飛行中年

空を飛ぶことに薪ストーブ、そして、旅をこよなく愛する一人の中年のブログです。

通潤橋のスゴさ!

2023-07-19 15:37:18 | 日記(diary)

先ごろ、熊本県の「通潤橋」が国宝に指定されたそうで…。

私は、この通潤橋って、モノスゴいと思っているのですが、そのことが、今一つ世の中に知られていなかったよう

な気が、ずっとしていました!

今回の国宝指定は、個人的には当然!もっともなことだと思っています。

さて、それではこの通潤橋、どのくらいスゴいものなのか…。

今夜はそんなお話です。

 

この通潤橋は、今から170年前の江戸時代に作られた水道橋です。

谷を挟んで、反対側の土地に、水を運ぶために作られたものです。

驚くのはその原理…。

逆サイフォンの原理を使って、高いところから、通潤橋の位置で一度下がり…。

再び押し上げて、反対側の土地に水を運んでいます。

この逆サイフォンの原理は、既にこの時代、江戸の町の水道や、兼六園の噴水など、多所に渡り使われていました

が…。

それらと比べ、この通潤橋の工事は、はるかに難易度が高いものなのです。

その理由は…。

強力な水圧に、通潤橋が耐えなければならないからなのです!

水圧は、10メートル下がると、1平方センチあたり1キログラムの力になります。

つまり、上図で言うと、通潤橋の水路の高低差は7.5メートルあるわけですから…。

1平方センチあたり、0.75キログラムの水圧がかかるわけですね!

これ、1平方メートルあたりに換算すると、7.5トンもの水圧で通潤橋を押し広げることになります。

水圧ってものすごいんですね!

通潤橋では、この強烈な水圧に耐える構造として…。

くり抜いた石を並べて接続し、水路としているのです!

石と石の接続は、漆喰を使い、更に、水が漏れないように、内部は特別な漆を使っていたみたいですね!

更に…。

石造りのアーチ橋の形式を持つ、この通潤橋。

実は、あの黒部第4ダム、通称黒4ダムと同じ原理で、その姿を保っているんです!

え!黒部ダムはダムでしょ!通潤橋は橋じゃん!

…。

そんな声が聞こえてきそうですが…。

まあまあ。私の話を聞いてください。

 

黒4ダムは、よくアーチ式ダムなんて言われいますが…。

これ、はっきり言って間違いです!

黒4ダムは、正確には、アーチ式と重力式の複合ダムなんです!

これ、どういうことかというと…。

アーチ式って、アーチ型にすることにより、水圧を圧縮の力に変えて、コンクリートの負担を少なくすることで、

コンクリートの量を節約でき、経費が安くできるメリットがあります。

しかし…。

アーチ式ダムの場合、水圧が、ダム両端の地盤に、どうしても集中してしまうため、地盤が崩れやすくなるんです

ね!

この欠点を補うため、黒4ダムでは、アーチ式ダムの両端を、重力式に切り替えることにより…。

コンクリートの重さで、アーチ式ダムから伝わる水圧を分散することにより、地盤への負担を軽減しているので

す!

これと同じ原理が、実は、通潤橋にも使われているんです!

アーチを描く通潤橋は、その両側に石の重さが伝わっていきます。

つまり…。

通潤橋の両側は、大変な力で地盤を押すことになるわけですね!

そうなると、両側の地盤は押しつぶされてしまい、通潤橋自体も崩れてしまうことになるのですが…。

そうならないように、通潤橋の両側は、「張り出し」を持った、しっかりした土台が設けられているのです。

つまり、その土台の重さで、通潤橋を支えているのです!

上の写真で、その土台の張り出し部分を見ることが出来ますね!

この考え方が、まさに黒4ダムと、まったく同じなんです!

…。

170年も前に作った通潤橋が、実は、黒4ダムと同じ構造だなんて、スゴいと思いません?

繰り返しますが…。

170年前の土木技術でありながら、最新式の土木技術にも引けを取らない、素晴らしい技術が使われていたんです

ね!

 

だから、国宝となってしかるべきと、私は思っているのですが…。

少々不満なのは…。

これだけの技術が使われている通潤橋が、やっと国宝になれたなんて…。

その素晴らしさに気付くのが、ちょっと遅かったんじゃないかな?

 

コメント (2)
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