私が森事件に遭遇し、秋葉原通り魔事件を契機に、派遣・請負労働の現状に思いを巡らしている間に、北朝鮮関連で大きなニュースがありました。今回はその件で、遅まきながら、少し思う所について書きたいと思います。この間の北朝鮮関連の大きなニュースというのは、勿論次の2つです。
・脱北女性が、「帰国事業の虚偽宣伝に騙された」と、朝鮮総連を提訴。
・北朝鮮が核計画の申告を行い、米国がその見返りにテロ支援国の指定解除に踏み出す。
まず最初に、脱北女性による朝鮮総連提訴のニュースから。以下、産経新聞の記事から引用します。
>「地上の楽園」などと虚偽の宣伝がなされた帰還事業で北朝鮮に渡り、強制収容所などで肉体的、精神的苦痛を受けたとして、脱北した大阪府在住で韓国籍の千葉優美子さん(47)=韓国名・高政美=が13日、帰還事業を支援した在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)を相手取り、慰謝料など約1100万円の損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こした。
>千葉さんは「朝鮮総連は北朝鮮を『地上の楽園』と称し、実情を秘して在日朝鮮人を誤信させた」と主張。帰還事業は在日朝鮮人を労働者や人質として利用するためのもので、「囚人や奴隷と変わらない生活を強いられた。脱北失敗後は殴るけるなどの激しい拷問を受けた」としている。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080613/trl0806131145006-n1.htm
私は、産経新聞なんてゴミ以下の存在だと思っているのですが、その中で唯一評価しているのが、こういうニュースをきちんと伝えている点です。他にこのニュースを伝えたのは、ウェブ版で見る限りだと、後は共同通信ぐらいでした。勿論、その裏には、北朝鮮問題を「左翼叩き、自民党政府ヨイショ」の「格好のネタ」として重宝している、フジ・産経グループの思惑がある事も、百も承知の上ですが。それでも事実は事実として、詳しく伝えてくれるのは、有難い点です。
帰国事業の問題については、旧サイト時代から何度となく言及してきたので、余りくどくは書きませんが、戦前から今に至るまで、日帝の旧植民地として差別され(近年の韓流ブームで緩和されつつあるとは言え)、戦後は北朝鮮政府によっても、帰国した親族を人質に取られ、日朝両国支配層の思惑に翻弄されてきたのが、これらの人たちです。原告が大阪在住で、裁判も大阪地裁で進められる事件なので、私としても、ささやかではあっても、何らかの形で原告の方を支援していきたいと思います。このニュースについては、既に訴状の全文が、沢村さんのサイトや「薔薇、または陽だまりの猫」さんのブログにアップされていますので、詳細についてはそちらも参照して下さい。
http://www11.ocn.ne.jp/~rachi/sojou.htm
http://blog.goo.ne.jp/harumi-s_2005/e/9c6b29b5f45d173af4dcc907e6178130
その他の、マルコス・ボカサと同レベルのどこぞの国の大統領が北朝鮮をテロ支援国リストから外したとか、そのお礼に北朝鮮がどこか中古の原子炉冷却塔を爆破したとか、あと何人か拉致被害者が帰ってくるかも知れないとか、そういうニュースも色々流れていますが、私は、そんなニュースにはあんまり興味がないです。「どうでも良い」とまでは言いませんが、そんな日・米・朝・その他の国の為政者・支配層の一挙手一投足に、いちいち一喜一憂して振り回されるというのも、何だか癪に障るので。こちらの方も、一応ニュース・ソースを下記に添付しておきますので、詳しくはそちらを参照して下さい。
・7/7緊急国民集会を開催-家族会・救う会・拉致議連(救う会ニュース)
http://www.sukuukai.jp/mailnews.php?itemid=1563
・テロ支援国指定の解除について(調査会ニュース)
http://www.chosa-kai.jp/news/comjannews0806.html
・拉致再調査「近く具体化」=町村官房長官が表明-対北朝鮮(時事通信)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol&k=2008062900164
・核問題解決進展を演出? 北朝鮮が冷却塔爆破(産経新聞)
http://sankei.jp.msn.com/world/korea/080627/kor0806272022012-n1.htm
・かすむ「拉致」福田政権打つ手なし 北朝鮮のテロ指定国家解除へ(産経新聞)
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080626/plc0806262010014-n1.htm
・今後の活動(荒木和博BLOG)
http://araki.way-nifty.com/araki/2008/06/post_c44a.html
・『テロ指定解除』(青木直人BLOG)
http://aoki.trycomp.com/2008/06/post-47.html
それらの「あんまり興味が湧かない」ニュースの中でも、とりわけ「興味が湧かない」のが、最初の「どこぞの国の大統領による、北朝鮮のテロ支援国リスト外し」のニュースです。
