い放った男性すらいた(その動画はこちら)。
記者がスタート地点で見かけた一団は、中国人に向けて「帰れ!」「糾弾!」と叫びつつも、笑顔だった。まるで“市民運動的なパフォーマンス”を趣味にしている人々のようにさえ見えた。
(引用終了)
http://www.ohmynews.co.jp/news/20080427/24068
●4.26長野聖火リレー抗議アクション報告 - 若者たちとともに「中国サポーター」も右翼も圧倒した(アジア連帯講座)
(引用開始)
私たち(注:アジア連帯講座の人たち)が横断幕と虹旗、ゲバラ旗を掲げると「ゲバラは共産主義やん!」と言ってくる。「ゲバラはソ連や中国を批判しているからいいんだよ」と言うと「へぇ、そうなんですか」と簡単に納得していた。そうして、中国国旗とは違う赤旗が、唯一本翻った。若者たちは、「右」とか「左」以前の政治信条以前に、とにかく中国政府によるチベット民衆虐殺に抗議したい、抑圧を止めたいと強い思いをもっている若者たちだった。
(中略)
この盛り上がりを見て職業右翼や差別排外主義のレイシスト集団たちもこの公園に集まりだす。職業右翼が便乗しようとして「日本は中国と国交を断絶せよ~」と叫ぶと、若者たちは「オレは自分は"右"だと思ってるけど、それは違うだろ」「国交断絶なんて無理だし」「中国の人たちにも分かってもらいたいんだよ」と次々と声を上げる。若者たちは自分たちでシュプレヒコールもあげていたが、どんなに興奮しても差別的・排外主義的なことは絶対に言わない、あるいは職業右翼の排外的な扇動には絶対に乗せられることはなかった。
(中略)
そのとき、私たちの前で右翼が萩本(注:聖火走者の萩本欽一)に向けて何かを投げたが、若者たちが「暴力反対!」「くだらないことやってんな!」と叫んでいたことまでは、やはりテレビには映らない。しかし実は、右翼たちはアジア連帯講座の横断幕の影から「聖火ランナー」に投擲するためのトマトを大量に用意していたが、このような若者たちと私たちの振る舞いが姑息で卑劣な右翼に投擲を断念させていたのだ。
(引用終了)
http://solidarity.blog.shinobi.jp/Entry/230/
以上の情報を見る限りでは、中国・チベット双方の支援者たちの「どちらにも問題あり」と言わざるを得ません。少なくとも、日本のマスメディアが流す「悪いのは全て中国サポーター」と言わんばかりの報道は、事実を必ずしも正確に反映したものではないのでは。
確かに、中国サポーターの傍若無人ぶりについては、ここで改めて言うまでもありません。この事は既にマスコミも大きく取り上げているので、ここでは次の点だけ指摘しておきます。
かつて中国は「第三世界のリーダー」として「全世界の被抑圧人民・民族の解放」を旗印に掲げた時期がありましたが、今や中国はそんな旗印などとっくに投げ捨てて、自身が抑圧者として振舞っているではないですか。外国資本と結託して国内の少数民族や労働者・農民を抑圧し、この長野でも、交通規制を無視して傍若無人の振舞を行いました。次のリレー中継地である韓国ソウルでも、全く同様の振舞だったと聞いています。
今や彼の人たちを突き動かしている心情は、「被抑圧人民・民族の解放」でも「プロレタリア国際主義」でもなく、只の「中華ナショナリズム」「中国版・靖国史観」とも言うべきものではないですか。
他方で、チベット支援者の方も、その一部に、チベット人権とは縁もゆかりも無い、「単に中国人差別や反共のネタとして、それらの問題に便乗しているだけの人たち」を抱えている事も事実です。ユーチューブの動画にも頻繁に登場するこれらの人たちは、どう見ても元からチベット人権問題に取り組んで来られた人たちとは思えません。横柄な物言い・仕種や恫喝的なシュプレヒコールの仕方からして、これはどう見ても街宣右翼・ヤクザ右翼でしょう。そして、その周囲を固めているのは、恐らく当該右翼団体構成員とそれに付和雷同するネットウヨクの面々でしょう。
これらの人たちは、チベットの民族・人権問題を、「中国人vs日本人」の民族・国家対立の問題に摩り替えようと、躍起になっているだけなのです。それは、これらの人たちが在日コリアンその他の在日外国人やアイヌ・琉球の人たちを、日頃からどう扱っているかを見れば、自ずと明らかです。入管体制強化や外国人排斥を叫びたてるこれらの人たちが、チベットの民族自決権侵害にだけ偽りの涙を流すのは、正しく噴飯者以外の何物でもありません。彼の人たちが、中国民主化を主張する中国人に対しても、取り囲んで「支那人帰れ!」と罵倒を浴びせたのも(「四トロ同窓会二次会掲示板」参照)、当然の成り行きでしかありません。
自分達とは意見の異なる人たちに対して、今まで散々「反日」だの「売国奴」だのと罵ってきた彼の人たちが、当の自分たちが国家権力から弾圧されて初めて「世界最低の国、日本」に気付いた所で、私からすれば「今頃何言ってんねん」でしかない訳で。
そして、日本の警察。チベット問題NGO「国境なき記者団」の事務局長が「抗議行動を容認した日本政府の民主的な対応を称賛」し、「中国の若者はこの日の経験から民主主義の何たるかを知ってもらいたい」(産経新聞)と述べた一方で、上記のミクシィの日記には日本警察の及び腰ぶりも書かれていています。一体どちらが本当なのでしょうか。私は、これは「たとえ当人の主観がどうであれ、客観的に見ればどちらも結局はヤラセでしかない」と思っています。
つまり、こういう事です。日本も中国も、今の経済グローバリズムの現状を考えると、本気で事を構える気は更々無い。北京オリンピックも、中国にとっては国威発揚、日本にとってはビッグビジネスの、絶好のチャンスなので、勿論成功させたい。しかしその一方で、時には華々しい国家対立の演出もしてみせる必要がある。中国も日本もその事で、国内の不満の捌け口をそちらに振り向ける事が出来ますから。
そういう意味では、先の中国産冷凍餃子事件とも、構造は非常によく似ています。予め落とし所を決めた上で、日中両国のネットウヨク同士の対立を華々しく演出し、その中で只管自分たちは被害者を装う事で、それぞれの政権浮揚に繋げる。ここまで来れば、もう完全な出来レースです。
だから、チベット人権問題の火に油を注ぐ事になるのも承知の上で、中国は聖火防衛隊なるものを敢えて大々的に組織して、これ見よがしに世界に見せつけているのでしょう。そして日本も、産経新聞を筆頭に、その傍若無人ぶりを大々的に報道する事で、「平和だの公平だの糞食らえだ」「中国の傍若無人に対抗するには、日本もある程度、傍若無人になるしかないんだ」とばかりに、御用愛国心の醸成に躍起となっているのでしょう。しかし、ここまで来ると、本来チベット問題が拠って立つべき筈の、人権・民族平等・国際連帯といった観点は、もう物の見事に欠落してしまっています。
勿論言うまでもない事ですが、チベットなどの中国国内の民族・人権問題は、これは出来レースなんかではありません。れっきとした人権問題です。そしてそれに取り組むNGOや市民たちも、決してこんなヘイトスピーカーばかりではない事も承知しています。右翼はその中では寧ろ少数派でしょう。かと言って左翼でもない、そのどちらにも属さない普通の人たちが、ミクシィや2ちゃんねるでの議論を基に、「チベットを救え」の一点で立ち上がったというのが、実際の所だと思います。
その中に右翼が左翼がいても、勿論一向に構いません。「チベットを救え」の一点で団結して行動している限りでは。しかし、以上述べた長野での一部支援者の動きを見ていると、どうしてもある種の危惧を抱かざるを得ません。
チベット問題支援者が、右でも左でもない人たちが主流であるが故に、行過ぎた排外主義や差別的言動に対しても、同じ支援者という事でついつい脇が甘くなり、声の大きい方に引きずられ、気がついた時には、かつて見られた運動の広がりや一般大衆の支持は急速に色褪せ、右一色の偏狭な運動に変質してしまっていた、という事にならなければ良いのですが。
例えば、中国サポーターもチベット問題支援者も、どちらも「先に挑発し暴力を振るってきたのは相手の方だ」と主張しています。また、そもそもチベット支援NGOのセーブ・チベット・ネットワーク(STN)は、無意味な混乱を避けるという理由で、長野への組織動員は見送り、5月の胡錦濤来日に抗議行動の照準を合わせていた筈では無かったのか(当該団体HP参照)。それらも含めて、当時の現場の状況をここで改めて検証してみたいと思います。
●世界最低の国、日本([mixi]アリ@freetibetさん)
(引用開始)
当日、ニポンの警察官たちは、上層部からの命令によって、中国人たちだけに沿道での応援を許し、チベットを支援している人たちをすべて強制的に排除していたのです。実際には、チベットを支援している人たちもたくさんいたのに、警察が彼らをすべて排除して、中国人だけを沿道に並ばせていたのです。そして、現場を取材に来たTBSテレビの取材陣も、最初から「中国寄りの取材をするように」との指示があったのか、チベットを支持する人たちに対して、信じられないような態度をとっているのです。
(中略)
交差点で中国人と僕らが入り乱れた。
突然Mちゃんが顔面を殴られた。
僕は殴った中国人のババアを捕まえて、目の前の警察に言った。
「こいつ殴ったぞ!!」
警察は何もしなかった。
ババアが俺の手を噛んだ。手から血が出た。
警察と目が合った。
警察は何もしなかった。
ババアが僕の顔面を殴ってきた。
周りのチベットーサポーターが、「おい、警察、現行犯だろ、捕まえろよ!!!!」 と言ったのに、警察は何もしなかった。
(引用終了)
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=787996903&owner_id=2071143
上記は、チベット支援者がミクシィ内で公表した日記の一部です。当時の状況も動画でアップされています。当該日記はURLをクリックしてもミクシィ登録者にしか閲覧出来ませんが、転載可という事で「きっこの日記」やAMLでもその内容が取り上げられていますので、ご覧になれない人はそちらを参照して下さい。中国サポーターの異常な熱狂ぶりと、日本警察の及び腰の警備ぶりが、白日の下に晒されています。
しかし、上記の「中国寄りの取材」という部分については、どうでしょうか。「チベット支援者の強制排除」というのは確かにその通りですが、マスコミに流れた映像を見る限りでは、寧ろ逆に「中国・チベット双方の支援者同士の衝突」や「中国サポーターの残虐性」、「周辺住民の困惑」を、これでもかと言う位、取り上げていたのではなかったのか。そして、もう一方の当事者であるチベット支援者についても、映し出されたのはチベット旗と当たり障りのない「フリー・チベット」のプラカードばかりで、「ゴミはゴミ箱へ、支那人は帰れ!」(YouTube参照)といった排外主義丸出しのものは、寧ろ巧妙に隠蔽されていたのではなかったか。
下記のレポートを読むと、どうしてもそういう疑念が拭えないのです。しかし、こちらの方の情報は、マスメディアには殆ど流れる事はありませんでした。
●聖火の長野に現れた醜い「ニセモノ」(オーマイニュース)
(引用開始)
橋爪記者 「一部の日本人がチベットの国旗を掲げて、『中国は出て行け』などの主張をしていたり中国人を挑発したりして、こぜりあいになっていたんですが(その動画はこちら)、チベット人を支援する立場から見て、いかがですか?」
高橋さん 「そんなことがあったんですか。私たちは決して暴力的なことはしません。『チベットに自由を、宗教の自由を、教育の自由を、本当の自由を、フリーチベット!フリーチベット!』と言っていました」
(中略)
チベット旗を掲げて行動していた人々の中には、たとえば「支那人たちに厳命する」などと書かかれた看板を掲げた人もいた。チベット人グループとともに行動していた理由について、メディア記者らを前に「単純に中国が嫌いなだけだ!」と言い放った男性すらいた(その動画はこちら)。
記者がスタート地点で見かけた一団は、中国人に向けて「帰れ!」「糾弾!」と叫びつつも、笑顔だった。まるで“市民運動的なパフォーマンス”を趣味にしている人々のようにさえ見えた。
(引用終了)
http://www.ohmynews.co.jp/news/20080427/24068
●4.26長野聖火リレー抗議アクション報告 - 若者たちとともに「中国サポーター」も右翼も圧倒した(アジア連帯講座)
(引用開始)
私たち(注:アジア連帯講座の人たち)が横断幕と虹旗、ゲバラ旗を掲げると「ゲバラは共産主義やん!」と言ってくる。「ゲバラはソ連や中国を批判しているからいいんだよ」と言うと「へぇ、そうなんですか」と簡単に納得していた。そうして、中国国旗とは違う赤旗が、唯一本翻った。若者たちは、「右」とか「左」以前の政治信条以前に、とにかく中国政府によるチベット民衆虐殺に抗議したい、抑圧を止めたいと強い思いをもっている若者たちだった。
(中略)
この盛り上がりを見て職業右翼や差別排外主義のレイシスト集団たちもこの公園に集まりだす。職業右翼が便乗しようとして「日本は中国と国交を断絶せよ~」と叫ぶと、若者たちは「オレは自分は"右"だと思ってるけど、それは違うだろ」「国交断絶なんて無理だし」「中国の人たちにも分かってもらいたいんだよ」と次々と声を上げる。若者たちは自分たちでシュプレヒコールもあげていたが、どんなに興奮しても差別的・排外主義的なことは絶対に言わない、あるいは職業右翼の排外的な扇動には絶対に乗せられることはなかった。
(中略)
そのとき、私たちの前で右翼が萩本(注:聖火走者の萩本欽一)に向けて何かを投げたが、若者たちが「暴力反対!」「くだらないことやってんな!」と叫んでいたことまでは、やはりテレビには映らない。しかし実は、右翼たちはアジア連帯講座の横断幕の影から「聖火ランナー」に投擲するためのトマトを大量に用意していたが、このような若者たちと私たちの振る舞いが姑息で卑劣な右翼に投擲を断念させていたのだ。
(引用終了)
http://solidarity.blog.shinobi.jp/Entry/230/
以上の情報を見る限りでは、中国・チベット双方の支援者たちの「どちらにも問題あり」と言わざるを得ません。少なくとも、日本のマスメディアが流す「悪いのは全て中国サポーター」と言わんばかりの報道は、事実を必ずしも正確に反映したものではないのでは。
