脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

認知症専門医の方々 側頭葉性健忘にも気をつけてください

2018年03月24日 | 側頭葉性健忘症

伊豆高原も桜だよりが聞かれる頃になりました。早咲き桜がいく種類もありますが、今年はもうソメイヨシノが見頃を迎えました。
花に誘われて、友人たちが続けて遊びにきてくれました。「シャボテン公園のカピバラの入浴で癒されたい」という希望でしたから、出かけました。

女子会ですから話題はあちらこちらに飛びます。
一人の友人が入院中のお父さんの話を始めました。
「病院はボケてるという対応なんですけど…」

「確かに、同じことを何度言ってあげても、わかってないというか、また一から説明しなくっちゃあいけないことがしょっちゅうあるんですよね。前日行った時に丁寧に説明して『そこまで手数をかけて悪いねえ』なんてちょっとこちらが恐縮するほど喜んでくれて、翌日すっかり何も覚えてないとか」
「検査のために飲食の制限があるときなんかは、大変。『よくわかったよ』って言ってくれるんですけど、すぐ飲んでしまうし、食べてしまうし…」
ラマ

「お世話になってる看護師さんの名前も覚えてないみたい」
「でも、何だかしっかりしてるっていうか。元の父らしく気遣いしてくれるし、ボケてないような気もするんですけど。先日もこれから先の見通しを確かに語ってくれました」
2017年11月27日生まれのバクの子 ルーニー

私「家族は身内びいきする傾向は強いから。ましてお父さんは研究者だし立派な人と思いこんでいないかしら。できないことはできないと理解することは、お父さんのためだけじゃなくてあなたのためでもあるし」
「そうですよね〜」肯定しながら、なお納得できないそぶりがアリアリです。
サボテン リトープス属 まるで小石!

もう一度友人の訴えを整理しました。
「とにかく覚えていられない」ということが一番の問題というか、問題はそこだけです。
ということは、逆にいえば確かに記憶障害があるということです。
「記憶障害があれば認知症」という診断基準でいえば認知症。でも家族がどうしても納得できない。
その時の鍵は、前頭葉機能が元気に働いているかどうかの一点に、目を配ることにかかっています。

家族がよく言います。
「うちのおばあちゃん、ボケてるんだか、ボケていないんだかよくわからない」
この時には「ボケてるって思う時はやったことを見た時でしょ。まるで幼稚園の子供のお手伝いみたいなことするし、トイレもお風呂もそう。でも話を聞いていると、昔のおばあちゃんのままでしょう」と聞くのです。
普通に脳機能の老化が早まった時(これがアルツハイマー型認知症)には、まず低下していく機能は前頭葉、次いで記憶が難しくなります。
その初期の家族の印象は「まるでおばあちゃんじゃないみたい」なのです。その人らしさの源は前頭葉にあるからですよ。
一生懸命 

記憶の障害がはっきりしてるにもかかわらず、気遣い、発想、工夫、恥じらいや困惑、豊かな表情、動作が機敏などが保持されている場合は、記憶だけの障害、側頭葉性健忘を第一に考えるべきです。
もちろんそのためには、前頭葉機能が正常域にとどまっているという脳機能検査のデータが必須です。
最近このブログでも繰り返し書いているように、テレビを始めとするマスコミが認知症と側頭葉性健忘を混同してることが大きな誤りですが、専門医の方々も前頭葉機能に目を当てていただきたいと思います。

認知症の大多数は、脳の老化が加速された「アルツハイマー型認知症、前頭葉機能低下が一番最初に起きるタイプ」で、今日話題にした友人のお父さんは例外的なのです。でも身近にいたのです!
この人たちを、認知症と同様の扱いをすることは、あまりにも的外れです。


ブログ村

http://health.blogmura.com/bokeboshi/ranking_out.html