確かに、南北朝鮮が休戦ラインを挟んで互いににらみ合っている状況から脱却し、将来の東北アジア非核・平和地帯構築に至る、一つの可能性を示すという点では、歓迎すべきニュースなのかも知れませんが。しかし、一番肝心なのは、「それらの国の人民の生活・権利状況がどう変化するか」という点です。それを抜きにして、支配者同士の手打ちの宴に一喜一憂するだけでは、旧ソ連の、1960年頃のフルシチョフ外交や、80年代のゴルバチョフ外交とも、そう変わらないのでは。
当時も、「米ソ雪解け」「平和共存」「デタント」「新思考」だの散々言われましたが、その実、アメリカ帝国主義の侵略的性格が全然変わらなかったのは、今のイラク戦争が見事に証明していますし、旧ソ連の「収容所列島」としての本質も、その後のソ連崩壊で初めてその全貌が明るみになった訳で。
しかも、60年代のベトナム人民や、当時から今に至るまでのキューバ人民は、その「米ソの雪解け」時代(70年代以降はそれに中国も加わる)に、米国の侵略や経済封鎖と対峙し続けた末に、ベトナムは最終的に勝利を勝ち取り、キューバも今や勝利しつつあるのです。
現在、米国が「テロ支援国」=「悪の枢軸」と名指ししているのは、北朝鮮・イラン・シリア・キューバ・スーダンの5ヶ国で、それらの国々には、武器関連の輸出・販売禁止、経済援助禁止、世界銀行による融資の規制措置が執られています。しかし、そもそもこれら5ヶ国の選定基準そのものが、米国の勝手都合による恣意的なものですが、その事はここでは問いません。ただ、キューバ一つ例にとっても、そんな米国による恣意的な「テロ支援国」=「悪の枢軸」規定など、キューバにとっては、決定的な打撃には全然なっていないではありませんか。
確かに、米国の経済封鎖によって、キューバ経済は大きな重荷を背負わされています。しかし、ラテンアメリカの大多数の人民にとっては、軍事政権の人権弾圧に手を貸し、内政干渉を行い、経済的に搾取する米国こそが「悪の枢軸、テロ国家」であり、反対にキューバこそが、医療援助や識字活動支援を行う「救世主」となっているではありませんか。今や中南米諸国で続々と、新自由主義に反旗を翻す左派・中道左派政権が誕生しているのは、一体何故なのか。米国とキューバを比較して、どちらの言い分が真実かを、当該地域の人民が、理屈ではなく身体で理解しているからに、他ならないからではないですか。
要は、ここで言いたいかというと、ブッシュが勝手にこしらえた「テロとの戦い」という枠組みに、いつまでも囚われる事自体が、私に言わせれば、「ナンセンス」だという事です。十年一日の如く、そんな枠組みに囚われて、それに「下駄の雪」宜しくどこまでも阿諛追従してみせたり、逆に米国のその時々の「変節」にことさら反発して、日本が米国にとって代わって「テロとの戦い」を主導するんだ、みたいな事を云々する事自体が、それほど意味のある事だとは、到底思えないのですが。
ここで少し面白い話をします。カストロと並ぶキューバ革命の英雄チェ・ゲバラが、少なくないチベット人活動家にとっても、中国への抵抗運動の象徴として捉えられている事実があるのです。
チベットの抵抗運動というと、日本では兎角、社会主義中国に対する右派民族主義運動として捉えている向きが多いようです。しかし、世界に目を転じると、また違った事実にも気付かされます。たとえば、若き日のペマ・ギャルポさんが一時期チェ・ゲバラに心酔していた事とか、ブラジルのチベット問題NGOがゲバラの旗を掲げていたりとか、そういう事例も少なからず見受けられるのです。また、ゲバラそのものも、昨今の「蟹工船」ブームほどハッキリした形ではありませんが、世界的にはちょっとしたブームで、ゲバラTシャツが人気を呼んだりしているのです。
それは何故か。詳しい事は私にもよく分かりませんが、多分、キューバ革命直後の頃から既にソ連の官僚制や人権抑圧には批判的で、カストロとも袂を分かち最後まで革命家としての人生を全うしたゲバラに対して、レーニンや毛沢東にはない「人間的」側面を、彼の中に見出しているのではないかと思われます。
・アレイダ・ゲバラ氏来日講演会のお知らせ(アテナ・ジャパン)
http://www.atenajapan.com/news/pdf/aleida03.pdf
http://www.atenajapan.com/
・ゲバラの娘、連帯を語る(高世仁の「諸悪莫作」日記)
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20080517
・月刊プレイボーイ特集「チェ・ゲバラ、ぶれない男」(記事写真参照)
http://m-playboy.shueisha.co.jp/playboy_special/index.html
翻って、北朝鮮人権問題。かつて「救う会」は、ブッシュの向こうを張って、「拉致はテロだ」というスローガンを掲げました。当時は、小泉訪朝を契機に、拉致問題が表面化し、北朝鮮・金正日体制下の様々な人権抑圧が明らかになった時期でした。それはまた同時に、米国で911テロが勃発し、アフガン・イラク戦争にのめり込み、日本でも小泉政権が靖国参拝を強行し、ネットウヨク的言説がインターネットを占拠した時期でもありました。そんな時代だったからこそ、そんなスローガンが自然と大衆の中に入り込んで行ったのでしょう。
しかし今はどうか。その小泉政治の所為で日本は急速に格差社会化し、「勝ち組」に対する怨嗟の念が、秋葉原通り魔殺人事件加害者ですら一部からは「負け組」の救世主にまで押し上げられる時代となりました。そんな中で、往時の「拉致はテロだ」スローガンを叫んでも、果たして何人の方が振り向くでしょうか。振り向く人も確かにまだまだ少なくはないでしょうが、往時の勢いほどには顧みられないのは確かでしょう。