確かに、中国サポーターの傍若無人ぶりについては、ここで改めて言うまでもありません。この事は既にマスコミも大きく取り上げているので、ここでは次の点だけ指摘しておきます。
かつて中国は「第三世界のリーダー」として「全世界の被抑圧人民・民族の解放」を旗印に掲げた時期がありましたが、今や中国はそんな旗印などとっくに投げ捨てて、自身が抑圧者として振舞っているではないですか。外国資本と結託して国内の少数民族や労働者・農民を抑圧し、この長野でも、交通規制を無視して傍若無人の振舞を行いました。次のリレー中継地である韓国ソウルでも、全く同様の振舞だったと聞いています。
今や彼の人たちを突き動かしている心情は、「被抑圧人民・民族の解放」でも「プロレタリア国際主義」でもなく、只の「中華ナショナリズム」「中国版・靖国史観」とも言うべきものではないですか。
他方で、チベット支援者の方も、その一部に、チベット人権とは縁もゆかりも無い、「単に中国人差別や反共のネタとして、それらの問題に便乗しているだけの人たち」を抱えている事も事実です。ユーチューブの動画にも頻繁に登場するこれらの人たちは、どう見ても元からチベット人権問題に取り組んで来られた人たちとは思えません。横柄な物言い・仕種や恫喝的なシュプレヒコールの仕方からして、これはどう見ても街宣右翼・ヤクザ右翼でしょう。そして、その周囲を固めているのは、恐らく当該右翼団体構成員とそれに付和雷同するネットウヨクの面々でしょう。
これらの人たちは、チベットの民族・人権問題を、「中国人vs日本人」の民族・国家対立の問題に摩り替えようと、躍起になっているだけなのです。それは、これらの人たちが在日コリアンその他の在日外国人やアイヌ・琉球の人たちを、日頃からどう扱っているかを見れば、自ずと明らかです。入管体制強化や外国人排斥を叫びたてるこれらの人たちが、チベットの民族自決権侵害にだけ偽りの涙を流すのは、正しく噴飯者以外の何物でもありません。彼の人たちが、中国民主化を主張する中国人に対しても、取り囲んで「支那人帰れ!」と罵倒を浴びせたのも(「四トロ同窓会二次会掲示板」参照)、当然の成り行きでしかありません。
自分達とは意見の異なる人たちに対して、今まで散々「反日」だの「売国奴」だのと罵ってきた彼の人たちが、当の自分たちが国家権力から弾圧されて初めて「世界最低の国、日本」に気付いた所で、私からすれば「今頃何言ってんねん」でしかない訳で。
そして、日本の警察。チベット問題NGO「国境なき記者団」の事務局長が「抗議行動を容認した日本政府の民主的な対応を称賛」し、「中国の若者はこの日の経験から民主主義の何たるかを知ってもらいたい」(産経新聞)と述べた一方で、上記のミクシィの日記には日本警察の及び腰ぶりも書かれていています。一体どちらが本当なのでしょうか。私は、これは「たとえ当人の主観がどうであれ、客観的に見ればどちらも結局はヤラセでしかない」と思っています。
つまり、こういう事です。日本も中国も、今の経済グローバリズムの現状を考えると、本気で事を構える気は更々無い。北京オリンピックも、中国にとっては国威発揚、日本にとってはビッグビジネスの、絶好のチャンスなので、勿論成功させたい。しかしその一方で、時には華々しい国家対立の演出もしてみせる必要がある。中国も日本もその事で、国内の不満の捌け口をそちらに振り向ける事が出来ますから。
そういう意味では、先の中国産冷凍餃子事件とも、構造は非常によく似ています。予め落とし所を決めた上で、日中両国のネットウヨク同士の対立を華々しく演出し、その中で只管自分たちは被害者を装う事で、それぞれの政権浮揚に繋げる。ここまで来れば、もう完全な出来レースです。
だから、チベット人権問題の火に油を注ぐ事になるのも承知の上で、中国は聖火防衛隊なるものを敢えて大々的に組織して、これ見よがしに世界に見せつけているのでしょう。そして日本も、産経新聞を筆頭に、その傍若無人ぶりを大々的に報道する事で、「平和だの公平だの糞食らえだ」「中国の傍若無人に対抗するには、日本もある程度、傍若無人になるしかないんだ」とばかりに、御用愛国心の醸成に躍起となっているのでしょう。しかし、ここまで来ると、本来チベット問題が拠って立つべき筈の、人権・民族平等・国際連帯といった観点は、もう物の見事に欠落してしまっています。
勿論言うまでもない事ですが、チベットなどの中国国内の民族・人権問題は、これは出来レースなんかではありません。れっきとした人権問題です。そしてそれに取り組むNGOや市民たちも、決してこんなヘイトスピーカーばかりではない事も承知しています。右翼はその中では寧ろ少数派でしょう。かと言って左翼でもない、そのどちらにも属さない普通の人たちが、ミクシィや2ちゃんねるでの議論を基に、「チベットを救え」の一点で立ち上がったというのが、実際の所だと思います。
その中に右翼が左翼がいても、勿論一向に構いません。「チベットを救え」の一点で団結して行動している限りでは。しかし、以上述べた長野での一部支援者の動きを見ていると、どうしてもある種の危惧を抱かざるを得ません。
チベット問題支援者が、右でも左でもない人たちが主流であるが故に、行過ぎた排外主義や差別的言動に対しても、同じ支援者という事でついつい脇が甘くなり、声の大きい方に引きずられ、気がついた時には、かつて見られた運動の広がりや一般大衆の支持は急速に色褪せ、右一色の偏狭な運動に変質してしまっていた、という事にならなければ良いのですが。
この間のチベット問題に関するニュースを見ても感じた事ですが、この問題も、ある意味においては北朝鮮・拉致問題と同様に、日本の政治やマスコミ論調の本質を炙り出す「合わせ鏡、試金石」として機能しているのかも知れません。
まずマスコミ報道について。テレビでも新聞でも、確かに「中国政府によるチベットの民族抑圧」を批判はしています。中国側の公式発表ばかりではなく、ダライ・ラマやチベット亡命政府の見解も紹介はしています。その限りでは、公平・中立・客観的な報道姿勢であると、言えなくもありません。しかしその割には、暴徒の銀行・商店襲撃の映像ばかりを何度もテレビで垂れ流している様に感じてなりません。そして、今回の民族暴動の背景ともなったチベット動乱の歴史や、その他のウイグルなどの中国国内の少数民族問題については、殆ど取り上げられていません。
それには、確かに中国側の情報操作の影響はあるでしょう。しかしそれでも、インドにはチベット亡命政府が存在し、チベットの人権問題に取り組むNGOも全世界で活動しているのですから、そこからきちんと取材していたら、こんな暴徒映像の垂れ流しにはならない筈です。これはイラク戦争に関するニュース報道でも感じる事ですが、一応はアルジャジーラの記事なども紹介して一見公平・中立を装っているかの様に取り繕いながら、実際に流すのは「テロと戦う米軍や中国政府の映像」ばかりで、後はタリバンやアルカイダによる公開処刑の話などでお茶を濁して、テロの歴史的な背景やそれを生み出す社会構造の矛盾については、殆ど報じられないか、お座なりにしか扱われません。これでは、ただ単に視聴率稼ぎのセンセーショナリズムに走っているだけではないですか。かつてのベトナム戦争報道と比べると、その報道姿勢の劣化ぶりは、もう覆うべくもありません。
これでは、視聴者はせいぜい、「中国政府の言う事は如何にも嘘臭いが、デモも何だか凶暴で、これではどっちもどっち」「中国やチベットはまだまだ治安も民度も低い、それと比べるとまだ平和で自由な日本に住んでいてつくづく良かった」となるのがオチです。ひょっとして、それが政府・財界・マスコミの本当の狙いなのかも。それでなくとも、年金・後期高齢者医療制度・イージス艦衝突事故と不祥事続きで、福田・自民党政権の支持率がどんどん下がっている折りですから。中国とは今後もずっと「持ちつ持たれつ」の関係を保持していきたい。人権問題と言ったって、日本もずっと戦争責任に頬かむりして、海外から叩かれた時だけ上辺だけの謝罪で済ましてきた訳だし、国内の格差社会の広がりについても、「持ちつ持たれつ」で知らん顔して来たのはお互い様なのだから、と。
・チベット暴動、数百人を拘束か(TBS)
http://news.tbs.co.jp/20080317/newseye/tbs_newseye3806262.html
・中国国営メディア、チベット暴動で24人を逮捕し四川省暴動で警察が発砲したと報道(FNN)
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00129400.html
・「中国はオープンに」 チベット問題で高村外相が苦言(産経新聞)
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080318/plc0803181845013-n1.htm
チベット・ウイグル・モンゴルなど中国周辺の少数民族は、周辺の中国・ロシアを始め、近代以降は欧米や日本も含めた大国同士の確執の中で、常に翻弄されてきました。ウイグルにおける東トルキスタン共和国の建国から滅亡に至る悲劇など、その代表的な例です。当該地域の中では唯一今も独立を保持しているモンゴルにしても、たまたま時の運や指導者の資質に恵まれたから今日に至っている訳で、ウイグルやチベットとの差は紙一重だったのではないでしょうか。そういう意味では、クルドやアルメニアの悲劇とも通じるものがあります。
旧ソ連も中国も、共産党創立や革命当初の時点では民族自決権を承認していた筈です。何故なら、共産主義とは本来、資本家や帝国主義による搾取から、労働者や植民地の人民が解放される事を目指したものだからです。事実、ポーランドやフィンランドは、ロシア革命を契機に第一次大戦後に独立を勝ち取りました。しかし、実際にはソ連でも中国でも、革命以前の大ロシア民族主義や中華思想や、その他諸々の封建的・反民主的な思想が、革命後も形を変えて引継がれました。そうしてやがて旧ソ連も中国も、「被抑圧階級・民族解放」を掲げた革命当初の理想からは、次第にかけ離れたものに変質していきます。
その中で、中国とチベットの関係も、かつての自由加盟・離脱自由を前提とした「民主自治邦」としての位置付けから、中国の政治的・経済的優位を前提にその枠内での民主化や民族自治を保障した「17ヵ条協定」の段階を経て、周辺チベット族居住地域(アムド地域=青海省、カム地域=旧西康省)の中国本土への併合や、チベット自治区内での中国同化政策の推進によって、その表向きの自治すら次第に切り縮められてきたのです。(尚、この辺りのより詳しい経緯については、下記リンク、取り分けウィキペディア「チベット」の中の、中国との歴史的関係の項目を参照の事。)
そして、中国以外の大国も国際社会も、かつての日本のノモンハン事件の様に、自分たちが中国に代わってモンゴルを支配しようとした以外の他は、東トルキスタンやチベットの運命については一顧だにしませんでした。これら小国の運命なぞ、中国市場の巨大な魅力と比べれば、大国にとっては取るに足らないものだったからでしょう。この国際社会による無視については、アフリカ・ルワンダにおける部族対立の悲劇とも通じるものがあります。これが、今日に至るまでのチベット問題の、そもそもの背景なのです。
・チベット・サポート・ネットワーク・ジャパン(TSNJ)
http://www.geocities.jp/t_s_n_j/index.html
・ダライ・ラマ法王日本代表部事務所
http://www.tibethouse.jp/home.html
・チベット(ウィキペディア)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%83%99%E3%83%83%E3%83%88
この問題については、はっきり言って日本共産党も、歯切れの悪い事この上ありません。共産党機関紙「赤旗」の扱いも、国際面での二段記事がせいぜいで、それも新華社からの配信記事とチベット亡命政府・人権NGOからのインタビュー記事との並列という形を取っています。日本共産党といえば、世界の共産党の中でも自主独立路線を鮮明にしてきた党の一つであり、かつての旧ソ連によるチェコ・スロバキア、アフガニスタンへの侵略や、中国の天安門事件についても、仮借なき批判を加えてきた筈です。少なくとも、こんな一見公平を装った「両論併記、どっちもどっち」の様な扱いはしなかった筈です。
「中国側の情報操作もあって事実経過がはっきりしない」というのあれば、尚の事、情報公開や国際調査団の受け入れを中国側に要求すべきなのであって、こんな「両論併記」の言い訳にはならない筈です。若しこの「両論併記」の煮え切らない態度が、かつて文化大革命への評価や党内問題への干渉を巡って一時期鋭く対立してきた中国共産党との和解合意を優先したものだとするならば、共産党が掲げてきた自主独立路線も結局は、人権要求や搾取・抑圧廃絶の大義に基づいたものではなく、所詮は単なる自党本位のものに過ぎなかったというだけの事ではないでしょうか。
内政不干渉や民族自決権の主張も、こと人権問題については「自党・自国の事ではないので関係ない」では済まされません。それは、基本的人権が、国家・民族の別を超えた、地球上の人間全てが享受すべき普遍的なものだからです。民族自決権もその基本的人権の中に含まれます。勿論、人権保障の具体的な形は、国によって様々であるべきです。米国や日本流の一方的な流儀が、そのままどこの国にも通用する訳ではありません。それを無理にごり押しすれば、イラク戦争みたいな事になります。しかし、誰が見ても明白な人権侵害については、それを国連の全加盟国によって承認された世界人権宣言の基準に照らし合わせて指摘する事自体は、内政干渉でも何でもありません。
・「死者は13人」/チベット自治区主席が発表(しんぶん赤旗)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-03-18/2008031807_03_0.html
