アフガン・イラク・北朝鮮と日本

黙って野垂れ死ぬな やられたらやり返せ 万国のプレカリアート団結せよ!

辺野古のネルソン・マンデラ

2015年11月04日 11時52分29秒 | 沖縄の犠牲の上に胡坐をかくな


 昨日11月3日は大阪・扇町公園で開催された「団結まつり」に行ってきました。沖縄の基地問題や原発問題、戦争法・改憲反対、非正規労働問題などに取り組む労組や市民団体が毎年行ってきたイベントです。私も過去に何度か参加した事があります。今年は、翁長沖縄県知事が辺野古の埋め立て停止を決断し、それを妨害する国との対立が先鋭化する中で、本土の人間がこの問題で自分の意思を表明できる貴重な機会だったので、久しぶりに参加する事にしました。
 祭りが始まって間もなく、主催者のZENKO(全交=平和と民主主義をめざす全国交歓会)による辺野古問題を取り上げた寸劇が行われた後に、沖縄平和連絡会の上間芳子さんが壇上に立ち、辺野古現地の報告を始められました。




 沖縄では、翁長知事によって辺野古周辺海域埋め立て工事の承認取り消しが行われた後も、工事を行う沖縄防衛局が同じ国の機関のいわば身内にしか過ぎない国交省に行政不服審査を申し立てる茶番劇を経て、現在は国地方係争処理委員会による審査待ちの状態となっています。本来は国の工事で権利侵害された民間人からの不服申し立て・救済手続きとして定められた行政不服審査を、防衛局と国交省という同じ工事推進の立場に立つ行政機関同士による「出来レース」の場に変え、工事強行の口実に悪用し、しかも審査待ちの状態であるにも関わらず代執行で無理やり工事を強行しようとしているのです。
 国が工事強行の唯一の口実として持ち出す仲井真・前沖縄県知事による辺野古埋め立て工事承認も、承認に至る過程の中で、工事を行うゼネコン企業からワイロが県側に流れた事も、既にマスコミ報道等で明らかになっています。辺野古新基地建設工事は、沖縄の民意を無視した茶番劇によってしか強行する事ができないのです。(上記写真の辺野古埋立図と新聞記事参照)



 辺野古では今もゲート前で県民による座り込みが連日行われています。座り込みの人たちは、機動隊や警備員に排除され逮捕されても、何度でもまたゲート前に戻って来て座り込みを続けています。(上記写真参照)
 その中に島袋文子さんという86歳になるおばあさんがいます。このおばあさんが、「負けない秘訣は諦めない事」と白字で書かれたピンクのTシャツを来て、今日も辺野古のゲート前に座り込んでいます。普段は温和な顔立ちの島袋さんが、座り込みの人たちをゴボウ抜きしようと襲いかかってくる警官や機動隊、基地警備員を鬼のような形相で睨みつけ、「私は沖縄戦の中を、死体の血の泥水をすすり、壕の中で日本軍による集団自決の強要や、米軍の火炎放射器に焼かれながら生き延びてきた」「もうこんな思いは二度と味わいたくないから、今日も辺野古のゲート前に座り込んでいる」「基地建設を強行するなら私は辺野古の海に飛び込んででも工事を阻止する。お前ら工事関係者に血の泥水をすするだけの覚悟があるのか!」と言い放ったそうです。
 また、その逆に、若い機動隊員を優しく諭し、「基地が建設され沖縄が再び戦場になるような事になったら、あなた方若者が真っ先に犠牲になるのだよ」と声をかけた事もあったそうです。ある時など、本土から来た沖縄の事情に疎い若い警備隊員が、島袋さんに手を掛けようとしたら、地元出身の警備隊長が飛んできて、若者に「その人だけは絶対に手を出すな」と言ったそうです。島袋文子さんは辺野古闘争の象徴として、警備隊長からも恐れられ敬われているのだそうです。
 その話を上間さんから聞いた時に、私は南アフリカの反アパルトヘイト闘争の闘士ネルソン・マンデラの事を思い起こしました。ネルソン・マンデラも、悪名高い人種差別のアパルトヘイト政策を取る当時の南アフリカ白人政権によって、何十年間も投獄されてきた人です。マンデラが獄中で抗議のハンガーストライキに突入した際は、もしマンデラの身に何かあったら自分たちもただでは済まないと、白人政権は腫れ物に触るようにマンデラに接していたそうです。黒人を暴力で抑圧しているように見えても、所詮は自分たち白人こそが少数派にしか過ぎない事を、白人自身が一番よく分かっていたからこそ、マンデラには指一本触れる事ができなかったのでしょう。島袋文子さんこそが「辺野古のネルソン・マンデラ」ではないでしょうか。

