本日は、ちょっと私の仕事のご紹介!
私は、現在日本でたった一人だけ残った、ハンググライダーのハーネス職人です。
現在、5種類のハーネスを制作していますが…。
今回は、最上級クラスに採用されている、SLS(スプリングロックシステム)金具の製造を、ちょっと解説します。
今回ご紹介するSLS金具を使用しているのはこのハーネス↓
このハーネスの、ピッチアングル…。わかりやすく言えば、頭の上げ下げをするために、今回ご紹介するSLS金具が使われ
ています。
具体的には、前の細いラインの長さを、飛びながら調整できるようにする金具であるわけですね。
…して、そのSLS金具とはどんなものか…。
この金具です。上の傘の部分の押し金部を押すと、ロープのロックが外れて、上記の細いラインの長さが変えられるわけ
です。
で、その構造ですが…。
四つの部品から出来ているのですが、上から…。
押し金部
シリンダー
ピストン
スプリング
で、成り立っています。
シリンダーとピストンには、ロープが通る穴があけられており、普段はスプリングの力で穴がずれて、ここを通るロープ
が挟まれてロックするわけですね!
そして、押し金部を押すと、シリンダーとピストンの穴が一直線となり、ロープが自由に動くわけです。
それでは、この金具はどのように作られているのか…。
すべて、私の工場にある機械を使い、私自身が作っているんです…。
まずは、元となるアルミの丸棒に、ロープが通る穴を、ボール盤で開けます。
次に、この丸棒を旋盤に固定。
ここから「削り出し」が始まります。
まずは最初の削り出し。
この、頭の部分に、傘型の押し金が入る穴を開けます。
ここで、「突っ切りバイト」を使って、作った製品を切り離します。
だいぶ形になってきましたね!
これをひっくり返して、再び旋盤にセット。
今度は、内部を削り、ピストンが入るようにします。
最後に、固定用の穴を開けて、この部品は完成!
ここまで、だいたい30分くらいです。
次は、傘型の押し金を、同じ要領で削り出します。
お次は、内側に入る、ピストンの制作です。
まずは、ジュラコン丸棒に穴を開けて…。
同じ要領でササっと削り…。
内部のピストンが完成しました!
他にも作った部品を組み合わせると、このような「バックプレート」が完成するわけです。
これが、一番最初にご紹介した、ハーネスの背中の部分に挿入されます。
右側に、ウチのハーネスの売りである「RPS」が付いていますね!
これ、自動で伸び縮みし、肩をサポートしてくれる金具です。
世界初の機構です。
自分で言うのも何なんですが…。
これは、我ながら大発明でした!
簡単に、SLS金具の作り方をご紹介しました。
実は、この金具は、かなりなロック力が必要とされているのですが、それを実現するため、一か所単純なんですが、面白
い工夫がされています。
その工夫については、次回ご紹介します。
あの工作室で生まれているのですね。凄いなぁー
春過ぎから来るであろう爆上げ景気に期待しつつ、日々坦々と己のやることを信じて進みましょう。
益々のご活躍を祈念します。
世の中、オミクロンが蔓延し始めていますが、重病者の方が少しでも出ないことを祈りつつ、やがて、この病気の蔓延が治まり、世の中が平穏に戻ることを願いたいですね!