では右翼はどうか。チベットの人権問題に取り組んでいる人たちの流れは、国際人権団体アムネスティーの流れを汲むTSNJ(チベット・サポート・ネットワーク・ジャパン)などの人権NGOと、「チャンネル桜」「主権回復の会」「維新政党・新風」などの右翼系団体の二つに、大きく分かれます。但し末端の運動現場では、両者が互いに重なり合う部分も多々在ります。これら右翼系がチベット問題に取り組む事については、それが純粋にチベットの人権問題の前進に繋がる限りにおいては、私がとやかく言える事ではありません。しかし私個人について言えば、チベットの人権問題を支援する場合は、あくまでも前者の人権系NGOを通じてそれを行うつもりです。
私から言わせると、かつての戦前日本による中国侵略や現代の米国によるイラク侵略を支持している彼ら右翼が、幾ら中国によるチベット侵略に抗議の声を上げた所で、それは少数民族の人権を本気で慮っての事ではなく、単に「敵の敵は味方」の論理で動いているにしか過ぎない事が、もう見え見えだからです。彼らも一応は人権を唱えますが、何かといえば、「国益」「国体護持」の為には個人の人権・人格なぞ犠牲になっても構わないと主張し、在日外国人の排斥を叫び立て、DV被害者救出運動さえも「古き良き家族制度の崩壊に繋がる」と妨害する様な人たちが、一体どの口でそれを叫ぶのかと思います。これは単なるイデオロギーの違いで済まされるものではありません。
・【ご報告】 「チベット人の独立・自由を支援する緊急抗議行動」に250名が参加!―「報道ワイド日本フライデー」(3月21日)にて放送!(チャンネル桜)
http://www.ch-sakura.jp/topix/478.html
そういう意味では、寧ろ私は、従来どちらかといえば左派系と目されてきた個人ブログ・サイトの中に、今の中国によるチベットの人権抑圧を非難する声が多く見られる事に、大きな希望を見出しつつあります。これは今や、共産党系や新左翼系や市民運動・ノンポリ左派系を問わず見られる現象である様な気がします。そして右派と目されるブログの中にも、「今の格差社会の中国には、中国共産党とは別の、真の共産党の出現が求められているのではないか」という、今までのネットウヨクとは一味違う意見が出てきている事にも注目しています。こういう流れが大きくなれば、今はチベット問題にはどちらかといえば及び腰の、共産党・社民党などの既成左翼も、やがてその姿勢を変えてくるのではないかと、密かに期待しているのですが。
・中国スターリン主義によるチベット人民虐殺を弾劾する(アッテンボローの雑記帳)
http://rounin40.cocolog-nifty.com/attenborow/2008/03/post_d0f2.html
・少しずつチベットを知る(壊れる前に…)
http://eunheui.cocolog-nifty.com/blog/2008/03/post_2956.html
・中国、チベットで許されないことは、他のどこの国でも許されない(村野瀬玲奈の秘書課広報室)
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-658.html
・チベット自治区暴動への対応 中国政府の対応は誤り!(ポラリス-ある日本共産党支部のブログ)
http://polarisjcpmetal.blog78.fc2.com/blog-entry-476.html
・チベット(荒木和博ブログ)
http://araki.way-nifty.com/araki/2008/03/post_4b43.html
まずマスコミ報道について。テレビでも新聞でも、確かに「中国政府によるチベットの民族抑圧」を批判はしています。中国側の公式発表ばかりではなく、ダライ・ラマやチベット亡命政府の見解も紹介はしています。その限りでは、公平・中立・客観的な報道姿勢であると、言えなくもありません。しかしその割には、暴徒の銀行・商店襲撃の映像ばかりを何度もテレビで垂れ流している様に感じてなりません。そして、今回の民族暴動の背景ともなったチベット動乱の歴史や、その他のウイグルなどの中国国内の少数民族問題については、殆ど取り上げられていません。
それには、確かに中国側の情報操作の影響はあるでしょう。しかしそれでも、インドにはチベット亡命政府が存在し、チベットの人権問題に取り組むNGOも全世界で活動しているのですから、そこからきちんと取材していたら、こんな暴徒映像の垂れ流しにはならない筈です。これはイラク戦争に関するニュース報道でも感じる事ですが、一応はアルジャジーラの記事なども紹介して一見公平・中立を装っているかの様に取り繕いながら、実際に流すのは「テロと戦う米軍や中国政府の映像」ばかりで、後はタリバンやアルカイダによる公開処刑の話などでお茶を濁して、テロの歴史的な背景やそれを生み出す社会構造の矛盾については、殆ど報じられないか、お座なりにしか扱われません。これでは、ただ単に視聴率稼ぎのセンセーショナリズムに走っているだけではないですか。かつてのベトナム戦争報道と比べると、その報道姿勢の劣化ぶりは、もう覆うべくもありません。
これでは、視聴者はせいぜい、「中国政府の言う事は如何にも嘘臭いが、デモも何だか凶暴で、これではどっちもどっち」「中国やチベットはまだまだ治安も民度も低い、それと比べるとまだ平和で自由な日本に住んでいてつくづく良かった」となるのがオチです。ひょっとして、それが政府・財界・マスコミの本当の狙いなのかも。それでなくとも、年金・後期高齢者医療制度・イージス艦衝突事故と不祥事続きで、福田・自民党政権の支持率がどんどん下がっている折りですから。中国とは今後もずっと「持ちつ持たれつ」の関係を保持していきたい。人権問題と言ったって、日本もずっと戦争責任に頬かむりして、海外から叩かれた時だけ上辺だけの謝罪で済ましてきた訳だし、国内の格差社会の広がりについても、「持ちつ持たれつ」で知らん顔して来たのはお互い様なのだから、と。
・チベット暴動、数百人を拘束か(TBS)
http://news.tbs.co.jp/20080317/newseye/tbs_newseye3806262.html
・中国国営メディア、チベット暴動で24人を逮捕し四川省暴動で警察が発砲したと報道(FNN)
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00129400.html
・「中国はオープンに」 チベット問題で高村外相が苦言(産経新聞)
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080318/plc0803181845013-n1.htm
チベット・ウイグル・モンゴルなど中国周辺の少数民族は、周辺の中国・ロシアを始め、近代以降は欧米や日本も含めた大国同士の確執の中で、常に翻弄されてきました。ウイグルにおける東トルキスタン共和国の建国から滅亡に至る悲劇など、その代表的な例です。当該地域の中では唯一今も独立を保持しているモンゴルにしても、たまたま時の運や指導者の資質に恵まれたから今日に至っている訳で、ウイグルやチベットとの差は紙一重だったのではないでしょうか。そういう意味では、クルドやアルメニアの悲劇とも通じるものがあります。
旧ソ連も中国も、共産党創立や革命当初の時点では民族自決権を承認していた筈です。何故なら、共産主義とは本来、資本家や帝国主義による搾取から、労働者や植民地の人民が解放される事を目指したものだからです。事実、ポーランドやフィンランドは、ロシア革命を契機に第一次大戦後に独立を勝ち取りました。しかし、実際にはソ連でも中国でも、革命以前の大ロシア民族主義や中華思想や、その他諸々の封建的・反民主的な思想が、革命後も形を変えて引継がれました。そうしてやがて旧ソ連も中国も、「被抑圧階級・民族解放」を掲げた革命当初の理想からは、次第にかけ離れたものに変質していきます。
その中で、中国とチベットの関係も、かつての自由加盟・離脱自由を前提とした「民主自治邦」としての位置付けから、中国の政治的・経済的優位を前提にその枠内での民主化や民族自治を保障した「17ヵ条協定」の段階を経て、周辺チベット族居住地域(アムド地域=青海省、カム地域=旧西康省)の中国本土への併合や、チベット自治区内での中国同化政策の推進によって、その表向きの自治すら次第に切り縮められてきたのです。(尚、この辺りのより詳しい経緯については、下記リンク、取り分けウィキペディア「チベット」の中の、中国との歴史的関係の項目を参照の事。)
そして、中国以外の大国も国際社会も、かつての日本のノモンハン事件の様に、自分たちが中国に代わってモンゴルを支配しようとした以外の他は、東トルキスタンやチベットの運命については一顧だにしませんでした。これら小国の運命なぞ、中国市場の巨大な魅力と比べれば、大国にとっては取るに足らないものだったからでしょう。この国際社会による無視については、アフリカ・ルワンダにおける部族対立の悲劇とも通じるものがあります。これが、今日に至るまでのチベット問題の、そもそもの背景なのです。
・チベット・サポート・ネットワーク・ジャパン(TSNJ)
http://www.geocities.jp/t_s_n_j/index.html
・ダライ・ラマ法王日本代表部事務所
http://www.tibethouse.jp/home.html
・チベット(ウィキペディア)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%83%99%E3%83%83%E3%83%88
この問題については、はっきり言って日本共産党も、歯切れの悪い事この上ありません。共産党機関紙「赤旗」の扱いも、国際面での二段記事がせいぜいで、それも新華社からの配信記事とチベット亡命政府・人権NGOからのインタビュー記事との並列という形を取っています。日本共産党といえば、世界の共産党の中でも自主独立路線を鮮明にしてきた党の一つであり、かつての旧ソ連によるチェコ・スロバキア、アフガニスタンへの侵略や、中国の天安門事件についても、仮借なき批判を加えてきた筈です。少なくとも、こんな一見公平を装った「両論併記、どっちもどっち」の様な扱いはしなかった筈です。
「中国側の情報操作もあって事実経過がはっきりしない」というのあれば、尚の事、情報公開や国際調査団の受け入れを中国側に要求すべきなのであって、こんな「両論併記」の言い訳にはならない筈です。若しこの「両論併記」の煮え切らない態度が、かつて文化大革命への評価や党内問題への干渉を巡って一時期鋭く対立してきた中国共産党との和解合意を優先したものだとするならば、共産党が掲げてきた自主独立路線も結局は、人権要求や搾取・抑圧廃絶の大義に基づいたものではなく、所詮は単なる自党本位のものに過ぎなかったというだけの事ではないでしょうか。
内政不干渉や民族自決権の主張も、こと人権問題については「自党・自国の事ではないので関係ない」では済まされません。それは、基本的人権が、国家・民族の別を超えた、地球上の人間全てが享受すべき普遍的なものだからです。民族自決権もその基本的人権の中に含まれます。勿論、人権保障の具体的な形は、国によって様々であるべきです。米国や日本流の一方的な流儀が、そのままどこの国にも通用する訳ではありません。それを無理にごり押しすれば、イラク戦争みたいな事になります。しかし、誰が見ても明白な人権侵害については、それを国連の全加盟国によって承認された世界人権宣言の基準に照らし合わせて指摘する事自体は、内政干渉でも何でもありません。
・「死者は13人」/チベット自治区主席が発表(しんぶん赤旗)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-03-18/2008031807_03_0.html
では右翼はどうか。チベットの人権問題に取り組んでいる人たちの流れは、国際人権団体アムネスティーの流れを汲むTSNJ(チベット・サポート・ネットワーク・ジャパン)などの人権NGOと、「チャンネル桜」「主権回復の会」「維新政党・新風」などの右翼系団体の二つに、大きく分かれます。但し末端の運動現場では、両者が互いに重なり合う部分も多々在ります。これら右翼系がチベット問題に取り組む事については、それが純粋にチベットの人権問題の前進に繋がる限りにおいては、私がとやかく言える事ではありません。しかし私個人について言えば、チベットの人権問題を支援する場合は、あくまでも前者の人権系NGOを通じてそれを行うつもりです。
私から言わせると、かつての戦前日本による中国侵略や現代の米国によるイラク侵略を支持している彼ら右翼が、幾ら中国によるチベット侵略に抗議の声を上げた所で、それは少数民族の人権を本気で慮っての事ではなく、単に「敵の敵は味方」の論理で動いているにしか過ぎない事が、もう見え見えだからです。彼らも一応は人権を唱えますが、何かといえば、「国益」「国体護持」の為には個人の人権・人格なぞ犠牲になっても構わないと主張し、在日外国人の排斥を叫び立て、DV被害者救出運動さえも「古き良き家族制度の崩壊に繋がる」と妨害する様な人たちが、一体どの口でそれを叫ぶのかと思います。これは単なるイデオロギーの違いで済まされるものではありません。
・【ご報告】 「チベット人の独立・自由を支援する緊急抗議行動」に250名が参加!―「報道ワイド日本フライデー」(3月21日)にて放送!(チャンネル桜)
http://www.ch-sakura.jp/topix/478.html
そういう意味では、寧ろ私は、従来どちらかといえば左派系と目されてきた個人ブログ・サイトの中に、今の中国によるチベットの人権抑圧を非難する声が多く見られる事に、大きな希望を見出しつつあります。これは今や、共産党系や新左翼系や市民運動・ノンポリ左派系を問わず見られる現象である様な気がします。そして右派と目されるブログの中にも、「今の格差社会の中国には、中国共産党とは別の、真の共産党の出現が求められているのではないか」という、今までのネットウヨクとは一味違う意見が出てきている事にも注目しています。こういう流れが大きくなれば、今はチベット問題にはどちらかといえば及び腰の、共産党・社民党などの既成左翼も、やがてその姿勢を変えてくるのではないかと、密かに期待しているのですが。
・中国スターリン主義によるチベット人民虐殺を弾劾する(アッテンボローの雑記帳)
