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棄権層をも巻き込む変革を

2009年07月22日 21時02分33秒 | 未完の政権交代
 前回エントリー「共産党の現状安住主義を憂う」で、その直前に投開票された東京都議選の結果について書きましたが、そこで一つ大事な視点を抜かしていました。それは、都議選の投票率が、前回よりも大幅に上昇したとは言え、それでもまだ5割そこそこでしか無かったという事です。残り約半分の有権者は、ついに投票所に足を運ぶ事が無かった訳です。
 その事に改めて気付かせてくれたのが、ブログ「旗旗」にアップされた「都議選結果の分析(もどき)」という下記論考記事です。当該ブロガーの草加さん曰く、只の「数字のお遊び」との事ですが、どうしてどうして、少なくとも私にとっては、なかなか示唆に富んだ内容でした。

 
 

>絶対得票率とは、全有権者の中で現実にどれだけの支持を集めたのかを示すものです。比例代表ではないので、各党別の計算をしてもあんまり意味がないと思いましたが、たとえば「40%以上の得票で歴史的な大勝利をおさめた」はずの民主党が、実は全有権者の2割ちょっとの支持しか得られていないことが絶対得票率を見ればわかります。自民党にいたってはわずか14%弱の有権者が同党に投票したにすぎません。
>要するに民衆にとって「支持したい」と思う勢力や政党が未だにないということです。支配層に押し付けられた「改憲保守の2大政党制」、そしてそれを突破して「たとえ死票になろうとも投票したい」とまで思わせてはくれない社共、本当に図式的な指摘で恐縮ですが、こういう構造の中で私たち左派(に限らず社会に閉塞間を抱く大多数の民衆)の選択肢はますます少なくなっていきます。(以上、その上の図表も含め、当該記事より)

 つまり、党員・支持者が互いに民主だの自民だの共産だのと角突き合わせていた、先の都議選も、いざ蓋を開けてみたら、全有権者の半分を巻き込んだものでしかなかった、という事です。残りの半分は、その戦いを遠巻きにして眺めていただけでした。
 或いは、生活に追われてそれ所ではなかった、という人も居られるでしょう。今日び、日曜出勤の人や昼寝て夜働いている人も、決して少なくない。そういう人の中には新聞を取る余裕すらない人も居る。そんな人が、今回の都議選だけに限って、わざわざ期日前に投票所に足を運ぶとは限らない。そういう意味では、折角の期日前投票の制度も、実際にはなかなか機能していないというのが、現状ではないでしょうか。

 しかし、これは裏を返せば、たかだか数%投票率が上昇しただけでも、これだけの変化を引き起こせるのですから、今回は棄権に回った「全有権者の半分」が、雪崩を打って投票所に詰め掛ける事態になれば、もっとすごい革命的変化を起こす事が出来る、という事に他なりません。
 今の自民党にそんな力が残っていない事は、もはや誰の目にも明らかでしょう。さりとて、躍進したと言われる民主党や、得票増と言われる共産党にも、まだまだ、そこまでの力が備わっているとは言いがたい。

 そう言えば私も、昨年1月の大阪府知事選挙で、マスコミが盛んに「橋下徹の圧勝」を言い立てていた時にも、「『お笑い百万票』についての考察」というエントリーで、下記の如く、今回の草加さんと同じ様な事を書いていたのを思い出しました。

>70年代の保革対決時代には60%台を保っていた投票率が、革新自治体崩壊後のオール与党体制の下での馴れ合い・内ゲバ政治の長期化と、今に続く小選挙区制・二大政党制(オール与党体制の全国化)の下で、有権者が次第に政治に愛想を尽かし、40%台にまで落ち込んできた事が。この前の橋下人気で投票率が前回よりもアップしたと言っても、若干持ち直したに過ぎないだけでなく、あの横山ノックが235万票獲得しての当選時(第14回知事選)ですら、投票率自体は70年代~80年代前半からはグンと下がっているのですから。
>要は、80年代以降、政治茶番劇の進行・重症化の下で、自民党政治への不満や生活困窮に対する大衆の怒りが、それまでの様にストレートに政治変革の方向に向かうのではなく、棄権層の増大や際物タレント候補の大量得票という歪んだ形で現われるようになってしまった―という事です。(以上、当該記事より)

