アフガン・イラク・北朝鮮と日本

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SNSに投稿したのが果たして問題なのか?

2019年03月06日 16時24分52秒 | 職場人権レポートVol.3

     

昨年末から勤務先の物流センター内トイレに書かれたベトナム人バイトの落書きを、2月になっても会社がずっと放置したままだったので、遂にバイトの私が自力で消し、「落書きするな」のベトナム語ポスターも自分で作ってトイレに張り出しました。いくら自分の勤務先とは言え、一介のバイトに過ぎない私が、なぜそこまでする気になったのか?転機になったのは私のSNS投稿でした。この事は既にブログに書きましたが、ここで後日談も含め改めて振り返ってみたいと思います。

昨年12月27日に、私がトイレ大便器のペーパーホルダーに書かれたベトナム語の落書きを見つけ、その場で社員に写メール通報しました。しかし、私も、落書きを見つけた時はさすがに驚いたものの、その時はまだ「ただの落書き」としか思っていませんでした。見つけたのが年末の繁忙期という事もあり、やがて私も落書きの事は忘れ、日々の仕事に埋没していきました。

ところが、年が明け2月になっても、トイレの落書きは一向に消される兆しがありません。それどころか、他の大便器ホルダーにも次々落書きされるようになりました。 当時、飲食店やコンビニで働くバイトが悪ふざけ動画をSNSに投稿して騒ぎになっていました。問題は悪ふざけの内容であり、何故バイトがその様な悪ふざけをするに至ったのか、その背景を探らなければ防止策も立てようがありません。しかし、世論は「バイトを処罰すれば良い」「SNSへの投稿も規制すれば良い」という方向に流れていました。 それに対し、いくらSNS投稿を規制しても、「元を絶たなければ『臭いものに蓋』にしかならないじゃないか!」と思った私は、その反発も手伝い、2月15日に下記の投稿を落書きの写真付きでツイッターに流しました。

     

>くら寿司の悪ふざけ動画がバイトテロなら、ベトナム人バイトのこのトイレの落書きもバイトテロだろう。昨年12月27日に職場の男子トイレ大便器のペーパーホルダーに書かれたベトナム語の落書きだ。私が見つけて社員に写メール通報したが全く音沙汰無しだった。(以上引用)

すると、「とんでもない事が書かれている」「フォロワーのマスコミ関係者の方も是非、この人に外国人雇用の実態を取材してあげて下さい」と返信が寄せられるようになり、そこで初めて落書きに書かれたベトナム語「Ăn Lộn Nhe(アン・ロン・二ェ)」の意味を調べてみようという気になりました。

しかし、私はベトナム語はほとんど分かりません。あいさつの言葉をいくつか知っている程度です。勤務先にはベトナム人留学生バイトも大勢いますが、彼らが話すベトナム語も全然分かりません。そんな私がベトナム語の落書きの意味を調べるには、ネットの自動翻訳機能に頼る他ありません。

ところが、自動翻訳に頼ろうとしても、そう簡単には事が進みません。ベトナム語も文字はアルファベットを使用しますが、ただのアルファベットではありません。文字の上や下に一杯、アクセントやコロンなどの記号が付いた、独特のアルファベットを使っています。英語のように、単語をそのまま入力して調べる訳にはいきません。ネット上から同じ綴りのベトナム語を探し出してきて、翻訳サイトに貼り付けなければならないのです。

何故こんな事になるかと言うと、ベトナムも昔は日本や韓国と同様に漢字を使っていました。しかし、漢字は画数が多いので余り広まりませんでした。日本や韓国では、その欠点を補う為に、仮名やハングルも使うようになりましたが、ベトナムではアルファベットを「ローマ字」代わりに使うようになりました。でも、しょせんは外来文字に過ぎないアルファベットでは、ベトナム語の発音を正確に書き記す事は出来ません。そこで、アルファベットの上下に独特の発音記号(声調記号)を付けて書き記すようになったのです。

