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柳沢厚労相の人格否定発言を巡って2

2007年02月05日 09時57分12秒 | お笑い安倍政権
●戦前封建アタマ+冷酷な自己責任論者=柳沢伯夫・安倍晋三

>なかなか今の女性は一生の間にたくさん子どもを産んでくれない。人口統計学では、女性は15~50歳が出産する年齢で、その数を勘定すると大体分かる。ほかからは生まれようがない。産む機械と言ってはなんだが、装置の数が決まったとなると、機械と言っては申し訳ないが、機械と言ってごめんなさいね、あとは産む役目の人が1人頭で頑張ってもらうしかない。(女性)1人当たりどのぐらい産んでくれるかという合計特殊出生率が今、日本では1.26。2055年まで推計したら、くしくも同じ1.26だった。それを上げなければいけない。<
 http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20070130-OHT1T00025.htm

 上記が、柳沢厚労相が1月27日に実際に吐いた暴言です。一部のウヨク系ブログの中にはこれを捉えて「何だ大した事言ってないじゃないか」なんてピント外れな事を書いている所もあるようですが、どうしてどうして、柳沢という閣僚(ひいては安倍内閣)の本質が露呈した立派な暴言ではないですか。

 昨今の少子化現象の原因は何処に在るのですか。女性が怠慢こいて子どもを産まないのが原因ですか。違うでしょう。給料は安い、雇用は不安定、旦那も自分も長時間労働や共働きで子どもを産むどころではない、年金も健康保険も切り縮められる、医療改悪と公立病院のリストラで産科不在の病院や子どもも産めない地域が広がっている。子どもを産みたくても産めないというのが実情でしょう。
 そういう政治を散々しておいて、その張本人である厚労相の言った言葉がこれですか―「あとは産む役目の人が1人頭で頑張ってもらうしかない」。軽薄な自己責任論の極みそのものですね。この人の精神構造は戦前の家父長制そのまんまで、その男尊女卑の封建オヤジの感覚の上に、人間を将棋の駒としてしか見ない現代の冷酷な市場原理主義・新自由主義の自己責任論が乗っかっているのです。これは柳沢発言を擁護する先のウヨク・ブログの精神構造も同じです。
 柳沢も先のウヨク・ブロガーも、ともども、安倍内閣・自民党の象徴とも言える人物であり発言であると言えます。しかし、今は戦前などではなく21世紀なのです。そんな感覚など世界でも日本でも通用しないのは当たり前です。

●愛知県知事選・北九州市長選でも表明された「柳沢・安倍辞めろ」の民意

・僅差で1勝1敗…愛知は与党候補当確も現職大苦戦 柳沢厚労相「職責全うするだけ」(産経イザ!)
 http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/localpolicy/37867/
・高市特命担当相「私は不良品!」 柳沢発言に不快感(産経イザ!)
 http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/37136/

 昨日2月4日に投開票された標記2つの地方選挙結果については、「下馬評通の結果だ」「1勝1敗で踏みとどまった」「柳沢は辞めずに済む」などという評価も政権の一部にあるそうですが、これも民意を見誤った見方です。

 民主系が与党系候補を破った北九州市長選ですが、ここでは巨大コンテナバースや紫川に掛かる橋の装飾に金をつぎ込んで市財政を借金まみれにしておきながら、生活保護申請は切り捨て餓死者を続出させる、景気も冷え込んで市外への人口流出が止まらない(既に百万都市ですら無くなっている)、そういう冷酷な政治の在り方が争点になりました。こういう結果になったのは当然です。

 与党系現職がかろうじてその座を守った愛知県知事選ですが、票差を見ると民主系候補がかなり与党系に肉薄しており(142万余対135万余票)、共産系と合わせた票数では野党系が与党系を大幅に上回っています。
 ここはトヨタ王国のお膝元で民主党も今までオール与党県政を支えていたのが、ここにきて急遽一転候補を擁立するようになった(それも、旧民社党ゆずりの反共・労使協調路線故に共産党からの統一候補擁立の申し出も蹴って己の点数稼ぎだけの為に)、謂わば「与党と"隠れ与党"のニセ対決」の形で、愛知限定のトヨタ・愛知万博・中部空港開港景気の余波もあって最初から与党有利の選挙でしたが、それでも蓋を開けてみたら与党が際どい所まで追い詰められました。

 勿論、これは「民主党が自民党に勝った」という事では全然ありません。民主党もそれまではオール与党の一員として保守県・市政を支えてきた事は、愛知でも北九州でも衆知の事実でした。無党派層の決起が限定的であった(投票率は大幅にアップしたもののそれでも5割前後に止まった)のも、所詮は「与党と"隠れ与党"のニセ対決」である事が無党派層に見抜かれていたからなのです。
 それでも尚、柳沢大臣の人格否定発言を契機に、それまで燻っていた格差社会への庶民の怒りに愈々本格的に火がついて、それが保守二大政党制下では非与党系候補への投票という形で現われたのが、昨日の選挙結果だったのです。つまり、今回の選挙は「民主党が追い詰めた」のではなく「世論が与党をここまで追い詰めた」という所にこそ最大の意義があるのです。「柳沢・安倍辞めろ」、これが今回の選挙で示された民意です。
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