過去の拙稿記事「差別助長・バカウヨ量産の全国学力テストなんて止めちまえ!」(2007年04月26日 00時18分39秒投稿)文中の、「台湾のウヨク女」という表現に対して、先日「むじな」という人からコメントが寄せられました。詳しい議論経過については、当該コメントをそのまま、本稿のコメント欄に「これまでの議論の経緯1・2」として転載しましたので、そちらをご覧下さい。
彼「むじな」がここで問題にしているのは、全国学力テストを批判した先の拙稿記事の、コント爆笑問題の司会によるテレビ番組「太田総理と秘書田中」の内容に言及した部分の中で、番組コメンテーターの一人である金美齢に対して、私が「台湾のウヨク女」と揶揄した事についてです。これを彼は、金美齢に対する「女性蔑視」であり「台湾人全体を貶めるものである」と問題にしている訳です。私は全然そうは思っていませんが。
読者の方の中には、上記の説明だけでは「一体何が何だか分らない」人もおられると思いますので、この件でもう少し、台湾問題の歴史的経過も交えた解説を行っておきます。
台湾は、戦前は日本の植民地統治の、戦後は長らく中国国民党の独裁体制の下にあった国で、ここ十数年は野党の民主進歩党が政権を担当しています。中国国民党の統治下では、国連の中国代表権問題とも絡んで、大陸の中華人民共和国とは鋭く対決してきました。そして、大陸からの亡命政権である国民党も、かつては「外省人」の政党として、台湾省民(本省人)を中心とした反独裁・民主化運動を徹底的に弾圧してきました。
金美齢は、その中にあって在日台湾人として台湾の反独裁・民主化運動の一翼を担ってきた文化人の一人ですが、ここ十数年来は、黄文雄などの在日台湾人民主化運動人士と共に、戦前の日本による台湾植民地統治や今の日本の保守体制を盛んに美化する言説を展開しています。コント爆笑問題司会の前述の番組でもその様な言説を展開していたので、私は彼女を「台湾のウヨク女」と表現したのです。
「むじな」はそれに対して、「かつては台湾独立・民主化運動内の左派であった金美齢が、何故あれ程までに右傾化していったのかといえば、それは戦後の日本左翼が、人民中国に媚びる余り、台湾の民主化勢力を見捨てていったからだ」「戦後の日本左翼も、台湾をイデオロギーの道具としか見ない点では、徒に親日の一側面ばかりを恣意的に強調して植民地主義肯定に走る日本右翼と、同じ穴の狢でしかない」と主張している訳です。
私は、過去拙稿記事「差別助長・バカウヨ量産の~」本来の話題(全国学力テスト、安倍教育反動)とは直接関係の無い議論で徒に時間を費やされるのを避けたかったという事の他に、この問題については「むじな」とはまた別の観点から色々考える所がありましたので、それでわざわざ当初の拙稿記事から切り離した上で、別途専用のトピック記事としてアップしたのです。
私がこのトピック記事で集中的に取り上げたいと思っているのは、下記の論点です。
(1) 「ある国の独立・民主化運動が、過去の宗主国による帝国主義・植民地主義を肯定し、その論理に寄りかかった形で、自国(民)だけの解放を進める」「かつては自分たちが見捨てられたからといって、今度は自分たちが他の搾取されている人々を見捨てる」などという、皮肉じみた事が何故起こるのか?これは何も台湾の独立・民主派だけに限った現象ではなく、他でもまま見られる事例ではあるが(その際たるものがイスラエル・パレスチナ紛争)。
(2) 日本とアジア諸国との関係は、戦前は侵略・被侵略、戦後は上辺だけの謝罪や一面美化に終始してきた。その中で、今まで日本の戦前帝国主義や戦後の日米安保体制を非難してきた中国・北朝鮮における政治の実態が明るみになるにつれ、それにかこつけて、今度は日本人中心史観とも言うべき立場が勢いを増してきている。この様な「互いに目糞、鼻糞を笑う」の対立・反目ではなく、「善き隣人としての、普通の付き合い」を今後日本(国、人)が出来るようにする為に、双方にとって必要な事は何か?
(3) 以上の論点の中で、「むじな」の言説・主張は如何なる立ち位置を占めるのか?