やっかいなのは文字だけではありません。同音異義語や類似語も非常に多いのです。多いだけでなく、微妙に意味合いが異なる単語もあります。ベトナム語も日本語や韓国語と同様に、中国語由来の単語が多いのですが、その中には、ベトナム語と日本語で意味が完全に入れ替わってしまっているものもあるのです。例えば、「Di chuyển(ジー・チェン:移動)」と「Di dời(ジー・ゾイ:移転)」なども、中国語由来の単語が、ベトナム語と日本語で「音」が全く入れ替わってしまっています(ジー・チェンは日本語の移動よりも移転の音の方に近い)。今の自動翻訳の技術では、その「音」の違いが十分に認識できず、誤訳が頻繁に起こるのです。

だから、素人にとっては、たった3文字の落書きを訳すのにも、相当な労力をつぎ込まなければならないのです。「Ăn Lộn Nhe(アン・ロン・二ェ)」も、私が自動翻訳で最初訳した時には「食べて疲れる」と出ましたので、「ああ満腹だ」ぐらいの意味に捉えていました。「何故この程度の落書きで大騒ぎするのだろう?」と、逆にいぶかしく思ったのを覚えています。それで翻訳をやり直しても、今度はベトナムの芸能人と思しきフェイスブックのサイトに飛ばされる始末。「『Ăn Lộn Nhe(アン・ロン・二ェ)』というのは、多分この落書きに描かれた宇宙人みたいな芸能人の名前なんだろう」と思っていました。

     

しかし、いくらSNSのフォロワーの方に「Ăn Lộn Nhe(アン・ロン・二ェ)」の意味を尋ねても、「さあ、言葉通りの意味では・・・」と、お茶を濁すばかり。勤務先のベトナム人留学生バイトに尋ねても、女性は一様に「キャッ、恥ずかしい!」と言って顔を赤らめるばかり。男性は逆に喜んではしゃぎ回る始末。その中で、留学生の一人から、「Ăn Lộn Nhe(アン・ロン・二ェ)」が英語の「Fuck You」と同じ意味の俗語である事を、ようやく聞き出す事ができました。俗語なので、自動翻訳では正確な訳が出なかったのです。

>年も明け2月の今頃になって、落書きの意味がようやく分かった。Ăn Lộn Nhe(アン・ロン・二ェ)。直訳すれば「食べなさい」だが、Fuck Youを意味する俗語になる。どうりで、職場のベトナム人バイトに意味を聞いても、恥ずかしがってなかなか答えてくれなかった筈だ(# ゚Д゚)(以上引用) 

それを知った私は、もう怒り心頭です。早速、会社HPの問い合わせコーナーに、以下の苦情投稿を送信して、それでも会社が落書きを消そうとしないので、遂に実力行使で落書きを消す事にしました。以下がその苦情投稿の内容です。 

     

(引用開始)

××センター内トイレの落書きについて

××センターAバース側トイレ大便器ペーパーホルダーの落書きをいつまで放置する気ですか?私が昨年12月27日に発見し、その時点で社員に写メール通報したにも関わらず、いまだにトイレに残されたままです。しかも、発見当初は一箇所だけだった落書きが、今や3つある大便器のペーパーホルダー全てに広がっています。

ベトナム語の落書き内容から、留学生バイトの仕業である事は明らかです。彼らを管理している派遣会社や外国人斡旋機関の責任は重大です。我々も派遣先としての責任は免れませんが、一義的には派遣会社や斡旋機関が責任を負うべきです。派遣会社・斡旋機関の担当者・責任者を即刻呼びつけて、最低限、トイレの清掃だけでもさせるべきではありませんか?

