小布施町には「千年樹の里」と言われる一画に木造りのやさしい建物があって、在宅介護支援センターと社会福祉協議会が仲良く一緒に入っています。
隣にある新生病院やデイサービスセンターや小布施荘とともに、保健福祉の拠点になっています。
新生病院は1937年にカナダ聖公会が結核療養所として立ち上げた病院ですから、礼拝堂があり、牧師さんも常駐なさっています。
私の小布施での仕事は、半分は千年樹の里の在宅介護支援センターが舞台です。講演会や担当スタッフの勉強会、地域のリーダーさんたちとの懇談会などで何度も伺いました。年度末にはここのホールで、小布施町各地区の脳のリフレッシュ教室(認知症予防教室)交流会が行われるのです。ブログで何度も紹介しました。(今年は2月に第9回脳のリフレッシュ教室交流会がありました)
今回、ちょうど第15回千年樹の里まつり開催日に伺えましたから、初めてお祭りに参加しました。今年のテーマは「広げよう、健康の和!」
縁日のように食べ物の模擬店からおいしそうな香りが漂い、舞台もしつらえられて子供たちや若者たちの演奏が続いていました。フリーマーケット、体験コーナーなど多くのテントが張られていました。
ほんとにおまつり!でした。幅広い年齢層の町民の皆さんが参加しやすい工夫が凝らされています。朝一番に行きましたが、たくさんの皆さんが集まっていることに感心しました。
新生病院の食堂前も産直産物の売店が。
ちょうど、ハロウインシーズンということで子供たちに仮装を勧め、コンテストを行うのだとか。
さあ、千年樹の里の室内の様子です。講演会も行われています。
この案内板に注目!健康チェックは体のチェック。左は脳の健康チェック。
小布施町では基本チェックリストで、認知症の項目で引っかかる人たちには個別相談が原則行われます。家庭訪問で二段階方式実施して、教室参加を勧めたり、生活改善が必要ならば生活改善指導を行う流れがすでにできています。もちろん、強く拒否されたら訪問できませんから、全数ではないのですけれど。
まだ正常レベルであっても、もう少し社会参加が必要とか、今のうちに右脳を使う楽しみを体験させてあげたい人たちを対象の単発的な教室も行われていました。「楽らく若返り教室」
もちろん、脳のリフレッシュ教室の作品の展示もあってうれしく見せていただきました。
伊勢町。楽しそうに取り組まれている様子が目に浮かぶようです。
飯田・大島地区。今年の7月に教室開催10周年記念に伺ったときの記念写真があって、びっくり。
思い思いの感想が散らし貼りされていましたが、こんな面白いものがありました。
六川地区の活動記録。社会科見学もしたのですね!
北部地区。この作品はお祭り直前にできあがったそうです。在宅介護支援センターのスタッフが「作り方と材料は用意しますが、あとは全部お任せでいいんです」と嬉しそうに報告してくれました。理由はわかります。各教室が長く継続できていることと、脳機能が正常の人が中心の教室だからですよ。
東部地区の教室で手芸の指導をしてくださっているK林さん。
手芸教室も持っているのですが「脳リフレッシュ教室の時は,上手に作るというより、楽しめるようにと思います。作品には感性が出るので上手下手じゃない…」と話してくれました。「K林さんのボケ予防にもなるでしょ?」というと、笑って肯いてくれました。
小布施の脳リフレッシュ教室は、1年後からは自主活動ですから、リーダーさんが千年樹の里を訪れてカリキュラムの相談をするというようなこともよくあるそうです。
飯田地区の10月の教室の作品作りの相談に見えたK林さん(左から2人目)。後の3人は在宅介護支援センターのスタッフですが、余り年齢差を感じません(笑)。ほんとは20歳、30歳、40歳くらい違うらしいけど(笑)。またスタッフの皆さんの嬉しそうなこと。ボケた人の世話をするのではなくボケないように手を貸すことは喜びなんですね。
小布施にかかわるようになって10年以上。改めて認知症予防活動が続いていることに喜びと感動を覚えました。
おかげさまで私の脳もリフレッシュできましたよ。
小布施町は修景事業に取り組んでいます。
古い建物を大切に保存するという姿勢はもちろんありますが、新しい建物も小布施の風土にマッチしたもので、町の風景をより自然なものに「修景」することも町の方針として長く行われてきました。
岩太郎の家。新しくできた道端のミニショップ。
「修景」の前提として、もともとあった建物の材や外壁の材質調査が行われたそうです。新築の時に、その基準に沿った場合は何らかのインセンティブを与えて(内容は忘れましたが)街並みを整えてきたのです。
この「岩太郎の家」は道具小屋だったそうですが、おしゃれな空間に変身していました。できるだけ木組みや壁を生かしているのがよくわかります。そうしさえすれば町並みにしっくり溶け込んでいくのですね。
一方でモダンなテイストも。このおしゃれな味付けが小布施人気につながっていると思います。
このような入れものができると、前頭葉がむくむく動き始めるのでしょう。「風のいたずら」なら選んで買ってしまいそう。
町の中心部には、古くからの建物、新しい建物がそれぞれに落ち着いた雰囲気で自由でいながらまとまりも見せてくれます。
北斎館も小布施を特徴づける土壁ではありませんが、違和感はないですね。この北斎館建設を機に、そのエリアの修景がそもそものスタートだったと聞きました。
高井鴻山記念館。北斎のアトリエ碧漪軒(へきいけん)も現存しています。
市村本家
新しくオープンするお店もおしゃれ。出来上がった小布施ブランドを大切にしている気風が伝わります。
蔵を生かしたコーヒー焙煎所
古民家カフェ 珈茅
鈴花。九州新幹線ななつ星で著名なデザイナー、水戸岡鋭治さんのデザイン。
今回初めて訪れた雁田山の古刹浄光寺 創立600年の薬師堂がありました。
浄光寺参道のそばにはスラックラインパークがあって、小学生が楽しげに挑戦していました。
またその隣には小布施クエスト。雪がない時のスノボーの練習場。若者たちがたくさん集まっていました。雁田山裾にこのようなスポーツ施設をまとめて設置するという視点がいいですねえ。
中島千波美術館にも行きました。
今回の宿「おぶせの風」の同宿だった大阪のおばちゃん3人組の発言。
「おぶせミュージアムは行かなくてもいいわよ。だって絵が少ないもの」行ってびっくり。中島千波さん古希記念特別展で学生時代の自画像からかなり抽象的な作品群、屹立する独立峰を日本画に写した新作まで、実に見ごたえのある展覧会でした。
500円で申し訳ないくらい!
十人十色と言いますが、観光で生きて行こうとするとどこにターゲットを置くか誰かが(合議制にしても)決めておかないといけませんよね。それはあたかも人の前頭葉の役割みたいなものです。
ちなみに大阪のおばちゃんたちの、今回の小布施の旅の目的は小布施堂の新栗の時期限定のお菓子「朱雀」を食べること!
早朝5時過ぎから400枚限定の整理券を手に入れるために並んで「朱雀」を食べる。このような目的も確かにありだとは思いますが、小布施のベストシーズンだからこそ感じられる、実りの豊かさ、花のきれいさ、街並みの持つ魅力、その他を振り捨ててしまうのもちょっともったいないかなと私の前頭葉は判断しました。