 あの大阪府知事選の場合は、有権者の閉塞感や政治に対する不満が、明確な反自民として現れずに、ネオリベのタレント弁護士候補を押し上げるという、歪んだ形で現れました。そして、その後も暫くの間は、「そのまんま東」や森田健作といった「橋下仲間」の当選が続きました。しかし、その橋下とて、絶対得票率で見ると、実は全有権者の約4分の1の支持しか獲得出来ていなかったのです。
 そして今や、あれだけ一世を風靡したかに見えた「橋下仲間」の化けの皮も、徐々に剥げて来ています。上辺だけはさも「自民にも民主にも一線を画している」かの様なポーズをとって来た、それらの電波芸者が、決定的な場面では常に自民党の保守反動政治をフォローする側に回ってきた事も、次第にはっきりしてきましたから。橋下の「道州制」「岩国米軍再編」「日の丸・君が代」擁護発言や、東の「道路族」「中山ナチ彬」擁護発言の例に見られる如く。

 「化けの皮」と言えば、これも我々にとっては今更言うまでもない事ですが、実は民主党自体も一つの「化けの皮」なのです。民主党が、人脈も基本政策も体質も自民党と似たり寄ったりの「第二自民党」である事には、聊かも幻想を持つべきではありません。しかし、その「第二自民」が、有権者の支持を獲得しようと、この間、野党色を鮮明にしてきました。だから、これだけ自民党が動揺しているのです。これが前原民主党の時代であれば、こうも動揺はしなかった筈です。
 先の都議選にしても、本当の勝利者は、実は「民主党」ではなく「反自民の意思表示をした有権者」だったのです。自民党も、実は鳩山民主党そのものにではなく、そのバックに控えている「有権者の反自民の意思表示」に慄いているのです。
 そういう意味では、現在の鳩山民主党の役回りは、かつてのフィリピンのアキノ大統領にも準える事が出来るかも知れません。この場合も、旧財閥・旧支配層の一員でしか無かったアキノが、民衆のマルコス独裁政権打倒の象徴として祭り上げ、独裁打倒の歴史的使命を果たした後は、旧勢力としてやがて淘汰されていきました。

 自民党の敵が、単に鳩山民主党だけであるなら、自民党にとっては怖くもなんともありません。民主党なんて、連合や財界におんぶに抱っこの、所詮は風だけが頼りの政党なのですから、その気になればアメとムチでどうにでもなります。かつて村山社会党に仕掛けたのと同じ事を、民主党にもすれば良いだけですから。それで最悪、民主党が世論に愛想を尽かされて解体・凋落しても、自民党政治が温存されればそれで良いのですから。
 既にその兆候も徐々に現れています。今までは散々野党ポーズをとってきた民主党ですが、いよいよ自民党から民主党への政権交代の流れがはっきりして来るにつれて、公約をこっそり自民党寄りのものに戻そうとする動きも出てきています。

 そうさせない為にも、民主党だけでなく、その他の野党も得票・議席を伸ばして、民主党が自民党と変な妥協をしない様に、左から民主党を監視させなければなりません。その非民主系野党の中でも一際鍵を握っているのが、共産党の動向です。共産党についても、民主党と同様に意見は色々あれど、自民党の保守反動・新自由主義政治と、少なくとも既成野党の中では最も対峙している存在である事は、誰もが認める所でしょう。
 しかし、残念ながら共産党については、今のままでは民主党人気の呷りを受けて、今回の衆院選ではせいぜい現状維持か、良くても微増、下手すれば議席減もあり得るというのが、現実でしょう。こうも、民主党が恰も反自民の第一人者の様に遇される、今の情勢の下では。
 問題は、恐らく今のままでは単独過半数を制する所まで行くであろう民主党が、選挙後の政界再編も噂される政局の中で、どう出てくるかです。総選挙で示された有権者の反自民の意思を貫くのか、それとも「第二村山社会党」の道を歩むのか。共産党が本当に「確かな野党」として、その真価を発揮出来るか否かが問われるのも、その時です。それは、都議選では依然として棄権に留まった有権者の心まで掴めてこそ、初めて可能になると言えるでしょう。
コメント (6)
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