脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

「今の季節は何ですか?」誤答には失語症の場合も

2016年12月07日 | 二段階方式って?

今回の出張で、失語症を見落としているケースが目立ちましたので、2009年10月の記事を加筆して再掲載しますから、失語症の復習をしてください。
特に入力障害 のタイプは念頭に置いていないと見落としがちになります。
(聞き取りが難しくなっているが、滑らかに話すため気づかれないこともある。キーワードが言えない。発言量は多いが何を言いたいのかわかりにくい。右下肢の運動マヒを伴うことが多い)

7月に検査した結果が届きました。
タイトルの質問に対する答えは「暑くないので、扇風機は出してない」
テスターは???だったことでしょうね。
採点はもちろんゼロですが、答えから言っても今の季節がわかっていない風でもないし、当たらずといえども遠からじです。
特筆すべきは年月日は繰り返し確認しても満点!(時の低下順が違います!)
こういうときは「春・夏・秋・冬で言うと何でしょうか」と重ねて聞くのです。入力障害がありますから、もしかしたら正答できない可能性もあります。その時は春夏秋冬の風景写真や絵を出して選択してもらってもいいでしょう。

木の実四兄弟
四男はこんなに小さく       長男はこんなに大きい
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検査をしていて間違いの反応があると、どぎまぎしてしまうテスターがいますが、私たちが検査をする目的は「できないこと、できないところはないかを調べること」なのです。
答えが間違っているとします。
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ケースは3通り考えられます。

①テスターの力不足。
声が小さい(とくに相手に聴力の問題がある場合には、十分な配慮が必要)
マニュアル通りに教示していても、相手には沁み込んでいかないような言い方をしている。
検査状況が悪いことへの配慮不足(家庭訪問時など、気が散る状況が起きることもある)。

脳の能力に問題があって、どうしても答えられない場合。これには2種類あります。
②相手の前頭葉機能だけに問題がある場合
脳の能力としては、当然答えられるのに前頭葉の注意集中力が低下している場合には「心ここにあらず」の状態になって答えられないということが起きてくる。

このような場合は、検査を実施する際に、注意力をしっかりこちらに向けてもらう必要があるのです。
具体的には、しっかりと目を見てはっきりした口調、メリハリの利いた言い方を心がけることは常に大切なことですが、一層気をつけるようにします。

それでも失敗したらどうするか。
その時は再検査をすべきなのです。そしてスラリと回答できたらテストの採点は変えることはしませんが、脳の能力には問題がないと結論付けられます。

③調べたい脳機能に問題があるためにできない。
この場合、何度繰り返しても正答になりません。 

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人対人の検査ですから、このくらいのフレキシビリティを持っていてください。
私たちは、合格・不合格を決めるための検査をしているのでも、成績優秀者のランク付けのための検査をしているのでもありません。
その人の脳機能に問題がないかどうかをチェックしてあげているのですよ。

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この被検査者のMMSの結果は、記銘で2/3 計算は0/5 口頭命令1/3 書字命令0/1 文を書く0/1 右脳の検査項目である模写は当然1/1と続きました。
ついでに、想起2/3でした!老化が加速された時の低下順とまったく違うことがわかりますか?

どうですか?言語野の障害が見えてきますよね?(計算は左脳言語野の近くで行われる)
入力障害の印象が強いです。このことを知るために私たちは検査をしているのです。マニュアルC95Pに書いておきましたが、入力障害の場合はことにボケと間違われやすいということも知っておいてください。


