jazz and freedom and avenger

勝手気ままな戯事日記 暇つぶしに・・・・

SETTIN’ THE PACE / JOHN COLTRANE ・・・・・・・ 「怪物」誕生の瞬間

2020-05-10 | ジャズ・ts

 

PRESTIGE時代の名盤と誉れ高い”SOULTRANE”の僅か一ヶ月半後に吹き込まれた同一メンバーによる作品。

サキコロをベンチ・マークとした”SOULTRANE”の完成度に対し、本作は比べようもないほどPRESTIGEのレーベル・キャラ通り、ラフな仕上がりで、これはもう、ワインストックが予め「溜め録り」を計算していたと考えるのが妥当でしょう。双方の合意の上なのか、それともコルトレーンは薄々感じていたのか、定かではありませんが、終始、コルトレーンのペースで進められており、実はそこがワインストックの深謀だったのです。

TOPにバラードを配するものの同じ様な長さの片面2曲ずつ、計4曲というイージーな構成と練習モードさながらのシーツ・オブ・サウンドの乱れ撃ちに少々辟易する場面に遭遇するけれど、ワインストックの読みが的中した一曲がある。

それがB-1、マクリーン作の”Little Melonae”。ガーランドのやや辛口のソロの後、満を持し飛び出すコルトレーン、相変わらずシーツ・オブ・サウンドに邁進するも、他の3曲とちょっとノリが異なる。途中から体内変化なのか、或いは得体の知れない何かが乗り移ったのか、ギア・アップしながらまるで殻を徐々に破っていく怪物の姿をハッキリと捉えることができる。1958年3月26日、「怪物」が誕生したのだ。ワインストックが自然発生を狙い、余分な注文を付けなかったワケがここにある。

 

 

驚くことに「怪物」の眼はもう既に「前人未踏の世界」の入り口をロック・オンしている。

本作がリリースされたのは、3年後、コルトレーンがインパルスと契約した1961年だった。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