脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

生活指導半年後の改善例(ただし小ボケ!)

2019年04月10日 | 正常から認知症への移り変わり

(今日は保健師さんへの記事です)
保健師さんから半信半疑のような声で電話がありました。
保健師さん「よくなってるようなんですけども…最初の指導の日から半年しかたってないんです。こんなにクリアに結果に出るものでしょうか」
エイジングライフ研究所のノウハウ(二段階方式)の脳機能検査は、脳機能を測定するものさしですから「その時の脳機能」を正確に反映するものなんですよ。その時の脳機能がわかるから、その時の生活実態(脳機能が発揮された結果)をわかってあげられる。そのために検査は行われるものなのです。
川奈三島神社。狛犬の場所にあったんですけども?

まだ、新人さんです。
初回の検査は2018年8月30日。一応マニュアル通りに頑張って検査していましたね。
前頭葉テストの結果
立方体模写:不可
動物名想起:1分間に3個
かなひろい判定値:3.0
MMSの結果
「時の見当識」平成30年を昭和30年という間違いがあり。
「注意と計算」では「わからない。頭がばかになってる。昔は数学が一番得意だったのに」と中断してしまい、促しても「わからない。わからなくなった」と訴える。
「口頭命令」最後は「何かするんだったっけ?」と不安げに机上。
もちろん「想起」は0/3。低下順は通常通りと考えていい結果でした。23~24/30点というところでしょう。
総得点があいまいになるのは、「時の見当識」の実力の確認が不足しているためです。
正確な検査をすることと同じように、大切なことは実力を知るという姿勢ですからね。
結論として小ボケの下限か?

30項目問診票:1.2.3.4.5.6.7.8.9/15.20に「当てはまる」と申告(まさに小ボケ)

テスト結果からは3年前ごろに起きた生活のターニングポイント(その後ナイナイ尽くしの生活に入って行ってしまったそのきっかけ)を確認しなくてはいけないのですが、肝心の生活歴は「3年前はまだ店を一番元気にやっていた」

生活歴の聞き取りを、軽んじている人たちがまだまだいるようです。
「趣味なく生きがいなく交遊もしなければ運動もしないというナイナイ尽くしのこの生活が続けば、脳は使われないのだから老化が進んで当然。とにかく前頭葉の出番がないのだから、そこから老化が加速される。それからMMSも次々にできなくなってくるのが当然」 
と、テストをしている側が納得できるところまで聞き取る必要があるのですよ。
「店を一番元気にやっていて」どうして老化が加速されるのでしょうか?(テスト結果はまさに老化が加速されてしまった結果でしたね)
この追及がなければ、テスターも納得できませんが、検査を受けてる方も同様です。本人が「確かにあの時から、生活が単調になって楽しみもなくなった」と腑に落ちることが、次の生活改善指導の効果を上げる近道につながるからです。
1回目。平成30年8月30日

①「頭」と書こうとしてかけないこと。
②立方体の模写ができないこと。
③五角形模写もいかにも自信無げで、回転不足。
生活歴の聞き取りの不備があったことを上で強調しましたが、生活指導は的確にできました。
まだ小ボケですから本人に「頭が悪くなった」という自覚があるタイミングだったということが一番良い条件だったでしょうけれど。
この方は約1か月後、平成30年10月から週1回「脳いきいきつどいの場」に参加。2回目の検査時「それが、いま楽しみ」と述懐されました。
さあ、2回目の検査結果です。平成31年3月7日

①ひらがなで書いた後、スムーズに漢字が出てきた
②立方体の模写は可
③五角形模写は完全に近い

前頭葉テストの結果比較
立方体模写:不可→可
動物名想起:1分間に3個→7個
かなひろい判定値:3.0→7.7

MMSの結果比較
「時の見当識」は安定的に5点
「注意と計算」引かれる数の保持が難しいと訴え、時間がかかるが4/5
「口頭命令」「床がないよ」といいながら机上。ということは「畳の上においてください」というべきだったのでしょう。そうすると3/3の可能性があります。
何より特記すべきなのは、想起が0/3から1/3に改善したことです。
伊東市仏現寺、狛犬というより狛獅子?

さて、このような脳機能改善を本人はどのように感じているか。それを知るのは30項目問診票です。
本人評価:2.8.9/15 小ボケから脱したところ
同居の嫁:(2).(5).7.9.(10) 正常下限~小ボケ(中ボケには一つも当てはまらない)

ここまで脳機能がクリアになってくると、生活がナイナイ尽くしになって生きがいも喜びも感じられることがなくなったきっかけもはっきりしました。
ちょうどそのころ、「定年退職した息子が事務所を開くというので店の半分を明け渡した」のだそうです。続けて「乗っ取られた」というきつい言葉まで飛び出してきました。ところが「今までお茶飲み話に来ていた人たちが来なくなってしまった」という言葉を聞けば、たしかにこれがきっかけに間違いないと、テスターも納得できたと思います。
押し車を押して、ケーキ屋さんまでお茶菓子を買いに行ってくれて、保健師さんの訪問を待っていてくれたというのです。
脳の老化が始まったときにはできるだけ早く見つけて治してあげるべきだと思いませんか!
何をしたか。
脳の機能検査をして、生活実態を調べて、生活歴を聞いたうえで生活改善指導をしただけですよね。具体的には週1度の「脳いきいきつどいの場」に参加するようにさせてあげただけです。

うれしい報告ででした。
早期発見のためにも、自覚を促すためにも、そして生活改善指導をするためにも二段階方式は必須だということがわかってくださったでしょうか。




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