アフガン・イラク・北朝鮮と日本

黙って野垂れ死ぬな やられたらやり返せ 万国のプレカリアート団結せよ!

屋外生活者排除の大阪・長居公園行政代執行を糾弾する!

2007年02月07日 00時07分04秒 | 一人も自殺者の出ない世の中を
 柳沢厚労相の失言問題と愛知・北九州の首長選挙に世間の耳目が集まっていたこの2月5日月曜日に、大阪・長居公園では屋外生活者(ホームレス)排除の行政代執行が強行されました。昨年の靱公園での代執行に引き続いて二度目の暴挙です。靱公園の時の口実は世界バラ会議、今回の長居は世界陸上と、またしてもイベント利権に群がる輩の金儲けの為に、屋外生活者の方たちの生活権・人格権が侵害されました。

 大阪市は「代替の自立支援施設を用意している」なんて言っていますが、そこで行われている自立支援策なるものは殆ど形だけのお座なりなもので、半年後の居住期限が過ぎれば、自立出来ていようがいまいがそんな事には一切お構いなしに、また外に放り出されるだけなのです。この様に、大阪市の言う「自立支援施設」というのは、屋外生活者排除を正当化する為のアリバイ的なモノでしかないのです。その発想においては、北朝鮮の政治犯収容所とも何ら変わらない代物なのです。

 屋外生活者問題は、現代の日本ではワーキング・プアやプレカリアートの問題とも密接に結びついています。先日のテレビ番組では、失業し家賃も滞納して住処を追われた若者たちが深夜営業のネットカフェに寝泊りしながら日払いでどうにか食いつないでいる姿が映し出されていました。低賃金、長時間・不規則な勤務、重労働、不安定・不定期雇用、何の保障も無い無権利状態。これらの矛盾は、屋外生活者が従事し搾取されている寄せ場・飯場の日雇い労働にこそ最も鋭い形で集中的に現われてはいますが、それは今や屋外生活者のみに止まるものではなく、それ以外のワーキングプア・プレカリアートや、今現在はかろうじて正規雇用に止まっている労働者にも広がってきているのです。謂わば「非ホームレスのホームレス化」ともいうべき労働実態・生活実態が広がっているのです。

 しかし、正社員労働者やワーキングプア、プレカリアートにも人間としての暮らしがあるのと同様に、屋外生活者にも人間としての暮らしがあるのです。世間一般がイメージする所の住宅にこそ住んではいませんが、彼の人たちにも住処があり日々の仕事(空缶・古紙回収など)や暮らしがあるのです(拙ブログでも以後は基本的にはホームレスではなく屋外"生活者"の語を使用する事にします)。彼の人たちの生活権・人格権が一方的に侵害されて良い筈がありません。若しそんな論理を一旦認めてしまえば、次に排除されるのは、「今はとりあえず辛うじて非ホームレスに止まっている」ワーキングプア、プレカリアートであり正社員である「私たち」なのです。

 斯くいう私も、この間は前述の柳沢発言等の関連記事投稿にかまけて、長居公園での行政代執行に対しては殆ど何もアクションを起こせませんでした。この事をまず始めに反省します。もう既に代執行が行われてしまった後になりましたが、それでも「長居公園での真実」を少しでも多くの方に知っていただく為に、下記の投稿をこちらにも遅ればせながら転載させてもらう事にします。


(以下転載)
皆様の長居への支援に敬意を表します
投稿者:草加耕助 投稿日: 2月 5日(月)21時16分34秒

前日の夜より、長居公園の強制排除抗議行動に行ってきました。できるだけ早く詳細な報告を書かねばと思いますが、呼びかけさせていただいた皆様へのご報告として、「速報版」をアップいたします。

 とりあえず私は、せっかく完成させた新品の「旗旗2号(手押し宣伝カー)」をボコられたことと、怒鳴りすぎて声が出なくなったことを除けば無事に帰還することができました。

 さて、抗議行動ですが、朝になって市の職員が集まりだしたところを見計らって、一番手前にあったテントの屋根(ブルーシート)がはがされはじめました。「野宿者が自分でテントを撤去しはじめたのか?」と言えば、さにあらず、なんと、シートの下からは、今まで隠されていた芝居用の舞台(櫓)が姿を現したのです!こんなものを極秘に作っていたとは!

