以下、4月24日(金)付・朝日新聞(大阪版)朝刊・テレビ番組欄より、「草なぎ剛逮捕」関連分をピックアップした一覧。
・NHK総合
4:30「おはよう日本」草なぎ容疑者・送検へ
・毎日テレビ
5:30「みのもんた朝ズバッ!」”酒酔い裸で騒ぎ…”草なぎ容疑者自宅も捜索/逮捕一報にファンは?
11:00「ひるおび!」草なぎ剛容疑者最新情報
14:55「ちちんぷいぷい」続報…スマップ草なぎ剛容疑者逮捕の余波は?
18:45「THE・NEWS」草なぎ容疑者…ファンの失望と社会への影響と
・ABCテレビ
6:45「おはよう朝日です」衝撃・草なぎ容疑者に何があった?
8:00「スーパーモーニング」スマップ草なぎ剛容疑者/深夜の泥酔全裸大騒ぎ/通報者が語る大捕物!!/同時刻現場を追跡取材
12:00「スクランブル」公園で全裸…草なぎ容疑者逮捕泥酔を追跡
・関西テレビ
5:25「めざましテレビ」草なぎ容疑者逮捕の波紋
8:00「とくダネ!」スマップ草なぎ容疑者①泥酔して全裸で奇声…わいせつ容疑の動機②顔青ざめ移送の瞬間表情③自宅捜索…CMも中止続々/今後活動は
16:53「ニュースアンカー」全裸で…公然わいせつの訳は?草なぎ容疑者逮捕の波紋
23:58「ニュースJAPAN」全裸草なぎ容疑者送検へ
・読売テレビ
5:20「ズームインSUPER」草なぎ容疑者全裸で逮捕①CM中止…韓国速報②検証酒量どれだけ?
8:00「スッキリ!!」泥酔全裸スマップ草なぎ容疑者が深夜に公然わいせつで逮捕
13:55「ミヤネ屋」自宅を捜索/草なぎ容疑者の逮捕で各界に衝撃…
23:55「ニュースZERO」捜査は?草なぎ容疑者
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上記が、23日夜から24日にかけての、例の、SMAP所属タレント草なぎ剛が泥酔で全裸姿になって公然わいせつで逮捕されたニュースについての、テレビでの取り上げられ方ですが。苗字クサナギのナギの字は、よくある「薙」ではなく「」という難しい漢字だった事を、この事件で始めて知りました(注:当該漢字は、PC・携帯の機種によっては文字化けしてしまうので、先程全てひらがなに置き換えました)が、それは兎も角として。
「泥酔した位で逮捕されるか?」という素朴な疑問はみんな抱きつつも、「海賊対処法案が衆院通過」よりも「草なぎ逮捕」の方が大事なニュースだとは到底思えないのに、マスコミが我も我もと書きたてて。
それに加えて、総務相の鳩山が、散々「地デジ推進」PRにこのタレントを起用しておきながら、自身の任命責任を棚の上げての「最低の人間」発言に、こちらも民主党の鳩山が、それまで政府・与党と馴れ合って右傾化・警察国家化を散々推進してきた一蓮托生ぶりを棚に上げての「揚げ足取り」に、これまた政府・与党の犬のネットウヨクが噛み付いて、もうシッチャカメッチャカになっているのを横目に。
「果たしてわざわざブログで取り上げるような事か」と思いながらも、マスコミの体たらくが余りにもアンマリなので、このエントリーを書いています。
そんな私が今回のこのニュースにつけて思うのは、上っ面だけを面白おかしく取り上げるしか能が無い三流スポーツ紙の中で、殆ど唯一「日刊ゲンダイ」だけが、辛うじて「社会の木鐸」としての機能を果たしている事については、率直に評価しつつも、下手にこの問題でキイキイ叫べば叫ぶほど、先の「海賊法案」などのもっと大事なニュースがどんどん陰に隠れてしまい、逆に政府・与党の思う壺となりつつあるのではないか、という事です。
そこで、ここは少し視点を変えて、この様な「ニュースの芸能化、バラエティ番組化、2ちゃんねる化」が、一体何処から始まったのか、という問題意識を抱いて、その次の定休日に、図書館で過去の新聞記事やテレビ番組欄を、ちょっと調べて来ました。
