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共産党の現状安住主義を憂う

2009年07月15日 20時43分06秒 | 未完の政権交代
  

 7月14日付「しんぶん赤旗」に、東京都議選の選挙総括が掲載されました(上記左写真)。それに拠ると、「残念ながら5議席減に終わったが、得票は07年参院比例比で15万票増やした」「この得票増は、民主党も含めた他党よりも顕著なものだ」「自民か民主かの、政権選択論が組織的に流された中でも、今後に繋がる足場を築く事が出来た」との事でした。
 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2009-07-14/2009071401_05_0.html

 この上記の選挙総括ですが、次の二点で問題がある様に思います。
 まず第一に、いくら直近の選挙だからと言っても、選挙の性格が異なる参院比例票と比較した所で、どれだけ意味があるのでしょうか。比較するのなら、やはり前回都議選の票と比較すべきではないでしょうか。
 そして第二に、これでは余りにも現状に安住した内容の総括ではないでしょうか。確かに、民主党も自民党も、安保・自衛隊・海外派兵の問題でも、消費税や格差是正の問題でも、「似たり寄ったり」の政党である事は確かです。そんな事は共産党だけでなく、国民も既に本能的に感じています。問題は、「それでも尚且つ投票率上昇分の大半が民主党に流れた」事にあるのではないでしょうか。

 無論その中には、上辺だけの雰囲気だけで、時流に阿るままに民主党に投票した票も少なくないでしょう。しかし、その大半は決してそんないい加減な票ばかりではなく、寧ろ「それでも今の自民党政治を少しでも変えて欲しい」という、「積極的・意識的な反自民」の意味合いの強い票ではないかという気がします。そういう意味では、昔の民社党の様な、「自民党ともそう変わらないのでご安心を」と言う「中道志向」とは、似て非なるものです。だから、自民党の古賀選対委員長や石原伸晃・東京都連会長が辞意表明したり、自民党離党を表明する議員が出てきたりして、自民党の屋台骨が揺らいでいるのです。

 だから、そんな「本来なら真っ先に流れ込んで来て然るべき積極的・意識的な反自民票が、何故共産党に向かわず民主党に向かったのか」という事こそ、真っ先に問題にすべきなのに、それがこんな、「これだけ自民か民主かの政権選択論がマスコミによって流され、民主党以外の野党もその呷りを蒙った中で、我が党はよく踏ん張った」と言った様な総括では、「現状に安住しているだけだ」と言われても仕方が無いと思います。

 これを見て、その前の6月27日付「しんぶん赤旗」に載った、野中広務・元自民党幹事長へのインタビュー記事を思い出しました(上記右写真)。この記事も、「かつて自民党のドンと呼ばれた野中ですら、昨今の右傾化や格差社会化には懸念を表明し、共産党にエールを送っている」と、聊か我田引水めいた内容でした。
 確かにこれも、言っている事は決して間違ってはいません。野中広務がその種の懸念を公式の場で表明してきた事は事実であるし、そういう意味では、時流に阿るだけの小泉や麻生よりは、まだ誠実で良心的な政治家だとは言えるでしょう。

 しかし、それは野中のある一面にしか過ぎないのです。では何故その野中が、共産党や社民党ではなく自民党の門をくぐり、幹部にまで上り詰めたのかを考えると、野中のまた別の一面が見えてきます。実際、沖縄・普天間米軍基地の辺野古移設・県内たらい回しの青写真を描いたのは、この野中なのですから。
 それがこの記事では、余りにも手放しで礼賛し過ぎです。如何にインタビューという制約があるにしても、もう少し別の側面もきちんと取り上げて、その上で評価すべき所も評価するのでなければ、本当の客観的な評価にはならないのではないでしょうか。

 この野中の発言にしても、これは共産党とは直接関係がありませんが、田母神論文を批判した石破茂・元防衛相の発言にしても、それはそれで注目すべきニュースだと思いますが、それはあくまでも、野中や石破のある一面にしか過ぎない事は、きちんと押さえておくべきだと思います。
 実は、野中も石破も、昔も今も全然変わっていないのです。全然ぶれていない。寧ろ変わったのは日本社会の方なのです。日本社会が余りにも右傾化して、ネオコン・ネオリベやネオナチ在特会みたいなものにかぶれる輩が増えてしまったので、今までだったら右派だった野中や石破ですら、一見左派の様に見えてしまうのです。

