脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

夏の挑戦③ー負うた子と遊ぶ

2024年09月12日 | 私の右脳ライフ
北九州市の戸畑高校天籟同窓会関東支部の会長をした時に、本部同窓会事務局をやってくださっていてお近づきになったT田T子さんとは21歳の歳の差を物ともせず、ずっと付き合いが続いています。
彼女が9月11日の誕生日記念に北九州から東京まで歌舞伎観劇に行くというプランに、誘ってくれました!行きますとも!
若い人たちは、こんな写真を撮ります!勉強させてもらっちゃった(笑)

観劇の前日に上京なのです。いろいろ案を並べての結論「毛利先輩の毛利バーグランに行きたい」
オッケー!

高校同級生の毛利さんは世界的なバーテンダーとして知る人ぞ知るレジェンドです。銀座シックスの裏で12時からオープンですから行きやすいのです。誕生日の祝杯は毛利バーグランで。

グラスホッパー、プリンセスルビー、有名な毛利マテーニ、コーラ。 4杯あるのは、彼女のお母さんと娘さんと私の4人の女子会だったからです。

ランチは道を隔てた筑紫樓。
おしゃれな雰囲気。「今まで食べた杏仁豆腐でベスト!」との評価あり。

ついでに夕食の記録も。若者推薦のモンスーンカフェお台場





あまりにも心地良い接客に、老若混成の女子会から賛辞を送ったら破顔一笑のモンスーンカフェお台場のY澤マネージャー。(掲載許可済み)

長崎五島の出身とのことで、九州人としての熱い連帯感で盛り上がり、再会を約しました。あ、お料理もおいしくお値段もとてもとてもリーズナブルでした。

一夜明けてさあいよいよ最大目的の歌舞伎鑑賞。
彼女のご贔屓の成駒屋三兄弟、中村橋之助、福之助、歌之助による「第二回神谷町小歌舞伎」
「小」とあるように若手の研鑽発表の場ですね。若者らしいアイディアもそこここに見つかりました。歌舞伎のチラシの役者がスーツ姿!

「双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょう くるわにっき)」
遊女の身請けに絡んで、力士同士の意地をかけた一歩も引かぬやりとりがメインテーマということですが、人気力士濡髪長五郎の登場の場面が強く心に残りました。歌舞伎の伝統的様式美に則ったものを表現しようとしていることが伝わってきたからです。
「一本刀土俵入」
筋はなぜか知っていました。舞台が終わった時、二人顔を見合わせて「涙が出たね…」
歌舞伎はどこか大袈裟な演技という感じが否めないのに、感情に深く切り込む力もあるのですね。
三兄弟の母、三田寛子。父は不倫騒動で悪名高い中村芝翫。パンフレットによれば長男橋之助の尊敬する人の中に芝翫の名前を発見。芸道上ということなのでしょうね…

歌舞伎座などに比べて、舞台変換に手間取るところが手作りぽくて、若手俳優挑戦のしかも2回目の舞台とうまくシンクロしてるなと好感を持ってみていましたが、はたと気づきました。回り舞台の装置がない!
一番最後の場面、ヒロインお蔦の住まいが家の中から、満開の桜が咲く家の外に変わるのですが、その時だけ照明を落とした場面変換がありました。黒子が押しているのが見えました。
歌舞伎が庶民に受け入れられるためには、今回の「小」公演のように、様々な工夫がなされたのだろうと思いました。会場が浅草公会堂。その場所を活かす姿勢を感じたことでした。
花道が設置されていて、とてもよく使われていました。ちょうど良い場所の席で表情や衣装の細かいところまで見ることができました。

帰宅して少しチェックしてみたら、回り舞台がある古い芝居小屋のサイト発見。
江戸期からの小屋もあり、おおきな大衆のニーズが「芝居を見るということ」にあったことにちょっと感動しました。歴史話では手に汗を握り、人情話では感情をシンクロさせたに違いない。その力が歌舞伎にあるので、大掛かりな舞台装置を備える力につながったのだろう…
こんな思いがけない感想まで湧いてきました。
ひとえにT田T子さんの、歌舞伎愛が導いてくれた結果です。

東銀座で出会って、翌日浅草で別れるまで、26時間一緒にいたのです。本当に楽しくあっという間に過ぎた時間ですが、思い出してみるとあまりにも楽しい時間の連続でたった26時間という短さが納得できないほどです。
そうなのです!楽しい時はあっという間に過ぎ、その時間違いなく脳は活性化されています。思い出す時、あふれるようにエピソードが連なって出てきます。
認知症を予防するには「変化ある楽しい時間を過ごすこと」とお話しする通りだと実感しました。

「お誕生日おめでとうございます。一緒に満喫させてもらいました」

by 高槻絹子






夏の挑戦②ー食べものの記録

2024年09月11日 | 私の右脳ライフ
「最近の暑さを表現するのに暴暑はどうですか?暴風雨ということ言葉もあるし」と言う記事に「しみじみと今年の夏が暑かった」と振り返りました。
それでも元気に乗り切れたことはありがたいことですね。
近所の富戸港に定置網が設置されています。定置網は網に入ってきた魚の90数%がまた海に戻ると言う究極のサスティナブルな漁法です。
もう一つは多様な魚が揚がると言う、消費者にとっては楽しみな利点もあります。
このアカゼは30センチはあったと思います!もちろん絶品のお刺身をいただいた後、手作り干物を作りました。

大量の朝獲れ魚たちが届きました!





