昨日10月8日(土)に、京都・嵯峨野のトロッコ列車に乗って来ました。この列車には一度乗ってみたいと思いながら、今までなかなか乗れずにいました。乗車券がなかなか手に入らないからです。平日の午前中に駅に行っても乗車券は大抵売り切れ。前売券はネットでしか購入できず。その為にはJR西日本の予約サイトJーWESTに事前登録しなければなりません。ところが、せっかく登録して購入しようとしてもうまくいかず。結局、私はJR大阪駅の窓口で購入する羽目に。
そうして、ようやく乗車券も購入してトロッコ列車に乗る事が出来ましたが、正直、期待外れでした。確かに景色は素晴らしかったです。しかし、行って帰って来るだけで終わってしまったのでは、せっかくの景色も魅力半減です。保津峡の廃線跡をそのまま観光鉄道に転用しただけなので増発も出来ず、いつも満員で乗車券もすぐ売り切れ。始発ターミナル駅のトロッコ嵯峨にはゲームコーナーも飲食店も土産物屋も一杯あります。しかし、終着駅のトロッコ亀岡には何もありません。これでは潤うのは嵐山の土産物屋だけではないでしょうか?
トロッコ列車とトロッコ嵯峨駅のアミューズメントパーク
それに、フリー切符(1日乗車券)の類がないので途中下車も出来ません。途中駅のトロッコ保津峡で下車して、列車や駅、沿線の風景を写真に撮ろうとしても、何も出来ないのです。列車はすぐに出発してしまい、それに乗りそびれたら、次の列車が来るまで1時間も、何もない山間の駅で待っていなければなりません。それを避けようとすれば、もうひたすら列車に乗っているしかありません。
終着駅の駅ナカに唯一あるラーメン屋も閉まっていました。幸い私は、帰りの列車は時間をずらして予約していましたから、終着駅で降りて昼食にありつく事は出来ました。駅を出て歩いていたら、おしゃれなパン屋さんに偶然行き当たり、そこで美味しいパンを買う事が出来ました。でも、もしそのパン屋さんを見つける事が出来なかったら、最悪、ご飯抜きで旅行する羽目になっていました。観光列車なのに昼食の確保もままならないようでは、お話になりません。
トロッコ嵐山駅(左)とトロッコ保津峡駅(右)。嵐山駅まではトロッコ列車も複線電化の山陰本線を走ります。その後、山陰本線の新線と別れて保津川沿いの旧線を蛇行し、保津川を一度またぎます。新線の方は一気に山をぶち抜いて通っているので、何度も旧線の上をまたぎます。
トロッコ亀岡から10分も歩けばJR山陰線馬堀の駅前に出るのに。トロッコ駅前の外の広場には保津峡下りの乗船場や京都サンガスタジアム行きバスが止まっていました。トロッコの乗客の中にはJリーグのサポーターと思しき人もいました。でも、そのバスもJR馬堀駅前には行かず、乗船場やスタジアムに直行です。これでは馬堀駅前の商店街には金は落ちません。亀岡市には保津川下りの観光船や京都サンガのスタジアムもあるのだから、それらをうまく繋げて地元の商店街にも金が落ちるようにしないとダメだと思いました。
当日券がすぐに売り切れ、前売券を早めに買わなければトロッコに乗れないのも、廃線跡をそのまま転用する事しか考えていなかったからではないでしょうか。狭い峡谷の単線の廃線跡なので行き違い設備も設置できず。列車増発も出来ず、どの列車もすし詰め状態。これ以上乗客を増やせないのでフリー切符の発行も出来ず。
保津川(桂川)は流れが速く、川下りのボートも必死です(左)。トロッコの乗客も手を振ってそれを見送ります。やがてボートは下流の嵐山渡月橋付近の船着き場に。大堰(おおい)川(桂川のもう一つの別名)の名前はこの船着き場の大きな堰(右)に由来するのでしょうか?
トロッコの線路をもう少し先に延ばして保津川下りの乗船場や京都サンガスタジアムの前まで乗り入れ、手前の線路もトロッコ嵯峨から渡月橋を渡って阪急嵐山や、昔の愛宕山鉄道の跡を辿って清滝の方まで延ばせば、途中のトロッコ嵯峨やトロッコ亀岡に行き違い設備も設置でき、列車増発も可能になったのではないでしょうか。
敢えてきつい言い方をしますが、山陰線の旧線跡をJRからタダで譲り受け、観光用のトロッコを走らせてボロ儲けする事しか考えず、設備投資を怠って来た為に、それが仇となり、列車増発や周遊券発行もままならなくなってしまったのでは?沿線には観光地が多数あり、景色も綺麗なのに。阪急創始者・小林一三が今の窮状を見たらどう思うか。
終点のトロッコ亀岡では狸の置物が乗客を出迎えてくれます。その後ろを山陰本線の新線が通っているので、列車撮影には絶好のポイントです。でも駅前には何もありません。駅ナカに唯一あるラーメン屋も閉まっていました。食事をするには徒歩10分のJR馬堀駅前まで出なければなりません。
トロッコ亀岡駅構内のラーメン屋も閉まっていた(左上)ので、私は駅を出てJR馬堀駅の方に歩いていき、偶然見つけたおしゃれなパン屋さん(下の地図・写真参照)でようやく昼食のパン(右上)を買う事が出来ました。
コロナ禍から抜け出そうと、外国人観光客やカジノ・五輪などの外需に頼りたくなる気持ちも分からなくはないです。しかし、肝心の地元の人たちの懐を温める事をせず、地元商店街の衰退や高齢化による後継者難をずっと放置している限り、観光客も一部の金持ち以外は「ただ行って帰ってくるだけ」の状態に甘んじなければなりません。
トロッコ列車の撮影が旅の目的なら、列車には乗らずに、駅の入場券だけ購入して中で撮影するか、駅でレンタサイクルを借りて線路沿いの遊歩道から撮影した方が、よっぽど多くの写真が撮れます。以上、敢えて辛口の批評をしてみました。