その結果は、やはり予想通りでした。80年代中頃の、久米宏や小宮悦子が司会をしていたテレビ朝日「ニュースステーション(Nステ)」を皮切りに、テレビのニュース番組がバラエティ番組の形式を取り出す以前は、ニュースとバラエティ番組の棲み分けがはっきりしていて、今の様な、視聴率稼ぎがミエミエの、奇をてらった様な番組タイトル命名も、殆ど在りませんでした。
「Nステ」放送開始に当たっては、ともすればお堅いイメージを持たれていたニュース番組を、お茶の間の視聴者にも分かりやすい形で提供するという事で、それなりに期待を持たれていた筈なのですが。
それが、類似の番組が次々と登場するに連れて、何時の頃からか「2ちゃんねる化」の道を辿る様になって。ただひたすら安いコストで、外注の番組制作会社に丸投げする形で、ひたすら視聴率稼ぎの、「センセーショナリズム」「安かろう悪かろう」に走る中で、「やらせ」の問題も起こってきたのではないでしょうか。
特に酷いのが、平日昼の主婦層をターゲットにした、後に「!」や「?」をやたら付けた、長ったらしいタイトルの、芸能番組だかニュース番組だかよく分からない番組です。中には延々と、スポーツ新聞の三流記事の解説を、公共の電波でやっているものまである。そんなモン、わざわざ公共の電波を使ってやるものではないと、思うのですが。
本来、マスコミと言うのは、「社会の木鐸」として機能すべきものでしょう。それは一流全国紙であろうと、三流スポーツ新聞であろうと、変わらない筈です。但し、対象とする読者層が自ずと違うので、大事なニュースを伝えるのに、逆に三流紙の方こそ、「必ずしも分かりやすい事柄ばかりとは限らないが、それでも知っておかなければならない大事なニュースを、ポイントを外す事無く、分かりやすく伝える」工夫と努力が、一流紙以上に求められなければならない筈です。本来であれば。
ところが実際は逆で、全国放送がわざわざ公共の電波を使って三流スポーツ新聞の解説をやっているのを見ても分かる様に、一流紙が三流の後塵を拝するが体たらくとなってしまっているのが、現状ではないですか。
その結果、「こんなニュースばかりなら一層の事見ないほうがマシ」という事で、それがやがて転じて、「こんな政治家ばかりなら投票に行くだけムダ」という事になっているのが、日本の政治ではないでしょうか。正に政府・財界の思う壺というか。
日本や欧米諸国では、「政治の右傾化・保守化」が叫ばれて久しいですが、更に憂慮すべきなのは、長年に渡るマスコミの世論操作によって、単なる「右傾化・保守化」に止まらず、「パロディ化・白痴化」とも言うべき政治状況にまで、立ち至っている事ではないでしょうか。
そうでも考えなければ、アフリカが大陸の名前か国の名前か町の名前かも分からない様なバカウヨ女が、アラスカ州知事から副大統領候補にまで上り詰める事の出来る米国ネオコン政治の体たらくや、「太平洋戦争開戦は日本を陥れようとする米国の謀略だった」と盛んに言い募りながら、現代の米国発謀略戦とも言えるイラク戦争への加担については平気で居直る、田母神某のトンデモ雑文が大手を振ってまかり通ったり、これだけ格差社会の弊害が誰の目にも顕になっても、未だに小泉純一郎や橋下徹などの新自由主義デマゴーグが人気を博し、自己責任論が蔓延る日本国内政治の異常さが、何故生まれてきたのか、説明が付きません。単に「ベルリンの壁崩壊や北朝鮮・拉致問題顕在化によって世論の右傾化・反動化が促された」といった捉え方だけでは、説明が付かない部分がある。
こんな状況にまともに対抗していくには、「草なぎ逮捕が警察国家化への道だ」という事はきちんと押さえつつも、徒に相手の土俵に乗って同じ様にキイキイ叫ぶのではなく、「そんな土俵は贋物で、本物の土俵は寧ろこちらにある」という事を、何度も何度も繰り返し言っていくしか無いのではないかと、私は思うのですが。