夫はアジフライが大好物。ちなみに私は一塩してちょっと酢で締めたのが好きです。

骨で出汁をとった味噌汁は絶品です…


この夏には、将来的に漁業はどうあるべきか(定置網や魚群探知機などを活用しつつ)を研究テーマにしている東大の大学院院生がきました。なんと定置網で上がった魚を料理してくれました。





私は振る舞うのが専門ですから、作ってもらった料理をいただけるだけでも感激。それが新鮮この上ないとなれば、暑い夏はどこへやら食欲旺盛で過ごすことになります。
もちろん自分で刺身を捌くこともあります。
今年はサザエをよくいただいたので、お刺身を作るのがちょっと上手になりました。

大サザエは夏のものらしいのですが、700gくらいのものもあります!

刺身の時には気をつけてお野菜料理をそえるようにしています。

たまには洋風料理だって作ります。

ところで去年種をとっておいたバタフライピーが、今年も収穫できました。

ほのかに豆の味が感じられるお茶で、美味しいとは言えませんが、色が綺麗で暑い時に涼味を呼ぶので時々入れてみます。

お決まりのレモンも入れて、一応みんなで「オオー」と言うのも我が家の夏の風物詩になりました。


健康に過ごすためには、食べることを大切にしたいと思っています。

by 高槻絹子




夏の挑戦①-露草ソルト

2024年09月08日 | 私の右脳ライフ
長男のFBを覗くとSomething Blueと書かれた写真投稿に出会います。
私にとってのSomething Blueは「結婚式の時、純白の花嫁さんが一つだけブルーの小物を持つと幸運が訪れるというおまじない」という理解でした。
長男の場合はもちろんそうではありません。日本では食物には青色は基本的に使いませんが、海外では思いがけず青色の食べ物がある。つまり「固定観念にとらわれずに物事に対処しよう!」ということをアピールしているのだと思います。確認はしていませんが。
海外での事業がいくつかあるので、東南アジアから欧米まで様々なSomething Blueを見せてくれてます。ここ2〜3ヶ月を振り返ってみたら、いくつも発見できました。
アメリカ。これ二つともケーキです!

インドネシア。

フランス。チョコレートとマカロン。

日本。左は神戸、右は熊本。

日本の感性を通すとこんなに洗練されてきます。(と思うのですが)左は京都。右は松山。


ところで、FBを眺めていたら露草ソルトの投稿を見つけました。
「露草咲いてる」

「スロベニアの岩塩ある」

早速挑戦しました。文字通り朝飯前のチャレンジです。
小さなすり鉢にこれでも花びらは50個以上はあると思います。

岩塩を入れる前…小さなすりこぎ登場。

花びらを追加で摘みに走って、3種類の色合いの露草ソルト完成。
さて、何に使いましょう?
ゆでたまごの黄身にトッピング。
おむすびはどうでしょうか?
マッシュポテトには合わないかな?
エノキダケなら白いからどうかなるかな?
料理に、緑ならいざ知らず、青色を振りかけるのはなかなか難しい…そこをクリアしなくっちゃあね。
こういうのができました!緑を足したくなって足してしまいましたが。

思い出しました。長男がタイだったかインドネシアだったかに出張した時、青いご飯の投稿がありました。(去年の9月のことでした)
早速検索してみると、バタフライピーで色付けているということがわかり、ちょうど庭に咲いていたバタフライピーで炊いてみました。

子どもや友人たちから、ちょっとしたヒントをもらっては、条件が簡単にクリアできるなら、すぐやる!という私の性向は、いい傾向だと思います(笑)
子どもたちから返信が来ました。
「ほほー初めて見たかも」
「すぐやってみるのは素晴らしいね!」と返信がありました。ちょっと褒められている?
ネットは便利です。私の脳が今の状態なら顔を合わせなくてもコミニュケーションは十分に取れていると思います。

by 高槻絹子











認知症の友人をどのように支えるか?give upしかない。

2024年09月07日 | エイジングライフ研究所から

遠くに住む友人から、電話がかかってきました。(9月2日)
話を要約すると
・退職後も仕事仲間5人で、ランチを楽しんだり時には旅行したりするお楽しみ会をずっと続けてきた。全員70歳代。
・そのうち一人のメンバーの様子がおかしい。
多分一番賢くて、立派な仕事をして、両親も夫も息子も優秀で地区では有名な家庭。当人は一人っ子。早くに父親と夫を亡くし、子どもたちは県外在住。3年前に母を見送る。
・話すときは普通。もちろん徘徊も夜中に騒ぐとかもないけど、やっぱりボケてるんだと思う。
・火事でも出したら、ご近所に申し訳ないと心配になる。
・どうにかして、治せるならば治してあげたい。
・5人組の中でも特に関係が深い人は、困り果てる事件が繰り返し起きてきて、心配になるというか、実際には困らされることが頻出している。

この一番密に付き合っている人のお話は中ボケレベルの脳機能(前頭葉機能はほとんど働いていない。脳の後半領域の機能はMMSE満点が30点で19点を切ったところ)になった人の生活をよく見ていると思いました。また聞きですがまとめておきました。
・一緒のジムにも通っていたが、日時の間違いなどがたびたび起きたためか最近辞めた。
・楽しませてあげようと、計画を立てるとても喜ぶのに「都合が悪くなってキャンセルさせて」または「(来るはずのない)客が来るかもしれないので家を空けられない」
「じゃあ、あなたが自分の都合最優先にした予定を立てて、私がそれに乗っかる方法にしよう」と提案すると、自分で予定を立てたのにやっぱりキャンセルしてくる。
(実はここにはちょっと疑問があって、この脳機能の人が「予定」を立てることはそもそも無理。もし予定を立てたとしたら3年以上前の話のはずです)
・「お金がない」と訴えるので通帳を見ると確かに数百円しか残金がない。他の通帳にはたくさんあるので、銀行に行ってこの手続きをするといいと書いてあげても行った様子はない。
・駐車場に停めた車をたびたび探しているらしい。
・「しばらく東京に行ってくる」といっても新幹線チケットの日付がつじつまが合わない。行ったかどうかも不明。
・前から気になっていたこととして、わざわざ追加してくれました。
みんなで会話を楽しんでいるときに、いかにも興味なさそうに周りや窓の外を見たりしているかと思えば、突然勝手な話題で会話に参入してくる。もちろん言っていることはおかしくないが、あまりにも唐突。

