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コリア国際学園の挑戦

2007年06月16日 23時13分20秒 | 北朝鮮・中国人権問題
 昨日のNHK大阪ローカルのテレビ番組「関西クローズアップ」で、コリア国際学園(KIS)設立の話題を取り上げているのを見ました。このコリア国際学園というのは、在日コリアンが主体となって、来年4月に大阪府茨木市に開校を目指している、中高一貫の国際学園です。

 番組では、姜尚中(カンサンジュン)や辛淑玉(シンスゴ)、梁石日(ヤンソギル)といった方たちが、こもごもこの国際学園に掛ける想いを語っておられました。それによると、この国際学園は、今までの朝鮮学校での民族主義偏重教育をも乗り越え、在日コリアンのみならず日系人やベトナム人などの在日外国人にも広く門戸を広げ、日本・韓国・北朝鮮などの既存国家の枠組みに囚われない国際アジア人の養成を目指したものである、という事でした。この中で特に姜尚中氏について言うと、実は私は、どちらかというと親北朝鮮系の人であるという感じを漠然と持っていましたが、この件を機に氏に対する認識も改めなければならないと思いました。

 日本の植民地統治を経験した在日コリアンにとっては、民族教育は自分の祖国を取り戻す闘いでもあったのだが、今やそれが、北朝鮮・韓国などの祖国への依存・盲従体質や、互いの分断・対立を生み出す癌になっている。既に民族学校ではなく日本の中学・高校に進学する生徒も増えてきている。今後は、もうそういう今までの国家や民族の枠を乗り越えて、自分自身を相対化出来る国際感覚を養成しなければならない段階に来ている。今度設立される国際学園でも、日・韓・英3ヶ国語の習得を主体に(その中でもとりわけ英語を重視)、その他の日本の一般教科(現代社会・数学Iなど)の単位取得も目指すというカリキュラムが組まれる。―これが、この番組で取り上げられたコリア国際学園(KIS)の概要です。

 しかし、実際にはまだまだ暗中模索の段階だそうです。カリキュラム編成一つとっても、朝鮮半島の言語名称を韓国語とするか朝鮮語とするかでスッタモンダした挙句に、「コリア語」という呼称にようやく落ち着きました。また朝鮮半島の近現代史の授業で、「朝鮮戦争の記述をどうするか」が議論になりました。この戦争は、韓国では韓国戦争、北朝鮮では祖国解放戦争と呼ばれ、それぞれ金正日と李承晩が戦争を仕掛けた事になっています。この部分については、戦争の原因そのものよりも戦争の悲劇に比重を置いた記述になる、という事です。

 この話題も、ネットウヨク・嫌韓厨・ゲシュタポ厨の世界では、また例によって例の如く「反日養成の隠れ蓑」みたいな議論に終始している様ですが、私はこの試みに注目しています。キムジョンイルでもアベジョンイルでもない、靖国マンセーでも竹島・尖閣マンセーでもない、「外国人は出て行け」でも「3K労働は外国人に」でもない、真に平和・自由・平等で連帯の、もう一つのアジアと世界。こういう世界こそが、日本国憲法9条・25条が追求してきたものでもあるのです。

 更に欲を言うならば、そういう世界を目指すならば、もう「コリア」に拘る必然性すらないのではないでしょうか。特別永住者の範囲も、在日コリアンのみならず、日本での永住を希望する全ての外国人に広げるべきではないでしょうか。脱北者にも日系人にもベトナム難民にも。

 勿論、それが口で言うほど容易ではない事は私にも分っています。先だっても東京の方で、民族学校の脱「北朝鮮」化を巡って理事会と学校側が対立し、PTAまで巻き込んでの騒ぎに発展した事があったと聞き及んでいます。また、カリキュラムについての若干の疑問もあります。例えば英語重視という事ですが、英語はあくまでも国際理解のツールの一つにしか過ぎません。単にそれだけでは、エリート層の養成にはなっても真の国際理解には必ずしも結びつかないのでは、という懸念はあります。

 しかし、いずれにしても、在日コリアンのみならず在住外国人全てに門戸を開き、真に平等と連帯のアジアを目指そうとする以上は、「ナショナリズムの相対化」は避けては通れない課題なのです。その為にも、日本の過去の清算、北朝鮮・中国の人権問題解決、アジアの非核・平和地帯化、靖国・コリア・中華の過剰なナショナリズムの同時並行的克服が、ともに求められていると思います。

(関連記事)

・「関西クローズアップ」6月15日放送「いままでにない国際学校を!~在日社会から生まれた挑戦~」(NHK大阪)
 http://www.nhk.or.jp/osaka/program/closeup/
・コリア国際学園(KIS)公式サイト
 http://www.kis-korea.org/
・KOREA国際学園の集い(鳳@bongのページ)
 http://www.inbong.com/2007/kis/kis0527/
・日本に「コリア国際学園」を設立、来年4月開校(YONHAP NEWS)
 http://japanese.yonhapnews.co.kr/relation/2007/05/04/0400000000AJP20070504001400882.HTML
・コリア国際学園(KIS)のチャレンジ(unlearners)
 http://blogs.yahoo.co.jp/aasja_1/47239059.html
・「コリア国際学園」(KIS)の設立の番組@NHK総合「関西クローズアップ」(はにかみ草)
 http://blog.goo.ne.jp/hanxiucao/e/d3c21afb2f6165961cd1b6cfab6c6f06
・映画「ディア・ピョンヤン」公式サイト
 この映画は私も見ました。朝鮮総連の熱心な活動家だった在日コリアンの父が、実際は子煩悩な普通のオジサンで、父とは別の道を歩もうとする娘=梁英姫(ヤン・ヨンヒ)監督の人生も最後は黙って受け入れます。それを何気ない日常生活に織り交ぜて淡々と描いた作品です。今回の話題を考える上でも大いに参考になります。
 http://www.film.cheon.jp/
コメント (4)
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