それどころか、下手をすれば「俺らワーキングプアが日々職場で経験しているピンハネ・パワハラ・セクハラこそ、政府・財界・派遣会社によるテロじゃないか!」「ひたすら勝ち組が負け組を支配する平和よりも、下克上でのし上がれる可能性もある戦争を望む」「何が「拉致はテロだ」じゃ、テロをそういう風に、異国から来た工作員の仕業としてしか捉えられないのも、所詮は政府御用の、守るべき家庭も資産もある人間による、ヌクヌク保守の運動だからじゃないか」とも、受け取られかねないのではないでしょうか。
そんな時代に、北朝鮮問題に世間の目を再び振り向かせようとするには、もうこれしかないのでは―「あくまで、人権抑圧国家への抵抗運動、北朝鮮の被抑圧人民の解放運動としての原点を、握って離さない事」。そう考えてこそ、「テロとの戦い」とか「拉致はテロだ」とかいうスローガンを掲げる事自体が、抵抗運動・解放運動にとっては「自縄自縛」「自殺行為」以外の何物でもないという事も、初めて自ずと明らかになります。実際、中国政府が東トルキスタンやチベットで少数民族を弾圧するのに、正にこのブッシュの「テロとの戦い」の論理を援用しているのですから。
そうではなく、あくまでも前記の原点に立脚してこそ、一旦は離れた「負け組」の目を、再び北朝鮮・拉致問題に振り向けさせる事が出来るのではないでしょうか。その為には、今の「救う会」の様な、兎角「反共」「保守再生」イデオロギーにのみ固執した、右派だけの視野の狭い運動ではなく、チベットNGOの様に、右の「法輪講」支持者からリベラルの「アムネスティ」や左の「ゲバラ」支持者まで、前記の原点で一致出来る全ての人士を網羅した、幅広い裾野を持つ運動を展開していかなければならないのではないでしょうか。
それと、上記の提起とも関連するのですが、今のマスコミの北朝鮮問題の取り上げ方も、私は「大いに問題あり」という気がして仕方がありません。これはあくまでも私が見た感じなので、今すぐに具体的な番組名なり記事名を挙げて論証する所までは行かないのですが。
これはどういう事かと言うと、特に今の北朝鮮関連のテレビ・ニュースなり特集番組を見て感じるのは、余りにも興味本位の「見てくれ」や「お涙頂戴」に偏し、視聴率稼ぎのセンセーショナリズムに走っているのが、露骨に目に付きだしたという事です。新聞では、以前から産経新聞にその傾向が顕著でしたが、テレビではもう大なり小なり、どの放送局でもそれが目に付く。確かに中には、以前見たチョン・ウォルソンさんの半生記や、石丸次郎さんの北朝鮮国内ルポ・ジャーナリスト誕生秘話の様な、本当に見ごたえのある優れた番組もあるのですが、それ以外の大半が、やれ「テポドン」だどうの「喜び組」がこうの、「金のどら息子がお忍びでTDLにやって来た」だとか、そういう番組が一時期からやたら鼻に付くようになりました。
そしてNHKの「拉致命令放送」、あれも何だかねえ。凡そどんな番組でも、編集者が誰からも干渉されずに、ひたすら自己の良心に基づいて製作された番組こそが、初めて真に人の心を打つのです。たとえば、政府・財界の圧力に屈せず第三弾に渡って放送されたNHKのワーキングプア特集番組などは、その好例です。あの番組も、誰かの命令で作らされていたら、あれほどの良い番組にはならなかったでしょう。たとえそれが「ワーキングプアの悲惨さをことさら強調しろ」という命令であったとしても。
ところが「命令放送」以降は特に、NHKのニュース番組で北朝鮮・拉致問題が取り上げられる回数こそ確かに増えたものの、その中身はといえば、安倍内閣なり福田内閣のサイドからの、単なる政府広報番組としか思えないものが、やたら増えたような気がして、仕方がない。私はもう、この手の番組はNHKであろうが民放であろうが、一切見ないようにしています。わざわざ自分の時間を割いてまで、見ようとは思わない。それもこれも、「救う会」などの運動団体が偏に、「人権抑圧国家への抵抗運動、北朝鮮の被抑圧人民の解放運動としての原点」をどこかに置き忘れ、「国家(具体的には日米両国)頼みの、時の政権におんぶにだっこの、解放同盟の右翼版みたいな運動」になってしまったからではないでしょうか。
私が、朝鮮総連を訴えた高政美(千葉優美子)さんの境遇には自分も思いを馳せる事が出来るのに引き換え、「拉致はテロだ」というスローガンにはことさら違和感しか感じ取れない原因も、多分今まで述べた点にあるからではないでしょうか。
・脱北女性が、「帰国事業の虚偽宣伝に騙された」と、朝鮮総連を提訴。
・北朝鮮が核計画の申告を行い、米国がその見返りにテロ支援国の指定解除に踏み出す。
まず最初に、脱北女性による朝鮮総連提訴のニュースから。以下、産経新聞の記事から引用します。
>「地上の楽園」などと虚偽の宣伝がなされた帰還事業で北朝鮮に渡り、強制収容所などで肉体的、精神的苦痛を受けたとして、脱北した大阪府在住で韓国籍の千葉優美子さん(47)=韓国名・高政美=が13日、帰還事業を支援した在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)を相手取り、慰謝料など約1100万円の損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こした。