http://rounin40.cocolog-nifty.com/attenborow/2008/03/post_d0f2.html
・少しずつチベットを知る(壊れる前に…)
http://eunheui.cocolog-nifty.com/blog/2008/03/post_2956.html
・中国、チベットで許されないことは、他のどこの国でも許されない(村野瀬玲奈の秘書課広報室)
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-658.html
・チベット自治区暴動への対応 中国政府の対応は誤り!(ポラリス-ある日本共産党支部のブログ)
http://polarisjcpmetal.blog78.fc2.com/blog-entry-476.html
・チベット(荒木和博ブログ)
http://araki.way-nifty.com/araki/2008/03/post_4b43.html
ブログ更新もままならない現状ですが、まずは取り急ぎ、チベット問題に関する下記の取組みに連帯の立場を表明しておきます。他にもブログで取り上げるべき話題は山々あれど、何はともあれ、今はこれが最も緊急を要する課題でしょう。このチベット関連の話題については、近日中に改めて記事を書くつもりです。(記事添付画像はFree Tibetの旗)
●弾圧抗議緊急声明(TSNJ)
TSNJ(Tibet Support Network Japan)
チベット・サポート・ネットワーク・ジャパン
Tibetanチベットでの中国当局による武力弾圧と殺害、インドでのチベット難民不当拘束に対する抗議
2008年3月14日、中国当局はチベット・ラサで政府への抗議活動をした民衆に対し、武装した警官隊や装甲車を出動、多数の死傷者を出しました。人民解放軍が人民に銃を向けた1989年の“暴動鎮圧”が再び繰り返されたのです。
中国政府のいう“暴動”は、突然起きたものではありません。14日の民衆の抗議活動は、3月10日に非暴力デモをして逮捕、拘束された僧侶ら数十人の釈放を求めるものでした。3月10日に非暴力デモをした僧侶らは、昨年12月にダライラマ14世の米下院最高勲章受賞を祝ったとして逮捕、拘束されたままの僧侶の釈放を求めていました。このように、チベット人に対し根深く続けられてきた抑圧の連鎖がついに噴き出したという背景があるのです。
アムド・ラブラン(甘粛省夏河県)のラブラン僧院でも3月15日、僧侶ら1000人規模の抗議デモがあり、治安当局が催涙弾を用いて武力鎮圧しています。ラブラン近郊では昨年9月、11歳~14歳の中学生40人がダライラマ14世の帰国を願う落書きをした容疑で拘束され、7人が拷問を受け、1人が一時重体になり、数人に精神的障害が残る“事件”がありました。現地では、幼い子供までもが政治犯として暴力がふるわれたことに怒りが満ちていたのです。
今回、民衆に対して再び銃が向けられたことは、89年から1年間に及ぶ戒厳令で抑圧と恐怖政治を敷いたチベットに、これまで繰り返し基本的人権の侵害を指摘し続けた国際議会や国際人権団体の批判を「チベットは経済的成長を遂げ、チベット人は生活に満足している」とかわしてきた中国当局の欺瞞を証明するものにほかなりません。
日本のチベット支援グループが連携してつくるTSNJは、中国政府に対し、ただちにチベット民衆への武力行使をやめ、思想的理由で拘束されているすべての人々を釈放するよう要請します。
また、2008年3月13日、チベットへの「帰還」を訴えて非暴力の徒歩行進を続けていたチベット難民100人が、インド当局に身柄を拘束されました。チベットへの行進は平和的な意思表明活動であり、マハトマガンジーらインドの人々の、世界中から称賛される偉大な非暴力の伝統に影響を受けたものです。この非暴力行進を強制阻止することは、世界最大の民主国家であるインドが、オリンピックを控えてイメージアップを図ろうとしている中国の圧力に屈したと捉えられかねません。
TSNJはインド政府に対し、拘束されたチベット難民をただちに釈放し、平和行進の継続を妨げないよう要請します。
チベット武力制圧と死傷者の発生について米首脳は14日、中国当局に武力の自制を要請、ダライラマ14世と対話するよう表明しました。仏外相も「自制と人権尊重を求める」と批判、英国も懸念を表明するなど、国際世論は相次いで中国政府に対する懸念を表明しています。
TSNJは、日本政府に対し、中国当局の対応をはっきりと批判し、これ以上の流血を防ぐよう働きかけることを要請します。同時に、G8サミットへの胡錦涛国家主席来日に際し、チベット問題に言及し、問題解決にイニシアチブをとり、アジアの平和的リーダーシップ役を果たすことを要請します。
http://www.geocities.jp/t_s_n_j/doc/release031803.html
●在日チベット人会の声明(同上)
チベットへの武力弾圧に抗議し、「チベタン・オリンピック」聖火リレーに合わせて発表された在日チベット人会の声明文。
http://www.geocities.jp/t_s_n_j/doc/release031801.html
●中国当局への弾圧抗議はがきアクション(同上)
抗議はがき・手紙の宛先と例文(英文・日本語訳)が掲載されています。いずれも1通100円以内の出費で出来る抗議の意思表示です。
http://tsnj2001.blogspot.com/2008/03/blog-post.html
●弾圧抗議デモの案内(同上)
3月22日午後1時から、東京・六本木の中国大使館周辺をデモ行進します。「誰でも自由参加、メッセージボード・チベットの旗・写真などの持ち込み大歓迎」との事です。
http://tsnj2001.blogspot.com/2008/03/322_17.html
●ダライ・ラマ法王日本代表部事務所からのアピール/日本の皆さまへ(ダライ・ラマ法王日本代表部)
http://www.tibethouse.jp/news_release/2008/080319_release.html
●「チベット問題を考える議員連盟」によるチベット情勢に関する声明(同上)
http://www.tibethouse.jp/news_release/2008/080319_giren.html
●弾圧抗議緊急声明(TSNJ)
TSNJ(Tibet Support Network Japan)
チベット・サポート・ネットワーク・ジャパン
Tibetanチベットでの中国当局による武力弾圧と殺害、インドでのチベット難民不当拘束に対する抗議
2008年3月14日、中国当局はチベット・ラサで政府への抗議活動をした民衆に対し、武装した警官隊や装甲車を出動、多数の死傷者を出しました。人民解放軍が人民に銃を向けた1989年の“暴動鎮圧”が再び繰り返されたのです。
中国政府のいう“暴動”は、突然起きたものではありません。14日の民衆の抗議活動は、3月10日に非暴力デモをして逮捕、拘束された僧侶ら数十人の釈放を求めるものでした。3月10日に非暴力デモをした僧侶らは、昨年12月にダライラマ14世の米下院最高勲章受賞を祝ったとして逮捕、拘束されたままの僧侶の釈放を求めていました。このように、チベット人に対し根深く続けられてきた抑圧の連鎖がついに噴き出したという背景があるのです。
アムド・ラブラン(甘粛省夏河県)のラブラン僧院でも3月15日、僧侶ら1000人規模の抗議デモがあり、治安当局が催涙弾を用いて武力鎮圧しています。ラブラン近郊では昨年9月、11歳~14歳の中学生40人がダライラマ14世の帰国を願う落書きをした容疑で拘束され、7人が拷問を受け、1人が一時重体になり、数人に精神的障害が残る“事件”がありました。現地では、幼い子供までもが政治犯として暴力がふるわれたことに怒りが満ちていたのです。
今回、民衆に対して再び銃が向けられたことは、89年から1年間に及ぶ戒厳令で抑圧と恐怖政治を敷いたチベットに、これまで繰り返し基本的人権の侵害を指摘し続けた国際議会や国際人権団体の批判を「チベットは経済的成長を遂げ、チベット人は生活に満足している」とかわしてきた中国当局の欺瞞を証明するものにほかなりません。
日本のチベット支援グループが連携してつくるTSNJは、中国政府に対し、ただちにチベット民衆への武力行使をやめ、思想的理由で拘束されているすべての人々を釈放するよう要請します。
また、2008年3月13日、チベットへの「帰還」を訴えて非暴力の徒歩行進を続けていたチベット難民100人が、インド当局に身柄を拘束されました。チベットへの行進は平和的な意思表明活動であり、マハトマガンジーらインドの人々の、世界中から称賛される偉大な非暴力の伝統に影響を受けたものです。この非暴力行進を強制阻止することは、世界最大の民主国家であるインドが、オリンピックを控えてイメージアップを図ろうとしている中国の圧力に屈したと捉えられかねません。
TSNJはインド政府に対し、拘束されたチベット難民をただちに釈放し、平和行進の継続を妨げないよう要請します。
チベット武力制圧と死傷者の発生について米首脳は14日、中国当局に武力の自制を要請、ダライラマ14世と対話するよう表明しました。仏外相も「自制と人権尊重を求める」と批判、英国も懸念を表明するなど、国際世論は相次いで中国政府に対する懸念を表明しています。
TSNJは、日本政府に対し、中国当局の対応をはっきりと批判し、これ以上の流血を防ぐよう働きかけることを要請します。同時に、G8サミットへの胡錦涛国家主席来日に際し、チベット問題に言及し、問題解決にイニシアチブをとり、アジアの平和的リーダーシップ役を果たすことを要請します。
http://www.geocities.jp/t_s_n_j/doc/release031803.html
●在日チベット人会の声明(同上)
チベットへの武力弾圧に抗議し、「チベタン・オリンピック」聖火リレーに合わせて発表された在日チベット人会の声明文。
http://www.geocities.jp/t_s_n_j/doc/release031801.html
●中国当局への弾圧抗議はがきアクション(同上)
抗議はがき・手紙の宛先と例文(英文・日本語訳)が掲載されています。いずれも1通100円以内の出費で出来る抗議の意思表示です。
http://tsnj2001.blogspot.com/2008/03/blog-post.html
●弾圧抗議デモの案内(同上)
3月22日午後1時から、東京・六本木の中国大使館周辺をデモ行進します。「誰でも自由参加、メッセージボード・チベットの旗・写真などの持ち込み大歓迎」との事です。
http://tsnj2001.blogspot.com/2008/03/322_17.html
●ダライ・ラマ法王日本代表部事務所からのアピール/日本の皆さまへ(ダライ・ラマ法王日本代表部)
http://www.tibethouse.jp/news_release/2008/080319_release.html
●「チベット問題を考える議員連盟」によるチベット情勢に関する声明(同上)
http://www.tibethouse.jp/news_release/2008/080319_giren.html
前号に引き続き、北朝鮮問題についてもう少し書きます。
実はこの正月の間に、北朝鮮問題関連の2つの書物を読みました。読んだと言っても、精読ではなく寧ろ流し読みに近い状態で、何とか読み終えたというのが実情です。正月出勤の合間を見つけて読み進めたので、その点についてはご容赦を。
それが記事冒頭写真の、北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会(守る会)理論誌「光射せ!」創刊号(左)と、渥美文夫著「金日成・金正日体制と東アジア」現代企画室・刊(右)の、2冊の本です。
その内容に関して言うと、両著とも、私にとっては特に目新しいものではありませんでした。それは、著書の大まかな内容や方向性が、当ブログ前身の旧掲示板でも既に何度か議論になった論点と重なる部分が多かったからです。私にとっては、その論点を改めて再確認・再整理するのに役立ったという感じです。これらの本は寧ろ、今まで北朝鮮・拉致問題に対して、それを右翼や「救う会・つくる会」の専売特許として忌避してきた方が、認識を新たにする為の一つの”とっかかり”として読まれたら良いのではないか、という気がします。
勿論、新たな発見が無かった訳ではありません。特に「光射せ!」創刊号の中の、帰国事業と朝鮮総連結成との関連を論じた川島高峰論文や、サルトルを戦後左派の限界を乗り越えたものとして評価した三浦小太郎論文については、「へえ~、こういう見方もあるのだな」と認識を新たにする事が出来ました。
ただ全体を通して見ると、「左派リベラルは何故北朝鮮問題に及び腰なのか」を特集として取り上げた「光射せ!」創刊号は、「単なる北朝鮮バッシングや左派リベラル叩きではない」とは言うものの、やはり「左翼に対する恨みつらみ節」からは一歩も出てないな、という気がします。
率直に言って、今の北朝鮮を、本当にあれが社会主義・共産主義の真の姿だなんて思っている人なんて、少なくとも今の左翼には殆どいません。にも拘らず、「あれが共産主義の悪い側面だ」とか「北朝鮮礼賛は左翼ドグマの為せる技だ」なんて何度も言われても、全然ピンと来ません。それならまだ、より具体的に、帰国事業に的を絞って未解明の歴史に光を当てるとかした方が、よっぽど後世の為になります。
この本は、今よりも寧ろ、917直後の拉致問題が公式に明るみになった時期に、左翼の啓蒙書として出されてこそ、その真価を発揮したのに、という気がします。それを何で今頃になって出版されたのか、正直言って理解に苦しみます。
共産党や社民党が今も北朝鮮問題に後ろ向き(だと言われている)なのは何故かは分かりませんが、少なくとも私の様な左派リベラルな一般大衆から言わすと、それらの人たちがどうしても北朝鮮問題に及び腰にならざるを得ないのは、北朝鮮の人権問題解決を掲げている「救う会」や右翼が、余りにもネオコン・ネオリベ・自民党べったりで、反人権・バックラッシュのダブルスタンダードで、靖国・天皇・日の丸・君が代・家父長制・武士道・封建道徳礼賛、帝国主義・排外主義・弱肉強食賛美の、時代錯誤・アナクロニズム丸出しで、酷いのになると脱北者・帰国者まで反日呼ばわりし「日本人拉致」ばかりを言い立てる偏狭さに、もう辟易しているからです。ただそれだけです。