 そして居並ぶ市の職員、ガードマン、報道陣、野次馬、支援の人々を前にして、舞台の上では今回排除される人々による寸劇がはじまりました。さすがに「女優」は支援の人のようですが、順番に排除当事者の人達が主役になって、大阪市を風刺し、ホームレス問題を訴える劇が次々と上演されていきます。基本的にはドタバタ喜劇風ですが、脚本から衣装、メーキャップ、小道具にいたるまで、すべて排除される当事者の皆さんの手作りです。

 支援団体の人々は、舞台の下を3重のスクラムで座り込んで守っています。その数約50人。さらにその外側に私達のようは個人参加の人々がいるという感じ。支援側は総勢約200人。市側の排除部隊は約500人くらいです。

 実は当事者の方々は、自分たちがすべてを奪われて追い出されることを覚悟していました。そして長年住み慣れた長居を後にする最後の最後に、自分たちの思いを精一杯表現する行為として選んだのが、単なる「阻止行動」によるぶつかりあいではなく、この「芝居」だったのです。

 これこそが、非暴力不服従と、当事者の思いを優先する「長居スタイル」そのものでした。事前に私たち支援が決めたことは、「無用な衝突で逮捕者や怪我人を出さない」ということと、そして「何が何でもこの芝居が終わるまでは舞台を守って持ちこたえよう」ということの二つでした。

 市の対応は、私が野宿労働者支援に立場にいたから言うのではなく、本当に血も涙もない酷いものでした。舞台を取り囲んでスピーカー3台で芝居の邪魔までした。私が「もう排除されることを覚悟しての芝居なんだ!君たちには血も涙もないのか!せめて芝居が終わるまで邪魔しないでくれ」と訴えますと、指揮者ではない二人はためらいを見せて妨害をやめましたが、市の部隊指揮者だけは、よけいにこれみよがしな大声で妨害をはじめ、あまつさえ、舞台を防衛している人達に罵詈雑言を浴びせかける始末。この指揮者の雰囲気がだんだんと職員全体に伝播していき、同じ排除するにあたっても、徐々に一人を数人で逆さに吊り上げて地面をひきずり回すというような非道な方法にエスカレートしていきました。

 もともと本来の「非暴力不服従運動」とは、暴力はもちろん、罵倒なども行わないことが基本です。あらかじめそのことは支援にも伝わっていたと思いますが、あまりといえばあまりの酷さに、こらえきれずに罵倒が飛びかいます。私も思い切り罵倒してしまいました。ごめんなさい。でも、この指揮者に対するあまりの怒りのため、怒髪天をついて手や足もブルブル震えてカメラも持てないくらいの状態になり、とうてい我慢できるものではありませんでした。

 そうやって次々と無抵抗の仲間たちが暴行を受けて排除され、住人たちのテントが目の前で粉々に破壊されていくという修羅場の中で寸劇は進み、出演者たちはそれでも笑顔を絶やさずに立派に劇をやりぬきました。そして結果的に私たちは、すべての長居の仲間たちが主役をつとめて劇が全部終わるまで、満身創痍になりながらも、舞台を守りきることができたのです。私たちは今日の闘いに勝利したのだと信じます。

 何人もの方々から、携帯電話への転送メールをいただきました。それらはいよいよ舞台が破壊されそうになって必死にこらえている仲間たちに向かい、お名前はふせた上で「旗旗2号」を使って読み上げ、確かにお伝えしました。「この瞬間にもあなた方を全国の人達が応援しているのだ」と、そして「市の蛮行をこの瞬間も監視・抗議しているのだ」と。

 途中ははしょりますが、全員が排除されてしまった後、広大な公園の片隅に避難した私たち支援全員に向かって、今まで笑顔を絶やさずに演技してこられた長居公園の当事者の方が最後の挨拶に立たれました。すべてを奪われ、まだ劇の扮装をしたままの彼は、私たちにむかって体が折れてしまうのではないかと思うくらい深々と礼をされながら、この時にはじめて涙で声を震わせて「今日はほんとうにありがとうございましたぁ!」と叫ばれました。その姿はまるで名優がカーテンコールに立っているようでした。そしてそれにふさわしく、「観客」からも万雷の拍手と共に、「よくやった!」「最高だった!」という掛け声が飛びました。