私は、浜松医療センター勤務時代に電話相談を受たことがあります。一日中電話が鳴りやまない状態が10日間は続きました。
その時に、最小限の時間で対応ができるようになりました。
まず「何が一番困っていますか」と尋ね、そのことが起きるのはどのような脳機能状態かを類推します。相談者が相談した領域とかけ離れた領域で、その脳機能なら起こりうることを具体的に伝えると、一致すれば「あ、わかってくれた」という反応を電話越しに受け取ることができます。一致率は高かったですよ。
例えば「洋服は着られますが、前後、裏返し、重ね着。デイサービスに行く前にやたら手がかかるんです」これは中ボケの症状ですから、同じ脳機能で起きてくる「お薬も一人ではのめないでしょう。そこにも手がかかりますよね」「はい…そうなんです(どうしてわかるんですか?)」というような展開です。
脳機能から認知症を見るということの実際例ですね。

今回は、同居している家族からの話ではないですから、突っ込んで聞くことができませんでしたが、4年くらい前に生活が大きく変わる「きっかけ」があっただろうと予測して、少し確認してみました。
案の定、母親を施設に入れたのが3年前。思い余っての入所だということだったので、入所の前から目が離せない状態であった可能性が高いですね。単調で展望のない介護生活は、介護している人の脳機能の老化を早めます。
多分お母さんの入所時には、前頭葉がうまく働けていない小ボケになっていたでしょう。その状態で、一人暮らしに突入。介護負担がなくなったとき、イキイキした変化ある楽しい生活への見直しをするようなタイプではないし、小ボケではもともと生活のチェンジは無理。引っ張ってくれる人が必須です。
その後、家族内でのトラブルもあったりして老化の加速がより一層はっきりしてきたのでしょう。



私のアドバイスは「中ボケというのはね。前頭葉機能が働いていないうえに生活遂行能力はちょうど幼稚園児くらいです。幼稚園児を一人きりで生活させませんよね?つまり一人暮らしはもうできないのです。
何を食べるか?消費期限が過ぎた食べ物がわかりません。日付が曖昧だし、そもそも日付けを確認できません。火が使えるでしょうか?
どうお風呂を使うか?
ちょうど幼稚園児を見守るように、 3人で8時間ずつ交代でその方のお家に詰める覚悟がいります。可能性すらないでしょう?
中ボケの真ん中を切ったら治すことは一緒に暮らす家族でも難しいのに…今の状態で家族以外が通ってきて治すことは不可能としか思えません。それ以前に一人暮らしはもう無理。
家族がいらっしゃれば家族。それができないなら、責任は行政に移ると思います。詐欺に引っ掛かるかもしれません。ちょっと大袈裟に言えば、生死に関わることだって起きるかもしれません。心配しているように、火事を起こして近隣に迷惑をかける可能性だって否定できません。
そんな時、誰が責任をとるのですか?
つまり気持ちがあっても物理的に離れている友人ではできることはしれています。どうにか息子さんにお話しして身を引く方がいいと思います」
そういうと電話をくれた友人が「じゃあ、現状をお伝えしてみます。最後に『私たちにできることがあったら遠慮なくおっしゃってください』って言って切ります」
慌てて私。「最後はいりません。できることはもうないのです。前頭葉だけ元気がない小ボケなら、いくらでも働きかけはできたんですけどね」

その話を報告すべく、翌日久しぶりに3人で集まったそうです。
「親族に任せるべき、友人たちが支えるのは無理」という私の意見を聞いて、一番気にしていた方が、「本当にほっとした。実はこのままでは友達がいがないと思って、とても気になって私どうかなりそうだった。手放してもいいのね~」と表情まで明るくなったような反応をされたそうです。
徘徊も、不潔行為もまだ全然見えていない中ボケでも、真ん中を切ると対応が途端に難しくなってくるのです。

何というタイミングでしょう。9月3日の産経新聞の記事で政府が認知症施策の基本計画案をまとめたという報道がありました。

何度か取り上げた、割りと若年で発症する側頭葉性健忘症を若年性認知症という分類にして、ここにターゲットを当てた全く的外れな施策です。
去年続けて書いてあります。この法案を受けて計画案が出たということですが、私の友人たちがどれほど共生しようと思っても共生できないのが、認知症の大部分を占めるアルツハイマー型認知症です。
一番軽い段階の、前頭葉機能だけに問題が起きてきている小ボケまでならできますが。