しかも、私が最初の落書きを見つけ、トイレに書かれた「Ăn Lộn Nhe(アン・ロン・二ェ)」の文言が「fuck you」を意味する俗語である事を、今年1月(注:2月の間違いか?)も半ばを過ぎた時点で、留学生の一人から聞き出す等して、ようやく、その意味を突き止めた途端に、その部分だけが抹消されました。この事から、夕方シフトの留学生の仕業である可能性が出てきました。

既に落書きは当該トイレのペーパーホルダー全てに及んでいます。このまま放置すれば落書き犯はますます増長します。即刻、留学生全員を集めて警告した上で、彼ら全員対象に面談を実施すべきだと思います。

但し、警察でもない私達には自ずと操作(注:「捜査」の間違い)能力に限界があります。そこで、面談では、あくまで犯人捜査を装いつつも、留学生全員から「今後この様な事があり、私の犯行によるものと明らかになった場合は、本国への強制送還も含め、いかなる処分を下されようとも一切異議を申し立てません」旨の念書を取れば良いのではないでしょうか。

(引用終了)

この時は私も感情的になっていたので、留学生バイト全員に疑惑の目を向けたり、強制送還を煽るような事を書いたりなど、今から考えれば少し言い過ぎたと思う表現もあります。しかし、こんな落書きまでされたら、怒るのも当然でしょう。

「いくらバイト募集かけても人が集まらないから外国人を雇うのだ」と会社は言います。しかし私に言わせれば「たった950円そこらの時給で人なんか集まるはずがない」。すると会社は「無い袖は振れない」と言うでしょうが、「無いのではなく、今まで散々袖を作るチャンスはあったのに、横着かまして作ろうとして来なかったからこそ、にっちもさっちもいかなくなったんじゃないか」。

その良い例が、少し前の「社内の心霊スポット」騒ぎです。安い時給でも雇えるからと、言葉も通じない外国人バイトをどんどん入れて、ろくに教育もせずに仕事させたものだから、日常的に誤配が起こるようになった。でも、バイト教育の充実や業務改善には手間も暇もかかるので、「以前にも同じ店同士の間で誤配があったから」という理由だけで、全てを「地縛霊(場所)」のせいにして、別に店名も似ていない2つの店の場所を引き離すだけで事を済まそうとした。その結果、余計にいびつな作業レイアウトになり、バイトに負担がかかるようになってしまった。それを私は「社内の心霊スポット」と皮肉ったのです。

今の勤務先には、そういう「笑い話」が他にも一杯転がっています。そんな無駄な事ばかりして、上の顔色ばかりうかがって、「無駄」も「無駄」と指摘できなかったからこそ、いつまで経っても時給を引き上げる事が出来ず、時給の安い外国人で人手不足の穴埋めを図らなければならなくなったのです。 そこにメスを入れない限り、いくらバイト募集かけても同じです。いくら時給の安い外国人を雇っても、更に傷口を広げるだけです。

これでは当の外国人バイトも堪らないと思います。言葉も通じず、わけくそ分からず怒鳴られる。そのはけ口が落書きとなって現れたのです。だから、本気で落書きを防止するには、いくら時間や金がかかっても、バイト教育を充実し、無駄をなくして時給アップを図るしかありません。

いくらSNSへの投稿を規制しても、投稿したくなるような悪環境を是正しない限り無駄です。むしろ、私がこの事をツイッター等のSNSに投稿したからこそ、「Ăn Lộn Nhe(アン・ロン・二ェ)」が「Fuck You」を意味する俗語である事も突き止められ、その後の落書き消去のキッカケになったのですから、逆にその功績を評価してもらいたいぐらいです。

社内にある汚れ落とし用のシンナーで、バイト一人でも15分で消す事のできた落書きを、何故、社員が何人もいながら2か月間も放置してきたのか?何故そんな「社畜」みたいな社員ばっかりなのか?今の森友・加計問題の安倍政権と同じで、上の顔色ばかりうかがい、現場をかえりみない社員ばかりだからでしょう。その事の方が、SNS投稿なんかよりも、よっぽど問題ではないでしょうか?

  

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