「救う会」から言わすと「それは左翼が北朝鮮・拉致問題に冷淡だったからだ」という事になるのでしょうが、私から言わすと「右翼や救う会が、全てではないにしてもその多くの部分が、北朝鮮・拉致問題に託けて弱者バッシングを繰り返しているから」です。要するに「どっちもどっち」なのです。況してや、50~70年代当時の左翼政党幹部の罪ばかりをいつまでも言い立てられるに至っては、その責めを何故今の左派リベラルの一般ピープルが負わなければならないの、というしかない。その責を自覚するのは、あくまでも今の我々左派リベラル一般ピープルの自主的取組を通してでしか在り得ないのに。謂わば、中国の反日デモの映像ばかり見せつけられた今の日本の若者に、南京大虐殺の話を幾らしても、「それだけ」ではなかなか受け入れられないのと同じ理屈です。
私個人としては寧ろ、第一次・第二次大戦後の反帝・民族解放運動や韓国民主化闘争を支持した左派の立場から、今の中国や北朝鮮の体制を似非社会主義で反人民的と批判し、「戦争・格差社会も人権抑圧も、イラク戦争も金正日もNO!搾取・抑圧のない世界を目指して、万国のプレカリアート団結せよ!」という拙ブログと同じ視点から人民の解放と連帯を目指す、「金日成・金正日体制と東アジア」の立場の方が、よっぽどしっくり来ます。ただ、こちらも如何せん、「今の中国・北朝鮮はスターリン主義の亜流だ」というだけで、更にその先の「スターリン主義体制の分析」については未だ端緒についたばかりという、著者も自覚している限界以上のものは見出せませんでしたが。
去る1月10日放送のNHK「クローズアップ現代」が、北朝鮮北部のラジン(羅津)港開発計画に食い込もうとする中国・ロシアの思惑について、番組で取り上げていました。北朝鮮と国境を接し改革開放で活況に沸く中国の延辺朝鮮族自治州政府が、日本海への出口を求めてラジン港開発計画への参入を狙う一方で、ロシアも中国に負けじと、北朝鮮国内鉄道網の再建とシベリア鉄道への結合を狙っている、そういう内容でした。
この問題一つとっても、今の「救う会」や右翼の立場では、「北朝鮮を支援する中国シナをやっつけろ、シナから日本を守れ、シナ主導の東アジア共同体など以ての外」「アフガン・イラク人民が幾ら死のうが、日本国内で幾らワーキングプア・農民・高齢者の自殺が増えようが、そんなの関係ねえ、ひたすら日米同盟につき従うのだ」と、もうまるで嫌韓厨・B層ネットウヨクみたいな事しか言えないじゃないですか。
そして日米両政府や財界はというと、「ラジン・シベリア開発、中国・北朝鮮の低賃金労働力、美味しいねえ~」と、「財界本位の東アジア共同体」をひたすら目指す。米国主導の東アジア共同体(日米両政府・財界の立場)にしても、米国抜き・アジア中心の東アジア共同体(中国・インドなどの立場)にしても、基本的には資本家主導・人民不在である事には何ら変わりない。
そのどちらでもない、ラジン港埠頭の冷凍倉庫で働かされまくっている北朝鮮のワーキングプアや、中国の物流コンテナ・ドライバー、日本やアジアの名も無きワーキングプア・人民による東アジア共同体こそが、一番求められているのでしょうが。時代錯誤の帝国主義者や逝かれたネオコン、人民の生き血を吸うネオリベ・ホリエモンではなく、プレカリアートの階級的・国際的連帯で、中国・北朝鮮の民主化も日本その他アジア諸国の民主化も勝ち取って、「大東亜共栄圏の現代版」でも「資本家の東アジア共同体」でもない、平和・民主・人権・非同盟・非抑圧の「人民の東アジア共同体」を作らなければ、真の解放も自由も在り得ないと思います。
(参考記事)
・光射せ!北朝鮮収容所国家からの解放を目指す理論誌発行(北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会)
http://homepage1.nifty.com/northkorea/bookhikari.htm
・『光射せ!』を目通しして(TAMO2ちんの日常)
http://red.ap.teacup.com/tamo2/628.html
・金日成・金正日体制と東アジア(現代企画室)
http://www.jca.apc.org/gendai/99sin/07index.html
・【読書案内】『金日成・金正日体制と東アジア』(虹とモンスーン)
http://solidarity.blog.shinobi.jp/Entry/154/
実はこの正月の間に、北朝鮮問題関連の2つの書物を読みました。読んだと言っても、精読ではなく寧ろ流し読みに近い状態で、何とか読み終えたというのが実情です。正月出勤の合間を見つけて読み進めたので、その点についてはご容赦を。
それが記事冒頭写真の、北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会(守る会)理論誌「光射せ!」創刊号(左)と、渥美文夫著「金日成・金正日体制と東アジア」現代企画室・刊(右)の、2冊の本です。
その内容に関して言うと、両著とも、私にとっては特に目新しいものではありませんでした。それは、著書の大まかな内容や方向性が、当ブログ前身の旧掲示板でも既に何度か議論になった論点と重なる部分が多かったからです。私にとっては、その論点を改めて再確認・再整理するのに役立ったという感じです。これらの本は寧ろ、今まで北朝鮮・拉致問題に対して、それを右翼や「救う会・つくる会」の専売特許として忌避してきた方が、認識を新たにする為の一つの”とっかかり”として読まれたら良いのではないか、という気がします。
勿論、新たな発見が無かった訳ではありません。特に「光射せ!」創刊号の中の、帰国事業と朝鮮総連結成との関連を論じた川島高峰論文や、サルトルを戦後左派の限界を乗り越えたものとして評価した三浦小太郎論文については、「へえ~、こういう見方もあるのだな」と認識を新たにする事が出来ました。
ただ全体を通して見ると、「左派リベラルは何故北朝鮮問題に及び腰なのか」を特集として取り上げた「光射せ!」創刊号は、「単なる北朝鮮バッシングや左派リベラル叩きではない」とは言うものの、やはり「左翼に対する恨みつらみ節」からは一歩も出てないな、という気がします。
率直に言って、今の北朝鮮を、本当にあれが社会主義・共産主義の真の姿だなんて思っている人なんて、少なくとも今の左翼には殆どいません。にも拘らず、「あれが共産主義の悪い側面だ」とか「北朝鮮礼賛は左翼ドグマの為せる技だ」なんて何度も言われても、全然ピンと来ません。それならまだ、より具体的に、帰国事業に的を絞って未解明の歴史に光を当てるとかした方が、よっぽど後世の為になります。
この本は、今よりも寧ろ、917直後の拉致問題が公式に明るみになった時期に、左翼の啓蒙書として出されてこそ、その真価を発揮したのに、という気がします。それを何で今頃になって出版されたのか、正直言って理解に苦しみます。
共産党や社民党が今も北朝鮮問題に後ろ向き(だと言われている)なのは何故かは分かりませんが、少なくとも私の様な左派リベラルな一般大衆から言わすと、それらの人たちがどうしても北朝鮮問題に及び腰にならざるを得ないのは、北朝鮮の人権問題解決を掲げている「救う会」や右翼が、余りにもネオコン・ネオリベ・自民党べったりで、反人権・バックラッシュのダブルスタンダードで、靖国・天皇・日の丸・君が代・家父長制・武士道・封建道徳礼賛、帝国主義・排外主義・弱肉強食賛美の、時代錯誤・アナクロニズム丸出しで、酷いのになると脱北者・帰国者まで反日呼ばわりし「日本人拉致」ばかりを言い立てる偏狭さに、もう辟易しているからです。ただそれだけです。
「救う会」から言わすと「それは左翼が北朝鮮・拉致問題に冷淡だったからだ」という事になるのでしょうが、私から言わすと「右翼や救う会が、全てではないにしてもその多くの部分が、北朝鮮・拉致問題に託けて弱者バッシングを繰り返しているから」です。要するに「どっちもどっち」なのです。況してや、50~70年代当時の左翼政党幹部の罪ばかりをいつまでも言い立てられるに至っては、その責めを何故今の左派リベラルの一般ピープルが負わなければならないの、というしかない。その責を自覚するのは、あくまでも今の我々左派リベラル一般ピープルの自主的取組を通してでしか在り得ないのに。謂わば、中国の反日デモの映像ばかり見せつけられた今の日本の若者に、南京大虐殺の話を幾らしても、「それだけ」ではなかなか受け入れられないのと同じ理屈です。
私個人としては寧ろ、第一次・第二次大戦後の反帝・民族解放運動や韓国民主化闘争を支持した左派の立場から、今の中国や北朝鮮の体制を似非社会主義で反人民的と批判し、「戦争・格差社会も人権抑圧も、イラク戦争も金正日もNO!搾取・抑圧のない世界を目指して、万国のプレカリアート団結せよ!」という拙ブログと同じ視点から人民の解放と連帯を目指す、「金日成・金正日体制と東アジア」の立場の方が、よっぽどしっくり来ます。ただ、こちらも如何せん、「今の中国・北朝鮮はスターリン主義の亜流だ」というだけで、更にその先の「スターリン主義体制の分析」については未だ端緒についたばかりという、著者も自覚している限界以上のものは見出せませんでしたが。
去る1月10日放送のNHK「クローズアップ現代」が、北朝鮮北部のラジン(羅津)港開発計画に食い込もうとする中国・ロシアの思惑について、番組で取り上げていました。北朝鮮と国境を接し改革開放で活況に沸く中国の延辺朝鮮族自治州政府が、日本海への出口を求めてラジン港開発計画への参入を狙う一方で、ロシアも中国に負けじと、北朝鮮国内鉄道網の再建とシベリア鉄道への結合を狙っている、そういう内容でした。
この問題一つとっても、今の「救う会」や右翼の立場では、「北朝鮮を支援する中国シナをやっつけろ、シナから日本を守れ、シナ主導の東アジア共同体など以ての外」「アフガン・イラク人民が幾ら死のうが、日本国内で幾らワーキングプア・農民・高齢者の自殺が増えようが、そんなの関係ねえ、ひたすら日米同盟につき従うのだ」と、もうまるで嫌韓厨・B層ネットウヨクみたいな事しか言えないじゃないですか。
そして日米両政府や財界はというと、「ラジン・シベリア開発、中国・北朝鮮の低賃金労働力、美味しいねえ~」と、「財界本位の東アジア共同体」をひたすら目指す。米国主導の東アジア共同体(日米両政府・財界の立場)にしても、米国抜き・アジア中心の東アジア共同体(中国・インドなどの立場)にしても、基本的には資本家主導・人民不在である事には何ら変わりない。
そのどちらでもない、ラジン港埠頭の冷凍倉庫で働かされまくっている北朝鮮のワーキングプアや、中国の物流コンテナ・ドライバー、日本やアジアの名も無きワーキングプア・人民による東アジア共同体こそが、一番求められているのでしょうが。時代錯誤の帝国主義者や逝かれたネオコン、人民の生き血を吸うネオリベ・ホリエモンではなく、プレカリアートの階級的・国際的連帯で、中国・北朝鮮の民主化も日本その他アジア諸国の民主化も勝ち取って、「大東亜共栄圏の現代版」でも「資本家の東アジア共同体」でもない、平和・民主・人権・非同盟・非抑圧の「人民の東アジア共同体」を作らなければ、真の解放も自由も在り得ないと思います。
(参考記事)
・光射せ!北朝鮮収容所国家からの解放を目指す理論誌発行(北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会)
http://homepage1.nifty.com/northkorea/bookhikari.htm
・『光射せ!』を目通しして(TAMO2ちんの日常)
http://red.ap.teacup.com/tamo2/628.html
・金日成・金正日体制と東アジア(現代企画室)
http://www.jca.apc.org/gendai/99sin/07index.html
・【読書案内】『金日成・金正日体制と東アジア』(虹とモンスーン)
http://solidarity.blog.shinobi.jp/Entry/154/
・拉致事件:連合が、金正日総書記にはがき作戦 同胞返して(毎日新聞)
>膠着(こうちゃく)する拉致問題の解決を図ろうと、労働組合の全国組織の連合(高木剛会長)が、被害者の早期帰国を求めて金正日(キムジョンイル)総書記あてにはがきを送る運動を始めた。はがきを刷り込んだチラシ約10万枚を傘下の労組に配るほか、誰でも参加できるようホームページからチラシをダウンロードできるようにしている。
http://mainichi.jp/select/today/news/20080110k0000e040072000c.html
・北朝鮮による拉致被害者救出に向けてご協力ください(日本労働組合総連合会)
>連合は拉致被害者の救出に向けて、直接、北朝鮮金正日総書記(朝鮮語では総秘書) 宛に、拉致解決を求めるハガキ送付行動を展開することとなりました。(連合第3回中央執行委員会決定/2007.12.20)
>下記のチラシデータをダウンロードして頂き、両面印刷の上、ハガキを切り取り、一筆参加していただきたく宜しくお願いします。
http://www.jtuc-rengo.or.jp/rentai_katsudo/jinken/index.html
連合(日本労働組合総連合会)が、なかなか味な取組みを始めました。拉致被害者早期帰国要請はがきを北朝鮮の金正日に送る取組みが、それです。連合のHPからチラシをダウンロードして葉書部分を切り取り、裏面に自分の署名をして(匿名でも可)、70円切手を貼るだけでOKです。私も早速ダウンロードして送らせてもらい、知人にも呼びかけようと思っています。
この場合、取扱団体が連合というのが一つのミソですね。これが自民党・民主党・公明党・共産党・社民党などの政党が主催では、絶対にダメなのです。せいぜい「拉致問題を選挙に利用している」と思われるのがオチですし、各党ともに「お前とこの党にだけは絶対に入れない」という人を、それぞれ何人も抱えていたりします。それが大衆団体の連合だと、保守系から左翼から「救う会」にも抵抗を感じる人まで、満遍なく受け入れられます。