4人の会の結論は「自分のこれからの道を示唆してもらった気がする。日々下降線をたどっている、この時のつっかえ棒は自分!つまりいかに上手に気持ちの切り替えをするかということだし、スイッチの切り替え上手になろうね。そして友だち同士で手助けしあおうね」ということで盛り上がったそうです。私はこれでちょっとはいい気分になりました。

by高槻絹子


南伊豆町 くぼやまさとる展

2024年08月23日 | 前頭葉の働き
石廊崎オーシャンパークで開催されるくぼやまさとる展のお知らせが来た時から「行きたいなあ。でもちょっと遠いなあ。それに暑いし…」とためらっていました。
そこに横浜の友人から「行きます」と連絡あり。しかも日帰りで!そのメールを見た途端「行く」という決断をしました。
決断をしたのは、あれだけためらっていた私の前頭葉。
私たちが起きている時には、前頭葉がちょっと上から四方八方に目を配りながら見守っている。そんなイメージを持ってください。今回は行きたいという気持ち、遠いという条件、酷暑と言われる状況…決断としては「行かない方がいい」。
ところが「遠くの友人が行く」という新しい状況が勃発した途端、パネルがパタパタと動いて「遠くても、途中にもう一つ目的を加えたら長距離にはならない」「暑いといっても車移動で外活動はないから、熱中症にはならない」と新しい判断がなされ、行くことになりました(笑)
判断をする時に用意周到に種々の条件を考慮する場合もあれば、臨機応変に対応できるのも前頭葉の働きです。
ともあれ、石廊崎オーシャンパークのくぼやまさとる展に行きました。

『雲海と家』

『蘇った難破船』

久保山ワールドが緻密で繊細な筆致で繰り広げられていました。久保山さんの世界観は最初に出会った時から一貫していると思うのですが、色調やデザインが変化し続けているのを見るのが楽しみです。
久保山ご夫妻からお誘いを受けて車で5分のカフェ south pointに足を延ばしました。

店の前の駐車場から見下ろした景色!

どこかハワイを思わせるような店の佇まい。

玄関では「ヒリゾ浜Tシャツ」が出迎え。店内にはセレクトショップのようなおしゃれな小物がいっぱいありました。

カフェメニューも地産地消、手作りで、ヘルシーで美味しいもののオンパレード。

久保山作品のコーナー発見。久保山さんとのツーショット。友人の激写ですが、ちょっと避けられてる?かも。今度伺って見なくっちゃあ。

帰る時になって「駐車場から下にヒリゾ浜が見える」という情報が飛び込んできました。ここで入口にヒリゾ浜Tシャツが掛けてある意味を了解しました。
店内に入る前に見下ろした景色は「さすが南伊豆。変化に富んですてきだなあ」と思っただけでしたが、もう一度よーく見ると、確かにヒリゾ浜が見える!
同じ景色でも「ヒリゾ浜はどこだ!」と思ってみると細部が初めて見える。
こんな経験は他でもよくあると思うのですが、前頭葉が絡んでいることに気づいてください。
さあ、私の前頭葉はフル回転。
「思い出す」のは記憶の領域の仕事と思っている人も多いでしょうが、前頭葉が指令を出すところが始まりなのです。
小学生だった孫の希望(あ、今気づきました。もしかしたらその孫の父親、つまりわたしの長男の希望だったのかもしれません)で、早起きして車を走らせて中木へ。そこから小舟に乗ってほんの数分でヒリゾ浜に渡してもらうのです。黒潮が入り込み、流れ出ていく地形のせいか、たくさんの南の海の魚たちが泳いでいるのをスノーケルを使って楽しみました。
魚だけでなく、あのときの日差しも、海水の思いがけない冷たさも、孫の笑顔も、いろいろな会話も、お昼のおむすびも、浜が混雑していたことも生々しく思い出しました。
次に私の前頭葉はブログに記録していないかとチェックすることを決めました。
2010年8月に「おこがましくもかくしゃくヒントその5」として、脳をイキイキ使って認知症予防をするという記事を見つけました。その中にヒリゾ浜でスノーケリングと1行書いてありました。
それが前回再掲した記事です。
くぼやまさとる展に行ったことから、14年前のヒリゾ浜へのエクスカーションをまざまざ思い出しただけでなく、記事を読み返すことができその頃考えていたことまでクリアになりました。
認知症を防ぐには「変化ある楽しい生活」が不可欠だとよくお話しますが、実感。

「京風すっぽん料理えんじ」の話
家から石廊崎オーシャンパークまで直行したら1時間半はかかります。
ちょうど真ん中あたり下田市白浜に「京風すっぽん料理えんじ」が今年4月開店。前回初めて行った時に急用ができて不参加だった友人を誘ってランチをすることにしました。以上、全部前頭葉の判断。
京都『たん熊』で長く修行された主人が一人で切り盛りしていらっしゃいます。柿本光男さん。you tubeで「柿エモンの一人旅」発信中です。

お部屋のしつらえに思いが感じられます。
お料理は…絶品と言っていいと思います。一味も二味も違います。

お出汁の味が素晴らしい。微妙な味や、器や盛り付けの心遣いは、作る側の前頭葉が生み出して、いただく側の前頭葉がキャッチします。
結論:
「生活するときにはいつも前頭葉が見守ってくれている(とはいえ、あまりにもルーティンだと前頭葉の見守りなしでもこなしてしまい、出番がない状態になる)」
「前頭葉の出番がある生活、つまりは変化ある楽しい生活を心がけることが認知症予防」


by 高槻絹子














おこがましくもかくしゃくヒントその5(再掲)

2024年08月20日 | エイジングライフ研究所から
昨日、思いがけず南伊豆ヒリゾ浜を見下ろすことになりました。(詳細は後日投稿予定)
孫と一緒に船で渡してもらったヒリゾ浜。ブログに備忘録はないかと検索したら、たった1行「南伊豆ヒリゾ浜でスノーケル」と書かれた記事がヒットしました。14年前。2010年8月27日。
読み返すと「認知症を予防するには暮らしぶりが大切。生活を楽しめる必要がある」という納得できる主張があったので再掲することにします。(投稿先が変わったせいでスタイルが崩れてしまうので少し手を入れました)
ちなみに、孫は大学生と高校3年生になっています。


