ピーク時に録音(1961年)されながら、「お蔵入り」となり、死ぬ一年前の1985年に陽の目を見た作品。”ANOTHER”と、軽いタイトル名が災いしたのか、一部の評論家、ファンを除き、大した評価も支持も受けていない。
前作までの通称「三部作」が盛りで、本作は「ピークは過ぎていた」と言う人さえいる。
でも、そうかなぁ~・・・・・・ 三部作、三部作、とメディアに刷り込まれているんじゃないか?
この音源を発掘したM・カスクーナの言葉を借りると「24年間オクラになっていたものとは理解できない内容でベストの一枚」と述べている。この手の発掘ものに対し、こうしたリップ・サービスは付き物だが、今回は間違いなく例外だろう。
となると、ライオンのオクラ入りの判断は間違っていたのか、となるけれど、そもそも、”WORKOUT”の残りテイク1曲を活かす為のセッションの色合いも否定出来ず、モブレーに不運があったとすれば、ライオンがモブレーの本当のピークに気が付かなかった、としか思えない。まさか、モブレーの当時のボスに妙な気を使ったとは思えないが・・・・
スタンダードの”I Should Care”、”Hello Young Lovers”の料理の仕方は格段に、スムーズに進化している。オリジナルの”Hank‘s Other Soul”では今まで培ってきた一種の愁いあるモブレー独自の表現方法の頂点を極めているし、”Gettin’ And Jettin’”でのスピーディなフットワークとハードなブローは正真正銘のミドル級チャンピオンを見事に証明している。
なお、”Hank‘s Other Soul”は後のアルバム”The TURNAROUND”の”East Of The Village”の元ネタになり、また、”Gettin’ And Jettin’”も”NO ROOM FOR SQUARES”で中間部に粋なアレンジを受け”Up A Step”と改名され、甲乙つけ難い名演ですね。
こうなると、ライオンの頭の中は早い段階に、否、初めからリアルタイムではリリースする気はなかったのでは?と疑ってしまう。
いずれにしても、ライオンの「弘法にも筆の誤り」と済ませるには、余りにもモブレーは・・・・・・・・・
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