たかが署名や請願はがきという無かれ。原水禁運動の出発点となり、朝鮮戦争やベトナム戦争での核兵器使用を阻止した原水爆禁止・反核署名や、最近の法政大学学生弾圧反対署名(拘禁されていた学生の釈放を勝ち取った)の例を見ても分かるように、多数の署名や請願はがきが集まると、その効果には想像以上のものがあるのです。たとえ今回の署名で金正日がウンともスンとも言わなくとも、国際社会が黙っていない。仮に各国政府首脳は直ぐには動かなくとも、世界の民衆が黙っていません。
今更言うまでもない事ですが、労組が政治問題に取り組む事については、何ら問題はありません。賃上げや労働条件の改善を要求していけば、必ず政治の問題に行き着きます。組合員の思想信条・政党支持の自由はあくまで保障した上で、組合員・労働者の生活と権利を守るために、税制・労働法制改悪反対や生活擁護・平和・民主主義の課題を掲げて闘う事は、労組としてごく当然の活動です。拉致問題への取り組みも、その一環として行われるものです。
また、「何で又よりによって労組が拉致問題を?」という人も、中には居られるかもしれません。しかし、拉致問題は別に右翼や「救う会」だけが取り組むべきものではありません。現に拉致被害者の中には連合労組員の方も一人おられるのですから、労組員の生命・人権を守る意味でも、そういう取組みをされても何ら不思議ではありません。
請願項目が「拉致被害者の早期帰国を求める」という一点に絞って行われる事にも、非常に好感が持てます。こういう形の署名なら、「救う会」や安倍元首相が掲げる北朝鮮経済制裁や戦後体制見直し・靖国ネオコン思想の焼き直しには賛成できない人も、抵抗無く受け入れる事が出来ますから。
確かに連合は、旧民社党・同盟系の全民労協が母体となって作られたナショナルセンターです。会社べったりの第二組合・御用組合を多数傘下に抱え、かつては米国や自民党と一緒になって、社会党や国労の解体に手を貸してきました。小泉構造改革についても、当初は露払いの役割を演じて来ました。また、まだまだ民間大企業や公務員の正社員労組員が中心の組織で、労働貴族・「ヌクヌク左翼」の代表とも看做されても来ました。
しかしそれでも、昨今は戦争・格差社会の下で悩み苦しむ下部組合員の意向を反映してか、日米両政府・財界の進める新自由主義グローバリゼーションや構造改革・規制緩和路線には、真っ向から異を唱えるようになって来ました。未組織・非正規の仲間の権利確立やパート労働者の組織化にも力を注ぎ、労働契約法やホワイトカラー・エグゼンプションの導入を巡る問題でも、財界を向こうに回して一歩も引かない姿勢を鮮明にしつつあります。
勿論、だからといって手放しで礼賛する気はありません。会社べったりの御用組合を多数傘下に抱えているという点には聊かも変わりはない訳ですから、連合が労働者を裏切る事がないように、今後も監視・叱咤激励していく必要がある事は、言うまでもありません。
そういう、まだまだ限界を抱えながらも、それなりに大衆の意向を反映した団体が提唱している運動であるという点でも、今回の署名運動については、それなりに評価したいと思っています。
>膠着(こうちゃく)する拉致問題の解決を図ろうと、労働組合の全国組織の連合(高木剛会長)が、被害者の早期帰国を求めて金正日(キムジョンイル)総書記あてにはがきを送る運動を始めた。はがきを刷り込んだチラシ約10万枚を傘下の労組に配るほか、誰でも参加できるようホームページからチラシをダウンロードできるようにしている。
http://mainichi.jp/select/today/news/20080110k0000e040072000c.html
・北朝鮮による拉致被害者救出に向けてご協力ください(日本労働組合総連合会)
>連合は拉致被害者の救出に向けて、直接、北朝鮮金正日総書記(朝鮮語では総秘書) 宛に、拉致解決を求めるハガキ送付行動を展開することとなりました。(連合第3回中央執行委員会決定/2007.12.20)
>下記のチラシデータをダウンロードして頂き、両面印刷の上、ハガキを切り取り、一筆参加していただきたく宜しくお願いします。
http://www.jtuc-rengo.or.jp/rentai_katsudo/jinken/index.html
連合(日本労働組合総連合会)が、なかなか味な取組みを始めました。拉致被害者早期帰国要請はがきを北朝鮮の金正日に送る取組みが、それです。連合のHPからチラシをダウンロードして葉書部分を切り取り、裏面に自分の署名をして(匿名でも可)、70円切手を貼るだけでOKです。私も早速ダウンロードして送らせてもらい、知人にも呼びかけようと思っています。
この場合、取扱団体が連合というのが一つのミソですね。これが自民党・民主党・公明党・共産党・社民党などの政党が主催では、絶対にダメなのです。せいぜい「拉致問題を選挙に利用している」と思われるのがオチですし、各党ともに「お前とこの党にだけは絶対に入れない」という人を、それぞれ何人も抱えていたりします。それが大衆団体の連合だと、保守系から左翼から「救う会」にも抵抗を感じる人まで、満遍なく受け入れられます。
たかが署名や請願はがきという無かれ。原水禁運動の出発点となり、朝鮮戦争やベトナム戦争での核兵器使用を阻止した原水爆禁止・反核署名や、最近の法政大学学生弾圧反対署名(拘禁されていた学生の釈放を勝ち取った)の例を見ても分かるように、多数の署名や請願はがきが集まると、その効果には想像以上のものがあるのです。たとえ今回の署名で金正日がウンともスンとも言わなくとも、国際社会が黙っていない。仮に各国政府首脳は直ぐには動かなくとも、世界の民衆が黙っていません。
今更言うまでもない事ですが、労組が政治問題に取り組む事については、何ら問題はありません。賃上げや労働条件の改善を要求していけば、必ず政治の問題に行き着きます。組合員の思想信条・政党支持の自由はあくまで保障した上で、組合員・労働者の生活と権利を守るために、税制・労働法制改悪反対や生活擁護・平和・民主主義の課題を掲げて闘う事は、労組としてごく当然の活動です。拉致問題への取り組みも、その一環として行われるものです。
また、「何で又よりによって労組が拉致問題を?」という人も、中には居られるかもしれません。しかし、拉致問題は別に右翼や「救う会」だけが取り組むべきものではありません。現に拉致被害者の中には連合労組員の方も一人おられるのですから、労組員の生命・人権を守る意味でも、そういう取組みをされても何ら不思議ではありません。
請願項目が「拉致被害者の早期帰国を求める」という一点に絞って行われる事にも、非常に好感が持てます。こういう形の署名なら、「救う会」や安倍元首相が掲げる北朝鮮経済制裁や戦後体制見直し・靖国ネオコン思想の焼き直しには賛成できない人も、抵抗無く受け入れる事が出来ますから。
確かに連合は、旧民社党・同盟系の全民労協が母体となって作られたナショナルセンターです。会社べったりの第二組合・御用組合を多数傘下に抱え、かつては米国や自民党と一緒になって、社会党や国労の解体に手を貸してきました。小泉構造改革についても、当初は露払いの役割を演じて来ました。また、まだまだ民間大企業や公務員の正社員労組員が中心の組織で、労働貴族・「ヌクヌク左翼」の代表とも看做されても来ました。
しかしそれでも、昨今は戦争・格差社会の下で悩み苦しむ下部組合員の意向を反映してか、日米両政府・財界の進める新自由主義グローバリゼーションや構造改革・規制緩和路線には、真っ向から異を唱えるようになって来ました。未組織・非正規の仲間の権利確立やパート労働者の組織化にも力を注ぎ、労働契約法やホワイトカラー・エグゼンプションの導入を巡る問題でも、財界を向こうに回して一歩も引かない姿勢を鮮明にしつつあります。
勿論、だからといって手放しで礼賛する気はありません。会社べったりの御用組合を多数傘下に抱えているという点には聊かも変わりはない訳ですから、連合が労働者を裏切る事がないように、今後も監視・叱咤激励していく必要がある事は、言うまでもありません。
そういう、まだまだ限界を抱えながらも、それなりに大衆の意向を反映した団体が提唱している運動であるという点でも、今回の署名運動については、それなりに評価したいと思っています。
少し遅くなりましたが、下記のニュースについても。いずれも、是非記事に取り上げなければ、と思っていた事です。
・第17代大統領に李明博氏、10年ぶりの政権交代(YONHAP NEWS)
http://japanese.yonhapnews.co.kr/pe/2007/12/19/9200000000AJP20071219005500882.HTML
・大統領選:李明博氏、531万票差で圧勝(朝鮮日報)
http://www.chosunonline.com/article/20071220000007
・保守への政権交代か 韓国大統領選挙まで1週間(上)(JANJAN)
http://www.news.janjan.jp/world/0712/0712127145/1.php
・左右イデオロギー対立の終焉 韓国大統領選挙(下)(同上)
http://www.news.janjan.jp/world/0712/0712130164/1.php
・疑惑よりも経済手腕 新大統領は保守ハンナラ党(半島浪人レポ)
http://blog.livedoor.jp/yorogadi/archives/51043090.html
まず最初は韓国大統領選挙の話題から。然る19日に行われた第17代韓国大統領選挙で、保守野党ハンナラ党のイ・ミョンバク(李明博)候補が、中道左派連立与党・大統合民主新党のチョン・ドンヨン(鄭東泳)候補に圧勝しました。民主化後の90年代後半に野党に転落したハンナラ党が、これで再び与党に返り咲く事になりました。
このニュースは日本でも多くのマスコミが取り上げました。その中でも、とりわけ産経・読売などの右派メディアは「国民の保守回帰」という論評を早速流していますが、私はこの見方は余りにも皮相的過ぎると思っています。
何故ならば、今の韓国与党は確かに反軍政・民主化運動の流れを引継いだ人たちで構成されていますが、これは単に反軍政というだけであって、その中には保守から中道左派までいます。韓国左翼は寧ろ、民主労働党に代表されるように、与党を左から批判しつつも、さりとて旧軍政勢力(ハンナラ党)に組するような真似だけはしない、という立場に立っています。
つまり、今の韓国与党は保守穏健派、せいぜい中道左派といった所で、決して左翼革新政権なんかではありません。北朝鮮に対して宥和的だとも言われていますが、これも与党に限った事ではありません。ハンナラ党も、程度の差こそあれ、今や同じ立場に立っています。そういう意味ではハンナラ党も、かつての軍政色は陰を潜め、今や中道右派政党に衣替えしたといって良いでしょう。
イラク参戦・米軍再編協力についても、与野党のどちらも韓米同盟維持の立場に違いはありません。今の韓国与党を敢えて日本の例に準えるならば、かつての細川政権時代の非自民連立与党や今の小沢民主党の様なものでしかありません。
今回の韓国大統領選挙の争点になったのは、イ・ミョンバク(李明博)候補の株価操作関与疑惑などもありましたが、基本的には格差社会問題でしょう。
韓国では日本以上に経済格差が広がっています。彼の国の全労働人口に占める非正規雇用の割合は、今や日本の3割台をも遥かに凌ぎ、5割台にも達しようとしています。その上、民主化されてまだまだ日の浅い韓国では、日本以上に前近代的労使関係が蔓延り、それに今の経済グローバル化・新自由主義化の影響も加わり、あちこちで露骨な搾取や不当解雇がまかり通っているのが現状です。
先日のNHKスペシャル・ワーキングプア特集第3弾の「海外のワーキングプア特集」番組でも取り上げられていた、ヒュンダイ(現代)百貨店のパート解雇問題一つとっても、それがよく分かります。せっかく非正規雇用規制法案が成立しても、その施行前に非正規職の大量解雇を断行し、経営者はそれがさも当然であるかのように、「日本の企業家も同じ事をするだろう」などと言い放っているのですから。これはもうホリエモンやグッドウィル会長の折口と同じで、会社の経営責任や従業員の生存権の事など、全然眼中に無いのです。片や政府も政府で、基本路線が新自由主義に賛成なものですから、それ以上は何も言わないし、しない。
そんな中で、現実の格差拡大には何ら有効な手が打てず、相変わらず「民主化継続か軍政復活か」の旧来の枠組みにしがみついていた政府与党が、今回とうとう有権者から見放されたという事でしょう。大統領選挙の投票率が史上最低だったのも、今まで民主化を支持し、キム・デジュン(金大中)やノ・ムヒョン(盧武鉉)に投票してきた層が、今回はかなり棄権に回ったからでしょう。
それで「保守派」のイ・ミョンバク(李明博)に今回お鉢が回ってきたのですが、この人は元々ヒュンダイ(現代)財閥の会長だった人です。それが、ソウル市長時代にドブ川の暗渠だったチョンゲチョン(清渓川)を親水遊歩道として復活するなどして、目に見える部分で人気を博してきた事もあって、「この人の企業家としての手腕に期待しよう」という事で当選したのです。先述のパート解雇断行の親玉でありながら。敢えて日本の政治家に例えるならば、「韓国の小泉純一郎」ともいうべき人物でしょう。
そして、その「韓国の小泉純一郎」圧勝の呷りを受けて、かつての保守本流たる「韓国の安倍晋三」イ・フェチャン(李会昌、旧ハンナラ党総裁)候補は、今回は僅か15%ほどしか得票出来ずに惨敗しました。だから、今回の大統領選の結果は、決して<保守回帰>なんて復古的なものではなくて、それよりも寧ろ<格差社会批判を逆手にとってのネオリベ(新自由主義)勢力の巻き返し>とも言うべきものです。
ここで誰しも疑問に思うであろう事は、<格差社会批判が争点になりながら、なぜ新自由主義者が大統領に当選したのか?>という事でしょう。更に言えば、その経済格差拡大をもたらした90年代後半のアジア通貨危機と韓国のIMF傘下入りの時に与党だったのが、何を隠そう当のハンナラ党自身であり、その時の危機に有効に対処し得なかったが為に、その後の選挙で民主化勢力(今の韓国政権与党)の後塵を拝する破目に陥ってしまったのでしょう。それなのになぜ新自由主義者が当選したのか?
