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勝手気ままな戯事日記 暇つぶしに・・・・

堅忍不抜・・・THE STANDARD JOE / JOE HENDERSON

2024-02-09 | ジャズ・ts

 

VILLAGE VANGUARDでのライブ録音Ⅰ、Ⅱは、少なからず「御祝儀」の香りがするものの、概ね絶賛を得た。問題はその後の二作目。ところが、何故かBLUE NOTEが二作目の録音を計画した形跡がない。正確には、しなかった、出来なかったのだろう。A・ライオンは亡くなる前、このⅠ、Ⅱをすごく気に入り「BLUE NOTE史上最高のセッション」とまで断言したそうです。ま、よくある話で仕事、人生の区切りを付ける称賛の一種で額面通りに受け取るか、どうかはともかく、言葉だけが独り歩きし、関係者には天の声に聞こえただろう。事実だけを言えば、ライオンは1987年2月2日に他界している。

ジェノバのライブ盤”AN EVENING WITH・・・”(1987年7月)から4年近くが経ち、本家本元のBLUE NOTEの動きを窺っていたREDは痺れを切らし(笑)、1991年3月26日、NYに出向きスタジオ録音した作品。

タイトルは、”THE STANDARD JOE”。このシンプルにしてストレートなタイトルはREDがジョー・ヘンの好調さをずっと把握していたことの証に他ならない。

 

定番スタンダードの”Body & Soul”の他はジャズ・スタンダードとジョー・ヘンのオリジナルの構成だが、REDは彼の特性を見抜いてる。もともと、スタンダードを始めバラード、ボサノバ、ラテン系等々、上手く料理する優れた才能を持っており、60年代のBLUE NOTE時代のゴリ押し新主流派のイメージが強いけれど、タイプとしては隠れGETZ派と勝手に思っている。

TOPに人気ナンバー”Blue Bossa”を、オリジナルを挟み真ん中に美味しい3曲を、最後に決め曲”Body & Soul”の別テイク、と配列も吟味している。中でも”Take The A Train”ではハーレムへ向う逸る気持ちを巧みにフェイクするスキルが聴き物。全7曲、69分53秒、期待を決して裏切らないモダン・テナーの最上級のパフォーマンス、髄が詰っている。また、録音(CD)も良く、ジョー・ヘンとREDは相性がいいですね。個人的な欲を言えば、”I Remember Cliffrod”、そして、彼はC・ポーターの曲が良く合うので、例えば”I Concentrate On You”あたりでも加わっていれば、もう、言う事なしです。

この作品をジョー・ヘンのキャリアと重ね合わせると、柄にもなく四字熟語で表せば「堅忍不抜」が浮かんでくる。本作も我が国のジャズ・メディア(ジャズ本も含め)はよそ者REDに冷たく、あまり知られていない。

噂を聞き付けたVERVEは透かさず、彼を迎い入れ、一作目はグラミー賞(1992年)に輝いたが、VERVEの資金力に物を言わせた出来レースに近く、あの”Naked”な ジョー・ヘンの姿は影も形も消えていた。不遇時代が一番、充実していたとは・・・・・・、よくあるケースですね。それにしても、本当の不遇時代のジョー・ヘンを裏で支えたREDの功績は大きい。



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