新鹿山荘控帳

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「ウルトラ・ダラー」手嶋 龍一

2007-12-08 17:57:55 | 読書
単行本がすぐには買えないほど値段が高くなっています。従って、特定の好きな作家以外は文庫本が出るまで待つようになります。そしてその間に書評も出尽くし、購入するかと言うことのなります。

今週の週刊文春で阿川佐和子との対談で登場した、佐藤優が今関心があります。報道等で感じる彼の生き様はそれほど関心も無く、外務省役人としても魅力を感じていませんでした。が、対談でかなり面白い生き様に早速書店に駆けつけたのです。

彼の本の隣に並んでいたのが、手嶋龍一です。
「ウルトラ・ダラー」手嶋龍一著 新潮文庫 629円

手嶋龍一もNHKのワシントン支局長のTVでのイメージから、どこまで書き上げられるのかと、疑問を持っていました。この文庫本を購入した第1の理由は、解説を佐藤優が担当していることでした。書評で佐藤優がどう解説しているかで、佐藤優も判断できると思ったからです。


BBCの東京特派員である英国人スティーブンは英国情報情報部員でもありました。日本の優秀な印刷技術者の行方不明、スイスの最高級印刷機が輸出される途中でやはり行方不明、米国の製紙会社から超極秘の用紙がやはり行方不明。そして三十年後の2002年、米国最新の百ドル札の偽札が発見されました。

米国シークレットサービス、日本国外務省、内閣官房、フランス国境警察などが、偽札と偽札で購入しようとする核兵器を阻止しようとする戦いを描いた、インテルジェンス小説です。拉致問題や太平洋戦争の後遺症、外務省の内部対立などあっという間に読了しました。
また、情報戦争に慣れていない脇の甘い日本のハイテク企業も取り上げられています。

休職中の外務事務次官の佐藤優の解説で、現代の情報活動の一旦や外務官僚の背筋が寒くなるような背信行為が、小説の上の絵空事ではないことが解説されています。

作者は華やかな海外特派員生活が長いのでしょうから、登場人物のプライベートな描写に、多少かっこよすぎるところがありますが、全般的には大変面白い作品です。
一読をお勧めします。

私は次に、彼の前作「外交敗戦ー130億ドルは砂に消えた」を購入するつもりです。これはドキュメンタリーノベルです。日本国政府のお粗末な外交政策を紹介しているそうです。


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