以下、再掲。
「猛暑の八月でしたねえ。
この暑さにめげず孫たちとよく遊びました。それもブログの更新にさし障るほど!海へも行きましたが写真は撮れませんでした。携帯なのでうまく写せないという公式な言い訳を用意しつつ、その実は楽しさいっぱいで写真どころではないと言った方が正直なところです。
河津町菖蒲沢海岸でウミホタル観察ツアー

南伊豆ヒリゾ浜でスノーケル。(写真は2024年8月19日撮影)

南伊豆町のひまわり畑にも行きました。
動物園にも行きました(アニマルキングダム)。
ホワイトタイガーがウリですがこれはヒョウ。

首の長~いキリン 

らせん階段?ブラックバック。

立派な角。ホワイトオリックス。

たてがみも白黒縞模様!シマウマ

ホロホロチョウ。

これは???直後に右端のバッタは捕食されました。

横から見るとカメレオン。

べったり寝ているプレーリードッグ。


高齢者のお出かけ場所として、買い物や公園や美術展・演劇・映画もちろん旅行など色々と考えられますが、意外と思いつかないのが動物園や水族館。
春や秋などの気候のいい時には、動物園はお勧めです。動物はやはりかわいいものですし、童心に帰れる点も楽しめるポイントでしょう。
環境も花や樹木など整備されていますが、ただ夏や冬は過酷すぎるでしょうね。
そのような時には水族館!冷房完備で屋根があります。つまり梅雨時にも行けるところです。
ちょっと発想を変えてみることも必要ですよ。

ふれあい広場や昆虫展でも、孫たちと盛り上がりました。都会育ちの孫たちが抵抗なく遊んでくれてうれしく思いました。
アルマジロ。

 虹色のカブトムシ。

子供をそっちのけで夢中になっているお父さんが、何人もいてほほえましいやらおかしいやら。そしてその時に「あなたってボケないタイプですよ」と言ってあげたい気持に駆られました。
大人になってカブト虫に興奮できるということは
① 子ども時代に虫取り少年(の生活を楽しんだ)
② 何にでも興味や関心を持てるタイプということになります。

「虫取り少年」という言葉からだけでも、少年時代の日常生活が彷彿とされます。どんなに楽しく光に満ちた時代を過ごしたことでしょうね。
汗をかいて、草いきれを吸って、さまざまな工夫をして虫を捕る。種々の体験こそが前頭葉をはぐくんでいくのです。
それから飼育にも心を砕き、卵をかえしたかもしれません。もしかしたら死なせてしまったかもしれません。でもその時々の感情がまた前頭葉を育てるのです。
知識だけで、体験がなくては、豊かな健康的な脳は育たないのです。
左脳重視の生活を強いられる青白い秀才の生活と比較してみてください。
ヘラクレスオオカブト。がんばってる手。
    
ハムスター。やさしい手。

かくしゃくとして人生を送ることができる大きな条件が少年期にあると考えて下さっている人たちはどのくらいいるのでしょうか?
実は、ボケ予防はさらに幼少時から始まっているのです。
かくしゃくと言わないまでもボケない生活をするためには、そのような生活ができる脳、言い換えると人生を楽しめる脳が必要なのです。それを無理なくこなす脳は、高齢者になって突然できるものではありません。知識の左脳、感性の右脳、自分らしさの源である前頭葉。オギャーと生まれてからの環境や教育や体験のすべてが、その人の脳をはぐくんでいくからです。
もうひとつ。高齢期は正常老化にとどまっていても喪失の時代でもあります。その自分を肯定できる自己肯定感を持てることは、ボケない高齢期を過ごすためには最も重要な条件だと思います。母子関係を基礎として様々な人間関係の中で自己肯定感は培われていくのです。
ボケない人生を全うするには「脳を育てる」という発想が必要な時代になっていますね。
孫たちと一緒に楽しんだ夏休みは、私のボケ予防のみならず孫たちのボケ予防の第N歩だったに違いありません」

by 高槻絹子


補聴器に公費助成始まる

2024年08月12日 | エイジングライフ研究所から
補聴器購入に公費助成が始まったというニュースに、ひざを打つ思いです。
二段階方式では、認知症の発症は「アミロイドベータやタウタンパクが原因ではない」と考えています。
人生の後半になって起きてきた大きなできごとや生活の変化に対応しきれずに、生きる意欲を削がれてしまう高齢者がいます。生きる意欲がなくなった生活ぶりというのは、いわゆるナイナイ尽くしの生活、具体的には趣味なく交遊なく生きがいを感じることもなく、そのうえに運動もしない生活です。一日中ぼんやりと日を暮らす…
今日の写真は朝ボンヤリせずに庭に出て撮ったもの。八重のバタフライピー

これは脳機能からみれば、脳の使い方が足りないということです。
脳機能を簡単に分ければ、デジタル情報を処理する左脳、アナログ情報を処理する右脳、体の運動に特化している運動領域、そしてそれを統括してその3分野の脳を上手に使うための司令塔である前頭葉ということになりますが、ナイナイ尽くしの生活というのは、その脳全体がイキイキと使われてない状態といえます。
バタフライピー下に空蝉発見

「その機能を使わない」と私たちの身体には廃用性といわれる機能変化が起きてきます。使わない筋肉は廃用性委縮を起こします。使われていない脳は廃用性機能低下を起こします。
もともと加齢とともに、体の各所に正常老化ともいうべき変化が起きてくることは、高齢のかたなら納得されると思います。
一重のバタフライピー

