脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

エーザイの株価12,765円(2021.5)→5,266円(2022.5)

2022年05月31日 | エイジングライフ研究所から
この数値は製薬会社エーザイの、この1年間の株価の推移です。

株式市場は私にとっては、苦手とする分野の筆頭かもしれません。(ので、誤りがあるかもしれませんが、趣旨をくみ取ってお読みください)
株価というものは、その会社の業績を正直に反映するものでしょう?
去年の6月に12,765円という高値で取引され、これは上場来最高値だったという解説もあって、つまりよほどのGood Newsがあったということを意味していますよね。
ところが、たった半年で、ほとんど半値(2021年12月に6,430円)近くまで株価が下がってしまいました。
年初でほんの少し回復したものの、さらにまた5/26に安値を記録し、今朝(5/31)の新聞によると、エーザイの株価は5,397円でした。この121円の上昇をどう評価するのかは知りませんが、いずれにしても、去年6月の株価の半値以下であることには違いありません。
花ミョウガ。散歩道で初めて見つけました。

1997年に世界初をうたって華々しくデビューした認知症薬アリセプト。このエーザイが創薬したアリセプトは、当初から治療薬というのではなく進行を遅らせることができる薬という触れ込みでしたが、実際には症状に働きかける対症療法薬に過ぎず、副作用もかなりあったのです。
けれども「認知症の唯一の薬がアリセプト」という「常識」が世の中を席巻してしまいます。家族は、症状を客観的に見て効果をはかるよりも「医師処方の薬を飲んでいる」という安心感からか投薬を希望し続けるので、ドクターもいったん処方した薬に著効がなくても投薬はやめにくい。副作用が出ると投薬を止められホッとするということをうちうちの声として聞いたこともあります。
何しろ薬価が高いのです。フランスでは使用許可が出ませんでした。厚労省も使用条件を厳しくしたりもしました。
ただ他には認知症薬がないということで、ピークの年間売上高は3千億円を超えて、エーザイは製薬大手になることができました。
その後も、アルツハイマー型認知症の治療薬開発(特にアミロイドβを除去するアプローチ)には、世界の大手製薬会社がしのぎを削ってきたのですが、バイオジェンとエーザイ以外はみな撤退…その開発費用は数十兆円とも言われています。
このブログでも何度か、認知症治療薬については書いてきました。
群盲評象(2018.8)
この世に認知症治療薬は本当にあるのか(2020.11)
ニゲラ

ゲンペイコギク。別名、ペラペラヨメナ。

2021.6にエーザイの株価を上げたできごとは、バイオジェン社と共同で開発してきたアデュカヌマブが、アルツハイマー病の治療薬として米食品医薬品局(FDA)から条件付きながらも迅速承認されたことでした。
その後の迷走ぶりは、御存じの方もいるでしょうが、治験の結果が逆を示しているのに承認したことに対して委員が辞任したり、それどころか欧州では承認拒否。
日本では、2021年12月に厚生労働省は継続審議を決めました。再度の審議には年単位の時間がかかるといわれていますから、行き詰まりは明白です。当然株価に影響していますね。
スイカズラ。別名、金銀花。

薬価が高すぎるという批判もありました。当初アメリカで発表された金額は年間630万円(その後320万円に引き下げられました)で、正直びっくりしました。日本の薬価の方が低く設定されるという報道も目にはしましたが、日本の場合は国民皆保険、しかも高額医療制度もあるわけですから、個人負担が原則のアメリカとは事情が違います。
どこかのドクターが、「国民の期待には応えなくてはいけない、個人負担は少ないわけだから」と話されていました。個人負担は少なくとも、国全体から見れば薬価相当分のお金は必要だし、その原資はどこから生じさせられるのか?高齢者の介護費用が年間12兆円を超している今、ドクターも国民の要望をそのままに受け入れるのではなく国全体を見据えた発言をお願いしたいと心底思いました。厚労省発表の介護費用の推移のグラフ(2021年は予算額)を参考までにあげておきます。

前の記事にも書きましたが、アミロイドβが発病の原因ではない。少なくともアミロイドβが原因とはいえない。という世界の趨勢をどう考えているのでしょうか?
エイジングライフ研究所が主張するまったく新しい視点を、対認知症施策に取り入れられることを心から願います。
ストロベリーキャンドル。

認知症は、前頭葉機能が持っている正常老化に、「趣味なく交遊なく生きがいもないうえに運動もしない」ようなナイナイ尽くしの生活が続くことによって廃用性の機能低下を起こし、老化が加速されてしまう結果、だんだんに症状が進んでくるものなのです。
ナイナイ尽くしの生活習慣が危険であるという、脳の健康を守るための生活改善運動が国全体の動きとしていつになったら起きてくるのかと、切歯扼腕しています。
「5/9、エーザイはアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」について、米食品医薬品局(FDA)への段階的承認申請を完了した」というニュースも最近報じられました。アデュカヌマブとは薬のアプローチが全く違うということが「売り」ですが、アミロイドβが原因でないのなら…
株価もその後に、今年の最安値をつけているのですから、株式市場は認知症治療薬に大きな疑問を持っているということになるのではないでしょうか?
季節の花。マルバウツギ



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