 共産党としては、寧ろそこまで右傾化してしまった事の異常さこそ、もっと指摘すべきなのに、これでは単なる我田引水にしか過ぎません。これも現状安住主義の表れではないでしょうか。
 旧ソ連・中国・北朝鮮の一国覇権主義や独裁・人権抑圧・官僚主義の現れも、元はと言えばこんな現状安住主義から始まったのではないですか。その「守りの姿勢」が、やがて既得権・権力保持の姿勢にも繋がるのではないでしょうか。

 これは別に悲観論で言っているのでも、共産党を否定せんが為に言っているのでもありません。離党こそすれ、今も私は共産党を支持していますし、「赤旗」日刊紙も購読し、選挙になるとビラ配布を手伝ったりもしています。
 自民党も民主党も似たり寄ったりでしかない。偶々ソ連が米国よりも先に崩壊しただけであって、別に資本主義が社会主義に勝利した訳ではない。時代錯誤の自民党・保守派や右翼には未来は無い。民主党の躍進も所詮は風まかせ。諸悪の根源は民意切捨ての小選挙区制や規制だらけの公選法にある。・・・これらは全て正論です。これらの矛盾是正無くして、現行制度のままで形だけの政権交代を幾ら成し遂げても、細川政権・村山政権の様な「自民と第二自民による政権たらい回し」に終わる公算が大です。これら矛盾の廃絶・止揚を追求しなければならないのは勿論です。

 しかし、そういう原則論で党外から批判しているだけでは政治は動きません。矛盾止揚の追求と併せて、今の悪い制度の下でも少しでもよりマシな政治になるように、もっと現実的・具体的な手段で、左から民主党を揺さぶる必要があるのではないでしょうか。確かに民主党は自民党と似たり寄ったりですが、自民党との大きな違いが一つあります。それは民主党が野党である点です。幾ら党内に自民党と同じかそれ以上の金権・保守・反動の輩が巣食うっていても、票欲しさに野党ポーズも一定取らざるを得ない。そこを何故もっと上手に、狡猾に突かないのか。

 別に民主党の「下駄の雪」に甘んじる必要はありません。イタリア左翼の退潮は、小選挙区制に戦く余り、旧共産党(左翼民主党)崩れの「中道勢力」の「下駄の雪」に甘んじてしまっているうちに、自身の主体的力量も失われてしまったからです。日本の左翼が、みすみすそれを後追いする必要は無い。
 民主党全体とは協調出来なくとも、党内左派との連携を模索するなどの、より現実的な形で圧力を掛けるなど、方法は幾らでもあるのではないでしょうか。そりゃあ、そんな事をすれば民主党の執行部は警戒しますが、今も自民党が似た様な事をやっているのですから、左翼もやって何が悪いのでしょうか。

 共産党は「現状維持でよく踏みとどまった」と言いますが、その票田も決して磐石なものではありません。無党派や自民党から流れてきた票もある一方で、共産党から民主党に逃げていった票もあり、その内実は結構流動的なのです。その「逃げていく票」を何とかしないといけないのに、「よく踏みとどまった」という総括だけでは、全く不十分です。今は未だ、議席は取りこぼしても党勢はどうにか収支トントンに収まっていますが、今の総括を今後もずっと続けていると、そのうちに辛抱出来なくなった票の流出が更に広がり、今の社民党みたいになってしまうとも限りません。

 しかも、その「民主党に逃げた票」というのは、決して共産党の左翼性を嫌って保守回帰した日和見票ではないのです。寧ろその逆の、「もう民主連合政府成立まで気長に待てない、これ以上自民党の悪政を我慢する事なぞ到底出来ない」という票なのです。そんな革命的な票をむざむざ流出させて、それでも相も変わらず現状維持に汲々としている様では、もはや革新政党・革命政党とは言えないのではないでしょうか。

(参考記事)
・都議選 共産党70万票/8議席確保/07年参院比例比 15万票増やす(しんぶん赤旗)
 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2009-07-14/2009071401_05_0.html
・これが「しんぶん赤旗」に載った野中広務氏のインタビュー(Internet Zone)
 http://ratio.sakura.ne.jp/archives/2009/07/01005226/
・連載 政界地獄耳 赤旗が報じた「野中の声」【日刊スポーツ】(どこへ行く、日本。)
 http://ameblo.jp/warm-heart/entry-10291619296.html
・野中広務氏への麻生氏の差別(宇佐美保)
 http://members.jcom.home.ne.jp/u333/ithink040724nonaka%20asou%20sabetu.htm
・野中広務という政治家(天木直人ブログ)
 http://www.amakiblog.com/archives/2008/08/24/#001098
コメント (8)
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