もちろん脳にも正常老化があるのです。歳を取ると物忘れがひどい。仕事がテキパキできない。なにかやってるともう一つの為すべきことがおろそかになる。発想力が落ちた。若い時に比べるという冠語をつけると認めざるを得ないことが多々あります。
ところが、認知症はそのレベルが違います。前頭葉に注目した脳機能検査をすれば、正常老化か正常老化に廃用性の機能低下が加味されたものかはすぐわかります。

廃用性機能低下が起きている場合には、生活がナイナイ尽くしに変わっていった、そのターニングポイントをはっきりさせることで、本人や家族に了解してもらいます。
二段階方式を使っている保健師さんたちでも、なかなかそのきっかけにたどり着けないと嘆く人もいますが、生活が変わっていないのなら(脳の使い方に何の変化もないのなら)必ず正常老化にとどまっているものです。

検査結果を手にすれば、そのきっかけはあるに違いないのですから聞き取っていくのです。
〇本人や家族の病気や怪我。(家族の介護に手がいるようになると、その介護をしている方の生活も変わってしまう)
〇仕事を辞める。(定年退職や代替わり)
〇心配事の勃発
〇親しい人との別れ
だいたい以上にあげたようなことで、ほとんどの人はきっかけが出てくるものです。

きっかけを尋ねていてある時にふと気づきました。
「そのころから、耳が遠くなってしまって。もともと遠かったのですが、差し障るほどになってきて」家族からの情報。
「耳が遠くなったので、寄り合いに出てもよく理解できないし、失敗したら嫌だからといって寄り合いにも趣味にも出かけなくなった」家族からの情報。
「聞き返すのが相手に悪いと遠慮していると、だんだんどうでもよくなってきた」本人の述懐。
など聴力低下を訴える人がいるのに、視力低下をきっかけという人は記憶にありません。
視力は見えない自覚があって、自分の工夫が効きますが、聴力は聞こえにくいを通り越して聞こえないときには、刺激がないのと同じ!
確かに聴力低下が廃用性機能低下を起こすのも納得ですね。

行政が補聴器購入の補助をする、その実態を、一般社団法人日本補聴器販売店協会 がまとめてありました。
全国273自治体。そのうち155自治体が65歳以上。金額は10,000円から137,000円。30,000円64市町村。50,000円50市町村。
詳しくはクリックしてみてください。

厚生労働省の総計のページを見てみました。
給付(総費用額)2021年11.3兆円。2022年13.3兆円。2023年で13.8兆円!
2023年の65歳以上人口は3,623万人。
後始末に追われるお金の使い方でない方法の一つが補聴器助成かと思います。
補聴器を勧めても抵抗を示す高齢者は多いものですが、その流れの中で補聴器に対する「年寄り臭くていや」というアレルギーも改善していくのではないでしょうか?
あんまり暑いので、キクイモに日傘をさしてやりました。



by高槻絹子




夏休み自由研究-興味関心は前頭葉が決める

2024年08月05日 | 前頭葉の働き
庭に白いユリがたくさん咲きました。全部切って花瓶に投げ入れて眺めているうちに、FBでつながっているY木さんの先日の投稿のことを思い出しました。
シンテッポウユリという新しい呼び名を教えてくださった投稿です。
以下Y木さんの投稿を表にまとめてみました。
今までは、テッポウユリとタカサゴユリの差は承知していて、タカサゴユリの花には赤い筋があるものとないものがあるのだとばかり思っていました。
そうではないことがよくわかりました。しかも花に赤い筋があるかないかということだけチェックすれば、きちんと分類できるというまたとない情報でした。
我が家にたくさん咲いてくれた百合はシンテッポウユリです。
筒状花


葉が細い


花びらに赤い筋がない


興味関心があるテーマだと、情報が目に飛び込んでくるような気持になります。そして受け取ったその情報を、使ってみたくもなりますね。

興味関心のあり方はまさに十人十色。いったん関心を持てば、それを深く追求していくタイプと、淡々としているタイプ、関心が向くテーマがあれこれとあるタイプ。
私はまさに後者ですが、植物への関心は結構ある方だと思います。

いま私が持っているこのような植物への関心はどのように、育まれたのか振り返ってみましょう。
私は北九州市で生まれ、18歳で上京するまで引っ越すこともなく生活しました。当時はちょうど日本が高度成長期に差し掛かる時代で、当然北九州工地帯は隆盛を誇り、なおかつ私の家は工業地区のまさにただなかにありました。
田どころか畑もない。八幡製鉄所からでる七色の煙は繁栄の象徴だったし、ばい煙が家の中にも侵入し、洞海湾が死の海といわれるときにもどこかに繁栄とのバーター取引のようなムードを感じました。つまり生の植物に囲まれることのない暮らしぶりでした。
ヒマワリ

ただし幸いなことに、夏休みなどには父の田舎によく行きました。青空の元、水田の浮草の動きに目を見張り、五右衛門ぶろを沸かす木や草のにおいは今でも大好き、蛍を蚊帳の中に飛ばし、マクワ瓜や夏野菜を畑に採りに行きました。こうして書いていくとキラキラ輝く田舎の景色が眼前に広がります…
今のように旅が日常的でなかった時代に、旅行にも連れて行ってもらいましたが、その目的地は阿蘇、桜島、日田など自然にあふれたところだったことに気づきました。小学生の間は春になると毎年、ツクシ採りのために自動車でプチ旅行したのも印象深い思い出です。
考えたら、私に対する「教育的配慮」というようなものではなく田舎で大きくなった父が緑を求めていたのかもわかりません。ちょっと恩が足りないかなあ…
ハマユウ