>千葉さんは「朝鮮総連は北朝鮮を『地上の楽園』と称し、実情を秘して在日朝鮮人を誤信させた」と主張。帰還事業は在日朝鮮人を労働者や人質として利用するためのもので、「囚人や奴隷と変わらない生活を強いられた。脱北失敗後は殴るけるなどの激しい拷問を受けた」としている。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080613/trl0806131145006-n1.htm
私は、産経新聞なんてゴミ以下の存在だと思っているのですが、その中で唯一評価しているのが、こういうニュースをきちんと伝えている点です。他にこのニュースを伝えたのは、ウェブ版で見る限りだと、後は共同通信ぐらいでした。勿論、その裏には、北朝鮮問題を「左翼叩き、自民党政府ヨイショ」の「格好のネタ」として重宝している、フジ・産経グループの思惑がある事も、百も承知の上ですが。それでも事実は事実として、詳しく伝えてくれるのは、有難い点です。
帰国事業の問題については、旧サイト時代から何度となく言及してきたので、余りくどくは書きませんが、戦前から今に至るまで、日帝の旧植民地として差別され(近年の韓流ブームで緩和されつつあるとは言え)、戦後は北朝鮮政府によっても、帰国した親族を人質に取られ、日朝両国支配層の思惑に翻弄されてきたのが、これらの人たちです。原告が大阪在住で、裁判も大阪地裁で進められる事件なので、私としても、ささやかではあっても、何らかの形で原告の方を支援していきたいと思います。このニュースについては、既に訴状の全文が、沢村さんのサイトや「薔薇、または陽だまりの猫」さんのブログにアップされていますので、詳細についてはそちらも参照して下さい。
http://www11.ocn.ne.jp/~rachi/sojou.htm
http://blog.goo.ne.jp/harumi-s_2005/e/9c6b29b5f45d173af4dcc907e6178130
その他の、マルコス・ボカサと同レベルのどこぞの国の大統領が北朝鮮をテロ支援国リストから外したとか、そのお礼に北朝鮮がどこか中古の原子炉冷却塔を爆破したとか、あと何人か拉致被害者が帰ってくるかも知れないとか、そういうニュースも色々流れていますが、私は、そんなニュースにはあんまり興味がないです。「どうでも良い」とまでは言いませんが、そんな日・米・朝・その他の国の為政者・支配層の一挙手一投足に、いちいち一喜一憂して振り回されるというのも、何だか癪に障るので。こちらの方も、一応ニュース・ソースを下記に添付しておきますので、詳しくはそちらを参照して下さい。
・7/7緊急国民集会を開催-家族会・救う会・拉致議連(救う会ニュース)
http://www.sukuukai.jp/mailnews.php?itemid=1563
・テロ支援国指定の解除について(調査会ニュース)
http://www.chosa-kai.jp/news/comjannews0806.html
・拉致再調査「近く具体化」=町村官房長官が表明-対北朝鮮(時事通信)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol&k=2008062900164
・核問題解決進展を演出? 北朝鮮が冷却塔爆破(産経新聞)
http://sankei.jp.msn.com/world/korea/080627/kor0806272022012-n1.htm
・かすむ「拉致」福田政権打つ手なし 北朝鮮のテロ指定国家解除へ(産経新聞)
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080626/plc0806262010014-n1.htm
・今後の活動(荒木和博BLOG)
http://araki.way-nifty.com/araki/2008/06/post_c44a.html
・『テロ指定解除』(青木直人BLOG)
http://aoki.trycomp.com/2008/06/post-47.html
それらの「あんまり興味が湧かない」ニュースの中でも、とりわけ「興味が湧かない」のが、最初の「どこぞの国の大統領による、北朝鮮のテロ支援国リスト外し」のニュースです。
確かに、南北朝鮮が休戦ラインを挟んで互いににらみ合っている状況から脱却し、将来の東北アジア非核・平和地帯構築に至る、一つの可能性を示すという点では、歓迎すべきニュースなのかも知れませんが。しかし、一番肝心なのは、「それらの国の人民の生活・権利状況がどう変化するか」という点です。それを抜きにして、支配者同士の手打ちの宴に一喜一憂するだけでは、旧ソ連の、1960年頃のフルシチョフ外交や、80年代のゴルバチョフ外交とも、そう変わらないのでは。
当時も、「米ソ雪解け」「平和共存」「デタント」「新思考」だの散々言われましたが、その実、アメリカ帝国主義の侵略的性格が全然変わらなかったのは、今のイラク戦争が見事に証明していますし、旧ソ連の「収容所列島」としての本質も、その後のソ連崩壊で初めてその全貌が明るみになった訳で。
しかも、60年代のベトナム人民や、当時から今に至るまでのキューバ人民は、その「米ソの雪解け」時代(70年代以降はそれに中国も加わる)に、米国の侵略や経済封鎖と対峙し続けた末に、ベトナムは最終的に勝利を勝ち取り、キューバも今や勝利しつつあるのです。