それに対しては、私は次の様に見ています。韓国は軍政時代から外資を導入して高度経済成長を続けてきた。遅れていた民主化への歩みも80年代後半からは本格的に始まり、今もその実現過程にある。その後90年代後半のIMF危機などで一頓挫あったが、それもどうやら乗り越えた。今後も経済の上昇と民主化は続くだろう。丁度、昭和30年代・40年代の日本がそうであった様に。そういう中で、日本の例に準えるならば、60年安保闘争後の池田内閣の登場と、橋本不況や森KY政権の後の小泉政権の出現という、らせん状の社会変化が、韓国社会で同時に進行しているのではないか、と。
つまり韓国では、日本が戦後60年余りかけて経験した政治の民主化、経済の高度成長、経済のグローバル化、新自由主義への流れが、同時並行で進んでいるのです。だから、88ウォン世代と総称される韓国ワーキングプアのうちの、少なくない人々が「コリアン・ドリーム」実現の夢を託してイ・ミョンバク(李明博)を支持し、残りの人たちも経済無策で「民主化支持」一辺倒のチョン・ドンヨン(鄭東泳)には愛想を尽かしたのでしょう。
もとより、新自由主義者で規制緩和論者のイ・ミョンバク(李明博)では、経済格差は広がりこそすれ縮まる事はありません。韓国民衆も早晩それに気付く筈です。日本でも、高度経済成長や細川政治改革、小泉改革の化けの皮が次第に剥れていったのと、同様に。
以上俯瞰してみて気付く事は、韓国政治と日本政治のある種の相似性とともに、韓国政治の意外な健全さです。確かに韓国は、日本以上に縁故社会で賄賂が蔓延り、儒教社会特有の封建制もそこかしこに残存しています。しかし、その一方でイ・ミョンバクはソウル市長時代にチョンゲチョンを実際に復活させました。それだけでも、ウソとハッタリの道路公団民営化・郵政民営化や「美しい国」の謳い文句だけで票を掠め取った小泉や安倍よりは、まだよっぽどマシでマトモに見えます。
「歴史はらせん状に発展する」というのは、元々はドイツの哲学者ヘーゲルや英国の歴史家トインビーの言葉だそうで、社会発展史(史的唯物論)の重要な命題の一つでもあります。その言葉の意味する所は、「歴史は単なる同じ事の繰り返しではない」「一見そう見える事柄でも、実はらせん階段を上るように、確実に変化発展しているのだ」という事ですが、今回の韓国大統領選挙の流れを見るにつけても、今更ながらその事を強く感じました。
同様の「歴史のらせん状発展、社会発展史」は、そのお隣の北朝鮮でも、下記のニュースから垣間見る事が出来ます。情報鎖国社会で官製報道一色だった北朝鮮にも、脱北者が触媒となって、北朝鮮の民衆自身が参加・情報発信する独立系メディア「リムジンガン」が、遂に誕生したのですから。この動きが、芽吹く事無くしぼんでしまうのか、はたまた北朝鮮人民自身の手によるジャーナリズムとして広がっていくのかは、全て今後の活動・支援如何にかかっています。
・韓国大統領選挙と『リムジンガン』(朝民研)
http://www.asiavoice.net/nkorea/2007/12/post_223.html
・北朝鮮からの通信 リムジンガン
http://www.asiapress.org/rimjingang/
このニュースは、先の韓国大統領選挙の陰に隠れて余り目立ちませんでしたが、社会の根本的変革を促すものとして、ある意味では、所詮は為政者交代劇でしか無い大統領選挙よりも、もっと重要なニュースであるとも言えるのではないでしょうか。既にケソン工業団地を舞台とした南北の経済交流が実際に始まっています。この「リムジンガン」創刊については、その流れとも相まって、南北朝鮮それぞれの政治支配者の思惑をも乗り越え、真に民衆と社会の自由化・民主化に繋がる動きにしていかなければなりません。映画「パッチギ」の中で歌われた同名の曲の様に。
・第17代大統領に李明博氏、10年ぶりの政権交代(YONHAP NEWS)
http://japanese.yonhapnews.co.kr/pe/2007/12/19/9200000000AJP20071219005500882.HTML
・大統領選:李明博氏、531万票差で圧勝(朝鮮日報)
http://www.chosunonline.com/article/20071220000007
・保守への政権交代か 韓国大統領選挙まで1週間(上)(JANJAN)
http://www.news.janjan.jp/world/0712/0712127145/1.php
・左右イデオロギー対立の終焉 韓国大統領選挙(下)(同上)
http://www.news.janjan.jp/world/0712/0712130164/1.php
・疑惑よりも経済手腕 新大統領は保守ハンナラ党(半島浪人レポ)
http://blog.livedoor.jp/yorogadi/archives/51043090.html
まず最初は韓国大統領選挙の話題から。然る19日に行われた第17代韓国大統領選挙で、保守野党ハンナラ党のイ・ミョンバク(李明博)候補が、中道左派連立与党・大統合民主新党のチョン・ドンヨン(鄭東泳)候補に圧勝しました。民主化後の90年代後半に野党に転落したハンナラ党が、これで再び与党に返り咲く事になりました。
このニュースは日本でも多くのマスコミが取り上げました。その中でも、とりわけ産経・読売などの右派メディアは「国民の保守回帰」という論評を早速流していますが、私はこの見方は余りにも皮相的過ぎると思っています。
何故ならば、今の韓国与党は確かに反軍政・民主化運動の流れを引継いだ人たちで構成されていますが、これは単に反軍政というだけであって、その中には保守から中道左派までいます。韓国左翼は寧ろ、民主労働党に代表されるように、与党を左から批判しつつも、さりとて旧軍政勢力(ハンナラ党)に組するような真似だけはしない、という立場に立っています。
つまり、今の韓国与党は保守穏健派、せいぜい中道左派といった所で、決して左翼革新政権なんかではありません。北朝鮮に対して宥和的だとも言われていますが、これも与党に限った事ではありません。ハンナラ党も、程度の差こそあれ、今や同じ立場に立っています。そういう意味ではハンナラ党も、かつての軍政色は陰を潜め、今や中道右派政党に衣替えしたといって良いでしょう。
イラク参戦・米軍再編協力についても、与野党のどちらも韓米同盟維持の立場に違いはありません。今の韓国与党を敢えて日本の例に準えるならば、かつての細川政権時代の非自民連立与党や今の小沢民主党の様なものでしかありません。
今回の韓国大統領選挙の争点になったのは、イ・ミョンバク(李明博)候補の株価操作関与疑惑などもありましたが、基本的には格差社会問題でしょう。
韓国では日本以上に経済格差が広がっています。彼の国の全労働人口に占める非正規雇用の割合は、今や日本の3割台をも遥かに凌ぎ、5割台にも達しようとしています。その上、民主化されてまだまだ日の浅い韓国では、日本以上に前近代的労使関係が蔓延り、それに今の経済グローバル化・新自由主義化の影響も加わり、あちこちで露骨な搾取や不当解雇がまかり通っているのが現状です。
先日のNHKスペシャル・ワーキングプア特集第3弾の「海外のワーキングプア特集」番組でも取り上げられていた、ヒュンダイ(現代)百貨店のパート解雇問題一つとっても、それがよく分かります。せっかく非正規雇用規制法案が成立しても、その施行前に非正規職の大量解雇を断行し、経営者はそれがさも当然であるかのように、「日本の企業家も同じ事をするだろう」などと言い放っているのですから。これはもうホリエモンやグッドウィル会長の折口と同じで、会社の経営責任や従業員の生存権の事など、全然眼中に無いのです。片や政府も政府で、基本路線が新自由主義に賛成なものですから、それ以上は何も言わないし、しない。
そんな中で、現実の格差拡大には何ら有効な手が打てず、相変わらず「民主化継続か軍政復活か」の旧来の枠組みにしがみついていた政府与党が、今回とうとう有権者から見放されたという事でしょう。大統領選挙の投票率が史上最低だったのも、今まで民主化を支持し、キム・デジュン(金大中)やノ・ムヒョン(盧武鉉)に投票してきた層が、今回はかなり棄権に回ったからでしょう。
それで「保守派」のイ・ミョンバク(李明博)に今回お鉢が回ってきたのですが、この人は元々ヒュンダイ(現代)財閥の会長だった人です。それが、ソウル市長時代にドブ川の暗渠だったチョンゲチョン(清渓川)を親水遊歩道として復活するなどして、目に見える部分で人気を博してきた事もあって、「この人の企業家としての手腕に期待しよう」という事で当選したのです。先述のパート解雇断行の親玉でありながら。敢えて日本の政治家に例えるならば、「韓国の小泉純一郎」ともいうべき人物でしょう。
そして、その「韓国の小泉純一郎」圧勝の呷りを受けて、かつての保守本流たる「韓国の安倍晋三」イ・フェチャン(李会昌、旧ハンナラ党総裁)候補は、今回は僅か15%ほどしか得票出来ずに惨敗しました。だから、今回の大統領選の結果は、決して<保守回帰>なんて復古的なものではなくて、それよりも寧ろ<格差社会批判を逆手にとってのネオリベ(新自由主義)勢力の巻き返し>とも言うべきものです。
ここで誰しも疑問に思うであろう事は、<格差社会批判が争点になりながら、なぜ新自由主義者が大統領に当選したのか?>という事でしょう。更に言えば、その経済格差拡大をもたらした90年代後半のアジア通貨危機と韓国のIMF傘下入りの時に与党だったのが、何を隠そう当のハンナラ党自身であり、その時の危機に有効に対処し得なかったが為に、その後の選挙で民主化勢力(今の韓国政権与党)の後塵を拝する破目に陥ってしまったのでしょう。それなのになぜ新自由主義者が当選したのか?