母は町育ちでしたから、わざわざ出かけるほどのモティベーションはなかったかもしれませんがお花をよく活けてくれていました。花屋さんにもよく一緒に行き、そして花の名前を教えてくれるので「よく知ってるなあ」といつも感心していました。わからないときにはすぐに尋ねる姿勢は母から教えてもらったのですね。
18歳で上京した時に、通学電車からみる明治神宮やキャンパスの木々や花たちを見るたびに東京はなんと緑豊かな町!と楽しみました。
ハイビスカス

植物は好きでしたが東京時代までずっと受け身だったことに気づきます。大きな変化は茶花に興味を惹かれた時からでしょう。東京時代は「今の時期は○○を生けたいのですけど」とおっしゃりながら、花屋さんのお花が床の間に生けられていました。
静岡に転居して稽古を再開したら、東京の先生があこがれるようにおっしゃった季節の野の花が当たり前のように生けられています。
ちょっと車で出かけると、珍しい茶花(つまり自然に咲いている花)がいくらでも目に飛び込んできます。
ポケットサイズの茶花図鑑を片手に、現物を見て知る喜びを十分味わいました。(茶道では問答があるので花をめでるだけでなく名前も知っておかないといけないのです)
今はちょっとは花を植えたり、挿し木や挿し芽をしたりしています。育てるところまで来られたということです。
そうそう、ブログを書くためにちょうど句読点のようなつもりで写真を入れますが、今住んでいる伊豆高原はその写真に事欠かない環境といえるほど植生が豊かです。
富戸海岸のカンゾウ

たった一人の、しかも植物に絞って興味関心がどう育っていうかを振り返ってみました。
一番ベースには、生得的なものがあるに違いありませんが、環境要因も大きく関与していることが納得されます。しかも現在から過去に向かって考えた方が、より置かれた状況の影響の大きさがわかりますね。
茶道をしなかったら。茶花に恵まれない東京でしかもそれを残念に思う先生にお稽古をつけていただいたからこそ、静岡でのお稽古で目の前がぱっと開けるような気持になったのだと思います。
そういう気持ちが持てたのは、自然に恵まれない生育環境のなかで両親が植物に目が向けられるシチュエーションを作ってくれたからでしょう。
ホーリーバジル


何でも体験する方が、人生を生き抜くには有利です。前頭葉は知識の脳ではありませんから「知ってる」だけではだめで「体験する」ことでできあがっていきます。成功体験も失敗体験も自分の前頭葉を作り上げていく必要な過程。
認知症にならないためには高齢期に変化のある楽しい生活を送れるようでないといけません。自分の興味関心はどの分野にあるかと考えてみましょう。その興味関心を深める方向でも、新しい興味関心を模索することでもいい。
それが認知症予防だと知れば、意欲がわいてくると思います。だってどこで講演しても「ボケるくらいなら死んだ方がいい」という声が聞こえますから。

by 高槻絹子






7月の右脳訓練④-港区立歴史資料館

2024年07月30日 | エイジングライフ研究所から
東京での歯科検診のついでに、首都圏在住の友人と一緒に一泊二日の旅程を組んでの東京プチ旅の報告記。
一日目は歌舞伎を見に行きました。「星合世十三團」。團十郎十三役、早替りや宙乗りその他にも新しい取り組みもあって大満足。
7月の右脳訓練③-七月大歌舞伎
さて二日目は、これこそメインの絶対外せない歯科検診。10時半に終了します。「二日目は、考えておくからね」という友人のことばに全面頼りっきりでお任せでした。一緒に日本橋の歯科まで行き一時間の検診を待ってくれた友人から
「港区立歴史資料館で、江戸時代の古地図と現在の比較というのをやってるけど、興味あるよね?」「はい、もちろん!仰せの通りにいたします」

東京に行っても、乗り物はだいたい同じようなものですが、この友人と一緒の時は初めての路線をよく使うことになります。最寄り駅は白金台駅。グーグルマップに頼り切りで到着!スムーズに行けますが、昔のように色々路線を調べたりしていく方が学習効果は上がると思います。

地下鉄の駅を出たら広くて交通量の多い目黒通り。そのクラクラするような暑い目黒通りから30mくらい引っ込んだところに、工事中でしょうか塀があって「正面は左」と掲げられていました。そして曲がって私たち二人とも唖然としてしまいました。





これが港区立歴史資料館。まったく想定外。こんな歴史的建造物とは思ってもいませんでした。
この建物は、内田祥三設計で昭和13年に竣工された旧公衆衛生院を改修して、歴史資料館、公民館、学童クラブその他の複合施設として活用されているのです。
とにかくまず熱中症予防のためにカフェに行って飲み物をいただきます。ここも室内に貼られたタイルが特徴的な旧食堂を生かしたものでした。ノートパソコンを持ち込んで仕事をしている人や、夏休み中の子どもと一緒に勉強している親子連れもいました。

一息入れて、特別展を楽しむことにしました。

歴史的に考えてみれば、港区は面白いエリアです。大名屋敷もあれば、庶民の生活場所もあります。寺社も多いらしいです。魚が上がる港もあるし、何より鉄道が通ってます。
そして考えると、長男の会社は南青山の根津美術館のそば、次男の家は西麻布で孫たちは笄小学校に通いました。目印があるので江戸の古地図と現在の比較は容易くできました。