(参考記事)島袋文子:安倍首相よ、沖縄の基地を全部、東京のど真ん中にもって行け〈沖縄レポート⑫〉
http://rentai21.com/?p=1467

 この「辺野古のネルソン・マンデラ」の崇高さに比べ、国のやる事がどれほど倫理に反している事か。「勝てば官軍」「形だけ取り繕えば良い」とばかりに、法の本来の趣旨を捻じ曲げ、悪用する事しか考えない。前述の行政不服審査法の恣意的解釈なぞ正にそうでしょう。
 しかし、基地建設に反対する翁長知事や稲嶺・名護市長には、他にももっと色々な権限があるのです。例えば、辺野古の海に流れ込む美謝川の流路変更や、後述する本土からの埋立用土砂の搬入についても、知事や市長が許可しなければ工事は行えないのです。これらも全て代執行で強行するつもりなのでしょうか。そんな事をしたら、もはや安倍政権は、代執行でしか政治を行えない、完全に民意からかけ離れた独裁政権である事を、自ら満天下に晒す事になります。そんな国は世界のどこの国からも相手にされなくなるでしょう。


 会場では辺野古新基地建設の是非を問う市民投票が行われていました。私はもちろん建設反対に一票を投じました。なお、マスコミは辺野古の埋立工事があたかも普天間基地の移設工事であるかのように報じていますが、移設というのは単なる口実にしか過ぎません。住宅地に囲まれた普天間の米軍基地が老朽化したから、今度は自然豊かな辺野古の海を埋め立てて軍港機能も備わった最新鋭の基地を造ろうとしているだけです。そんな情報操作には騙されないようにしましょう。


 辺野古の海を埋め立てる土砂は、奄美や天草、五島列島、小豆島などから運ばれます。これらの島々でも、辺野古への土砂搬出に反対する動きが始まっています。四国の高松に住む私のマイミクさんも、小豆島の土砂搬出に反対する運動に加わっています。


 「団結まつり」には辺野古の他にも、様々な市民団体が参加しています。上記は、橋下大阪市長の市職員に対する入れ墨調査の強行と闘っている団体と、毎週水曜日にJR大阪駅前で慰安婦への補償を求めて署名運動を行っている団体のブースです。


 こちらは、リニア新幹線建設による自然破壊や電磁波障害を告発する団体のブース。地質がもろく「地震の巣」とも言われている南アルプスをぶち抜いて、電力を浪費し電磁波をまき散らすリニアをなぜ建設しなければならないのか。ゼネコンの金もうけの為に自然と住民の暮らしを犠牲にして良いのか。


 福島の原発事故は全然収束していません。原子炉の中が一体どうなっているのか。除染で出た大量のゴミをいつまで放置しておくのか。それを見て見ぬふりしたまま、今また原発を再稼働し、トルコやベトナムにまで輸出しようとしています。東芝の粉飾決算も原発事業の赤字を誤魔化す為に仕組まれたものです。いつまでこんな愚かな事をやっているのでしょう。自分達さえ儲かれば人間の命がどうなっても良いのか?


 屋台の沖縄そばと肉巻きお握りでちょっとしたピクニック気分の昼食を終えた後、午後1時には、作家の澤地久枝さんによる、戦争法(安保法制)廃止を求めて掲げた「アベ政治を許さない」ポスターを再び全国一斉に掲げようという提起に応えて。そして、ポスターをそのまま裏返して「辺野古新基地NO!」と。



 午後からのブース見学でも一杯勉強させられました。例えば、戦争法成立後初のPKOとなるアフリカ・南スーダンPKOには、日本の自衛隊だけでなく韓国や中国、インドからもPKO部隊が派遣されて来ます。PKOの目的も、表向きの停戦監視なんかではなく南スーダンの油田確保にあると言われています。既に南スーダンから紅海や太平洋沿岸に向かうパイプラインの建設計画も立てられています。
 そこでは何と、米軍に代わって日本の自衛隊が中国軍の後方支援をさせられようとしているのです。その為の合同軍事演習も既に今年6月にモンゴルで他国軍も参加して行われました。二言目には「沖縄の基地も中国や北朝鮮から日本を守る為」と言いながら、海外ではその中国軍とも手を結び油田確保に奔走。何が「抑止力」か。基地も原発もリニアも全ては企業の金儲けの為じゃないか。その犠牲にされた福島や沖縄の住民は国にとって一体何なのか。自称「愛国者」や右翼はこの事を一体どう捉えているのか。

 そうこうするうちに綱引きが始まりました。参加者は、安倍や橋下のお面をかぶった人達とそれ以外の人達の二手に分かれ、綱引きに興じていました。最初は安倍・橋下組が勝ちましたが、そのまま勝ち逃げを許してはならじと、二回目はそれ以外の組の方に更に人が加わり、見事「アンチ安倍・橋下組」の勝ちに。まるでアベ政治やハシモト政治の未来を暗示するような結末に。まあ、綱引きを企画したスタッフも、予めそれで祭りを盛り上げようとしていたのでしょうが。祭りはその後も引き続き行われたようですが、私はブログ記事執筆の都合もあるので、適当に退散する事にしました。

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1 コメント

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Unknown (あるみさん)
2015-11-04 20:06:48
大阪の「団結まつり」って、大変盛り沢山なイベントなんんですね。楽しく闘おう!という雰囲気が伝わってきて、なによりです。(ちなみに私は諸事情で関西に居る時は1回も行ったことがないのです)

あと、「リニア新幹線」反対については、「リニア中央新幹線 南アルプスに穴を開けちゃっていいのかい?というサイトが、詳しいです。
http://park.geocities.jp/jigiua8eurao4/index.html
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