 私はこの時の光景を思い出して、今も涙が止まりません。
 確かに市側の指揮者によって、人間の嫌な面もたっぷり見せ付けられました。しかしそれと同時に、もう二度と見ることのできない最高の舞台を見れたこと、どんなに虐げられても人間の明るさを失わない尊敬すべき人々とたとえ一日でも連帯できたこと、そして、この素晴らしい一瞬に同席できたことを、私は心から誇りに思います。もう少し「人間」を信じて生きてみようと思います。
(転載終了)
 http://6305.teacup.com/mappen/bbs?
 http://bund.jp/modules/wordpress/index.php?p=333

(参考資料)

・大阪・長居公園:野宿者テント撤去 市が代執行(毎日新聞)
 http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/gyousei/news/20070205dde041040048000c.html
・長居公園行政代執行に対する研究者声明(若手研究者有志一同)
 http://rootless.org/nagai/index.php
・長居公園行政代執行に対する抗議声明と抗議要請(のじれん=渋谷・野宿者の生活と居住権をかちとる自由連合)
 http://www.jca.apc.org/nojukusha/nojiren/declare/osaka.html
・釜パト(釜ヶ崎パトロールの会)活動日誌
 http://kamapat.seesaa.net/
・釜ヶ崎支援機構
 http://www.npokama.org/
・自立生活サポートセンター・もやい
 http://www.moyai.net/ 
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2 コメント

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紹介:長居の仲間に届けられた海外からの連帯の声 (社会主義者)
2007-02-08 08:49:15
 以下、釜パト活動日誌の記事から。

●Novox(仏NGO)の緊急声明

大阪の野宿労働者の排除をやめろ

 1月30日に大阪市が長居公園の野宿者を排除すると知らされました。
 大阪の野宿者たちは不景気のために失業した労働者たちです。それにもかかわらず、自立支援の名の下に、政府はもっとも弱い者たちに対する社会保障を削減し、男性の労働者だけではなく、若者や女性にも路上生活を強いられる人たちがいます。ほとんどの野宿者たちは、仕事をみつけるためのあらゆる方策が尽きた人たちです。

私たちは、長居公園の野宿者の排除に反対し、以下のことを求めます。
1、排除の中止
2、市との話し合い
3、生きて行くための代替場所

 抑圧や排除は何の解決にもなりません。

 Novoxは長居公園の野宿者の主張を支持することを呼びかけます。novoxは2月2日に在仏日本大使館に抗議声明と署名をとどけます。

 http://kamapat.seesaa.net/article/32701589.html


●Pobreza Extrema(ポブレサエクストレマ:メキシコのバンド)からの連帯メッセージ

「抵抗を!」

オラ(おっす)兄弟! メキシコ・シティーのPobreza Extrema(極貧)から、連帯の挨拶を送るよ。

長居の仲間たち:あなた方は独りじゃない。政府が人々を見捨てて、こんな目にあわせるのは最低だけど、
どうか忘れないでほしい。まだまだ、ちゃんと見てる奴ら、心ある人々が、あなた方を見捨てないから。
俺たちもここに、あなた方の闘いと一緒にいるから…

抵抗だけが、俺たち持たざる者をささえる唯一の方法だよね。そして、冷酷な政府が俺たちを追いやった状況に、固いげん骨で立ち上がらないとね!(訳にやや不安あり)

あなた方は孤立なんかしてない…。メヒコから固い抱擁と、不正に対して闘うパワーを送ります!

立ち上がれ!……そして闘いを!!!

自由のために

また始めよう

バカでかいパワーで

連帯して勝とう!

 http://kamapat.seesaa.net/article/32806628.html#more
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モデスタ・ヴァレンティ通り (社会主義者)
2007-02-08 22:18:30
 本日大阪市内で買った「ビッグイシュー」2月1日号の、「路上から」というコラム欄に、次のような話が載っていました。

 イタリアのローマには、「モデスタ・ヴァレンティ通り」という、実際には存在しない通りがあります。これは、ホームレスの人にも失業手当が受給出来るようにと、市当局が設けた架空の住所なのだそうです。

 ホームレスを追い出すことしか考えていない大阪市。生きていく為には架空の住民登録もせざるを得ない屋外生活者(ホームレス)に対して、社会的背景もロクスッポ調べずに頭から犯罪者扱いするしか能の無い商業・御用マスコミ。イタリアとは大きな違いですね。
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