脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

1月の右脳訓練-④歯科治療終了

2024年01月17日 | 私の右脳ライフ
先々週、治療済み奥歯の縁が欠けてしまい、歯の耐用年数に思いを馳せて加齢を実感しつつ治療をスタートしました。先週の初回で型取りまでしたので、8日目の今日また上京しました。
欠けた時はショックでしたが、欠けたところまで一体化したセラミック製の詰め物でしたので、なんだかすっかり生まれ変わったような気持ちです。
いつも感心するのですが、詰めた後の噛み合わせの調整が本当に短時間!院内に歯科技工士の方たちが仕事をされる広い部屋があるので、やはり連携の具合が優れているのかなと思います。
「神経がありますから、痛みがあります」と事前に言われて、風が当たってチクリと痛いのと、何も言われないでチクリと痛いのを想像すると、刺激は同じでも受け取るものは全く違います。
「知る」ということは大切なことですね。
東京駅八重洲口前のビル、再開発中。NHKの解体キングダムに取り上げられたとか。

さらに驚いたことがありました。
診療代金が2160円!先週も通常の健診に加え詰め物の型取り、上との下の噛み合わせの型取りで2000円ちょっとだったので、詰め物をきちんと入れて下さる時に請求されるものと思っていました。
あまりにも安いので間違いがあったらいけないと思ってお尋ねしました。
「もともとの詰め物の治療をこちらでさせていただいておりますので、特別に料金はいただいておりません」

調べた範囲では2009年にはもう受診していました。そろそろ15年。
なんいう誠実な対応、なんという自己技術への確信。かく生きたいと思いました。



今日の右脳訓練は映画鑑賞です。
東京駅から一駅有楽町駅まで歩いて、イトシア4階のヒューマントラストシネマ有楽町で上映中の「葬送のカーネーション」

荒涼としたトルコの自然のなかを、粗末な木造りの棺桶に入れた亡妻の遺体を運ぶ祖父と孫。ヒッチハイクや時には祖父と孫が二人で人力で運ぶという設定はあり得ないほど特殊ですが、セリフも少ないし、だいいち色すらほとんどない淡々としたシーンが続きます。小さなシーンの中で、ハッとするような様々な言葉が発せられます。その言葉が映画制作の主張だと思いました。

葬送のカーネーションの公式サイトを貼っておきます。映画『葬送のカーネーション』オフィシャルサイト

映画『葬送のカーネーション』オフィシャルサイト

2024年1月12日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、YEBIS GARDEN CINEMA ほか|圧倒的な映像が静かに問いかける、現代トルコ映画の到達点 リアリズムと...

映画『葬送のカーネーション』オフィシャルサイト

 
映画館も小規模でもおしゃれな新しいタイプのものでした。前から気になっていた映画館に行けたことも満足感の一部。
一人ランチは、同じイトシア館内の和食のお店響。オープンキッチンのおしゃれなお店で落ち着いて食事を楽しんでいる人が多く、良いお店をチョイスしたものです。映画館の一階下にあっただけですが。

瀬戸内の鯛料理主体のランチ。

宇和島に行った時にいただいた鯛のお刺身は確かにこういう食べ方でした。
そうそう、こんなサービスもありました。なんでも挑戦してみるタイプです。
いつものように、歯科受診だけに終わらない楽しい東京行きでした。
(夕食から治療済みの歯は快調に使えています)

by 高槻絹子







アルツハイマー病と型

2024年01月17日 | エイジングライフ研究所から
  1. 友人からのメールが届きました。
英語が得意な人です。たまたまでしょうか、FAST(Functional Assessment Stagingの略で、 主にADL(生活自立度)の程度から認知症の重症度を評価するスケール)に目を通したら、疑問が湧いてきたという内容です。
ひとつは
アメリカではアルツハイマーは「型」ではなくて病気ですね。」
このブログでも何度か書いてありますが、もう一度まとめてみましょう。
稲取のアニマルキーパーズカレッジを見学しました。

アルツハイマー博士が「記銘力障害」と「見当識障害」を訴える(つまり痴呆症の要件を満たしている)51歳という若さの患者に出会ったのは1901年。この珍しい自験例を、「アルツハイマー病(Alzheimer's disease、略してAD) 」と名付けて報告したのは従来言われてきた「老年痴呆(senile dementia)」とはその経過が全く違うからでした。
①若年発症。
②急速に悪化。
という特徴がありました。博士のこの症例は、初診時51歳、54歳死亡という経過をたどりました。病理学者でもあったアルツハイマー博士はあまりにも普通の「老年痴呆」と違うということで実施した死後剖検で
③老人斑(アミロイドベータによる)・神経原繊維変化・脳萎縮が顕著。という特徴を発見しました。ここまでが第一段階。

もともと普通の経過を辿った「老年痴呆」は解剖をすることはなかったのですが、解剖をした症例で「アルツハイマー病」の特徴と言われる「老人斑・神経原繊維変化・脳萎縮」の3兆候が認められたのです。つまり「アルツハイマー病」も「老年痴呆」も最終段階は全く同じ病理構造を持っているということが明らかになりました。その症例がたくさん集められたのは20世紀半ばのことです。
ここで第ニ段階に入りました。

そして第三段階はイギリスそしてアメリカです。
このような鑑別法が入ってきた時に「最終的な脳の病理状態が同じなので、まとめてアルツハイマー病と表現する。ただし発症年齢65歳で区分けをして早発型(early-onset:EO-AD )と晩発型(late-onset:LO-AD )の区分けをつける」

第四段階。
日本には、ドイツからの情報も、アメリカ経由の情報も入ってきたために混乱が起きてしまいました。
本来なら若年発症で急速に悪化していくものこそがアルツハイマー博士の提唱した「アルツハイマー病」。痴呆を「アルツハイマー病」と一括りにしたイギリスやアメリカでも「早発型」と「晩発型」の区別はつけていたのですが、みごとにその差は無視されてしまって、アルツハイマー病、アルツハイマー型痴呆(のちに認知症)、病名ではなく人名そのままのアルツハイマーまで、まったく自由な呼び方になっていきました。最近では「アルツハイマー病」が多い印象ですが、介護の現場ではアルツという言い方まであるようです。

このようなことになってしまった原因は発症の機序や経過を無視している。さらに言えば重度認知症のみに対応していれば早期の段階や経過を知ることがない。
だからこそ、若年層で発症した側頭葉性健忘症を、若年性認知症とする大きな間違いが起きてしまいました。重度認知症の家族が訴える徘徊や粗暴行為や日常生活が自立できないなどという症状が皆無で、記銘力障害による困り事を本人が感情を込めて訴えるタイプを、認知症のごく初期の段階と誤解したためなのです。
厚生労働省による分類でも、若年性認知症は発症年齢が65歳以下と書かれています…若年発症だけ
でなく急速な症状の進行を伴ってこそ本来のアルツハイマー病です。
側頭葉性健忘症の人たちは、適切な生活指導や生活環境さえあれば、脳機能を長く維持します。

興味がある方はもう少し詳しく書いてありますので読んでみてください。長くてすみません。
「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」前提の誤り - 脳機能からみた認知症

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ブログカテゴリーの「側頭葉性健忘症」には具体例が挙げてありますから、まず側頭葉性健忘症がどういうものが実感してみてください。
脳機能から認知症を理解する立場なら、前頭葉機能が機能しているかどうかをチェックすればすぐに早期認知症と違うことがわかるのですが。

もう一つの質問はFASTの'Loss of ability to smile' に関してでしたね。
「笑い」のことについては次回に書きましょう。

by 高槻絹子






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