現在、米国が「テロ支援国」=「悪の枢軸」と名指ししているのは、北朝鮮・イラン・シリア・キューバ・スーダンの5ヶ国で、それらの国々には、武器関連の輸出・販売禁止、経済援助禁止、世界銀行による融資の規制措置が執られています。しかし、そもそもこれら5ヶ国の選定基準そのものが、米国の勝手都合による恣意的なものですが、その事はここでは問いません。ただ、キューバ一つ例にとっても、そんな米国による恣意的な「テロ支援国」=「悪の枢軸」規定など、キューバにとっては、決定的な打撃には全然なっていないではありませんか。
確かに、米国の経済封鎖によって、キューバ経済は大きな重荷を背負わされています。しかし、ラテンアメリカの大多数の人民にとっては、軍事政権の人権弾圧に手を貸し、内政干渉を行い、経済的に搾取する米国こそが「悪の枢軸、テロ国家」であり、反対にキューバこそが、医療援助や識字活動支援を行う「救世主」となっているではありませんか。今や中南米諸国で続々と、新自由主義に反旗を翻す左派・中道左派政権が誕生しているのは、一体何故なのか。米国とキューバを比較して、どちらの言い分が真実かを、当該地域の人民が、理屈ではなく身体で理解しているからに、他ならないからではないですか。
要は、ここで言いたいかというと、ブッシュが勝手にこしらえた「テロとの戦い」という枠組みに、いつまでも囚われる事自体が、私に言わせれば、「ナンセンス」だという事です。十年一日の如く、そんな枠組みに囚われて、それに「下駄の雪」宜しくどこまでも阿諛追従してみせたり、逆に米国のその時々の「変節」にことさら反発して、日本が米国にとって代わって「テロとの戦い」を主導するんだ、みたいな事を云々する事自体が、それほど意味のある事だとは、到底思えないのですが。
ここで少し面白い話をします。カストロと並ぶキューバ革命の英雄チェ・ゲバラが、少なくないチベット人活動家にとっても、中国への抵抗運動の象徴として捉えられている事実があるのです。
チベットの抵抗運動というと、日本では兎角、社会主義中国に対する右派民族主義運動として捉えている向きが多いようです。しかし、世界に目を転じると、また違った事実にも気付かされます。たとえば、若き日のペマ・ギャルポさんが一時期チェ・ゲバラに心酔していた事とか、ブラジルのチベット問題NGOがゲバラの旗を掲げていたりとか、そういう事例も少なからず見受けられるのです。また、ゲバラそのものも、昨今の「蟹工船」ブームほどハッキリした形ではありませんが、世界的にはちょっとしたブームで、ゲバラTシャツが人気を呼んだりしているのです。
それは何故か。詳しい事は私にもよく分かりませんが、多分、キューバ革命直後の頃から既にソ連の官僚制や人権抑圧には批判的で、カストロとも袂を分かち最後まで革命家としての人生を全うしたゲバラに対して、レーニンや毛沢東にはない「人間的」側面を、彼の中に見出しているのではないかと思われます。
・アレイダ・ゲバラ氏来日講演会のお知らせ(アテナ・ジャパン)
http://www.atenajapan.com/news/pdf/aleida03.pdf
http://www.atenajapan.com/
・ゲバラの娘、連帯を語る(高世仁の「諸悪莫作」日記)
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20080517
・月刊プレイボーイ特集「チェ・ゲバラ、ぶれない男」(記事写真参照)
http://m-playboy.shueisha.co.jp/playboy_special/index.html
翻って、北朝鮮人権問題。かつて「救う会」は、ブッシュの向こうを張って、「拉致はテロだ」というスローガンを掲げました。当時は、小泉訪朝を契機に、拉致問題が表面化し、北朝鮮・金正日体制下の様々な人権抑圧が明らかになった時期でした。それはまた同時に、米国で911テロが勃発し、アフガン・イラク戦争にのめり込み、日本でも小泉政権が靖国参拝を強行し、ネットウヨク的言説がインターネットを占拠した時期でもありました。そんな時代だったからこそ、そんなスローガンが自然と大衆の中に入り込んで行ったのでしょう。
しかし今はどうか。その小泉政治の所為で日本は急速に格差社会化し、「勝ち組」に対する怨嗟の念が、秋葉原通り魔殺人事件加害者ですら一部からは「負け組」の救世主にまで押し上げられる時代となりました。そんな中で、往時の「拉致はテロだ」スローガンを叫んでも、果たして何人の方が振り向くでしょうか。振り向く人も確かにまだまだ少なくはないでしょうが、往時の勢いほどには顧みられないのは確かでしょう。
それどころか、下手をすれば「俺らワーキングプアが日々職場で経験しているピンハネ・パワハラ・セクハラこそ、政府・財界・派遣会社によるテロじゃないか!」「ひたすら勝ち組が負け組を支配する平和よりも、下克上でのし上がれる可能性もある戦争を望む」「何が「拉致はテロだ」じゃ、テロをそういう風に、異国から来た工作員の仕業としてしか捉えられないのも、所詮は政府御用の、守るべき家庭も資産もある人間による、ヌクヌク保守の運動だからじゃないか」とも、受け取られかねないのではないでしょうか。
そんな時代に、北朝鮮問題に世間の目を再び振り向かせようとするには、もうこれしかないのでは―「あくまで、人権抑圧国家への抵抗運動、北朝鮮の被抑圧人民の解放運動としての原点を、握って離さない事」。そう考えてこそ、「テロとの戦い」とか「拉致はテロだ」とかいうスローガンを掲げる事自体が、抵抗運動・解放運動にとっては「自縄自縛」「自殺行為」以外の何物でもないという事も、初めて自ずと明らかになります。実際、中国政府が東トルキスタンやチベットで少数民族を弾圧するのに、正にこのブッシュの「テロとの戦い」の論理を援用しているのですから。
