先日、某エリアにて弊社ハーネスを使用していた方が、ランディング時ドラッグシュートを取だしベースバーを持ったところ、たまたまドラッグシュートがベースバーの前を通って開傘してしまうというアクシデントが発生しました。
機体はそのままタッキング直前の姿勢となったあと、フラットスピンに入りましたが、そのスピンが収まった後ダイブに入りました。
この時、大きな風圧でドラッグシュートのブライダルラインが切れてくれたのです!
ドラッグシュートが無くなった機体はそのまま回復。
無事ランディングできました。
実は弊社ハーネスは、最悪の状況に陥った時、いくつか安全な方に事態が転ぶ工夫をしています。
今回のドラッグシュートの件は、念のために通常より十倍を超える荷重がかかった場合、切れやすくなる品質のものを使っていました。
また、他にもトーイングタグの強度も、異常な荷重がかかった場合、破断するようにしています。
これはトーイング死亡事故の大半を占める「ロックアウト現象」に入った時に、ヒューズが効かなかった時の最後の手段として考えたものです。
その他、バックプレートもあえてグラスファイバーを使うことにより、瞬間的な荷重をグラスファイバーの弾力で吸収出来るようになっています。
このような考え方は、私が若いころ学んだ航空機の設計の仕方を生かしたもので、航空機はトラブルが発生しても、安全側に転ぶように設計することが「常識」となっています。
今回のアクシデントは、それがうまく効いてくれて、大きな事故を防ぐのに役にたったようです。
たとえ小さな部品でも、それをじっくり考え抜いて作ることにより、大きな事故を防ぐことが出来る‥。
これはものを作る人間として、肝に銘じておかなければいけないことだと思います。