自分史 物怖じしない国際人を育てるヒント集

近現代史に触れつつ自分の生涯を追体験的に語ることによって環境、体験、教育がいかに一個人の自己形成に影響したか跡付ける。

5.19 強行採決/岸の勇み足/安保闘争の全国的拡大と浸透

2015-02-19 | 体験>知識

5月19日の衆議院での安保条約承認阻止に向けて、国民会議、全学連による数万のデモが連日つづいた。
そんな中、岸首相は、5月19日から20日未明にかけて委員会の審議を打ち切り、議事堂に警官隊を導入して座り込んでいた社会党員をごぼう抜きにして排除、本会議を開き、審議のないまま新条約を強行採決し、会期の50日間延長までも決めた。
警官と衛視に抱えられてマイクを両手で握りしめて必死に開会を宣言する清瀬議長のTV映像は事ある毎に永らく放映されるにちがいないが私にはこっけいな猿の茶番劇として眼に焼きついている。
野党議員と自民党反主流議員が欠席。
採決に加わった自民党議員233名、衆議院過半数を5名オーヴァしただけだった。
岸自民党は闇社会に働きかけて松葉会等暴力団を多数院内に導入した。
以後権力と右翼暴力団の、貸し借り、持たれ合いが常習化したと取る向きもある。
この日を境に安保の本質の追及が薄れ、「議会主義を護れ」「批准阻止、岸退陣、国会解散」が叫ばれ、声明、請願、デモ、ストの大衆運動が全国に拡がっていった。
岸首相は記者会見で、野球場、百貨店、パチンコ店が満員であることを念頭において新聞に載らない「声なき声」にも耳を傾けなければならない、と語った。
20日から条約が自然承認されるまでの1ヶ月間デモ隊が連日国会を取り巻いた。
それまでデモに参加したことがなかった人たちが次から次と声を上げた。
じっとしておれない人々が街頭にでた。
高校生や婦人、宗教人、タクシーのデモ。学者、文人、芸術家、商工組合、農業組合等あらゆる職業の声明、行進。
特筆すべきは交通を麻痺させる道いっぱいに広がるデモに対して右翼暴力団を除けば妨害がなかったことである。
クラクションの代わりに拍手。
銀座で拍手で迎えられたという記述もある。

5月19日の審議なき単独強行採決は、請願デモを抗議デモに、社会党総評中心の共闘会議のデモを一大国民闘争に、変えた。
日米軍事同盟の新時代を印象付ける筈のアイゼンハワー米大統領の公式訪日日程6月19日に条約の自然承認日をあわせた、問答無用の単独強行採決に国民が怒りを爆発させた結果だった。

 



 



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