そうではなく、あくまでも前記の原点に立脚してこそ、一旦は離れた「負け組」の目を、再び北朝鮮・拉致問題に振り向けさせる事が出来るのではないでしょうか。その為には、今の「救う会」の様な、兎角「反共」「保守再生」イデオロギーにのみ固執した、右派だけの視野の狭い運動ではなく、チベットNGOの様に、右の「法輪講」支持者からリベラルの「アムネスティ」や左の「ゲバラ」支持者まで、前記の原点で一致出来る全ての人士を網羅した、幅広い裾野を持つ運動を展開していかなければならないのではないでしょうか。
それと、上記の提起とも関連するのですが、今のマスコミの北朝鮮問題の取り上げ方も、私は「大いに問題あり」という気がして仕方がありません。これはあくまでも私が見た感じなので、今すぐに具体的な番組名なり記事名を挙げて論証する所までは行かないのですが。
これはどういう事かと言うと、特に今の北朝鮮関連のテレビ・ニュースなり特集番組を見て感じるのは、余りにも興味本位の「見てくれ」や「お涙頂戴」に偏し、視聴率稼ぎのセンセーショナリズムに走っているのが、露骨に目に付きだしたという事です。新聞では、以前から産経新聞にその傾向が顕著でしたが、テレビではもう大なり小なり、どの放送局でもそれが目に付く。確かに中には、以前見たチョン・ウォルソンさんの半生記や、石丸次郎さんの北朝鮮国内ルポ・ジャーナリスト誕生秘話の様な、本当に見ごたえのある優れた番組もあるのですが、それ以外の大半が、やれ「テポドン」だどうの「喜び組」がこうの、「金のどら息子がお忍びでTDLにやって来た」だとか、そういう番組が一時期からやたら鼻に付くようになりました。
そしてNHKの「拉致命令放送」、あれも何だかねえ。凡そどんな番組でも、編集者が誰からも干渉されずに、ひたすら自己の良心に基づいて製作された番組こそが、初めて真に人の心を打つのです。たとえば、政府・財界の圧力に屈せず第三弾に渡って放送されたNHKのワーキングプア特集番組などは、その好例です。あの番組も、誰かの命令で作らされていたら、あれほどの良い番組にはならなかったでしょう。たとえそれが「ワーキングプアの悲惨さをことさら強調しろ」という命令であったとしても。
ところが「命令放送」以降は特に、NHKのニュース番組で北朝鮮・拉致問題が取り上げられる回数こそ確かに増えたものの、その中身はといえば、安倍内閣なり福田内閣のサイドからの、単なる政府広報番組としか思えないものが、やたら増えたような気がして、仕方がない。私はもう、この手の番組はNHKであろうが民放であろうが、一切見ないようにしています。わざわざ自分の時間を割いてまで、見ようとは思わない。それもこれも、「救う会」などの運動団体が偏に、「人権抑圧国家への抵抗運動、北朝鮮の被抑圧人民の解放運動としての原点」をどこかに置き忘れ、「国家(具体的には日米両国)頼みの、時の政権におんぶにだっこの、解放同盟の右翼版みたいな運動」になってしまったからではないでしょうか。
私が、朝鮮総連を訴えた高政美(千葉優美子)さんの境遇には自分も思いを馳せる事が出来るのに引き換え、「拉致はテロだ」というスローガンにはことさら違和感しか感じ取れない原因も、多分今まで述べた点にあるからではないでしょうか。
不謹慎ですが、地震や台風でしょっちゅう被害が出る日本の私から見ると、911直後のアメリカ人のあわてぶりはおかしささえ感じてしまいました。ブッシュが「テロとの戦い」を宣伝して始めた戦争もちっとも成果が上がらないし、米国民自身、すでに嫌気がさしていますし、やればやるほど反米の声はやまないし、いまや「拉致は置き去りか!」、「人権はどうした!」、「裏切りだ」との声が、忠実な従属国、日本からも澎湃として起こっています。アメリカという国は勝手な国だなあとつくづく思います。
チョン・ウォルソンさんについては私は別な評価をしています。「引き裂かれた祖国」とか言って、複雑な気持を持ちつつも、また北朝鮮への公演に出かけてゆく彼女を哀れとみるか、煮え切らないと見るか―そんな視点からです。在日韓国・朝鮮人を扱う番組は、どこか「お涙頂戴」的になってしまい、視聴者に、「北朝鮮も彼女にとって祖国なのか~。あながち悪くはいえないな~。」などと思わせてしまいます。飢餓や人権抑圧などに苦しむ現実部分を見えにくくしています。私は気に入りませんでした。
http://hrnk.trycomp.net/mamoru6.php
http://hrnk.trycomp.net/index.php
・同じく同会のHPには、石丸次郎氏の下記の最新メッセージも掲載されています。
http://hrnk.trycomp.net/newslist.php
以上、参考までに。
5月にコキントウが来日した際の日本青年館での「チベット連帯集会」に参加した際に、ゲバラ旗を持ちました。たしかに、チベット人にもウイグル人にも「ゲバラ好き」は少なくないようで、「Oh!チェ、チェ」とニコニコしている人や、旗を指差して親指を立てる人もいました。
しかし、デモの途中で主催者スタッフが「クレームがついたから旗をたたんでくれ」とのこと。「ハァ?喜んでいるチベットやウイグルの人もいるんだけど?」。「集会の趣旨と違う。イヤならデモから出て行け」。スタッフと喧嘩しても仕方ないのでそのときは旗を丸めましたが、とっても不快な思いをしました。