それに対しては、私は次の様に見ています。韓国は軍政時代から外資を導入して高度経済成長を続けてきた。遅れていた民主化への歩みも80年代後半からは本格的に始まり、今もその実現過程にある。その後90年代後半のIMF危機などで一頓挫あったが、それもどうやら乗り越えた。今後も経済の上昇と民主化は続くだろう。丁度、昭和30年代・40年代の日本がそうであった様に。そういう中で、日本の例に準えるならば、60年安保闘争後の池田内閣の登場と、橋本不況や森KY政権の後の小泉政権の出現という、らせん状の社会変化が、韓国社会で同時に進行しているのではないか、と。
つまり韓国では、日本が戦後60年余りかけて経験した政治の民主化、経済の高度成長、経済のグローバル化、新自由主義への流れが、同時並行で進んでいるのです。だから、88ウォン世代と総称される韓国ワーキングプアのうちの、少なくない人々が「コリアン・ドリーム」実現の夢を託してイ・ミョンバク(李明博)を支持し、残りの人たちも経済無策で「民主化支持」一辺倒のチョン・ドンヨン(鄭東泳)には愛想を尽かしたのでしょう。
もとより、新自由主義者で規制緩和論者のイ・ミョンバク(李明博)では、経済格差は広がりこそすれ縮まる事はありません。韓国民衆も早晩それに気付く筈です。日本でも、高度経済成長や細川政治改革、小泉改革の化けの皮が次第に剥れていったのと、同様に。
以上俯瞰してみて気付く事は、韓国政治と日本政治のある種の相似性とともに、韓国政治の意外な健全さです。確かに韓国は、日本以上に縁故社会で賄賂が蔓延り、儒教社会特有の封建制もそこかしこに残存しています。しかし、その一方でイ・ミョンバクはソウル市長時代にチョンゲチョンを実際に復活させました。それだけでも、ウソとハッタリの道路公団民営化・郵政民営化や「美しい国」の謳い文句だけで票を掠め取った小泉や安倍よりは、まだよっぽどマシでマトモに見えます。
「歴史はらせん状に発展する」というのは、元々はドイツの哲学者ヘーゲルや英国の歴史家トインビーの言葉だそうで、社会発展史(史的唯物論)の重要な命題の一つでもあります。その言葉の意味する所は、「歴史は単なる同じ事の繰り返しではない」「一見そう見える事柄でも、実はらせん階段を上るように、確実に変化発展しているのだ」という事ですが、今回の韓国大統領選挙の流れを見るにつけても、今更ながらその事を強く感じました。
同様の「歴史のらせん状発展、社会発展史」は、そのお隣の北朝鮮でも、下記のニュースから垣間見る事が出来ます。情報鎖国社会で官製報道一色だった北朝鮮にも、脱北者が触媒となって、北朝鮮の民衆自身が参加・情報発信する独立系メディア「リムジンガン」が、遂に誕生したのですから。この動きが、芽吹く事無くしぼんでしまうのか、はたまた北朝鮮人民自身の手によるジャーナリズムとして広がっていくのかは、全て今後の活動・支援如何にかかっています。
・韓国大統領選挙と『リムジンガン』(朝民研)
http://www.asiavoice.net/nkorea/2007/12/post_223.html
・北朝鮮からの通信 リムジンガン
http://www.asiapress.org/rimjingang/
このニュースは、先の韓国大統領選挙の陰に隠れて余り目立ちませんでしたが、社会の根本的変革を促すものとして、ある意味では、所詮は為政者交代劇でしか無い大統領選挙よりも、もっと重要なニュースであるとも言えるのではないでしょうか。既にケソン工業団地を舞台とした南北の経済交流が実際に始まっています。この「リムジンガン」創刊については、その流れとも相まって、南北朝鮮それぞれの政治支配者の思惑をも乗り越え、真に民衆と社会の自由化・民主化に繋がる動きにしていかなければなりません。映画「パッチギ」の中で歌われた同名の曲の様に。
12月5日放送のNHK「クローズアップ現代」で、在日外国人研修生の問題を取り上げていたのを見ました。その番組では、技術習得などの為に来日した開発途上国の人間が、本来の目的である研修や技能講習からかけ離れて、つなぎの低賃金労働力としてこき使われている問題を取り上げていました。
日本では90年代から外国人研修制度・技能実習制度が実施されています。この制度本来の趣旨は、開発途上国への技術指導の一環として、3年を期限として当該国人を日本に呼び寄せ、1年目は研修生、2年目は技能実習生として各種技術の習得を図るというものでした。
1年目はあくまで研修としての位置づけなので、即戦力として働かしたり残業させたりは出来ません。この期間は研修生に月7万円の生活費が支給されます。2年目に入ると技能実習生の扱いになり、協力企業の一員として働かされ、月12万円前後の法定最低賃金が支給され、社会保険も適用されます。この趣旨に沿って62職種114作業の習得が図られ、3年後の帰国後には有為の技能工として母国で活躍してもらう―これがこの制度の建前です。
ところが実際は、中国・インドとの競争でダンピングを強いられ3K職場故に人材確保もままならない中小企業を中心に、これらの外国人研修生・実習生に対して、研修・実習など全く施さずに、残業や休日出勤まで強いておきながら、最低賃金の半分以下の基本給・残業代しか払わないという実態が、今までまかり通ってきました。1日10数時間労働、休日は年間数日・月に1日あるかないか、時間外賃金が時給換算で僅か300円台という様な、詐欺紛いの労働実態がそこにはありました。
要するに、外国人研修制度・技能実習制度が、違法労働の呈の良い隠れ蓑として使われてきたのです。この辺の事情は、日本国内での派遣・請負・業務委託などのアウトソーシング契約が、得てして偽装請負や偽装委託(実際は従業員として働かされているにも関わらず雇用責任逃れの為に業務委託契約の形にされている)の隠れ蓑として使われているのと、非常によく似ています。
それに対して、労働組合や市民団体の支援によって、外国人研修生・実習生(実質は労働者)の労組結成や不払い賃金の支給、労働条件の改善を勝ち取る動きも次第に広がってきていますが、それで即解決とはならないのです。外国人研修生・実習生がせっかく闘争に勝利して違法労働の是正を勝ち取っても、今度は出身地の本国で、ブローカーから「相手に損害を与えた」「契約不履行」と逆に言いがかりをつけられて、訴えられるケースが出てきたからです。
番組では中国のケースが取り上げられていました。中国では、ブローカーの人材派遣企業が出稼ぎ人夫募集の形で人を集め、「日本企業の言う事には絶対服従」との内容の誓約書まで出させて、そして研修制度を利用して日本に労務輸出を行っていたのです。今の中国はホンマ、社会主義国というのは形だけで、やらせ番組・食品偽装(例のダンボール肉まん事件など)に加えて、グッドウィルみたいな違法人材派遣会社まであり、その辺は日本とも何ら変らない、否、政治的自由や労組活動の自由が無い分、日本よりも更に酷いという事が、よく分りました。これでは北朝鮮がロシアに送り出している労務輸出と何ら変りません。
そして、表では中国や北朝鮮の脅威を煽り立てて改憲・軍拡を志向している今の日本の自民党政府・財界も、裏ではちゃっかりと中国共産党政府と馴れ合って、日本国内でワーキングプアを搾取しているのと同様に、中国のワーキングプアを搾取しているという事も、この番組を見てよく分りました。
ここには、EPA(経済提携協定)に基づくフィリピンからの低賃金介護士輸入や、太平洋ベルト地帯や北関東などの自動車・電子部品組立工場で日系人労働者が低賃金でこき使われているのと、同じ様な構造が存在します。ひとり大企業だけがリストラによる増益で「我が世の春」を謳歌し、その下で多くの中小企業や勤労者が賃金目減り・生活縮小・格差拡大に苦しむ中で、国の国内産業・地方切捨て政策の為に潜在需要があるにも関わらず意図的に3K職場にさせられて立ち行かなくなり人材確保もままならなくなった産業分野(農業や介護・福祉・医療など正にそうでしょう)に、外国からワーキングプアを呼び寄せて、国内ワーキングプアの「沈め石」に仕立て上げた上に、日本人と外国人のワーキングプア同士を互いに反目させて、自民党・財界支配が揺るがないようにしているのです。実に巧妙な作戦という他ありません。
この搾取構造を打ち破っていくには、一つしかありません。それは、靖国派ファシストやネットウヨクの尻馬に乗って外国人排除に精を出す事でもなければ、新自由主義政府・財界のお先棒を担いで外国人の「沈め石」輸入を無原則に肯定する事でもありません。日本人・外国人労働者が共に団結して、共通の敵(搾取構造を支えているそれぞれの国の支配層)を打ち破っていくしか根本的な打開の道はありません。万国のプレカリアート団結せよ!
(参考資料)
・NHK「クローズアップ現代」12月5日放送 国境を越える“研修生トラブル”
http://www.nhk.or.jp/gendai/
・外国人研修制度・技能実習制度の解説(JITCO)
http://www.jitco.or.jp/contents/system.htm
・外国人研修・技能実習制度問題を考える(名古屋国際センター)
http://www.nic-nagoya.or.jp/japanese/kokusai_center_news/kokusai_koryoku_corner/eandc0407.htm
・外国人労働者の雇用・労務管理の部屋
http://www.asunaro-as.net/foreigner/
・現代日本の外国人労働者問題とコミュニティ・ユニオン
http://wwwsoc.nii.ac.jp/sssp/112taikai/F4-1Lee.pdf#search='在日中国人 労働組合'
・移住労働者と連帯する全国ネットワーク
http://www.jca.apc.org/migrant-net/Japanese/Japanese.html
・同胞の雇用守ります《外国人労働者を助けるマルコスさん》(名古屋タイムス)
http://www.meitai.net/archives/20070712/2007071206.html
・万国のプレカリアート、団結せよ!(その1)
http://blog.goo.ne.jp/afghan_iraq_nk/e/8914c524d222708b63058f97f5e86f11
※注:プレカリアート=「不安定(プレカリアス)な雇用や生活を強いられている労働者(プロレタリアート)」を意味する造語。ワーキング・プアを政治的・階級的に表現した言葉。私のHNもここに由来します。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%AB%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%88
日本では90年代から外国人研修制度・技能実習制度が実施されています。この制度本来の趣旨は、開発途上国への技術指導の一環として、3年を期限として当該国人を日本に呼び寄せ、1年目は研修生、2年目は技能実習生として各種技術の習得を図るというものでした。
1年目はあくまで研修としての位置づけなので、即戦力として働かしたり残業させたりは出来ません。この期間は研修生に月7万円の生活費が支給されます。2年目に入ると技能実習生の扱いになり、協力企業の一員として働かされ、月12万円前後の法定最低賃金が支給され、社会保険も適用されます。この趣旨に沿って62職種114作業の習得が図られ、3年後の帰国後には有為の技能工として母国で活躍してもらう―これがこの制度の建前です。
ところが実際は、中国・インドとの競争でダンピングを強いられ3K職場故に人材確保もままならない中小企業を中心に、これらの外国人研修生・実習生に対して、研修・実習など全く施さずに、残業や休日出勤まで強いておきながら、最低賃金の半分以下の基本給・残業代しか払わないという実態が、今までまかり通ってきました。1日10数時間労働、休日は年間数日・月に1日あるかないか、時間外賃金が時給換算で僅か300円台という様な、詐欺紛いの労働実態がそこにはありました。
要するに、外国人研修制度・技能実習制度が、違法労働の呈の良い隠れ蓑として使われてきたのです。この辺の事情は、日本国内での派遣・請負・業務委託などのアウトソーシング契約が、得てして偽装請負や偽装委託(実際は従業員として働かされているにも関わらず雇用責任逃れの為に業務委託契約の形にされている)の隠れ蓑として使われているのと、非常によく似ています。
それに対して、労働組合や市民団体の支援によって、外国人研修生・実習生(実質は労働者)の労組結成や不払い賃金の支給、労働条件の改善を勝ち取る動きも次第に広がってきていますが、それで即解決とはならないのです。外国人研修生・実習生がせっかく闘争に勝利して違法労働の是正を勝ち取っても、今度は出身地の本国で、ブローカーから「相手に損害を与えた」「契約不履行」と逆に言いがかりをつけられて、訴えられるケースが出てきたからです。
番組では中国のケースが取り上げられていました。中国では、ブローカーの人材派遣企業が出稼ぎ人夫募集の形で人を集め、「日本企業の言う事には絶対服従」との内容の誓約書まで出させて、そして研修制度を利用して日本に労務輸出を行っていたのです。今の中国はホンマ、社会主義国というのは形だけで、やらせ番組・食品偽装(例のダンボール肉まん事件など)に加えて、グッドウィルみたいな違法人材派遣会社まであり、その辺は日本とも何ら変らない、否、政治的自由や労組活動の自由が無い分、日本よりも更に酷いという事が、よく分りました。これでは北朝鮮がロシアに送り出している労務輸出と何ら変りません。
そして、表では中国や北朝鮮の脅威を煽り立てて改憲・軍拡を志向している今の日本の自民党政府・財界も、裏ではちゃっかりと中国共産党政府と馴れ合って、日本国内でワーキングプアを搾取しているのと同様に、中国のワーキングプアを搾取しているという事も、この番組を見てよく分りました。
ここには、EPA(経済提携協定)に基づくフィリピンからの低賃金介護士輸入や、太平洋ベルト地帯や北関東などの自動車・電子部品組立工場で日系人労働者が低賃金でこき使われているのと、同じ様な構造が存在します。ひとり大企業だけがリストラによる増益で「我が世の春」を謳歌し、その下で多くの中小企業や勤労者が賃金目減り・生活縮小・格差拡大に苦しむ中で、国の国内産業・地方切捨て政策の為に潜在需要があるにも関わらず意図的に3K職場にさせられて立ち行かなくなり人材確保もままならなくなった産業分野(農業や介護・福祉・医療など正にそうでしょう)に、外国からワーキングプアを呼び寄せて、国内ワーキングプアの「沈め石」に仕立て上げた上に、日本人と外国人のワーキングプア同士を互いに反目させて、自民党・財界支配が揺るがないようにしているのです。実に巧妙な作戦という他ありません。
この搾取構造を打ち破っていくには、一つしかありません。それは、靖国派ファシストやネットウヨクの尻馬に乗って外国人排除に精を出す事でもなければ、新自由主義政府・財界のお先棒を担いで外国人の「沈め石」輸入を無原則に肯定する事でもありません。日本人・外国人労働者が共に団結して、共通の敵(搾取構造を支えているそれぞれの国の支配層)を打ち破っていくしか根本的な打開の道はありません。万国のプレカリアート団結せよ!
(参考資料)
・NHK「クローズアップ現代」12月5日放送 国境を越える“研修生トラブル”
http://www.nhk.or.jp/gendai/
・外国人研修制度・技能実習制度の解説(JITCO)
http://www.jitco.or.jp/contents/system.htm
・外国人研修・技能実習制度問題を考える(名古屋国際センター)
http://www.nic-nagoya.or.jp/japanese/kokusai_center_news/kokusai_koryoku_corner/eandc0407.htm
・外国人労働者の雇用・労務管理の部屋
http://www.asunaro-as.net/foreigner/
・現代日本の外国人労働者問題とコミュニティ・ユニオン
http://wwwsoc.nii.ac.jp/sssp/112taikai/F4-1Lee.pdf#search='在日中国人 労働組合'
・移住労働者と連帯する全国ネットワーク
http://www.jca.apc.org/migrant-net/Japanese/Japanese.html
・同胞の雇用守ります《外国人労働者を助けるマルコスさん》(名古屋タイムス)
http://www.meitai.net/archives/20070712/2007071206.html
・万国のプレカリアート、団結せよ!(その1)
http://blog.goo.ne.jp/afghan_iraq_nk/e/8914c524d222708b63058f97f5e86f11
※注:プレカリアート=「不安定(プレカリアス)な雇用や生活を強いられている労働者(プロレタリアート)」を意味する造語。ワーキング・プアを政治的・階級的に表現した言葉。私のHNもここに由来します。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%AB%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%88