あの日から7年。
あの日に岩手県にいて、大震災を経験したものとして、もう一度お話ししておきたいと思いました。2011年3月20日に書いたブログです。
私は、3月10日から、岩手県に行っていました。11日の地震発生時には、岩手県藤沢町(一関市と宮城県気仙沼市の中間)で講演をしていました。
震度7と後から聞きましたが、地盤のせいか建物のせいかしゃがみこむこともなく、実際、壁にかかっている表彰額も一枚も落ちることはありませんでした。
こんな大災害とも思わず、ただ交通遮断になりましたから、そのまま一関市の小野寺保健師さんのお宅で生活をさせていただきました。ラジオの情報は聞いていたのですが、16日夜になって初めてテレビを見て、その惨状に声もなく涙が流れるばかりでした。(その後、奥州市の知人の暖かいお心づかいで、18日に花巻空港から帰宅することができました)
この避難生活に関しても報告したいことや感謝したいことは山のようにありますが、今日は、エイジングライフ研究所の原点に立ち返って認知症の発症やその予防について話したいと思います。
認知症の発症という観点からみると、今避難所にいる高齢者の方だけでなく、ご自宅にいらっしゃる方でも、大変危ない状況だと考えざるをえません。
エイジングライフ研究所は、脳機能という物差しを持って認知症を見ていきます。
通常は、症状(どんなことを言うか。どんなことをするか)から認知症を考えるのです。セルフケアに支障を起こす、徘徊、夜中に騒ぐ、粗暴行為、異食など余程困ったことをしでかさないと認知症と思われていません。
普通の高齢者が、昨日までまったく正常で、ある日突然このような状態になるでしょうか?認知症は徐々に進行するものなのです。
まずは脳の機能を説明しましょう。
右脳、左脳については皆さんもよくわかっていらっしゃるでしょう。
簡単に言うと左脳は「言えばわかる」脳です。
右脳は「言葉ではうまく言えないけど、でもわかっている」時活動しています。
昔の人は「よく遊び、よく学べ」と言いましたが、遊ぶ時に効率よく働くのが右脳。学ぶ時に効率がいいのが左脳といってもいいでしょう。
わかりにくいのが前頭葉のはたらきです。
脳全体の司令塔の役割を担っています。前頭葉がその状況判断で右脳、左脳を上手にその人らしく使いながら生きていくのです。
「よく遊び、よく学べ」が右脳、左脳の説明なら、「十人十色」が前頭葉の説明に相当します。
生きていくということは、自分らしく三頭建馬車を動かし続けるということです。
その時、それぞれの馬の元気さも大切ですが、その馬を上手に使いこなすことができる御者(前頭葉)の働きがなくては、馬車は上手に走ることができません。
前頭葉機能は広範囲にわたりますが、その中の注意集中分配力は、18歳でピークを迎え20歳代はそれを維持し、その後は加齢とともに直線的に低下していきます。年齢とともに能力低下を起こしても、それは必然であって認知症ではありません。
老化が加速していくときに、認知症への道に入ったということなのです。
老化が加速されていくときには、まず前頭葉の老化が加速され、その後脳の後半領域の機能低下も順々に起きてきます。
そのレベルによって、認知症は三段階にわけることができます。回復が極めて困難な大ボケに至るまでには、最初のきっかけから6年以上もかかります。
小ボケ:家庭生活は問題ないが社会生活がこなせない。
世話役ができない。趣味をやめてしまう。無表情。
「指示待ち人」
中ボケ:家庭生活に支障が出てくる。
話していることを聞けば、変わりないが
やることは幼稚園児のようになる。
「言い訳のうまい幼稚園児}
大ボケ:セルフケアにも問題が出てくる。
通常はここからをボケと思っている。
「脳の寝たきり」
「」内は家族による、生活状態の一言表現。
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