ほんとうにクレームがついたのかどうかも不明ですが、集会の中で「多様性のある世界を」と何度も語られていたのに、自身が実践できない人が多いようです。また、他にもやたら参加者にアレコレ言いたがるスタッフが多く、スタッフ・スカーフつけると「権力」を行使したくなる人が少なくないようです。イラク反戦運動が盛り上がった頃の初期のワールド・ピース・ナウにも同様の現象はありました。
ワールド・ピース・ナウはその後、そのような問題は克服したようですが、おそらく運動が盛り上がるたびに繰り返される問題なのでしょう。「多様性」の確立こそ、遠回りでも運動が権力に勝利する道だと思っています。
長文失礼しました。
やっぱり、「チベット・ウイグルでのゲバラ人気」は、一定の幅と広がりを持って存在していたのですね。
近年の日本での中国報道はと言うともう、かつての文革礼賛報道への反動からか、兎角中国人の「糞青」ぶりばかりが強調される傾向にあります(糞青=中国版・ネットウヨク)。そんな報道ばかり見ていると、「中国社会は全然進歩していないじゃないか」「この約100年来の中国革命の歴史は、一体何だったのか?」と、暗澹たる気持ちになる時もありました。しかし、今の話を聞くと、やはり中国民衆の中にも、「本物の革命」と「偽者の革命」の違いを嗅ぎ取る力は、もぎ取られずにちゃんと残っていた様ですね。それを聞いて少し安心しました。
>しかし、デモの途中で主催者スタッフが「クレームがついたから旗をたたんでくれ」とのこと。「ハァ?喜んでいるチベットやウイグルの人もいるんだけど?」。「集会の趣旨と違う。イヤならデモから出て行け」。(同上)
何故でしょうね。くだんの「チベット連帯集会」も、「フリー・チベット!中国はチベット弾圧を止めろ!」というのが集会の趣旨でしょう。それに反しない限り、掲げるものがたとえゲバラやスルタン・ガリエフやダライ・ラマやチンギス・ハーンであっても、私は一向に構わないと思うのですが。他のたとえばチンギス・ハーンを掲げる人たちに、自分たちが掲げるゲバラ支持を強要したとか、言うのではない限り。
今のチベット人権運動は、結構いい線行っているというか、現在「救う会」系の運動が陥っている隘路を乗り越え打開する、そういう可能性をも秘めている運動だと思うのですが。
「救う会」系が未だに「靖国・君が代・保守再生」といったアナクロで内向きの狭い価値観に引きずられているのに引き換え、チベット人権運動の方は、出発点こそ反中国・反共でしたが、今やもう、それのみに留まらない広がりを持つに至りましたからね。チェチェン・パレスチナ・アボリジニ・その他の、民族自決権侵害やグローバル資本による乱開発と闘う全ての人々にとっても励ましになる様な、そういう運動に。やっぱり、アムネスティが運動構成団体の主要メンバーとして入っているのが、大きいのでしょうか。
そういう意味では、今回のゲバラ旗不許可の件は大変残念という他ありませんが、それに懲りずに、これからもまた頑張って下さい。また、ワールド・ピース・ナウにもかつて同様の弱点があったという事も、RMさんの書き込みで具体的に初めて知り、色々勉強になりました。今後も宜しくお願いいたします。
・「独裁国家なんだからしっかりしろ」 石原知事(産経新聞)
>「(中国は)独裁統制国家なんだから、そこんところはちゃんとしてもらわなきゃな。しかしやっぱり、片一方で資本主義やりだすと、営利優先になってあんな羽目になるんだろうね。ほんとに迷惑するわな」
>「ことさら東京都が中国製品を買うな、なんてキャンペーンするわけいかないからねえ。消費者の選択の問題。やっぱり、そういう情報(薬物の混入)はきちんと伝達してね。そうすると、都民、市民の自衛本能が働いてね、不良の製品から淘汰(とうた)されていく。それしかないでしょう。どこの製品だから買うなってわけにはいかない。中にはいい製品だってあるんだから。こういう時代にだね、自分たちが経済発展しようと思うんなら、中国の当事者にしっかりしてもらいたいね」
http://sankei.jp.msn.com/politics/local/080131/lcl0801311248004-n1.htm
「片一方で資本主義やりだすと、営利優先になってあんな羽目になるんだろうね」って、新銀行への乱脈融資でにっちもさっちもいかなくなっているアンタの事でもあるじゃないかw。
こういう輩が、大衆の前では何食わぬ顔して、反中国人民のヘイトスピーチを煽りまくり、それをマスコミがまた煽っているのですから、世話はない。
・ダルフール紛争を知らない日本人(JANJAN)
http://www.news.janjan.jp/world/0707/0707058445/1.php
・ACT NOW ! STOP ダルフール紛争
http://darfur.seesaa.net/
・ダルフールの見放された紛争
http://www.diplo.jp/articles04/0405-4.html
・ダルフール紛争(鈴木頌さんのHP)
http://www10.plala.or.jp/shosuzki/edit/africa/darfur.htm
ダルフール紛争については、旧掲示板時代にもいつぞや話題に上った事がありましたが、本格的な議論にはならないまま、次の話題に移っていったと思います。そこでお浚いを兼ねて、上記の資料にも改めて目を通しました。しかしそれでも、下記の疑問が残りました。
(1) そもそもダルフール紛争は、「中国が支援するイスラム原理主義政権」と「弾圧される黒人系部族」の対立と、単純に割り切れるものなのか?