彼「むじな」がここで問題にしているのは、全国学力テストを批判した先の拙稿記事の、コント爆笑問題の司会によるテレビ番組「太田総理と秘書田中」の内容に言及した部分の中で、番組コメンテーターの一人である金美齢に対して、私が「台湾のウヨク女」と揶揄した事についてです。これを彼は、金美齢に対する「女性蔑視」であり「台湾人全体を貶めるものである」と問題にしている訳です。私は全然そうは思っていませんが。
読者の方の中には、上記の説明だけでは「一体何が何だか分らない」人もおられると思いますので、この件でもう少し、台湾問題の歴史的経過も交えた解説を行っておきます。
台湾は、戦前は日本の植民地統治の、戦後は長らく中国国民党の独裁体制の下にあった国で、ここ十数年は野党の民主進歩党が政権を担当しています。中国国民党の統治下では、国連の中国代表権問題とも絡んで、大陸の中華人民共和国とは鋭く対決してきました。そして、大陸からの亡命政権である国民党も、かつては「外省人」の政党として、台湾省民(本省人)を中心とした反独裁・民主化運動を徹底的に弾圧してきました。
金美齢は、その中にあって在日台湾人として台湾の反独裁・民主化運動の一翼を担ってきた文化人の一人ですが、ここ十数年来は、黄文雄などの在日台湾人民主化運動人士と共に、戦前の日本による台湾植民地統治や今の日本の保守体制を盛んに美化する言説を展開しています。コント爆笑問題司会の前述の番組でもその様な言説を展開していたので、私は彼女を「台湾のウヨク女」と表現したのです。
「むじな」はそれに対して、「かつては台湾独立・民主化運動内の左派であった金美齢が、何故あれ程までに右傾化していったのかといえば、それは戦後の日本左翼が、人民中国に媚びる余り、台湾の民主化勢力を見捨てていったからだ」「戦後の日本左翼も、台湾をイデオロギーの道具としか見ない点では、徒に親日の一側面ばかりを恣意的に強調して植民地主義肯定に走る日本右翼と、同じ穴の狢でしかない」と主張している訳です。
私は、過去拙稿記事「差別助長・バカウヨ量産の~」本来の話題(全国学力テスト、安倍教育反動)とは直接関係の無い議論で徒に時間を費やされるのを避けたかったという事の他に、この問題については「むじな」とはまた別の観点から色々考える所がありましたので、それでわざわざ当初の拙稿記事から切り離した上で、別途専用のトピック記事としてアップしたのです。
私がこのトピック記事で集中的に取り上げたいと思っているのは、下記の論点です。
(1) 「ある国の独立・民主化運動が、過去の宗主国による帝国主義・植民地主義を肯定し、その論理に寄りかかった形で、自国(民)だけの解放を進める」「かつては自分たちが見捨てられたからといって、今度は自分たちが他の搾取されている人々を見捨てる」などという、皮肉じみた事が何故起こるのか?これは何も台湾の独立・民主派だけに限った現象ではなく、他でもまま見られる事例ではあるが(その際たるものがイスラエル・パレスチナ紛争)。
(2) 日本とアジア諸国との関係は、戦前は侵略・被侵略、戦後は上辺だけの謝罪や一面美化に終始してきた。その中で、今まで日本の戦前帝国主義や戦後の日米安保体制を非難してきた中国・北朝鮮における政治の実態が明るみになるにつれ、それにかこつけて、今度は日本人中心史観とも言うべき立場が勢いを増してきている。この様な「互いに目糞、鼻糞を笑う」の対立・反目ではなく、「善き隣人としての、普通の付き合い」を今後日本(国、人)が出来るようにする為に、双方にとって必要な事は何か?
(3) 以上の論点の中で、「むじな」の言説・主張は如何なる立ち位置を占めるのか?