2階が特別展、3〜4階が常設展。写真禁止が多くて、なかなか雰囲気が伝えきれませんが…せめて常設展会場の雰囲気を。

他所に住んでいる高齢者の私たちでも、結構ワクワクする時間を楽しんだのです。
大規模な貝塚を再現しているコーナーもあれば、明治以降の文化的変化を説明しているコーナーもありました。
例えば「雑魚場」という名前に「ちょっと酷くない?」と笑いながら説明を読み進めると
江戸前期より、本芝・金杉の漁民達は東海道で雑魚を中心とした市を立て鮮魚を商いました。芝の名を冠した「シバエビ」 漁が代表的漁業でしたが、幕末以降衰退して海苔の養殖場へ変わり、昭和37(1962)年、遂に漁業権を放棄しました」とっても納得!
港区在住の子どもたちなら、身近に惹きつけて港区の現在と歴史を感じることができるだろうと思いました。
建物も味合うべきものだと思いましたからゆっくり見学。設計者の内田祥三は東大建築学科の教授です。東大の安田講堂をはじめ本郷キャンパスや駒場キャンパスの建物は氏の代表作ということも初めて知りました。

改修時に多くの賞を受賞しています。多分残せるところを最大限残して、今の人たちが使える形にしたところが高く評価されたのだろうと思いました。
中央ホール





吹き抜けそのものが豪華なうえ、床は白黒の石材、手の込んだレリーフが素晴らしい。
旧講堂は340席の階段教室です。





ステージ横の柱を飾るレリーフは左側に羊紋様、右側に鴫紋様(多分)。
二人で見ていると「あれは何かしら?なぜ選ばれたの?」など、答えが出ない会話で盛り上がります。
一際目を惹かれたのはこの時計。レリーフともどもこの講堂ととてもマッチしているのです。

満足感に浸りながらそろそろ帰途につくことにしました。暑さも覚悟して目黒通りへ出たところにこの看板が。行く途中にも気づいていたのですが、館内の説明で内田祥三がこの建物も設計したことを知りました。医学と並ぶものとして公衆衛生が考えられていたということでしょう?この看板だけはどうしても撮らなくっちゃあ!
わたしのブログは、友人たちと認知症予防活度に携わっている保健師さんたちに読んでいただきたくて書いています。
保健師さんから「時間ができた時の、遊び方の参考になります」と言われるとちょっとうれしい…
情報のアンテナを立てて、自分のできることを逃さないように、人生を楽しんでいってほしいのです。
そのことが認知症予防に直結することを、二段階方式を使っている保健師さんなら実感できるでしょう?高齢になってもイキイキとしている人たちは、人から何と言われようとも自分が認めることができるイキイキとした生活を必ずしています。
それができなくなる時が、認知症への第一歩。前頭葉の活躍の場がなくなって老化が加速され始める…

「自分がイキイキできるのはどういう時なのか」これは生き方の総決算と言えることでもあります。認知症の究極の予防は、生まれ落ちてからどのように「脳」を育ててきたかにかかっていると、私は思っています。

by 高槻絹子








7月の右脳訓練③-七月大歌舞伎

2024年07月27日 | 私の右脳ライフ
歌舞伎を見に行くということになると、鑑賞したい演目が先にあるものでしょう。高校の後輩T田T子さんは、ちゃんとファンの歌舞伎俳優がいて、北九州在住ですから博多座、小倉城での特別公演、もちろん上京して東京公演も楽しむという歌舞伎通の王道を行ってます。いわゆる追っかけ(笑)
北九州と東京で歌舞伎鑑賞
私は違います。
だいたい歯科検診の空き時間に、歌舞伎や文楽を楽しんでいました。歌舞伎は一幕見から始めましたが、数年前からは歯科の予約が決まった時点で公演情報をネット検索するようになりました。
直近の歯科検診は7月22日9時30分。歌舞伎座だと團十郎七月大歌舞伎。新橋演舞場は七夕喜劇。
喜劇より歌舞伎を楽しむとすれば、歌舞伎座の前日11時開演一択しかない。

まあ、だいたいこんな調子で観劇プランは出来上がるのです。
そんないい加減なスケジュールでも、喜んで乗ってくれる友人に恵まれているのがラッキーですよね!
「ちょっと早く行って、歌舞伎が始まる前につれて行きたいところがあるの」と早めの待ち合わせをして歌舞伎座ツアー開始。
これが晴海通りに面している、普通の歌舞伎座の顔。

視点を変えると、歌舞伎座は高層ビルの一部なのです。

晴海通りから見える歌舞伎座の屋根の奥に屋上庭園があることを知っている人は少ないようですが、カフェも併設してあって結構穴場です。
実は新しい歌舞伎座になった時には、歌舞伎座探検もやってみました。



早すぎてカフェはまだ開店前でした。前回行った時の店内からの景色。

この写真から庭園の場所がわかりますか?庭園の階から歌舞伎座の屋根がこういうふうに見えます。

さて肝心の團十郎の7月歌舞伎。圧巻の早替わり迫力の宙乗り「星合世十三團」

緞帳のデザイン、大観の富士は見事でした。

事前情報で、團十郎の早替わりと十三役が見どころと承知していました。
最初は早替わりを承知していてもその素早さに、思わず声が出てしまいます。見る方は勝手なもので、早替わりが続くと「もう少しゆっくり筋を楽しみたくない?」と囁いてしまいました。
でも、色鮮やかな舞台装置やその転換。宙乗り、立ち回りのような伝統的な見せ場以外にも新しい取り組みが随所に見られて、最終的には「すごいね!ラスベガスのスペクタルショーみたい」
「それなのに、戦いで亡くなった人への弔いの気持ちが迫ってくるよね」と二人とも大満足。
團十郎のファンではなくとも、これだけの舞台を一人でこなしていく体力、精神力には脱帽でした。プロデュースもしたでしょうからその力量も評価してあげたいと思いました。
前回鑑賞した寺島しのぶ主演の「文七元結物語」はしんみりと心情を伝える舞台でした。それもよし。
感想としては「歌舞伎は奥深いけど、楽しい」と言ったところでしょうか。

by 高槻絹子


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