冬晴れの一日 、美術館巡りーすみだ北斎美術館

2016年12月03日 | 私の右脳ライフ

増上寺を満喫して、友人と別れた後、一人で両国へ。今度は「すみだ北斎美術館」へ移動です。
「開館記念展 北斎の帰還」の鑑賞が目的。

たびたび訪れている小布施には、小布施の宝「北斎館」があります。小布施には豪商でありながら類い稀な文化人でもあった高井鴻山が、北斎の画業を大きくサポートした縁でたくさんの作品があるのです。
岩松院の天井画や、祭り屋台の飾り絵などそれはみごとな肉筆画作品が残されています。
引越しを繰り返したことは説明されていましたが、80歳を超えて小布施を訪ね、その後何年間か逗留したことは書かれていませんでした。その間、鴻山が北斎のために提供したアトリエ碧漪軒(へきいけん)で毎日画業に勤しんだのですが。
88歳の時の絶筆と言われている「富士越龍図」が最後の展示物でした(撮影不可)。その説明に「北斎館」と書かれていたことだけが、北斎と小布施を結ぶ関係の説明だったのが残念というか不思議でした。
今回の展示の目玉作品は「隅田川両岸景色図鑑」100年ぶりの里帰りとか。

6メートル以上もある作品でした。船に乗って両岸を見ているような気持ちになります。今後の展示計画は未定とか。
もう一つ、目を引くものがありました。「須佐之男命厄神退治の図」

関東大震災で焼失。一枚の白黒写真をもとに推定復元したものです。コンピュータを駆使して色を決めて行く気の遠くなるような過程がビデオ上映されて、多くの人が感心していました。
「富嶽三十六景」も、数点展示されていました。

北斎漫画の原本もありました。

新しい美術館ですから、コンピュータを駆使しています。
タッチすると北斎漫画がアニメーションになって動き始めます。

15枚の富嶽三十六景を捲りながら富士山を探します。

北斎漫画のパズル。

着物デザイン。

富嶽三十六景も一覧表示の中から詳しく知りたいものはタッチ。

絵手本。タッチすると大きく見えるのです。

このように、作品の数はそんなに多くないのですが、見学者を飽きさせない工夫は、随所に見られました。
この部屋の復元は、ちょっと…結構人はたくさんいましたが。

ウーン、なんかちょっとモヤモヤ感が残ったのは小布施のことに触れられていなかったからでしょうか。



冬晴れの一日、美術館巡りー宮川香山展

2016年12月02日 | 私の右脳ライフ
東北の仕事を終えて、週末は京都での研修会が待っています。東京で1日スキップしています。
今日の東京は感動的な冬晴れ!雲ひとつないのです。友人と待ち合わせて「美術の冬」と洒落こみました。
まずは、増上寺宝物展示室での宮川香山展。明治の超絶技巧の陶器作品展です。
増上寺大殿と東京タワー。
写真は撮れませんでしたが、確かに超絶技巧。細部にわたった独創的な、しかも立体的な表現には、多くの工夫と細心の注意と緻密な計算がなされていると思われました。
過剰な装飾感は輸出用に作られたことに影響されているのだと思います。
1876年のパリ万国博覧会に出品し好評を博したと解説されていましたが、きっと欧米の人たちはびっくりしたことでしょう。
エミールガレのガラス作品を見るときに「すごいなあ。みごとだなあ」とびっくりした後に、微妙な違和感を覚える作品があります。そのちょっと前で留まっているところが宮川香山の高浮彫。
ちょっと生年を調べてみたら、香山が4年早いだけでした。制作活動としてははっきり香山が先行していましたから、ガレが影響を受けたことは否めないと思いついて、何だかニヤリとしてしまいました。
まだ新しいこの宝物展示室ロビーに、篠田桃紅さんの作品が展示されていました。この大胆さ!
この落款のサイズが10センチ✖️20センチはあります。
入口の作品。「光」
こういう雰囲気のロビーでした。
そのまま、徳川家墓所にも行きました。
「アラ。和宮さまのお墓よ」
「ここに、お江の方のお墓がある!」
友人と行くと、やっぱり倍楽しいですね。
事前にチェックした情報のミスで、もうプリンスホテルになってしまっていた霊廟を探してこんな景色にも出会いました。
ランチは愛宕グリーンヒルズ42階でした。秩父の山、お台場の景色も味わいました。

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