●そういう発言こそネットウヨクと同列のような (むじな)
2007-05-14 15:18:02
>イラクが世界地図の何処に在るのかも知らないくせに、「国際貢献」や「テロとの戦い」の宣伝に乗せられたバカ・ネットウヨが量産されるのです。
世界的には地理教育というのは軽視されている科目であって、日本人のわれわれの世代以外では、世界的には「地図は読めない」「世界地理を知らない」のは、ごく普通のことなのです。
フィリピン人、台湾人、韓国人、フランス人、レバノン人、イラク人だって、実は世界のどこにどういう国があるかは知りませんよ。
イラク人だって、実はイラク以外の国のことなんて知りません。
軽率に「地図が読めないこと」を馬鹿にするのは、人種差別につながりますよ。
>「太田総理と秘書田中」のテレビ番組で、いつも太田光に対して嵩にかかった様な物言いしか出来ない自民党国会議員のサル・メガネデブや、茶髪の低脳米国人や、台湾のウヨク女などを見ていると、それがよく分ります。
「台湾のウヨク女」という物言いも、ネットウヨクと裏あわせのレイシズムでしかないのでは?
そもそも金美齢氏は台湾人だからではなくて、あれは彼女自身の問題です。
だから日ごろ台湾についてはほとんど言及しないくせに、こういうときだけ「台湾」を否定的文脈で言及するあなたには、台湾への蔑視感情があるのではないですか?
それに金氏は今でこそ極右になっていますが、実は80年代から彼女を知っている私に言わせれば、80年代には彼女は実は左翼だったのですよ。彼女が結婚したときの仲人で元恋人の史明氏が有名な台湾独立社会主義者だったことも影響しているのですが、その金氏が90年代に右傾化していったのは、実はあなたのような戦後左翼が一貫して中国びいきで台湾をないがしろにしてきた疎外感が、たまたま反共主義から台湾に近づいてきた右翼に走らせた原因なのです。
このあたりは台湾に同情的な左派の森宣雄氏による『台湾/日本 連鎖するコロニアリズム』に、多少の誤解も含めて詳しく論証してあります。
金美齢氏の極右姿勢を何も知らないあなたが非難することは簡単ですが、問題は日本の左派が台湾をどれだけないがしろにし、侮辱してきたかが問われているのですよ。
●『台湾/日本 連鎖するコロニアリズム』(インパクト出版会) (まこと)
2007-05-15 07:39:44
>金美齢氏の極右姿勢を何も知らないあなたが非難することは簡単ですが・・・(むじなさん)
私はご紹介の【森宣雄氏『台湾/日本 連鎖するコロニアリズム』(インパクト出版会)】、前に読みましたよ。
>その金氏が90年代に右傾化していったのは、実はあなたのような戦後左翼が一貫して中国びいきで台湾をないがしろにしてきた疎外感が、たまたま反共主義から台湾に近づいてきた右翼に走らせた原因なのです。(むじなさん)
確かにそういう面があるのは事実でしょうけど、台湾独立という政治目標を実現するためには「日本の反共保守」と組んだ方が効果的-という冷徹な「リアリズム」による判断も一因にあるんじゃないでしょうか。金氏や黄文雄氏辺りが「右傾化」した背景には。
ご紹介の森氏の本にも、その点指摘されていたように思いますが。
2007-05-15 11:53:31
>確かにそういう面があるのは事実でしょうけど、台湾独立という政治目標を実現するためには「日本の反共保守」と組んだ方が効果的-という冷徹な「リアリズム」による判断も一因にあるんじゃないでしょうか。金氏や黄文雄氏辺りが「右傾化」した背景には。
はいはい、それはそうではないことは、私が一番良く知っているのです。
何せ、日本の台湾独立運動家(台湾独立建国連盟)との付き合いは、一番長いわけだから。だって、入会を勧められたくらいだしw。
それに、九州にいる張国興氏、京都にいる張雅孝氏あたりはいまだに右傾化していませんからね。
ここで問題になっているのは、本来は最も左だった金美齢氏がどうして右傾化したかってこと。
それは金氏らのように、マスコミの寵児になった人たちが、以前左翼が相手にしてくれなかったことへの恨みを爆発させた、という点が重要なのです。
「リアリズム」というのは考えすぎw。
まこと氏も森氏も台湾人の民族性をわかっていないよw。特に黄文雄氏はリアリズムなんて、ないよ。
>ご紹介の森氏の本にも、その点指摘されていたように思いますが。
だから「多少の誤解も含めて」と書いているのです。
鵜呑みにするなってw。
同書における森氏の指摘もすべてが的確ではない、というか、的外れな部分も多い。