(2) スーダン政府を打倒し、中国の影響力を一掃さえすれば、ダルフール紛争は解決するのか?
(3) そもそも、南部黒人解放勢力(SPLM/A)も参加した現スーダン政府を、単純に「悪の枢軸」と決めつける事が出来るのか?
(4) スーダンPKOそのものが、現政府の存在承認を前提に初めて成立する話であり、現政府打倒を公言するブッシュの「悪の枢軸」論とは矛盾するのではないか?
(5) PKO派遣について、紛争当事者(政府側とゲリラ側双方の)から正式に要請があったのか?紛争解決なんて実はどうでも良くて、単に自衛隊海外派兵のアリバイ作りに利用しているだけではないのか。
少し考えただけでも、これだけの疑問が出てくるのです。(1)(2)についてだけでも、ルワンダなどの例を見ても分かるように、アフリカの部族・地域対立の陰には必ず、植民地時代における分割統治の影響があります。長年に渡る植民地主義の「負の遺産」の解消を抜きにして、「中国に支援された住民虐殺政権さえ打倒すれば、それで万事解決」という単純な話ではないでしょう。
それに加えてダルフールの場合は、サハラ砂漠辺縁サヘル地帯における地球温暖化の影響(牧草地減少に伴う牧畜民・農耕民の対立激化)や、チャド・リビアなど周辺国の干渉といった要素もあるでしょう。それどころか、一部の「死の商人」に至っては、政府軍・ゲリラ双方に武器を供与し、紛争を長引かせる事で金儲けを企む輩もいるのでは。現地の解放勢力2派(SLM/A、JEM)が今やいずれも四分五裂の体たらくであるのも、その事が背景にあるのでは。
ダルフールで住民の大量虐殺が行われているのは間違いないですが、それはイラク戦争の様に、「誰かを一方的に悪者にして、そいつをやっつければそれで済む」という様な、単純な問題ではない筈です。それをいとも簡単に言い切って、それで済ませられるのは、実は紛争の解決なんてどうでも良くて、この問題を、単に「反中国のネタ」として利用しているだけだからではないか。
イベント期間中の7月23日(水)はバイトの定休日で、夕方までずっとフリーだったのに。映画上映会場となった映画館「シネ・ヌーヴォ」の場所もよく知っていたのに。チベット文化の紹介も兼ねたイベントとの事で、私の様な新参者には打ってつけの内容だったかも知れなかったのに。返す返すも残念無念。
・[AML 20560] 大阪のシネ・ヌーヴォで 「チベットを知ろう」 7月19日から
http://list.jca.apc.org/public/aml/2008-July/020049.html
・チベットを知ろう2008 Whats Happening in Tibet
チベット・ドキュメンタリー映画上映 in 大阪
http://www.cinenouveau.com/x_cinemalib2008/tibet/tibet.html
以外なほど読まれていないと思うのですが、リンク先の佐藤勝巳氏の文章は大変素晴らしい。
こういう文章は多分、佐藤氏の世代にしかもう書くことはできないと思う。
政治的な立場や現在の運動の色々な差異はさておき、もっと読まれていい優れた文章と思い紹介します
こういう文章は、もう佐藤氏の世代の人にしか書くことはできないと思う。共産主義が人々の夢であった時代、そして、「工作員」という言葉はちょっと刺激的だけれど、国を失った在日コリアンが生き延びてきた凄まじい歴史と、その中で守ってきた朝鮮古来の伝統社会の生き方。
こういう在日はもういない。思想的に反日であれ反米であれ、もう生々しい朝鮮の伝統は3世、4世となれば持続できないから。そして、日本の運動家と在日コリアンがこういう良かれ悪しかれ深い結びつきを持つことももうないだろうと思う。しかし、「連帯」とか「人権」とか「平等」などという言葉ではくくれない何か深い異文化の出会いと、傷つき合いながらの交流がここにはある。
救う会の佐藤元会長の文章としてではなく、ある世代の貴重な声として読んで欲しい
http://gendaikorea.com/20080722_satou.aspx