裏話をすれば、森氏は単に「台湾青年」の文章などを読んで勝手に想像しただけで、本人たちにインタビューしたわけじゃない。本を出した後でインタビューしたようだが、ちょっと間抜け。
とはいうものの、同書の意味は、森氏のような真性左翼が、台湾独立に関して自省を込めて出した本として、読む価値はあるということ。だからといってすべてを鵜呑みにすべきではない。ローマのことわざにあるが文字は殺し、精神は生かすということ。
●だからと言って、何言われても言い返せない訳ではない (社会主義者)
2007-05-15 12:09:38
今日は遅番のシフトで、今までブログ記事の作成・編集をしていたのですが、もう出勤時間が迫ってきたので、まずはとりあえずの簡単なレスになりますが。
>その金氏が90年代に右傾化していったのは、実はあなたのような戦後左翼が一貫して中国びいきで台湾をないがしろにしてきた疎外感が、たまたま反共主義から台湾に近づいてきた右翼に走らせた原因なのです。(むじなさん)
私もその森宣雄氏の本は大分以前に読みました。昨晩も「史明、台湾」でネット検索をかけたら下記の論考がヒットしたので、興味深く読ませていただきました。
・台湾独立派による植民地主義的言説の生産とその構造―ポスト植民地主義の中の植民地主義(松本教夫)
http://www12.ocn.ne.jp/~kitsumi/member/norihu/taiwangensetsu.htm
だから、むじなの言っている事も分かりますよ。分かるけれど、だからといって、「お前たち日本の左派・リベラルは、台湾独立派を見捨てたのだから、金美齢から何を言われても黙っていなければならない」という事にはならないでしょう。たとえば「日本には経済格差など無い」などという金美齢の発言についても、私はそんな発言が正しいとは全然思わないし(当該発言については、小林よしのりですら最近何かの著書の中で批判していた筈)、そんな発言は絶対に受け入れる事が出来ません。
●それは議論のすり替えだよ (むじな)
2007-05-15 19:46:49
>金美齢から何を言われても黙っていなければならない」という事にはならないでしょう。
何を言われても黙って良いというのは今回になって初めて出てきた理屈ですね。
問題は、あなたが金美齢を指して「台湾のウヨク女」と、ことさら、その出自(血統?)を問題にして、台湾人を差別した言辞にあるのです。
金美齢は台湾人の代表でも何でもない以上は、金美齢を指して、ことさら「血統としての台湾人」を際立たせるような物言いは、やめて欲しい、という話。
それとも、あなたはそんなに「血統」なるものが重要だとお考えか?
金美齢はたまたま台湾出身であっても、日本に長く住み、日本語で暮らしているのだから、「台湾のウヨク女」というあなたの言い分は、間違い。
しかも「女」というのも、女性に対する蔑称。女性というべき。
だから正しくは、単なる「極右女性」というべきであって、何も関係がない「台湾」をここで持ち出すあなたの底意は血統主義で問題があるということ。
●逆に聞きたい、何でそこまで「台湾」に拘るの? (社会主義者)
2007-05-15 23:18:23
>金美齢はたまたま台湾出身であっても、日本に長く住み、日本語で暮らしているのだから、「台湾のウヨク女」というあなたの言い分は、間違い。(むじな)
じゃあ「在日台湾人」でも何でも良いです。しかし逆に聞くけれど、むじなの方こそ、「台湾」という言葉が出てくる度に、何でそこまでいちいち過剰反応するの?
私は記事の該当部分では以下の様に書いています。
>「太田総理と秘書田中」のテレビ番組で、いつも太田光に対して嵩にかかった様な物言いしか出来ない自民党国会議員のサル・メガネデブや、茶髪の低脳米国人や、台湾のウヨク女などを見ていると、それがよく分ります。(社会主義者)
上記文章中の「茶髪の低脳米国人」というのは、米国生まれの自称国際コラムニストでタレントのケビン・クローンの事。さっき調べたら、同人は米日双方の国籍を持つ二重国籍者だとの事でしたが、この記事を書いた時点ではその事は知らなかったので、同人の事を「~米国人」と書きましたが、これもむじなの理屈で言うと、<ことさら「血統としての米国人」を際立たせるような物言い>という事になるのですかね。私は、そんなつもりは全然無いのですが。
そういう風に、「台湾」という言葉が出てくる度に、何かと言えば直ぐにつっかかってくるのは、何故?逆に聞きたい。